舌がピリピリ・ズキズキと痛む、熱くなる!舌痛症の原因と治療法は?

舌がピリピリ・ズキズキと痛む、カーッと熱くなるなどの舌痛症は、外見からは分からないので理解されず、とても辛いですね。
舌痛症には色々な症状があり、味覚異常などが起こる場合もあります。
ここでは、舌痛症の色々な症状と原因、治療法などを詳しくご紹介します。「もしかしたら舌痛症かな?」と思ったら、ぜひご一読ください。
- 舌が時々痛むけど、これって舌痛症?
- 舌痛症の原因はなに?
- 舌痛症の治療法は?
- 舌痛症は何科に行けばいいの?
1. 舌痛症の定義

舌痛症の定義は、厚生労働省が指針とする国際頭痛分類第3版で以下のように述べられています。
連日繰り返すといっても食事中は楽になったり、睡眠中は痛まなかったりと、1日の中で痛みの強さに波があります。ただし、重篤な症状になると痛くて仕事が手に付かないなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
1-1. 舌痛症の症状チェック

舌痛症の症状は、軽度なものから重篤なものまで幅広く、症状もひとつではありません。以下はよくある症状を一覧にしたものです。2つ以上重なるものがあれば、舌痛症の疑いがあるでしょう。
- 舌の先端がチクチクする
- 舌がピリピリ、ヒリヒリすることがある
- 舌がチクチク、ズキズキすることがある
- 舌がカーッとするような灼熱感を感じることがある
- 食事中は痛みがない、または軽くなる
- 口の中が乾きやすい
- 塩味が苦いなど、本来の味と違うように感じることがある(味覚異常)
- 食事中、塩味や辛さが強すぎると感じることが多い
- よくガムを噛んでいる
- 長期間抱えている心配事や悩み事がある
- ストレスに弱い
- 軽いうつの傾向がある
味覚障害も起こるんですか?

口の中が乾燥すると舌や粘膜が炎症を起こしやすくなって、味覚障害が起きやすくなるんですよ。
へぇ〜。それと、ストレスとかも関係があるんですか?

舌痛症の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、ストレスがきっかけになることは知られています。
へぇ〜、そうなんですか!
1-2. 舌痛症になりやすい人の特徴

舌痛症になりやすいのは、主に更年期の女性です。若い女性や男性の発症率は低く、閉経を迎えた更年期以降の女性に多く見られます。
男性対女性の比率 1:8〜1:10
女性は閉経すると女性ホルモンが大きく減少します。そこに心理的に大きなストレスが加わると、免疫機能や痛みを司るホルモンに変化が起きると考えられています。

まだ研究段階ですが、ホルモンの変化による内分泌系や神経系と深い関わりがあるのではないかと言われています。
それはやっぱり、閉経後の女性に集中してるからってことですか?

そうですね。1つ言えるのは、いろんな要因が複雑に絡み合っているということです。
なるほど。
2. 舌痛症の原因

先ほども述べたように、舌痛症の原因はまだ明らかにはされていません。しかし、舌が痛いからといって、舌痛症だと診断することもできません。別の病気が原因で、舌に痛みが生じることもあるからです。刺激物のとりすぎで、一時的に舌がピリピリしたりすることもあります。
舌痛症は、一次性舌痛症と二次性舌痛症に区別されています。それぞれどのような違いがあるか、詳しく説明していきますね。
2-1.一次性の舌痛症
一次性舌痛症とは、痛みを引き起こす別の疾患などがない場合の舌痛症です。
舌痛症と診断するには、あらゆる条件を取り除いて純粋に舌のみに痛みがあるかどうかを調べる必要があります。
検査の結果、舌の痛みを引き起こすような要因が何も見当たらない場合は、一次性の舌痛症と診断されます。
あらゆる条件って、例えばどんなものですか?

