専門医との連携(チーム医療)で質の良い歯科治療を提供できる時代が到来!

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歯科には、虫歯などの治療を行なう一般歯科のほか、さまざまな専門的な診療科があります。

歯科領域なら、例えば口腔外科、歯周病、小児科など、それぞれの専門医がいます。

難症例など、患者の症状によっては、かかりつけの一般歯科だけでなく、各分野の専門医との連携の上で治療を進めると、より効果が表れるケースもあります。

今回は、歯科の各専門医との連携した治療についてお伝えします。

この記事がおすすめな人
    • 歯科の専門医とは何なのかわからない方。
    • 専門医の診療をすすめられて戸惑っている方。
    • 歯科治療で専門医との連携が大事な理由を知りたい方。
    • どんな治療で専門医との連携が必要なのか知りたい方。
    • いつもの歯医者(主治医)だけではダメなのか不安な方。
INDEX
  1. なぜ専門医の受診が大切?
    1. 担当医を中心にした連携医療でで治療・ケア
    2. 各専門分野の歯科医が相互補助で高度な歯科医療を提供
  2. 専門医とは?専門医の見分け方は?
    1. 学会に所属、認定資格を持っている
      1. 日本口腔外科学会 口腔外科専門医
      2. 日本歯周病学会 歯周病専門医
      3. 日本歯科麻酔学会 歯科麻酔専門医
      4. 日本小児歯科学会 小児歯科専門医
      5. 日本歯科放射線学会 歯科放射線専門医
    2. 歯科専門分野のプロフェッショナル
      1. 矯正歯科
      2. 歯周病専門医
      3. 審美歯科
      4. 口腔外科
      5. インプラント
  3. いつもの歯医者ではなく、専門医に通うことも検討してみよう!

なぜ専門医の受診が大切?

患者さん

先生、歯医者さんの専門医の診療を受けた方がいいって言われたんですが専門医って何ですか?普通の歯医者さんと違うんですか?

櫻井先生

歯科医は、誰でも専門分野があるものなんですよ。

患者さん

へぇー、そうなんですか!?例えばどんな?

櫻井先生

口腔外科、小児歯科、矯正歯科など、歯科にもさまざまな診療科がありますよね。それぞれのスペシャリストが存在します。

歯科医師は、国家資格である歯科医師免許を取得したら勉強が終わりになるわけではなく、その後も継続して勉強を重ねます。

そして、自分の専門分野についての知識や技術に磨きをかけ、各分野のスペシャリストになっていきます。

留学して専門分野の知識と技術を磨いたり、スタディグループなどで勉強をしたり、さらには臨床経験を重ねて治療の腕を磨くなど、勉強の方法はさまざまです。

しかし、いくら勉強を重ねても、一見ではどのくらいのレベルの専門的な技能に長けた歯科医なのか、わかりません。

そこで、「専門医」の資格が、その専門性の指標になるのです。専門医の資格は、学会に所属して認定試験に合格した歯科医だけが持つスペシャリストの証です。

専門医による質の高い診療を受けると、複雑で難しい症状であったとしても、解決までのスピードを早め、再発を防止できるといった優れた結果が期待できます。

担当医を中心にした連携医療でで治療・ケア

一人の患者の治療において、その患者を日常的に診ている主治医が中心となり、複数の専門医がチームとして連携して進めていく「連携医療」が、歯科分野でも広がっています。

そうすることにより、質の高い医療の提供が実現します。

各専門分野の歯科医が相互補助で高度な歯科医療を提供

よく噛めない、歯を4本以上失っている、歯や歯茎の状態が悪くなってから長く放置している、過去に治療した部分が劣化してやり直す必要がある、他の歯科で治療が難しい、または治療期間が長くかかると言われた……そんな難症例の患者の治療については、専門医が力を合わせ、連携して治療を進める必要があります。

そこで、まずは主治医が中心となってお口全体の治療計画を立てます。

虫歯や被せ物の専門的な技能に長けた医師、根管治療の専門医、歯茎の状態を改善する歯周病の専門医、セラミックの被せ物やインプラント治療の専門医、矯正の専門医などが、それぞれの専門分野の知識と技能を駆使し、治療を進めます。

各分野の治療の質が高いので、難症例であっても成功に導く確立がグンと高まります。

専門医とは?専門医の見分け方は?

