虫歯治療の選択肢は3つ!それぞれの治療法の特徴と違いを知っておこう
歯が痛くなったら嫌々ながらも歯医者へ行って治療する……そんな風に考えているでしょうか?
だとしたら、もったいない話です。歯科医療が進化し、虫歯治療にも、さまざまな選択肢が登場しています。
何の知識もなく歯医者へ行って、ただ削って詰めるだけ。そして10年たたずに虫歯が再発して、また治療……そんな悪いサイクルに陥らないためにも、どんな虫歯治療の選択肢があるのか、それぞれの効果の差やメリット・デメリットを詳しく知っておきませんか?
- 虫歯治療の選択肢には、どんなものがあるのか知りたい方。
- 虫歯治療について、あまり深く考えたことがない方。
- 虫歯治療に使う詰め物の素材の違いや特徴を知らない方。
- 根管治療で何回も通院しなければならない理由を知りたい方。
- 虫歯の痛みが治まったので通院を止めたいと思っている方。
虫歯治療の選択肢は3つ

虫歯の治療法って、どんな選択肢があるんですかー?

虫歯治療の選択肢は、大きく分けて、次の3つです。(1)歯を削って詰め物をする、(2)神経を抜いて根管治療をして被せ物をする、(3)抜歯する。
えっ、どういうことですかー?

基本的に、歯を残す治療を行うわけですが、軽度なら削るだけで歯を残せますが、神経に達していると神経を抜かなければ歯を残せなくなります。最後の手段として、抜歯する方が良い状態を保てるというケースですね。
なるほどー!歯を残すための治療にも神経を残せるか残せないかの2種類あるんですねー!
虫歯治療では、歯の状態にもよりますが「今ある歯をできるだけ残す」治療が推奨されています。
それが、将来を見据えた全身の健康についても良い影響を及ぼすことが明らかになっているからです。
それでは、3つの治療法について見ていきましょう。
虫歯を削って詰め物をする

軽度・中度の虫歯は、歯の表面のエナメル層と、その下の象牙質まで進行している段階です。まだ神経には達していませんが、象牙質まで虫歯に侵されていると痛みを感じるようになります。
この段階では、虫歯に侵された歯質のみを削り、詰め物をするという治療を行います。
詰め物「インレー」の種類
詰め物「インレー」に使われる歯科素材には選択肢があって、仕上がりに違いが生じます。
コンポジットレジン
健康保険の適用範囲内で治療を行う場合、使える歯科素材が限定されています。
保険で「白い歯」「白い詰め物」にしたいなら、選べるのは歯科用プラスチックである「コンポジットレジン」のみになります。

レジンは、ある程度、自分の歯の色に合わせられますし、歯を削る量が少なくてすむというメリットがあります。その半面、吸水性があって劣化しやすいというデメリットがあります。
なるほどー!保険で白い歯にできるのは嬉しいですが、万能じゃないんですねー!
金属(銀歯)
金属の詰め物「インレー」は、健康保険の適用範囲内で、強度があって虫歯の再発リスクがレジンより少ないのが特徴です。大きな虫歯を治療した後の修復にも向いています。

金属の詰め物は、見た目が銀色なので目立ちます。水に弱く、劣化しやすい成分を含んでいるので、溶け出して歯茎が黒ずむことがあります。また、金属アレルギーの方は避けた方がいいでしょう。
うーん、いわゆる銀歯ですよねー!あれは見た目がちょっと気になりますね!
セラミック
セラミックは、着色汚れや劣化しにくい非常に優れた歯科素材です。虫歯菌や歯周病菌が付着しにくいため、金属やレジンを使った時よりも虫歯の再発リスクが下がります。
セラミックには、人工ダイヤモンドと同等の機能がある高級なものから、レジンを混ぜたお手頃な費用で使えるものまで、さまざまな種類があります。予算や治療部位、お口の状態に合わせて選べるのも魅力です。

セラミックは美しくて機能性にも優れた素材ですが、金属ほどの強度がないので、力が強くかかる奥歯のような場所には向かないケースがあります。自費診療なので価格はレジンや金属よりも高くなります。
セラミックが良いというのは聞いたことがありますー!お手頃価格でも利用できるタイプもあるなら、検討したいですね!
神経を抜いて「根管治療」をして被せ物をする

