インプラントが抜けた時の応急処置と病院の探し方、費用について

インプラントが抜けた時の応急処置と病院の探し方、費用について

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鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業

インプラントが抜けた時は、「応急処置はどうすればいい?」「どこの病院に行けばいい?」「費用はどのくらいかかる?」と色々なことが気になりますね。この記事では、インプラントが抜けた際の対処の仕方病院の探し方、気になる費用について説明します。まずは最初から読んで、然るべき対応をしましょう。

インプラントが抜けた時の応急処置

インプラントは3つのパーツから成り立っています。インプラントが抜けたと一口に言っても、どこが抜けたかによって、対処の仕方が異なります。

インプラント本体が抜けた時

インプラント本体とはスクリュー型をした長細い形状で、骨に直接埋まっている部分です。この部分が抜けた場合、早急に病院に連絡を入れて受診してください。また、自分で戻すことは絶対に避けましょう。雑菌が入って細菌感染する恐れがあります。不具合が生じて、より複雑な治療が必要になる原因にもなります。

インプラント本体が抜けた場合は、本体の上にアバットメントと人工歯がついているはずです。すべてをジッパーがついたビニール袋などに保管し、病院に持参しましょう。場合によっては抜けたものを再利用することが可能です。

また、インプラント本体が抜けた部分を、舌や手で触らないようにしてください。細菌感染の恐れやインプラントをもとに戻せなくなる可能性があります。

アバットメントが抜けた時

アバットメントとは、本体と人工歯をつなぐ小さな部品です。アバットメントが抜けたら、人工歯もついている状態なので、なくさずに保管して病院に持っていきましょう。アバットメントや人工歯が折れや欠けなど激しく欠損していなければ、再利用して治療することが多いです。

アバットメントが外れるとインプラント本体がむき出しの状態になります。むき出しの状態では細菌に感染する恐れがあるため、なるべく早く病院に行くことをおすすめします。この場合ももちろん、インプラント本体を舌や手で触ってはいけません。

人工歯が抜けた時

一番上部の人工歯が抜けた場合は、自分で戻そうとせずに病院に持っていきます。なぜなら部品と部品の間を除菌せずにそのまま取り付けると、細菌感染する恐れがあるからです。そもそも自分では戻しにくいので、無理に戻そうとしないようにしましょう。アバットメント部分も触らないようにします。

人工歯が抜けた場合は、インプラント本体とアバットメントが正常に残っているので、治療は比較的簡単です。抜けた人工歯を持って、できるだけ早く病院に行ってください。

受診までに気をつけること

インプラントが抜けたら、なくさないように保管することが大切です。保管はティッシュなどにくるむのではなく、ジッパー付きのビニール袋プラスチックケースなどに入れておきます。小さいものなので、ゴミと間違えて捨ててしまわないように気をつけましょう。

また、何度も言うように、舌や手で触らないようにしてください。細菌に感染するとインプラント周囲炎という病気にかかってしまい、新たな治療が必要になってしまうからです。インプラント周囲炎は、周囲に炎症を起こして痛みを引き起こすだけでなく、最終的には骨がなくなりインプラントが入らなくなってしまうこともあります。

インプラントを治す際の歯科医の探し方

インプラント手術後、保証期間内に抜けた場合は治療した病院にかかるのがおすすめです。しかし、不安や治療に納得ができないなどの理由があるのであれば、他の医療機関を探すのも1つの方法です。セカンドオピニオンを希望すれば、病院が他院を紹介してくれます。

自分で探す場合は、大学病院口腔専門病院なら、設備が整っていて経験も豊富なので信頼できます。また、日本口腔インプラント学会など、協会に属する病院などを探すという方法もあります。下記リンクは、自分の住んでいる地域の専門医を探すことができるサイトです。

専門医・指導医|日本口腔インプラント学会

専門医・指導医|日本口腔インプラント学会

インプラント再治療の費用

インプラントの再治療は、保証期間内であれば無償に近い形で行ってもらえることがほとんどです。ただし、インプラントは自由診療(保険適用外)なので、他院でする場合保証期間外の再治療は、病院によって価格が異なります。また、人工歯、アバットメント、インプラント本体など治療する部位によっても大きく異なるため、最初に確認することが重要です。

