「塩で歯周病予防できる」のウソホント|本当に効果があるのは?

「塩で歯周病予防できる」のウソホント|本当に効果があるのは?

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柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。

昔から、「塩で歯を磨くと歯茎を引き締める効果がある」と言われ、塩は歯周病予防に良いものとされてきました。歯周病予防の歯磨き粉にも「塩入り」と謳っているものが多くあるため、疑うことなく塩は歯周病に良いと思っている人は多いと思いますが、果たしてどれほどの効果があるのでしょうか?

そこで、今回は「塩」で歯周病予防が本当にできるのかどうかをお伝えします。

INDEX
  1. 「塩で歯磨き」の歯周病予防の是非
    1. 塩は歯茎を引き締めて歯周病効果になる?
    2. 塩の粒子は歯の表面をクリーニングする?
    3. 塩で歯周病の口臭は予防できる?
    4. 塩が歯と歯茎に与えるダメージ
  2. 歯周病予防に本当に効果があるもの
    1. フッ素入り歯磨き
    2. 研磨剤フリーの歯磨き
    3. 殺菌成分入り歯磨き
    4. 重曹うがい
    5. 高濃度次亜塩素酸水うがい
    6. 水圧うがい
  3. 結論|塩では歯周病予防は難しい

「塩で歯磨き」の歯周病予防の是非

マルとバツを出す女性

「塩が歯に良い」という概念は、日本では昔から、先人の知恵としてほぼ常識のように思われてきました。そのルーツとなるのが、江戸時代の医学者“貝原益軒”によって書かれた「養生訓」です。養生訓には、以下のような文面があります。

で上下の歯と歯ぐきをみがき、ぬるま湯で20~30回すすぐ。手と顔を洗い、塩湯で目を左右それぞれ15回くらい洗う。 “

朝晩ぬるま湯で口をすすぎ、塩で歯と歯茎を磨いくことを奨励しています。現に、貝原益幹は83歳になるまで歯が丈夫で、1本も欠けていなかったというから驚きです。養生訓には他にも緑茶に塩を混ぜてうがいをする塩茶についてなどの記述があります。

おそらくこの頃から、日本人は経験から塩や緑茶が歯に良いことを知っていたのかもしれません。しかし、科学が進歩した現代では、塩より強力な殺菌成分も数多く開発されています。そんな中で、まだ根強く生き続ける塩の効果は、一体如何ほどのものなのでしょうか。

塩は歯茎を引き締めて歯周病効果になる?

塩には確かに、収れん作用若干の殺菌作用があります。また、脱水作用があるため、それが血管を縮めて引き締まったように感じ、効果があると思われてきました。

しかし、実際には血液の循環を良くしたり、歯や歯茎を丈夫にしたりするといった特殊な作用はありません(参考:日本歯周病学会)。

また、塩が歯周病に良いという科学的根拠もないため、塩の成分が直接歯周病に効果があるとは言えないでしょう。

塩の粒子は歯の表面をクリーニングする?

では、塩のつぶつぶが歯の表面をクリーニングするという件についてはどうでしょう。塩の結晶は研磨剤入りの歯磨き粉のように、ただ研磨するという意味では有効かもしれません。

しかし、塩それ自体には、歯の着色汚れや歯茎の黒ずんだ色を落とす作用はありません。もし、歯の黄ばみ汚れを落としたいなら、ホワイトニング成分が入った歯磨き粉などを使用する方が効果的です。

また、歯茎の黒ずみは着色汚れではなく血行不良であるため、歯ぐきマッサージなどがおすすめです。マッサージをする際には、マッサージ専用ジェルなどを使いましょう。

塩で歯周病の口臭は予防できる?

口臭

歯周病による口臭の主な原因は、口内細菌が食べカスを分解する時に発生する硫化水素やメチルメルカプタンという物質の臭いです。特に歯周病の人からは、メチルメルカプタンが多く検出されます。

メチルメルカプタンは魚やタマネギが腐ったような強烈な臭いがしますが、もし塩で改善されるなら塩うがいなどでも効果があるのでは?と考えますよね。しかし、塩には微弱な殺菌作用しかないため、残念ながらメチルメルカプタンには太刀打ちできません

口臭を改善する場合には、元々の原因である細菌を除去することが最重要です。そのためには、このあと紹介するような、歯周病に本当に効果のある歯磨き粉などでのブラッシングプラークコントロールをするのがおすすめです。

塩が歯と歯茎に与えるダメージ

ダメ

塩でマッサージすると、歯の表面がツルツルになるし、なんだか口の中がスッキリするので効果があるように感じられるかもしれません。しかし、多少の収れん作用はあるにせよ、歯周病を抑制するほどの殺菌効果はないばかりか、塩の結晶がかえって歯の表面や歯茎を傷つけてしまうため、塩でのマッサージはおすすめできません。

