インプラントを撤去したい!治療後のトラブルとその対処法について

インプラントを撤去したい!治療後のトラブルとその対処法について

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鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業

何らかの理由でインプラントを抜きたい、取り外したいと思っている人はいるのではないでしょうか。例えば、昔治療した医院が今ではもうなくなっている、転居して遠くに住んでいる、インプラントに生じたトラブルの治療中だがなかなか改善しないなどという場合です。

今回は、インプラントの撤去についてと、治療後のトラブルの対処法について詳しく説明します。インプラントを撤去したいと思っている人は、ぜひお読みください。

インプラントで起きるトラブル例

インプラントで起きるトラブルは、以下のような症状です。

    • 違和感を感じる
    • ぐらぐらする
    • インプラントの周辺に痛みが出る
    • インプラントが欠ける・折れる

手術して数カ月後にこれらのトラブルが起きた場合には、何らかの不具合が生じています。ほとんどの医院では10年程度の期間まで保証がついているので、保証期間中に相談すれば無料で相談に応じてくれます。

ただ、やっかいなのは手術から10年以上経った後のトラブルです。インプラントは埋め込んで固定するので、理論的にはグラついたりすることはありません。しかし、長年の生活習慣口内環境などにより、どうしてもトラブルが起きてしまう場合があるのです。20年以上何の問題もなしに過ごしていたのに、急に痛みが出たという人の例もあります。

インプラントで起きるトラブルの原因

インプラントで起きるトラブルの原因は、ひとつではありません。口内環境は個人によって異なるからです。また、治療した医療機関が原因である場合もあります。

他の歯を治療して噛み合わせが変わる

インプラント治療をした当時はなんともなかった別の歯が、経年後に虫歯や歯周病になってしまうことがあります。虫歯や歯周病を治療すると、インプラントの治療をした時とは歯のかみ合わせが変わってしまう場合があります。

全体の噛み合わせが変わるとインプラントにかかる負担も異なるため、不具合が生じることがあります。

インプラント歯周炎になっている

インプラントは骨に埋める治療法ですが、骨は細菌感染に弱いという特徴があります。細菌に感染すると、インプラント周囲炎になってしまう可能性が高いです。磨き残しなどからインプラント周辺にプラークが溜まってしまうと、そこから細菌が増殖してインプラント周囲炎に発展してしまいます。

インプラントの成功率は100%ではない

現在のインプラント治療の成功率は、約95%以上と比較的高い確率です。しかし、どんなに綿密に計算・予測して治療したとしても、人間の体は思わぬ事態が起こる場合があります。何事にも完璧はないように、インプラント治療も100%ではありません。そのために、手術後も定期的にメンテナンスを行います。

インプラントの手術は通常の歯科治療と違い、高度な技術が必要とされます。天然歯の場合には、歯の土台となる歯肉や歯の周辺にクッションの役割をする組織があります。しかし、インプラントの歯にはそういったいわゆる“遊び”がないため、噛む時にかかる力のコントロールができません。また、それぞれの歯は別の歯の影響を受けやすいこともあり、治療の際には経年後の歯の噛み合わせまで考慮に入れて緻密に計画されます。顎の状態口内以外の疾患など、その人のトータル的な状況を考えて治療されるのです。

インプラント治療は、術後何年にもわたって定期的にメンテナンスに通う必要があります。そのため、インプラント治療をする際には、インプラント治療の経験が豊富であるか、専門医かどうかなどを調べ、信頼できる医師を選ぶのがポイントです。

インプラント歯周炎とは

インプラント周囲炎とは、インプラント周辺の歯肉などが歯周病になってしまう病気です。歯周病は口内細菌体全体の免疫力歯ぎしりや歯の食いしばりなど様々な要因から引き起こります。

インプラント自体に細菌が付着したり、インプラントと骨の隙間に細菌が入り込んだりすることで炎症、化膿と徐々に症状が悪化します。

インプラント歯周炎の症例

具体的な症例としては、以下のようなものがあります。

    • 歯茎の腫れや出血
    • 歯茎から膿が出る
    • インプラントがグラつく
    • インプラントが露出する
    • インプラントが脱落する

軽度のインプラント周囲炎では、歯茎の腫れ出血などの症状があります。症状が進むと、歯周ポケットからはが出るようになります。さらに重度になると歯周ポケットが深くなり、骨が吸収されてなくなっていきます。するとインプラントがグラついたり、支えるものがなくなって脱落してしまうのです。