全身疾患、口腔乾燥症、虫歯治療に使われている詰め物のアレルギーなど、色々です。二次性舌痛症で詳しく説明しますね。
はい!
2-2. 二次性の舌痛症
二次性舌痛症で舌の痛みを引き起こす要因と考えられるのは、以下のようなものです。
- 糖尿病
- シェーグレン症候群
- 貧血
- 亜鉛不足
- 中枢神経障害(脳血管障害、脱髄性疾患、ギランバレー症候群等)
- 薬の副作用
- 歯みがきの習慣がなく口内が不潔
- 悪習慣(舌を噛む、舌を歯の裏に押し当てる)
- 詰め物や被せものの端が舌に当たる
- 口呼吸による唾液分泌障害、口腔乾燥症
- 舌や舌近くの粘膜の神経系疾患
- がんなどの放射線治療によるもの
- 歯科材料アレルギー
- 扁平苔癬
- 口腔ガンジダ症
- ウイルス感染(ヘルペスや帯状疱疹)
うわー、こんなにあるんですね!

これらのどれにも当てはまらない場合は、一次性舌痛症と診断されます。
そういうことですかー!
3. 舌痛症の治療法
舌痛症の治療には、認知行動療法と薬による治療があります。認知行動療法にはいくつかの種類がありますが、マインドフルネス療法や自律訓練法が一般的です。
それぞれの内容について、詳しく説明していきますね。
3-1. 薬による治療

歯医者では主に薬による治療を行います。薬による治療は、現在のところクロナゼパムという抗けいれん薬が一般的です。その他抗うつ薬や抗酸化剤、漢方薬などがありますが、いずれも舌痛症の治療薬として認可されていないため、保険適用外になります。

医師の方針によって処方する薬が違うので、薬が出された時は何に効くのかよく話を聞いてくださいね。
痛みを抑える薬じゃないんですか?

例えば口の乾きに効く薬や、不安な気持ちが和らぐ薬など色々です。副作用についても効くといいですよ。
そうなんですね!
3-2. 自律訓練法

自律訓練法は緊張を取り除き、不安を抑える方法です。身体がリラックスして不安が和らぐと、痛みも軽減する効果があります。
具体的にはリラックスできる環境で、リラックスした体勢で「頬の緊張が抜けていく」「両手が温かい」など決まった言葉を使って自己暗示をかけることで、自律神経のバランスを整えます。

自律訓練法はドイツの精神科の医師が考案した訓練法です。オリンピック選手などのアスリートもよく使っていますよ。
へぇー、日常生活でも使えそうですね!
3-3. マインドフルネス療法

マインドフルネス療法とは、否定的な考えや行動を繰り返さないようにすることで、心と身体を改善していく方法です。舌痛症に対しては痛みを観察することで、それを乗り越えていけるようになります。
具体的な方法としては、自分の呼吸に集中し続け、もし頭に別のことが浮かんでも「今自分はこれを考えているんだな」と客観的に捉え、呼吸への集中に戻ります。
痛みに対しても同様に、「自分は今、舌がピリピリしていると感じているんだな」と思うだけで呼吸への集中に戻ります。
このトレーニングを毎日10分程度繰り返すことで、痛みをコントロールできるようになるのです。

マインドフルネス療法は、基本的には指導者の元でするのがおすすめです。
そういう専門家がいるんですか?

マインドフルネス療法を学んだ先生や講師がいますよ。「マインドフルネス療法 クリニック」で調べてみてくださいね。
4. 舌痛症の原因と治療についてのまとめ
舌痛症は原因・治療法ともにまだ研究段階にあります。ただし、ある程度の傾向はつかめているので、ご紹介したような症状がいくつかあって2ヶ月以上続いている場合は、歯医者を受診するのがおすすめです。
- 舌痛症は舌がヒリヒリするなどの不快感が1日に2時間以上で3カ月以上続く
- 舌痛症は舌の痛みや灼熱感、味覚障害、軽いうつ症状などがある
- 舌痛症は色々な検査をして痛みが起こる要因を調べる
- 要因が何も見当たらない場合は一次性舌痛症
- 全身疾患など別の要因で起こる痛みは二次性舌痛症
- 治療法には薬剤投与、自律訓練法、マインドフルネス療法がある