新しい歯科医療の概念”オーラルフレイル”ってなに?

新しい歯科医療の概念”オーラルフレイル”ってなに?
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歯科医療は”虫歯や歯周病など口の中だけを治す”という概念から、歯科から全身の健康を見るという新しい方向になりつつあります。オーラルフレイルという言葉と概念は、まだまだ浸透していませんが、ここでは新しい概念「オーラルフレイル」について詳しくご紹介していきます。

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    • オーラルフレイルという言葉を聞いたことがある
    • オーラルフレイルって何?
    • オーラルフレイルって具体的には何をするの?
    • オーラルフレイルの対象者は?
INDEX
  1. オーラルフレイルとは
  2. どうして口内ケアが全身の衰えにつながるの?
    1. 咀嚼は健康の基本
    2. 口腔が衰えると食事や会話が楽しめなくなる
  3. こんな自覚症状があったら要注意!
  4. オーラルフレイルを予防できる5つの運動
    1. 口周りの筋肉を鍛える運動
      1. あいうべ体操
    2. 舌の筋肉を鍛える運動
      1. パタカラ体操
    3. 嚥下機能を鍛える運動
      1. ペロ出しごっくん体操
    4. 呼吸機能を鍛える運動
      1. シルベスター法
    5. 舌をなめらかに動かす体操
      1. 舌のトレーニング
  5. オーラルフレイルを意識していつまでも健康に

オーラルフレイルとは

オーラルは口腔、フレイルとは加齢に伴って身体の機能が低下することをいいます。つまり、オーラルフレイルとは、口腔機能の低下が全身の老化につながるという考え方です。

さるくん

これは、どこから出てきた考え方なんですか?

鈴木先生

厚生労働省の研究機関が中心となってやった調査からです。高齢化社会で必要な概念です。

どうして口内ケアが全身の衰えにつながるの?

オーラルフレイルの始まりは、発音しにくいといった滑舌の低下や、食べこぼし、むせる、噛めない食べ物が増える、口の乾燥といったほんの些細なことからです。
オーラルフレイルがどうして全身の衰えにつながるのか、詳しく説明していきましょう。

咀嚼は健康の基本

咀嚼は、ただ食べ物を噛むだけではありません。食べ物を噛み砕いて飲み込みやすくし、消化を助けます。また、唾液の分泌量も多くなるので口内細菌から守ってもいます。

咀嚼の役割
    • 食べ物を小さく噛み砕いて飲み込みやすくする
    • 消化を助ける
    • 栄養分を吸収しやすくする
    • 自浄作用や免疫作用のある唾液量を増やす
    • 顎骨からつながる全身の骨の強度を保つ
    • 表情筋や舌の筋肉の健康を維持する
    • 脳を刺激して認知症を防ぐ

もしも、口内の問題をそのままにしておくと、虫歯や歯周病で歯や骨が溶ける、唇や舌・頬の筋肉が弱まるといったことが起こります。また、唾液が減ると免疫機能が弱まるので、病気にかかりやすくなります。

さるくん

噛むって、こんなにたくさんの役割があったんですね。

鈴木先生

そうなんです。歯と顎を使って食べることはとても大切なんですよ。

口腔が衰えると食事や会話が楽しめなくなる

口まわりが衰えると、食事量が低下したり会話がしにくくなったりしてしまいます。食事量が低下すれば栄養が足りなくなるし、会話が減れば人間関係から遠ざかり、社会的に孤立してしまいます。すると、身体が思い通りに動かなくなり、ますます人との関係が遠ざかるという悪循環が起きて深刻です。

さらに機能が低下すると、誤嚥が起こったり自力で飲み込むことができなくなり、介護が必要な状態になってしまいます。

さるくん

全身の衰えにつながってる理由が分かりました!

鈴木先生

口の健康を維持することが、老化を防ぐことにもなるんですよ。

こんな自覚症状があったら要注意!

オーラルフレイルは段階的に進んでいきます。初期の頃は、以下のような自覚症状があります。当てはまるものがあるかどうか、チェックしてみましょう。

    • 食べこぼしがある
    • よくむせる
    • 奥歯でものが噛めない
    • 噛んだとき痛みや不快感がある
    • 口が乾きやすい
    • 言ったことに対して何度も聞き返される
鈴木先生

自覚症状がなくても、家族や友人から指摘されていたらそれも入れてみてくださいね。

さるくん

そういえば田舎のおじいちゃん、よくむせてるって言ってたなあ。

鈴木先生

家族がそういったちょっとした変化に気づいてあげられるといいですね。

さるくん

なるほど!

