【インプラント疑問集】インプラントに関する21の質問に医師が回答!

【インプラント疑問集】インプラントに関する21の質問に医師が回答!

この記事の監修医師一覧

新開善文先生
新開 善文 先生
所属:エムズ歯科クリニック祐天寺
専門:歯周外科、デジタルを使用したインプラント、マウスピース矯正
兵庫県出身。東京歯科大学を卒業し、医療法人社団エムズ歯科クリニックに入社。現在エムズ歯科クリニック祐天寺で院長を務めている。

インプラントについて調べてみると、実に様々な病院やクリニックがあり、設定金額や期間もバラバラ…。インプラントにしたいという気持ちはあるけれど、色々な疑問を解消してからでないと不安だという人は多いものです。そこで、ここではインプラントに関する質問21項目を取り上げ、歯科医監修の元まとめました。

インプラントって何?

インプラントとは、失った歯の代わり人工の歯の根を骨に埋め、その上に人工歯を装着することで、天然歯と同じように生活できるようにする治療法のことです。インプラントは通常の歯科治療とは異なり、外科手術が必要となります。そのため、通常の歯科医院ではなく、インプラント専門の歯科医院や病院、口腔外科などを受診する必要があります。

インプラントの構造は、インプラント体・アバットメント・人工歯(クラウン、被せもの)の3つからなります。アバットメントとは、インプラント体と人工歯をつなぐパーツです。人工歯を支える土台となり、角度や長さなど、色々な種類があります。3つの部品は一般的に、すべて同じメーカーのものを使います。それぞれのメーカーによって規格が異なるからです。

インプラントのメリットは?

インプラントのメリットは、なんといっても残った既存の歯ダメージを与えないということです。歯を失った場合の他の治療法では、他の歯を支えにするためにワイヤーをかけたり削ったりするため、どうしても既存歯にダメージが出て寿命を縮めてしまう原因になります。しかし、インプラントは1本で完結するため、他の歯を傷つけることはありません。

また、入れ歯やブリッジなどは天然歯に比べて咬む力が10/1~2/1に落ちてしまいます。それに比べてインプラントはほぼ天然歯と同様に噛むことができるので、従来通りの食生活を楽しむことができます。口の中にワイヤーなどがないため、口の中に違和感もありません。審美的にも天然歯と分からないくらい自然な仕上がりなので、人から見て人工物を入れているとは気づかれないことも、メリットです。

インプラントのデメリットは?

一番のデメリットは、外科手術を伴うということです。インプラントの手術は日帰りででき、術中は局所麻酔を使います。そのため適応できない人も出てくるでしょう。適応しない人については、後の「インプラントに向かない人」の項で詳しく説明します。

また、一般的な歯科治療よりも高額になる、治療期間が長くなる、術後も数年間は定期的にメンテナンスに通わなければならないということがあります。

インプラント治療の流れは?

インプラントの治療の大まかな流れは、以下のとおりです。

    • 初診・カウンセリング
    • 検査
    • 治療計画・契約
    • 一次手術:インプラント体埋入
    • 二次手術:アバットメント、人工歯接合
    • 治療完了

検査では、レントゲン撮影、CT撮影、歯型の採取などを行います。特にCT撮影は口内を3Dで把握することができ、歯だけでなく神経や血管の位置まで知ることができます。

検査で分かったことを元に治療計画を立て、患者さんに説明します。患者さんが納得し、合意が得られれば契約を結びます。外科手術は高額になるためきちんとした契約書を作ることが必要なのです。この時に、保証などについての説明もあります。

インプラント治療は、通常2回手術を行います。1度目は骨を削り、インプラントを埋入する手術です。埋入後は歯ぐきを一度閉じ、インプラントと骨がしっかりと固定されるまで3〜6ヶ月程度待ちます(この時仮歯を装着)。固定されていることが確認できれば、二次手術アバットメントというパーツと人工歯を装着します。

インプラント埋入と同日にアバットメントの装着をする1回法という方法もあります。1度の手術で済むため患者側の負担は軽減できますが、細菌感染固定に失敗する可能性のリスクがあります。

費用相場や返金などお金のことについて知りたい

インプラントは自由診療のため、保険がききません。設定金額は各々の病院やクリニックに委ねられます。内訳は技術料やインプラント部品の価格、手術費などです。取り扱うメーカーによっても価格が異なります。

中には格安治療をウリにしている医療機関があります。しかし、多くの場合、残念ながら粗悪品のインプラントを使っていたり、術後にトラブルがあっても対応してくれないなど、悪質な医療機関の可能性があるため注意が必要です。

もし、術後に何らかのトラブルがあった場合で、それが病院側の原因である場合は、保険期間内であれば無償で修理してくれます。そのための保険です。保険金額の設定も病院やクリニックで異なりますが、一般的には5年〜10年程度です。返金については医療機関によってまちまちなので、契約時にしっかりと聞くことが重要です。

インプラント治療で痛みや腫れは出る?

