奥歯の虫歯予防が重要!奥歯を失くすと歯が全滅するかもしれない!?

奥歯の虫歯予防が重要!奥歯を失くすと歯が全滅するかもしれない!?

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杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。
奥歯は、虫歯になりやすい場所です。
お子さんの場合は、最初に生えてくる奥歯の永久歯の「6歳臼歯」から虫歯が始まって他の歯に広がっていくことがよくあります。

奥歯を虫歯で失って抜けたままにしている人も少なくないのでは?そのままにしていて、本当に大丈夫なのでしょうか?
怖ろしいことに、奥歯が無いと、実は歯が全滅するリスクだってあるのです。

ここでは、奥歯を失うことによって起こる問題と、虫歯リスクの高い奥歯に関する虫歯予防の方法をお伝えします。

奥歯の虫歯は要注意!歯を全滅させないために

「奥歯ってそんなに大事?奥歯が1本くらいなくても見えないし、食べるのにも困らないから大丈夫」と思うかもしれません。けれども、そんなふうに軽く見ていては、歯を早いうちから全滅させるリスクを高めてしまいます。

奥歯には、食べ物を噛み砕くだけではなく、噛み合わせのバランスや、歯列そのものを支える大事な役割があるのです。奥歯が要となって歯やお口周りの骨格を維持しているともいえます。奥歯が無くなると歯が支えられず前歯がグラつくことがあります。歯周病の進行スピードを速めてて、歯の寿命を縮めることもあるのです。
早期に歯を全滅させてしまわないためにも、奥歯の虫歯予防を徹底することが大切です。

奥歯は虫歯になりやすい!

虫歯予防は、歯と歯のすき間にたまった歯垢や食べかすを取り除くことが基本ですが、奥歯はその範囲が広いため、歯磨きやデンタルフロスでケアしても、磨き残しがおこりやすい場所といえます。
そのため、歯垢や汚れがいつのまにか蓄積してしまいがちなのです。蓄積汚れをそのままにしていると、いずれ虫歯が進行して奥歯を失うことにもなりかねません。

奥歯の神経を抜いてはいけない

歯は神経を抜くと、栄養が供給されなくなるため、弱くもろくなってしまいます。崩れやすくなり、ものを噛んだ衝撃で砕け散るといった惨事にもつながります。
特に痛みがある場合は、「痛くなくなるなら何でもいい!」と、ろくに歯科医師の説明も聞かずに簡単に治療を受けてしまいがちでしょう。それでも神経を抜く治療を行う際は、本当にその治療でいいのか慎重に検討するほうがよいでしょう。

早期に処置が叶えば、神経を抜かずに患部を殺菌する方法を選択ができることもあります。
薬剤を虫歯に侵された部分に詰める「ドックベスト療法」や「ヒールオゾン治療」、またレーザー治療で殺菌する方法などがあります。

とはいえ、奥歯は抜きたくない、神経は残しておきたい、と思っていても、虫歯がとことんまで進行すると、再発防止のために神経を抜かなければならないケースがでてきます。
虫歯の状態によっては神経を抜かない治療が適応しないケースもありますし、治療をどうするのか迷って虫歯を放置していると手遅れになってしまいます。
自己判断せずに、歯科医師の診断を受け、できるだけ早く治療に取り掛かることが必要です。

奥歯を1本失うとどうなる?

奥歯には、食べ物を噛むことだけでなく、噛み合わせや骨格を支えるという重要な役割があります。
奥歯を虫歯などで失って、1本抜けたままにしているとどんなリスクがあるのか、チェックしていきましょう。
    • 歯並びが乱れる。
    • 噛み合わせのバランスが崩れる。
    • 咀嚼力の低下により胃腸が疲れる。
    • 他の歯がグラつき、抜けやすくなる。
    • 肩こり・腰痛が悪化する。
    • 顔の輪郭がたるみ、顔がゆがむ。
    • 虫歯や歯周病になりやすい。
    • 発音に影響がでる。
    • 老化が進行する。
    • 認知症のリスクが高まる。

親知らず以外になくても良い歯はない

歯には、それぞれの役割があります。親知らずの4本以外の28本の歯には、無いままにしておいて良い歯はありません。もちろん親知らずも、特に問題がなく正常に生えているようでしたら、残しておくとよいでしょう。

噛み合わせが悪くなって虫歯や歯周病が悪化

奥歯が1本なくなると、噛み合わせのバランスが崩れてお口の環境が悪化します。そのため、虫歯になりやすく、歯周病が進行しやすい状態になります。

歯並びが悪くなる

歯が1本無いということは、歯列に空いたスペースがあるということです。歯には、広い空間へ動いていくという性質があるため、隣にスペースがあると、空いているところへどんどん倒れていきます。
こうして歯が動いていく性質を利用して歯列矯正が行われているのですが、この場合は歯が好き勝手に動いていくため、歯並びが乱れ、前歯が飛び出たり、ガタガタの歯並びになったりしていきます。