インプラントが抜ける原因

インプラントが抜ける原因はいくつか考えられます。

インプラント周囲炎

インプラント本体が抜ける多くの原因はインプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とはインプラント本体と骨の間、インプラントの周辺組織などに細菌が入って炎症が起こり、骨が痩せていってしまう病気です。初めはインプラントを入れている周辺の歯ぐきが腫れたり出血したりし、そのうち骨が吸収されてインプラントがグラついてきます。やがて骨がなくなると、インプラントが脱落してしまうのです。

アバットメントの破損

アバットメントが外れてしまう原因は、アバットメントのネジの緩みや破損によるものです。何らかの強い力が加わり、アバットメントが折れてしまったなどの時に起こります。

喫煙による血行障害

タバコに含まれるニコチンは、歯ぐきの血行を悪くインプラント周囲炎になりやすい状態を作ります。歯ぐきの血行不良はインプラント周囲炎だけでなく、健康な歯を歯周病にもしやすくしてしまいます。

歯以外の疾患の影響

糖尿病骨粗鬆症などに罹っている場合は、インプラントと骨の結合障害が起こり、インプラントが抜けてしまう場合があります。インプラント治療時には罹患していなくても、あとから全身の病気が発症した場合には、医師に相談しましょう。

埋入時のダメージ

インプラントの手術は非常に繊細で難しいものです。埋入時にほんの僅かでも細菌があると、細菌感染してしまう可能性があります。また、ドリルで穴をあける際に上顎洞まで突き抜けてしまう、動脈を損傷してしまうというケースもあります。ただ、上顎洞の膜のみを少し破ったくらいの軽度な場合なら、自然に膜ができたりして問題ないこともあります。また、動脈を損傷した場合は多量な出血を伴うため、脱離以前にオペ中断になることが多いです。

また、稀にGBRなど骨造成の処置した後に、骨の結合がうまくいかず離脱の原因になることがあります。

インプラントを長持ちさせるための予防法

インプラントを長持ちさせるには、以下のような方法があります。

歯磨きを怠らない

歯磨きは天然歯を守る場合と同様、インプラントにとっても重要です。インプラント本体は細菌に感染しませんが、周囲の組織は炎症などを起こし、インプラント周囲炎を招く可能性があるからです。

口内の歯周病の原因菌などの動きが活発になると、インプラントの周辺組織も感染しやすくなります。細菌が増殖するのは磨き残しの食べカスからプラークが作られるというしくみです。プラークを作らせないよう口内の清潔を保てれば、インプラント周囲炎を予防できます。定期メンテナンスでも歯磨き指導をしてくれるので、歯磨きの癖を改善して磨き残しをなくしましょう。

定期メンテナンスを受ける

定期メンテナンスはクリーニングのほか、インプラントがきちんと定着しているかレントゲン検査をしたり、人工歯の減り具合口内環境はどうかなどのチェックを行います。定期メンテナンスを受けていれば、突然抜けてしまうということはまずありません。

喫煙・飲酒を控える

喫煙は先述したとおり血行障害を起こしてインプラントと骨の結合を妨げます。また、アルコールは利尿作用があるので体内の水分が減少します。口内の水分、“唾液”には、細菌を殺菌する働きがありますが、アルコールを飲みすぎると唾液まで少なくなってしまい、細菌が増殖しやすくなります。タバコやお酒を常用している人は辛いかもしれませんが、インプラントを長持ちさせるには、できるだけ控えることをおすすめします。

インプラントが抜けたら的確な対応ができる病院へ

インプラントが抜けるのは、本体、アバットメント、人工歯のどれが抜けたかによって対応が異なります。しかし、大切なのはいずれの場合も自分でなんとかせずに、できるだけ早く病院に行くことです。また、抜けたインプラントはどの部位であってもなくさないように保管しておきましょう。病院に行くまでの間は安易に触らないことも重要です。