インプラント治療は外科手術なので、術後はどうしても痛みや腫れが生じることがあります。通常は、痛みや腫れは自然になくなるので心配いりません。術後は局所麻酔が効いているので痛みはありませんが、麻酔が切れた直後は痛みが出るため、痛み止めや抗生物質が処方されます。

インプラントは子どもや高齢者でも可能?

インプラントは骨に直接埋入するため、成長期の人はできません。成長によって顎骨が変化する際に、インプラントが他の歯の成長を妨げるからです。基本的にはどこの医療機関も、16歳未満はできないとしています。

高齢者は特に年齢制限はありません。ただし、インプラントは治療後のケア非常に重要になるため、認知症などでセルフケアが難しい場合や、定期メンテナンスに通えなくなる可能性がある場合には、断られることがあります。

インプラントが向かない人はどんな人?

インプラントに向かない人は、以下のような人です。

    • 骨密度や顎骨の高さ・厚みが足りない
    • 重度の歯周病がある
    • 糖尿病や高血圧がある
    • 重度の全身疾患がある
    • 歯磨き習慣がない
    • 喫煙者
    • 妊婦
    • 16歳未満
    • 定期メンテナンスに通えない

ただし、改善すればインプラントができる人もいます。例えば骨の高さや厚みがない人は、造骨手術をして骨を増やせばインプラントを埋めることが可能です。糖尿病や高血圧の人も、ごく軽い場合には内科医との連携によって手術できる場合があります。妊婦さんの場合は、安定期に入れば可能としている医療機関もあります。

このように、医療機関の技術力や考え方によって異なるため、できないと決めつけずに医師に相談してみましょう。できれば、複数の医療機関に話を聞いた上で判断するのがおすすめです。

歯科医が教える「インプラント治療に向かない人・できない人」

喫煙者はインプラントができないの?

タバコに含まれる有毒物質は歯ぐきの血流を悪くし、骨への結合を阻害します。仮に治療したとしても、術後はインプラント周囲炎に非常になりやすいため、喫煙者は基本的にインプラントに向いていません。

インプラントは半永久的?

インプラントは一度埋めれば一生使えるのかと言えば、そうとも言えるし言えないとも言えます。インプラント治療をはじめて行ったブローネマルク博士の最初の患者さんは、亡くなるまでの41年間、正常に機能していたそうです。

ただし、物事は何でも完全ではないように、インプラントも万全ではありません。強い力が加われば欠損もするし、インプラント周囲炎という病気にもかかりやすいため、ケアが何よりも必要となります。インプラントの寿命は、その後のケアにかかっていると言えるでしょう。

インプラント周囲炎ってどんな病気?

インプラント周囲炎は、インプラント周辺の骨や粘膜組織炎症が起こる病気です。天然歯の歯周病と同じといえばイメージしやすいでしょう。インプラントは人工物なので、天然歯のように自然治癒力細菌に対する抵抗力がありません。もし、口内にプラーク(歯垢)や歯周病菌が潜んでいれば、インプラント周辺が感染してインプラント周囲炎になってしまいます。

プラークは細菌の棲家です。インプラントと歯ぐきの境目にはプラークができやすいため、プラークを作らせないことがインプラント周囲炎を防ぐ最善の手立てとなります。

インプラント周囲炎は通常の歯周病より進行度合いが速く、一度かかると非常に治りにくい病気のため非常に厄介です。症状は歯周病と同じで、はじめは炎症が起き、歯ぐきの腫れや出血があります。炎症が起きるとそこにがたまり始め、そのうち痛みと悪臭が出てきます。同時に骨が吸収されて歯ぐき下がりが起きますが、骨が吸収されればインプラントを支える土台もなくなってしまいます。それでも放置しておくと、インプラント体がむき出しになったり、最悪の場合にはある日突然インプラントが抜け落ちてしまったりということもあるのです。

インプラントのお手入れは?

インプラントを入れたら、通常よりも丁寧なケアが必要となります。インプラント周囲炎を防ぐために、天然歯よりもよりしっかりとケアしなければなりません。とはいえ、何か特別なことをするのではなく、毎食後の歯磨きや、歯間ブラシ、デンタルフロスなどを併用して歯と歯の隙間インプラントと歯ぐきの隙間などの汚れをしっかりと除去するだけです。また、数ヶ月に一度の定期メンテナンスにも通う必要があります。逆に、定期メンテナンスに通えない人は、インプラント治療には向いていません。

定期メンテナンスってどんなことをするの?