顔が歪む

歯は骨格とも密接なつながりがあります。奥歯が1本無いだけでも、フェイスラインにも影響します。
鏡を見て「もしかして顔が歪んでいる?」と異変を感じるようになって、初めて「大変なことになった」と気づく人もいます。

認知症になりやすくなる

認知症になりやすい?歯が1本ないだけで?」と、疑問に思うかもしれませんが、1本無いだけでも噛む能力に影響が出ますし、1本無いことで他の歯も悪くなるリスクが高まります。
歯と認知症の関係は、さまざまな専門機関で研究が進んでいます。
歯が丈夫であれば認知症を発症しにくいと考えられる、という多くの報告がされていて、厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネットなどでも「口腔機能の健康への影響」としてお口の機能の健康が損なわれることが認知症の引き金になると指摘されています。

老化が加速する

奥歯が無いと、顔の輪郭を変えてしまうことがあります。
噛む力が弱まり、口の周りの筋肉を動かしづらくなりますので、ほうれい線が目立つ、肌のハリが失われる、顎がたるんで二重あごになるといった見た目に変化が表れるケースも少なくありません。
噛む機能が弱まると脳を活性化するパワーが低下しますので、驚くほど若々しさが失われる人もいます。

また、噛み合わせのバランスが崩れると発音にも影響が出てくるケースがあります。会話しにくくなって、人とコミュニケーションをとるのがおっくうになり、引きこもりがちになってしまうことも…。

奥歯の虫歯予防、どうする?

奥歯の虫歯を予防するためには、毎日の歯磨きをしっかりと行うことが大切です。
歯磨きが上手な人でも、自宅でのセルフケアでは行き届かない部分がありますので、定期的に歯科医院に通ってプロケアをプラスすることがポイントです。

シーラント

特にお子さんの虫歯予防に推奨されている、シーラントという方法があります。お子さんの奥歯は噛む面の溝が深いため、そこに歯垢が溜まって虫歯になりやすいのです。
その対策として、あらかじめ噛む面の溝に歯科材料のプラスチック樹脂を流し込んで平らな状態に整え、虫歯菌が繁殖しないように予防します。
シーラントは、歯の噛む面にだけ有効な予防法です。虫歯になりやすい歯と歯のすき間には効果がありませんので、シーラントをしたからといって安心せず、引き続きしっかりと歯磨きを行うようにしてください。

また、噛む面に溝が深い歯に対して行う予防のため、溝が少ない大人の歯に施してもそこまで高い予防効果が得られるとは限りません。大人のシーラントは、お口の状態を診てもらい、歯科医師と相談して、行うかどうか決めるとよいでしょう。

フッ素塗布

虫歯予防のために歯にフッ素塗布を行うことは、世界的にも有効と認められています。
歯科予防の先進国スウェーデンでは、歯科医院でのプロケアがあたりまえのように行われているのです。
スウェーデンでは80歳以上の高齢者も歯が丈夫な人が多く、自分の歯を残している本数は日本よりも8本多いと報告されていますから、その予防効果がうかがえます。

奥歯の正しい歯磨きの方法とは?

歯は、1日3回の食後と、就寝前に磨くのが基本です。
特に虫歯になりやすい奥歯は、噛み合わせの面、歯と歯のすき間、表側、裏側まで、1本1本しっかりと磨きましょう。
歯ブラシを持っている利き手の方の奥歯に磨き残しがでやすいので、十分に注意して磨くようにしてください。

デンタルフロスを使う

1日1回以上は、デンタルフロスや歯間ブラシなど、歯と歯のすき間のケアができる補助清掃器具をプラスした歯磨きを行いましょう。すみずみまで丁寧に磨くと、20分以上かかるのが普通です。

キシリトールガムを食べる

キシリトールガムは歯磨きの代わりにはなりませんが、補助的に噛むのはおすすめです。キシリトールガムを選ぶ時は、キシリトールの含有量50%以上の歯科専売品がよいでしょう。
食後できるだけすぐ、遅くても30分以内に噛んでから歯磨きをすると、汚れが落ちやすくなります。
キシリトールガムを噛んだ時に出る唾液はすぐに飲み込まず、キシリトールの効果がお口全体にゆきわたるようにしてください。

とりかえしがつかなくなる前に。歯科医院で定期検診を

虫歯予防を意識して毎日歯磨きをしていても、虫歯になってしまうことがあります。歯と歯ぐきの間の歯周ポケットの奥深くなど、お口の中には、セルフケアでは磨ききれない場所があるからです。
虫歯予防を徹底するためにも、定期的に歯科医院に通うことが大切です。かかりつけの歯科医院をつくって、こまめに通うようにしましょう。
writer
ナチュラル・ハーモニー
ナチュラル・ハーモニー
大手出版社出身、ディレクター・ライター歴15年以上。歯科ライティング実績は500件以上。都道府県主催テレワーク講座にも登壇。趣味は観劇と史跡巡り。柴犬好き。