虫歯菌の予防効果は通常の40%以上!スウェーデンの歯磨き法

虫歯菌の予防効果は通常の40%以上!スウェーデンの歯磨き法

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Doctorbook編集部
Doctorbook 編集部
所属:株式会社Doctorbook
株式会社Doctorbookに在籍する、3名の現役歯科医師。Doctorbookの業務を遂行しながら、それぞれが臨床現場で活躍中。

「歯磨き粉の量は少量で十分」「歯を磨く長さは10分間」など、歯磨き方法についてはその時々で良いとされる方法論があり、情報過多になって「一体どれが一番いいの?」と思っている人も多いかもしれません。

そこで、虫歯予防の先進国スウェーデンで1995年に発表された最新の歯磨き法「イエテボリテクニック」をご紹介します。この方法は、スウェーデン国民の虫歯を大きく減らし、日本のテレビ番組でも取り上げられて話題になりました。

実際に試してみた感想も交えながら、最新の歯磨き方法をお伝えします。

スウェーデンでは「口をゆすがない」が常識!?

現在スウェーデンで主に行われている歯磨き方法、「イエテボリテクニック」は、私たちの従来の歯磨きの常識を覆す画期的な方法です。

歯磨き粉の量

まず歯磨きの量ですが、1.5cm〜2cmとたっぷり歯ブラシに出します。

「歯磨き粉はたくさん出しすぎると泡が立ちすぎるため、ちょっと磨いただけでも磨いた気になってしまう」という理由で1cm未満しか出さないという人も多かったのではないでしょうか。

しかし、イエテボリテクニックでは、フッ素を口の中にきちんと行き渡らせるために、歯磨き粉をたっぷり使います。

歯磨きを行う分数

歯磨きは2分程度行います。予め歯ブラシを濡らしてから歯磨き粉を出す人もいますが、歯ブラシは濡らさずに使います。

歯を磨いている間は、泡や唾液が溜まってきても吐き出さずにそのまま磨きましょう。低発泡の歯磨き粉がおすすめです。

歯磨き後のゆすぎ回数

歯磨きした後は、口の中の泡を吐き出したら、水でゆすぎません。「水でゆすがないと気持ち悪いのでは?」と思うかもしれません。

しかし、実際に試してみると、サラサラな唾液が一緒に出てきて泡を一緒に押し流しました。その結果、口の中の泡はほとんど残ることがなく、思った以上にさっぱりして不快ではありませんでした。

どうしても気になる人は、水の量を極力少なくして1回だけゆすぎましょう。

注意
最近では高濃度フッ素の歯磨き粉も販売されていますが、フッ素を摂取しすぎるとお腹を壊したりする場合があります。高濃度フッ素配合の歯磨きを使うのは良いことですが、くれぐれも歯磨き後の泡を飲み込まないようにしましょう。また、イエテボリテクニック12歳以下の子どもは対象外です。

歯磨き後の食事

歯磨きした後は、2時間程度は飲食しないようにします。これは、口内に行き渡ったフッ素が十分に働くようにするためです。

もし、会食の予定があるなどどうしても難しい場合は、最低でも飲食の30分前には済ませられるようにしておきましょう。

また、薬を飲む人は、歯磨き前に飲んでおきます。キシリトールガムなども、歯磨き前に噛むのがおすすめです。

そもそも虫歯とは?

国民の約40%がかかっているという虫歯ですが、そもそも虫歯について詳しく説明できる人はあまりいないかもしれません。

そこで、虫歯ができやすい場所虫歯ができるしくみなどを簡単に説明します。

虫歯ができやすい場所

虫歯は上下の歯の噛み合わせにできるイメージが一番強いかもしれませんが、実は虫歯ができやすい場所は、歯と歯の間噛み合わせ部分の2ヵ所です。

虫歯ができる過程

虫歯は、口内に残った微量の食べカスに含まれる糖分を、虫歯菌がにして歯を溶かしながら増殖していきます。

虫歯菌は糖分を見つけると、粘着質な成分を出して糖分と混ぜて腐敗させ酸にします。これが歯垢(プラーク)です。細菌は歯垢の中で増殖を繰り返すので、歯垢をそのままにしておくと酸が歯の表面のエナメル質を溶かして穴が空いて虫歯になります。

ただし、通常は唾液の自浄作用によってエナメル質が脱灰しても修復されて再石灰化されます。

歯磨きをしても虫歯になるのはなぜ?