定期メンテナンスでは、以下のようなことが行われます。

    • インプラントに不具合がないかのチェック
    • 噛み合わせのチェック
    • 歯垢や歯石、歯周病のチェック
    • 歯垢や歯石の除去
    • 専用機器でのクリーニング
    • ブラッシング指導

定期メンテナンスを受けていれば、インプラント周囲炎を初期の段階で見つけて対応することが可能です。初期段階では除菌を繰り返せば沈静化します。

インプラントの定期メンテナンスの様々な疑問にお答えします!

定期メンテナンスはどのくらい通うの?

定期メンテナンスの設定も医療機関によって異なりますが、大体の場合最初は1、2ヶ月に一度、その後は季節ごとや半年に1回ペースになります。

インプラントに使われる素材は?

使われている素材は、パーツによって異なります。インプラント体の主な素材はチタンで、アバットメントチタンやジルコニアなど、人工歯部分セラミックが主流です。チタンは金属ですが、他の金属よりも骨と結合しやすい特性があるため、現在主に用いられています。また、セラミックは天然歯によく似ていて美しく、耐久性があり色の経年変化もありません。色の種類も豊富で、自分の歯に合った色を見つけることができます。

インプラントで金属アレルギーになる可能性は?

インプラント体のメインとして使われているチタンは、体内に溶け出しにくく金属アレルギーにもなりにくいとされています。ですが、チタンアレルギーの人の場合には、非金属のジルコニアなどが用いられます。アバットメントに関しても同様です。

【歯科医監修】インプラントと金属アレルギーの関係を詳しく説明!

インプラントの人はCTやMRIができない?

人間ドッグなどに行くと、インプラントの人はCT撮影やMRIは不可としている病院がありますが、結論から言えばインプラントが入っていても問題ありません。以前はたしかに、インプラントの金属がCTやMRIに影響を及ぼしましたが、現在の最新医療機器ではそのようなことはありません。

ただし、マグネット式のインプラントを使っている人は、注意が必要です。MRIは磁力によって検査する機械なのでインプラント上部が引っ張られて取れる可能性があります。マグネット式のインプラントの場合は、事前に歯科で外してもらうようにしましょう。

【歯科医監修】インプラントを入れている人はMRI検査ができないの?

サージカルガイドって何?どれくらい必要なの?

サージカルガイドとは、医師が使うインプラント手術用のガイドです。歯科専用ドリルの進む位置・角度・深さをサポートするためのもので、形状はマウスピースに似ていて、サージカル・ステント、サージカル・テンプレートなどとも呼ばれます。

フリーハンドで手術をすると、他の部位を傷つけたり、神経や血管をその場で目視して行うために時間がかかります。しかし、サージカルガイドがあれば、決められた部位にドリルを進めるだけなので、時間が大幅に短縮され、最小限の穴を開けるだけで済み、医療ミスが防げる上に患者側の負担も大きく軽減できるのです。

また、昔はできないとされていた全身疾患がある人でも、サージカルガイドでの手術であればできる場合もあります

インプラントを安全に行う「サージカルガイド」とは?

インプラントが原因で癌になるという噂は本当?

インプラントが原因で癌になることはありません。時々上皮癌との関連が言われますが、インプラントが原因というより、口内の衛生環境喫煙が原因である可能性が高いです。

【歯科医監修】インプラント治療するとがんになるって本当?

おすすめのインプラントメーカーが知りたい!

現在4大メーカーと呼ばれるインプラントは、アメリカのジーマデンタル社、スウェーデンのノーベルバイオケア社、スイスのストローマン社、スウェーデンのアストラテック社です。ただ、国内のインプラントでも優秀なメーカーはたくさんあり、どのメーカーを採用するかは医師や病院の考え方によります。以下の記事ではたくさんのメーカーを比較していますので、参考にしてみてください。

インプラントのメーカー徹底比較!金額や材質の差の疑問を解消します

良い歯科医師の見分け方が知りたい!

インプラント治療は、医師の選択非常に重要です。良い医師や病院の見分け方のポイントを以下にまとめました。

    • 症例や実績がたくさんある
    • 知識と経験が豊富
    • 定期的に学会や研究会に出席している
    • 分かるように丁寧に説明してくれる
    • リスクと対処法を説明してくれる
    • 自分と人間的な相性が良いと思う

医師と患者といえども、人間同士です。いくら腕が良くても相性などもありますし、最終的には医師を心から信頼できるかどうかはとても重要です。

インプラント疑問集のまとめ

インプラントの疑問で多いものを取り上げ、それぞれについて詳しく説明しました。インプラントには色々と不安がつきものです。この記事で少しでも不安が解消できたなら幸いです。

ただし、最終的には治療後のケアと、その歯科医師を信頼できるかどうかが重要です。インプラント治療は色々と検討し、医師に相談して自分で納得してから行いましょう。