歯の神経にまで達している重度の虫歯は、神経を抜いて歯を残す治療を行ないます。
激しい痛みが起こっている状態なので、まずは痛みを取り除く応急処置を行います。痛みがなくなると通院を止めてしまう患者さんが居るのですが、それは非常にハイリスクな行動です。せっかく残せるはずの歯が、残せなくなってしまいます。
痛みを抑えた後は、神経が治まっている根管という非常に入り組んだ組織の中をキレイに掃除し、虫歯菌を滅菌する「根管治療」を行います。
保険診療と自費診療の「根管治療」の違い
根管治療は何回も通院しなければならないので、途中で通院がイヤになる患者さんが居ますが、それは、虫歯の再発を防ぐためです。
しっかりと細菌を取り除いた上で被せ物をしなければ、再び虫歯になってしまうリスクが非常に高いからです。
そして、保険が効く範囲で治療を行なっているせいでもあります。保険診療では、1回の治療時間や治療内容に制限があるため、どうしても通院回数が多くなってしまうのです。
保険診療の「根管治療」
保険診療の範囲で根管治療を行なうと、30分程度の治療を5回ほど行う必要があります。
治療に使える道具についても制限がありますので、歯科医の技術力によっても治療のクオリティに差がでやすいといえます。
自費診療の「根管治療」
対して、自費診療で行う根管治療は、1回の通院で1時間~1時間半程度の治療を行えますので、通院回数も1回~3回程度に抑えることができます。
また、患部を20倍~80倍まで明るく拡大して確認できるマイクロスコープや、ニッケルチタンファイルといった器材など、症状に合わせた高性能な治療器具を選択できるので、治療の成功率が上がり、再発のリスクが下がります。
矯正的治療「エクストルージュン法」
根管治療を行って歯根だけは残せたものの、虫歯が大きすぎて歯肉より上に出ていた部分のほとんどが失われてしまった場合、そのままでは被せ物を装着することができません。
被せ物をつけるためには、土台となる歯が歯肉の上に1.5~2mm以上、出ている必要があるからです。
そこで、歯肉に埋まっている歯根を少し引き上げて、土台をつくる治療法があります。歯科矯正の技術を応用した治療「エクストルージュン法」です。
天然の歯根は、歯根膜というクッションのような線維組織に包まれて歯茎とつながっています。この天然のクッションが、歯にかかる力をやわらげ、歯の寿命を延ばすためにも役立つのです。
このように、歯を保存するための選択肢として有効な治療法なのですが、手間暇がかかるため面倒であったり、診療報酬に比べると割が合わない高度な治療であったりすることから、選択肢にも挙げていない歯科医院は少なくありません。
えぇー!?歯を残せるかもしれないのに、提案してもらえないことも多いんですかー?

そうですね。治療方針として導入していない歯科医院も多いようです。待っていても歯科医から提案されない可能性がありますので、患者さん自身が虫歯治療の選択肢として知識を蓄えておくことは必要ですね。
なるほどー!聞いておいてよかったですー!

希望される場合は、こうした治療を積極的に提案する治療方針をとっている歯科を選ぶようにしてくださいね。
色々な治療法があることを知らないと、探すことすらできないですもんねー!おかげでひとつ賢くなりました!
抜歯して、失った歯を義歯で補う

3つめの治療法は、抜歯ですね!抜歯した方がいいケースもあるんですよね?

虫歯が神経に達していて、このままでは周りの歯や組織にも悪影響を及ぼしてしまうようなケースでは、抜歯が選択肢に上がりますね。
なるほど!他の歯や歯茎まで悪くなってしまったら困りますもんね!それが最善策っていうわけですね!

そういうことになりますね。歯を抜いたら放置しないで、義歯で補ってくださいね。
最新の虫歯治療のトレンドは「なるべく歯を削らない」


虫歯治療の3つの選択肢について解説しましたが、最新の虫歯治療では「なるべく削らない」「歯を保存する」ということを大切にしています。
そうですか!やっぱり削ったり抜いたりしないほうがいいんですね!

はい。インプラントやセラミックのような優れた治療もありますが、天然歯に勝るものはないですからね。我々歯科医は、できる限り患者さん自身の歯を保存できるように手を尽くします。
正直いって虫歯治療って削って詰めるだけでしょ、って軽く考えていたけど、深いですねー!しっかり知識を付けて、たくさんの選択肢からベストな治療法を選びたいですね!
- 虫歯治療の選択肢は、大きくわけて3つ。
- 歯科医は、歯を残すための治療法の選択肢を提案する。
- 保険診療と自費診療で、使える歯科素材や通院回数が変わる。
- 保険診療と自費診療で、治療のクオリティや歯の寿命が変わる。
- 治療の選択肢の知識がないと、残せる歯が残せない可能性がある。