患者さん

じゃあ、「この先生は専門医」というのは、どうすればわかりますか?見分け方を知りたいですー!

櫻井先生

専門医は、各学会が認定した、その分野における高度な知識・技術・経験をもつ歯科医のことです。

患者さん

資格のことなんですねー?

櫻井先生

そうです。ただし、現在、厚生労働省が認め、歯科医院の公式ホームページに記載できる専門医の資格は、5つの学会が認定した専門医資格のみです。

学会に所属、認定資格を持っている

歯科分野でも、いろいろな任意の学会から認定資格が発行されていますが、医療法に定められた研修や試験制度などの基準を満たし、厚生労働省の認可を受けている5学会のみ、専門医として歯科医院のホームページに記載できることになっています。

しかしホームページに記載できないからといって、専門性に欠けるとは一概にはいえないのも事実です。

なぜかというと、かつての歯科は、一人の開業医がすべての診療科を担当することが多かったため、専門領域に特化するという考え方が希薄でした。そのため、まだまだ専門医の資格制度については歴史が浅いのです。

現在、厚生労働大臣の認可が得られているのは5学会のみですが、それ以外にも、スタディグループなどで教育・研究を重ねている団体があります。そして、資格を持っていなくても、実際の臨床経験が豊富な歯科医も存在します。

また、欧米の歯科医療の先進国へ留学し、独自の技能を磨いている歯科医もいます。

そのため、5学会が認可する専門医の資格は、もちろん高い技術力の証にはなりますが、その資格を持っていなければ必ずしも専門的ではない、というわけではないことを覚えておいてください。

参考に、厚生労働大臣の認定を受けた専門医の資格を、以下に紹介します。

日本口腔外科学会 口腔外科専門医

口腔外科は、その名の通り、治療に外科手術を伴うこともある、難易度の高い症状を扱う診療科です。

口の中、顎、顔面などに関する疾患に全面的に対応しています。

親知らずの抜歯から先天的・後天的な顎変形症、口臭、顎関節症、口腔がん、顔面神経麻痺、インプラントなどの治療を行ないます。

2020年12月現在、全国に、2134名の日本口腔外科学会 口腔外科専門医、 2586名の口腔外科認定医、962名の口腔外科指導医がいます。

全国の歯科医師の人数はゆうに10万人を越えているといわれていますから、希少であることがわかります。

日本歯周病学会 歯周病専門医

歯周病専門医は、厚生労働省の認可を受けた学会の資格ですが、その資格保持者は、全国で500名程度です。

歯周病専門医になるためには、まずは3年間の研修の上、認定医を取得しなければなりません。その後、2年間研修を経て、専門的な歯周治療の知識と技術を身につけ、資格試験に合格した日本歯周病学会会員の歯科医だけが、歯周病専門医の資格を得られます。

さらに7年間の指導者としての研修を経て試験に合格すると、指導医として認定されます。

歯周病専門医は、2015年時点で1300名でした。全国の歯科医の約1%程度に過ぎません。

日本歯科麻酔学会 歯科麻酔専門医

誰もが歯医者に行くとき「痛くない治療だといいな」と考えるのではないでしょうか。

歯科麻酔専門医は、治療中の不快感や治療後の麻痺などのトラブルを防止し、安全に治療を進めるための歯科麻酔の専門資格です。

日本小児歯科学会 小児歯科専門医

子供の口の健康には、一生を左右するほどの大きな意味があります。そのため、大人とは違う子供の歯や口の知識が豊富な歯科医の診療が大切ということで、専門医制度がつくられました。

5年以上の小児歯科の臨床経験がないと受験できず、合格後も5年ごとに更新試験が行なわれます。

小児歯科の専門医は、それほどハイレベルな知識と技術を保ち、専門的な診療を提供できる歯科医師です。

日本歯科放射線学会 歯科放射線専門医

歯科放射線専門医は、2010年に厚生労働省から公開の認可を受けた資格です。

2011年時点での記録では、歯科放射線専門医は212名、そのうちの77%が大学の歯科放射線科をはじめとする大学勤務でした。

そういった専門医は、口腔外科の疾患を、CTやMRI、核医学などの画像診断に携わっています。

画像診断は、口腔疾患の難症例はもちろん、インプラント治療にも欠かせない歯科には欠かせない専門分野です。

歯科専門分野のプロフェッショナル

患者さん

専門医って、どんな歯の治療に必要なんですか?具体的に知りたいです~!

