歯科のラバーダムとは?効果やメリットの高さの割に普及率が低い理由とは

「ラバーダム」という言葉を聞いたことはありますか?
ひと言でいうと、歯科治療の際に行う防菌処置の方法です。
高い防菌効果が期待できるため、欧米などの歯科の先進国では当然のように導入されている方法です。しかしながら、日本ではそれほど導入率が高くないという実態があります。
そこで今回は、ラバーダムの目的や効果について解説します。
- ラバーダムが何のために役立つのか知りたい。
- ラバーダムを使っている歯科を選ぶべき?
- ラバーダムを使った時のメリットとは?
- ラバーダムを使う歯科と使わない歯科があるのは、なぜ?
- 欧米ではラバーダムを使った歯科治療が常識というのは本当?
歯科のラバーダムとは?どんな効果が期待できる?

歯科のラバーダムには、治療中、下記のような優れた効果が期待できます。
- 唾液による細菌感染を防げる
- 強い薬剤で殺菌できる
- 治療の精度が高まる
唾液による感染を防げる
わたしたち人間の唾液には、体に良い成分のほか、たくさんの細菌が含まれています。
唾液1mlには、健康な人であっても250~300種類の細菌が、7~8億個も含まれていることがわかっています。
ラバーダムを使用することで、治療中の傷口に唾液が入り込み、細菌感染が起こるのを防止できるのです。
この唾液と隔離する処置は、「ラバーダム防湿法」と呼ばれています。

特に、歯の根っこの治療「根管治療」では、虫歯菌を徹底して除去します。それなのに、唾液中の細菌が入り込むと治療の意味がなくなりますからね。

なるほど!ラバーダム防湿での防菌は大事ですねー!
強い薬剤で殺菌できる
ラバーダム防湿では、治療する部分だけをゴム製のシートを使って隔離します。
そうすることにより、強い殺菌作用のある薬剤を使用できるというメリットがあります。
もし、隔離せずに強い消毒薬を使ったら、周辺の組織に薬がかかり、ヤケドや痛みを起こしてしまう恐れがあります。
ラバーダム防湿は、治療効果を高めるためにも役立つのです。

ラバーダム防湿法なら、治療する部分にピンポイントで強い薬剤を使用することも可能なので、治療の精度が高くなります。

へぇー!それは使った方が良い治療ができそうー!
治療の精度が高まる
ラバーダム防湿では、治療する歯の周りをゴム製のシートで覆って周辺と隔離させます。
そうすることで、治療中に、舌や頬粘膜などにに当たって傷つけたり、細かい器具を口の中に落としたり、薬剤が流れ出したりするといった、治療中のさまざまなトラブルを防止できます。
ラバーダム防湿が使用されるのは、特に、歯の根っこの「根管治療」という歯科治療の中でもトップレベルの難しい治療です。
ラバーダムを施すと、歯科医にとって集中力を欠く要素を排除された状態になるため、治療に集中できます。
ラバーダム防湿法には、難易度が高い治療であっても、高いパフォーマンスを発揮でき、治療の精度が高まるというメリットがあるのです。

ラバーダムを施すと、唾液などの湿気と隔離できるのも、歯科治療には良い環境です。水気を遮断できれば詰め物や被せ物を隙間なく埋めることができますし、精度のの高い治療結果が期待できますよ。

そう聞くと、ラバーダムを使っている歯医者さんで治療してもらいたいと思いますねー!
歯科のラバーダムは、どんな時に使う?

ラバーダム防湿を使用する目的が防菌であれば、使うに越したことはないはずです。
しかし、アメリカでは90%以上にものぼるといわれるラバーダムの導入率ですが、日本ではわずか25%程度といわれています。そして、半数以上の歯科医院では、ラバーダムを使用しない方針を選択しています。
いったい、ラバーダムを使わない歯科医院には、どのような理由があるのでしょうか?
ラバーダムの目的は「細菌の侵入を防ぐ」こと
ラバーダム防湿法は、治療する歯だけを隔離したいときに使用します。
唾液に含まれる無数の細菌が、治療中の歯に感染しないように保護することが目的です。
治療の精度が高まるというメリットがあるため、日本国内でも、治療の成功率にこだわる歯科医療機関では使用されている傾向があります。
ただし、ラバーダムを使った治療は、安全性に関わるメリットは高いのですが、治療を受けている患者にとって決して快適な環境といえません。患者側から拒否されることも少なくないのです。
というのも、治療している間は、常にゴムシートでの隔離を行っていますから「口をずっと開いていなければならない」「たまった唾が飲み込みにくい」「ゴム製のシートのにおいなどが苦手」という問題があるのです。
歯科治療を好きな人はほぼいませんから、その時間がいっそうつらいものになるとしたら、拒否したくなる人がいるのも仕方がないことでしょう。

治療がつらいと感じる原因になることもありますので、歯科によっては判断の上、あえて導入していないケースも少なくありません。

うーん、ずっと口を開いていないといけないのは苦しいですよねー。拒否する患者さんの気持ち、わかるかも。
ラバーダムはどんな治療に役立つ?
- 根管治療
- 虫歯治療
- セラミックなどの審美治療
- レジン、セラミックなどの詰め物・被せ物

ラバーダムが役立つ治療って、たくさんあるんですねー!

細菌の侵入を防ぎ、水分を遮断し、治療の精度を高めますから、歯科治療には幅広く役立ちますね。

治療中の快適さの問題さえなければ、ラバーダムをやってくれる歯医者さんがいいなあと思いますね。

お子さんの歯の健康を心配する親御さんは、ラバーダムを希望されるケースが多いですね。

なるほどー。安全で成功率を高められるわけですからねー。
ラバーダムを導入している歯科は、衛生管理の意識が高い!


つまり、嫌がる患者さんもいるのにラバーダムを導入している歯医者さんって、治療を成功させようという意識が高いっていうことでしょうか?

そうですね。むし歯などの治療後、再発防止や安全を第一に考えるなら、ラバーダム防湿法は必要不可欠といえますね。
- ラバーダムは、唾液による感染を防ぐ治療法。
- ラバーダムは、治療の精度を高める有効な処置。
- ラバーダムは快適とはいえないため患者側が拒否することも。
- ラバーダムは、治療中の細菌感染をを防止する。
- ラバーダムは、歯科治療を安全に行うための手段。