歯磨きをして歯垢を取り除けば虫歯にならないはずなのに、歯磨きをしても虫歯になってしまうのは、以下の理由があるからです。

    • 歯並びが悪い
    • 歯と歯の間に隙間がある
    • 銀歯などの治療跡と歯の間に隙間ができている
    • ダラダラ食べをしている

歯がねじれて生えていたり歯と歯が重なっている部分などがあると、歯ブラシだけでは歯磨きが不十分になり、磨き残しが出てしまいます。また、人は年を取ると歯茎が痩せてきて歯と歯の間に隙間ができ、磨き残しが起こりがちです。

古い治療跡などは、接着剤が劣化して自分の歯と詰め物の間に隙間ができている場合が多く、そこに細菌が忍び込んで悪さをしている可能性が高いです。

もし、歯並びが悪い・歯と歯の間に隙間ができている場合には、デンタルフロス歯間ブラシなどを使って、歯の隅々まで磨きましょう。銀歯などの古い治療跡がある人は、外からは劣化の状態を見つけるのが難しいため、一度歯医者さんに行くことをおすすめします。

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また、先ほども説明したとおり、虫歯菌が酸を作り始めても通常は唾液が虫歯になるのを阻止してくれます。しかし、ダラダラ食べ続けていると口の中は常に虫歯菌のエサを生み続けていることになり、唾液の再石灰化が追いつきません。そのため、ダラダラ食べは常に虫歯の危険にさらされていることになるのです。

虫歯菌はどこから来る?

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌は存在しません。では、虫歯菌はどこから来るのでしょうか?

虫歯菌は唾液によって感染します。一番可能性が高いのは、大人からの感染です。保健所などで、赤ちゃんに大人が食べているスプーンで食べ物を与えたり同じコップで飲まないようにと注意されるのはそのためです。キスなどからも感染します。

フィンランドでは、虫歯がまったくない家族が隣の家からペットを貰い受けた際に、そのペットから虫歯が家族全員に感染してしまったという例もあるそうです。

虫歯になりやすいか否かは乳幼児期に決まる!

1才児

虫歯になる条件は、当たり前のことですが「歯があること」です。虫歯菌は歯の表面に住み着きますが、歯の生え始めから生え揃い時期にきちんとケアしていれば、虫歯になりにくい子どもになります。

歯はだいたい1歳半から生えはじめて3歳頃に生え揃い、離乳食が始まります。離乳食と言えば、先ほど紹介した"大人から感染が考えられますね。

口内には善玉菌と悪玉菌が常在菌として存在しますが、生えはじめから生え揃いの時期には善玉菌と悪玉菌が居場所争いをしています。この時、悪玉菌が優位のバランスが形成されれば、虫歯になりやすい口内になってしまうのです。

一度作られた口内バランスは、容易には崩れません。従って、歯が生え揃うまでに虫歯菌に感染しなければ、口内の善玉菌が定着して虫歯になりにくいバランス環境が作られます。まさにこの時期に今後の人生の常在菌バランスが決定するため、虫歯になりやすさ・なりにくさは乳幼児期の感染防止やケアが勝負だといえます。

【年齢別】乳児から幼児期の子どもの虫歯を予防する方法

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虫歯菌をやっつけるフッ素の力

昔はブラッシングで歯垢を除去することが歯磨きの主な目的とされてきました。しかし、現在では"フッ素を歯に塗布することがメインとなっています。

フッ素の働き
    • 酸の産生を抑制する
    • 再石灰化を促進する
    • 歯質を強化する

フッ素は口の中に長くとどまらせるほど、より効果があります。

ただし、フッ素を過剰摂取すると副作用が出る場合があります。イエテボリテクニックは大人が行う分には問題ありませんが、小さな子どもにはさせないようにしましょう。

子どもの虫歯予防には、フッ素塗布シーラントをおすすめします。

子どもの虫歯予防で歯医者さんが勧める「シーラント」をご存知ですか?

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プロケアのすすめ

プロケアとは、歯のプロ=歯医者さんによるケアのことです。スウェーデンでは、虫歯がなくても1年に1回はプロケアを行う習慣があります。日本でも近年「予防歯科」の考えが広まって、定期検診なども浸透してきました。

定期検診では自分では気づかない虫歯や歯周病など口の中のトラブルを発見できます。また、歯科衛生士による歯磨き法や食生活など、トータル的なアドバイスも受けることが可能です。

1年に1回プロケアを受けると虫歯や歯周病を早期発見でき、痛くなる前に短期間で治せるのでおすすめです。

フッ素を残して虫歯を予防しよう

スウェーデンで虫歯人口を大きく減らした「イエテボリテクニック」フッ素を十分に口の中に行き渡らせ、フッ素の働きを歯に十分に浸透させることが目的です。

コツは、たっぷりの歯磨き粉を使うこと、歯磨き中は泡と唾液を吐き出さないこと、水でゆすがないことです。

個人差はあると思いますが思った以上に不快ではないので、未来の虫歯ゼロのためにも早速今日からためしてみてはいかがでしょうか。