櫻井先生

では、専門医や、専門分野の知識・技術・経験に秀でた歯科医による診断を必要とする歯科診療のジャンルを紹介します。

矯正歯科

歯並びや噛み合わせを調整する矯正歯科は、現在の法律では、歯科医であれば誰でも治療が可能となっています。

しかしながら、矯正治療の適切な診断を行える知見がなければ、やみくもにワイヤーやマウスピースの矯正装置を取りつけても、歯並びがキレイに治るものではありません。

現時点で、厚生労働省が医療広告ガイドラインで公開を認可した矯正歯科に関する専門医資格はありません。それでも矯正は、専門知識・技術・臨床経験を積んだ、一定水準の専門性を持った歯科医にまかせるべき治療です。

大学やスタディグループ、各任意学術団体での研修・資格取得などを通じて専門性を高めている歯科医がいます。

歯科の公式ホームページに記載されている院長や歯科医の経歴などを確認し、専門性を見極めましょう。

歯周病専門医

歯を支える歯茎、歯肉、顎の骨を破壊する歯周病。歯周組織は、あらゆる歯科治療の土台となりますので、とても重要です。

歯並びをキレイに整える矯正も、失った歯を補うインプラントも、歯周病に侵されて歯茎が痩せていると、そのままでは治療できません。

そこで、専門医との連携で、歯周組織の健康を取り戻す治療を行ないます。

口臭の改善にも、歯周病の治療は有効です。

審美歯科

審美歯科というのは、歯の美しさに着目した治療を行なう診療科です。

セラミックで歯を整えたり、銀歯を白い歯に変えたり、ホワイトニングで歯を白くすることも審美歯科の範囲です。

歯の治療の際、まずは機能の回復を図りますが、同時に口元の見た目についての優先度は高いものです。

そこで、審美歯科の専門医と連携し、歯や口元の噛む・喋るといった機能面だけでなく、見た目の美しさ・ナチュラルさといった審美面に関しても万全を目指す治療を実現します。

口腔外科

口腔外科は、いわば歯科領域の外科医です。外科手術を伴う治療を行なうのは、口腔外科医だけです。

歯科ジャンルの中でも、難易度の高い治療を担う診療科です。

生まれつきや、事故などで損傷した口腔、顎、顔面の回復を図る治療も行ないます。歯茎に埋まった親知らずの抜歯といった難しい治療、外科手術を伴う出っ歯の治療なども、口腔外科医の担当です。

手術の際は、口腔外科医、歯科麻酔外科医などの専門医と連携をとると、安全な治療を行えます。

インプラント

歯茎を切開し、人工歯根を埋め込むインプラント治療は、口腔外科の範囲です。

口腔外科の専門医としての知識・技術・臨床経験に加え、インプラントの知識についても長けている必要があります。

しかも、歯科医療は日進月歩で進化しています。そのため、インプラントを専門とする歯科医に限らず、専門性を追求する歯科医は、大学を卒業した後も、開業した後も、さまざまな研修、セミナー、スタディグループなどで長く勉強しつづけています。

いつもの歯医者ではなく、専門医に通うことも検討してみよう!

患者さん

へぇ~、いつも近所の歯医者さんで済ましていたけど、歯科にはそれぞれの分野の専門医がいらっしゃるんですね~!しかも連携して治療してくれるなんて、スーパーヒーロー集結みたいな心強さがありますね~!

櫻井先生

でしょう(笑)でも、そうやって「いつも通う歯医者さん」という主治医をつくっておくのは大切なことですよ。定期検診やクリーニングに通うことが、健康な歯を育てる基本ですからね。

患者さん

そうですね!主治医の先生が中心になって、トータルの治療計画を立ててくれるんですもんね!うちの家族の歯のことをよく知ってくれているから、安心ですよ~!

記事の重要ポイントをチェック!
    • 主治医を中心に専門医との連携を行えば、質の高い治療が実現。
    • 口腔外科、歯周病、小児歯科、矯正など専門性を要する歯科診療は多い。
    • 歯科医は、大学やスタディグループなどで勉強し、専門性を高めている。
    • 歯科の専門医で、ホームページへの記載が認可があるのは5学会のみ。
    • 各分野の専門医が連携して治療を行えば、精度の高い治療ができる。