インプラント周囲炎の原因

インプラント周囲炎を引き起こしやすい一番の原因は、プラークによるものです。健康な歯が虫歯や歯周病になるのと同じように、プラークは細菌の温床となりそこから菌を増殖させます。しかも、インプラント周囲炎は、通常の歯周病より骨が吸収されるスピードが速いことが分かっています。

また、糖尿病に罹っている人や貧血の人も、骨や血液の関係からインプラント周囲炎になりやすいです。タバコを吸う人は、タバコに含まれるニコチンが血流を悪くするため、やはり周囲炎になるリスクが高いと言えます。

インプラント歯周炎の対処法

インプラント周囲炎は自然治癒しないので、もしなってしまった場合はできるだけ早く対処をする必要があります。

軽度の場合は歯科医院で洗浄・除菌などをします。方法は症状によって異なりますが、ごく軽度の場合は、月に1回洗浄および歯磨き法の指導などがされることが多いです。また、さらに徹底したクリーニングが必要な場合は、麻酔をして歯肉を広げ、特殊な器具で深部まで洗浄します。

しかし、インプラント本体が感染されていたり骨がなくなってしまっている場合には、インプラントを撤去しなければなりません。撤去した際には、骨の再生や移植をして再度インプラントを埋入する場合と、入れ歯やブリッジを選択する場合があります。それぞれの状況に応じて対処方法が異なるので、医師とよく相談しましょう。

インプラントを抜くには?

上記で説明したように、痛みがあっても抜かずに対処できる場合があります。しかし、治療法に納得できないなどの理由から、他の医院で抜いてもらいたいということもあるでしょう。そのような場合には、他院で抜いてもらうことが可能です。インターネットで「インプラント リカバリー」と検索すると、他院で行ったインプラントでも治療してくれる医院が見つかります。ただし、撤去は医師が撤去の必要ありと判断した場合です。

インプラントのリカバリーをする際の注意と手術後のトラブル対処法

インプラントのリカバリーをする際の注意と手術後のトラブル対処法

医師が撤去する必要があると判断する4つの状況

インプラントを抜く必要があると医師が判断するには、以下のような状況があります。

1.重度のインプラント周囲炎

インプラント周囲炎が進んで骨が吸収され、インプラントがぐらついて支えきれなくなると判断された場合は取り除きます。

2.インプラントが破損している

まれに、インプラントの本体部分が割れてしまうことがあります。上部の人工歯部分なら修復すればよいのですが、本体が破損してしまった場合には取り除かなければなりません。

3.合併症がある

インプラント治療となんらかの合併症が認められた場合には、撤去が必要と判断されます。例えばごく稀ですが、インプラントが上顎洞を突き抜けてしまっている場合や、神経に当たっている場合などです。上顎洞とは目の下、鼻の横の骨の空間のことで、副鼻腔炎(蓄膿症)になる場所として知られています。

4.患者が希望した場合

医師が状況を説明した上で、それでもなお患者が撤去を希望する場合には撤去されます。

インプラントを抜く手順

インプラント周辺の骨が残っている場合、インプラントは骨と結合しています。そのため、部分麻酔をしたあと歯茎を切開して骨をわずかに削り、インプラントとの間に隙間を作ってインプラントを摘出します。

骨の吸収が進んでいる場合には、骨を削らずに取り除けることもあります。

インプラントを取り除く費用

インプラントを取り除く費用は、保険適用が可能な場合そうでない場合とで異なります。

保険内でできる場合

保険内でできる場合は、はじめにインプラントを埋めた歯科医療施設「以外」で撤去する場合です。保険適用で行う際は、事前に診断して「インプラント不適」と認められなければなりません。インプラント摘出の費用はインプラントの種類にもよりますが、一般的な人工歯根タイプは、自己負担3割の場合で1本あたり13800円程度です。ただし、診察料やレントゲン撮影などは別途費用がかかります。

保険内でできない場合

インプラントを埋めた同じ医院などで撤去する場合には、保険適用外となります。自費での治療は医療施設によって異なるため、歯科医院や病院に問い合わせてみてください。

インプラントの撤去のまとめ

インプラントの撤去は、医師が撤去の必要があると判断することが前提です。違和感や出血などがある場合は、治療した医師に相談しましょう。ただし、すでに年月が経ちすぎていたり場所的に遠くて行けないなどの場合には、他院で撤去することも可能です。

治療した医院などで撤去を断られた場合でも、他院に相談してみましょう。公的な歯科外来や、日本口腔インプラント学会で専門医指導医として認定されている医師などがおすすめです。