オーラルフレイルを予防できる5つの運動

オーラルフレイルは毎日のちょっとした運動で予防できます。ここでは、今日からできる簡単な運動をご紹介します。

1.口周りの筋肉を鍛える運動

できるだけ大きく口を動かすことで、唇や頬、舌の筋肉を鍛えることができます。それぞれの筋力がアップすれば、唾液が出やすくなって食べ物も飲み込みやすくなるでしょう。

あいうべ体操

「あ」「い」「う」「べ」と声を出して力を入れるようにして口を開けます。1日3分やるのがおすすめです。

    • あ→口を大きく開ける
    • い→口を目一杯横に広げる
    • う→口をすぼめて前に突き出す
    • べ→舌を大きく下に出す
さるくん

大きくやると、ほっぺたが痛くなりますね。

鈴木先生

そうそう。日頃使っていない筋肉が使われている証拠です。脳の血流もアップしますよ。

2.舌の筋肉を鍛える運動

舌の筋肉は、「パタカラ体操」で鍛えましょう。舌だけでなく唇の筋肉も鍛えられるので、食べこぼしなどを解消することができます。

パタカラ体操

「パパパパパ」「タタタタタ」「カカカカカ」「ラララララ」と一文字ずつ連呼して行います。

    • パ→唇をはじくように口を開ける
    • タ→舌先を上の前歯の裏につける
    • カ→喉の奥を閉じて発音する
    • ラ→舌をまるめながら発音する
さるくん

こっちは1日何回くらいやればいいんですか?

鈴木先生

そうですね、5回ずつを3セットくらいやるのがおすすめです。特に決まっていないので、気がついたらやるというふうにするといいですよ。

3.嚥下機能を鍛える運動

嚥下機能を鍛えると、食事中にむせるのを改善することができます。

ペロ出しごっくん体操

口を閉じて舌を少しだけ出し、そのままゴクンとつばを飲み込みます。簡単なようですが、唾液が少ないと意外と難しいです。やりにくい場合は、顎の下の凹みを親指で押すとやりやすくなります。

さるくん

あ!親指で押したら唾液が急に出てきました!

鈴木先生

そこには唾液腺があるので、刺激されるんですよ。

4.呼吸機能を鍛える運動

呼吸が浅くなると、飲み込むタイミングがとりにくくなったり誤嚥しやすくなったりします。呼吸機能を鍛えることは、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。

シルベスター法

    • 両方の手で左右の肘を持ちます
    • ゆっくりと鼻で息を吸いながら、腕を頭の上まで持ち上げます
    • ゆっくりと口で息を吐きながら両腕をおろします
※腕は、無理のない範囲で上げましょう。ばんざいのポーズでも良いです。肘を持ちにくい場合は、手首を持ってもかまいません。毎日5〜10回繰り返します。
さるくん

呼吸って飲み込むことに関係があるんですね!

鈴木先生

呼吸が浅くなると肺炎にもなりやすくなるので、呼吸法はいいですよ。難しい人は深呼吸するだけでも効果がありますよ。

5.舌をなめらかに動かす体操

舌の力をつけてなめらかに動かせるようになると、誤嚥やむせるのを予防できます。

舌のトレーニング

    • 舌をできるだけ下に出す
    • 鼻先を触る気持ちで舌を上げる
    • 舌を右に寄せて10秒保つ
    • 舌を左に寄せて10秒保つ
さるくん

舌って力いっぱい出すと付け根が痛いですね。

鈴木先生

こちらも無理のない範囲で行ってくださいね。

オーラルフレイルを意識していつまでも健康に

オーラルフレイルを意識することは、全身の健康を守り社会生活を維持するために重要です。いつまでも健康でいるために、口内への関心を高めましょう。今回ご紹介した体操も取り入れて、健康を維持してくださいね。

記事の重要ポイントをチェック!
    • オーラルフレイルとは、口腔機能の低下が全身の老化につながるという新しい概念
    • 咀嚼は全身の骨・臓器・脳の健康を維持するために重要
    • 食べこぼしやむせなど、ちょっとした変化が老化のはじまり
    • 口周りや舌の筋肉を鍛えると、口の機能低下を予防することができる