また、塩で歯茎などをマッサージすると歯茎から塩分が吸収されてしまい、塩分過多にもなる恐れがあります。

歯周病予防に本当に効果があるもの

では、歯医者さんがすすめる「歯周病予防に本当に効果があるもの」をご紹介します。

フッ素入り歯磨き

フッ素には、歯の表面をコーティングして菌から守る効果だけでなく、歯茎や歯の周辺組織を修復する働きがあります。フッ素入りというと虫歯予防だけと思いがちですが、歯周病予防にもとても効果があります。

最近では、歯周病ケアのための歯磨き粉の中でもフッ素が1450pmmも入った製品も登場しており(2019年12月現在)、歯医者さんもおすすめしています。

DENT. システマ SP-T ジェル 85g 1本

ちなみに、フッ素入りの歯磨き粉で歯を磨く時は、すすぎは1回に留めます。すると、フッ素が口の中にとどまり十分に効果を発揮します。

研磨剤フリーの歯磨き

歯磨き粉の中には、研磨剤が入っている製品もありますが、悪い意味で歯茎を刺激してしまい、歯茎を傷つけるので避けるのが賢明です。

歯周病予防に効果的なのは、研磨剤が入っていない歯磨き粉です。歯磨きという行為には歯茎のマッサージ効果もあるため、長く磨くには垂れないジェル状の歯磨き粉が良いでしょう。

歯周病が進むと歯茎がブヨブヨとしてくるので、引き締め効果のあるビタミンEが入っているものもおすすめです。

殺菌成分入り歯磨き

歯周病は、口内の細菌が悪さをすることから始まります。歯周病の原因をなくすには、細菌をなくすことが重要です。

歯周病菌に効果のある殺菌成分が入った歯磨き粉で歯を磨けば、細菌のエサとなる食べカスを除去するだけでなく、細菌自体を殺菌して口の中をリセットすることができます。

歯周病菌に有効な成分が含まれる歯磨き粉は、以下の記事で詳しく紹介しています。

歯医者さんがすすめる!口臭予防に効果的なおすすめ歯磨き粉5選

重曹うがい

歯周病にはうがいも有効です。うがいは歯磨きほどこびりついた歯垢などを落とすことはできませんが、口の中の食べカスや菌一度に手早く洗い流すことができます。

うがい薬などの製品もたくさん販売されていますが、体に入れても安心できるもので手作りしたいという人には、重曹うがいがおすすめです。

重曹は食品にも多く使われており、発泡する性質が口内にこびりついた食べカスや菌を剥がしやすくしてくれます。

お家でマウスウォッシュを作ろう!口臭を簡単に防げる方法もご紹介

高濃度次亜塩素酸水うがい

高濃度次亜塩素酸水は、歯科医院でも取り入れられている殺菌効果の高い水です。歯科医院では専用の機器を用いていますが、実は市販もされているので、自分で希釈して使うことも可能です。

次亜塩素酸水 1000ppm 超高濃度ハセッパー水 スパーハイブリッド製法 研究25年シェリト・リンド監修 プロ用 20lハセッパー水

高濃度次亜塩素酸水は、人間の白血球の中に含まれている成分なので、誤って飲んでも害はありませんが、飲用水ではないため注意しましょう。

希釈する時は商品説明をよく読み、濃度を間違えないようにして使用してください。

水圧うがい

口周りのトレーニング

水だけでのうがいも、やり方によっては口内細菌や食べカスを除去することができます。水でうがいをする時は、水圧を利用します。

水を含んだら、口を結んだままクチュクチュと音がするくらい口の中で水を速く動かします。その際、歯の裏に水を当てるようにするのがポイントです。口の中で上下左右、各10回ずつ動かしたら、水を吐いて出します。

結論|塩では歯周病予防は難しい

塩は収れん効果やごく僅かな殺菌作用はあるものの、歯周病予防に効果があるとは言えません。むしろ、塩の結晶が歯茎や歯の表面を傷つけて逆効果になってしまいます。歯周病予防に本当に効果があるのは、以下のものです。

    • フッ素入り歯磨き
    • 研磨剤フリーの歯磨き
    • 殺菌成分入り歯磨き
    • 重曹うがい
    • 高濃度次亜塩素酸水うがい
    • 水圧うがい

歯周病予防は、歯磨き食べカスを除去することが大原則です。フッ素入りや殺菌成分入り研磨剤が入っていない歯磨き粉で、朝晩や食後に磨きましょう。