虫歯予防に良いお茶は緑茶?それとも烏龍茶?成分の違いで説明します

虫歯予防に良いお茶は緑茶?それとも烏龍茶?成分の違いで説明します

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柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。

緑茶が虫歯予防に良いというのはよく知られています。しかし一方で、「烏龍茶のほうがより強力なのでは?」という声も聞きます。実は、緑茶も烏龍茶も同じお茶の木から採取されますが、製法が少々異なります。

そうすると、製法が異なると成分も違い、虫歯予防の効果も異なるのか?という疑問が湧いたため、緑茶と烏龍茶の成分を調べてみました。その結果、驚くべきことが分かったので、詳しく説明していきます。

虫歯が作られる過程

口内には500種類もの常在菌が存在していて、善玉菌と悪玉菌とに分けられます。虫歯菌はそのなかの複数の悪玉菌が元になるのですが、通常は唾液の成分によって口内のpHバランスが取られているため、その活動を抑制されています。

しかし、飲んだり食べたりして口内が酸性に傾くと、悪玉菌の活動が活発になります。虫歯の原因菌は酵素(グルコシルトランスフェラーゼ)を出して、歯に付着した食べカスに含まれる糖分を分解します。分解された糖分は粘着性のあるグルカンという物質に変化し、菌と合体して歯に付着して歯垢(プラーク)を形成します。

歯垢の中では虫歯菌がさらに糖を代謝して、乳酸菌などの酸を作り出します。この酸が、歯の表面のエナメル質からカルシウムやリンを溶かし出して、虫歯が進行していくのです。

ちなみに、虫歯になる糖分は砂糖だけではありません。虫歯を引き起こす糖分は、「ブドウ糖(グルコース)」、「果糖(フルクトース)」、「麦芽糖(マルトース)」などがあります。ごはんやパンのデンプンは、唾液と混ざると「麦芽糖」に変化するし、加工食品の中には「ブドウ糖と果糖の混合物(異性化糖)」が使われている場合が多いです。つまり、私たちが日頃食べているほとんどの食品は、虫歯になりやすい要素を持っているのです。

緑茶の虫歯予防効果

昔から日本人に親しまれている緑茶。私たちは普段何気なく飲んでいますが、実はすごい効果がありました。

カテキンに強い殺菌能力がある

緑茶の元々の茶葉中に含まれるカテキンは4種類で、飲料として製造する過程で加熱すると一部が変化し、異なるもう4種類が生成されます。つまり、合計8種類ものカテキン類が含まれています。また、これらはすべて緑茶特有のカテキンです。

これらのカテキン類は、虫歯に対してそれぞれ以下のような働きがあることが分かっています。

緑茶成分の虫歯予防効果
    • 唾液がでんぷんを分解して糖分にするのを阻害する
    • 虫歯菌の生育を抑える
    • グルコシルトランスフェラーゼの活性を阻止する
    • 虫歯菌の歯への付着を抑制する

このように、緑茶のカテキン類は虫歯が形成される様々な過程を抑制してくれる、虫歯予防の強い味方だったのです。

フッ素が歯を強くする

緑茶にはフッ素が含まれていることもよく知られています。フッ素は溶け出した歯の成分を元に戻す再石灰化の働きがあり、歯の表面にあるエナメル質をコーティングします。つまり、歯を修復して虫歯菌からガードしてくれるという成分です。

フッ素は歯磨き粉に含まれていますが、自然界には土、水、空気などあらゆるところに含まれていて、お茶の木も大地や大気からフッ素を取り込んでいます。緑茶のフッ素は、ふつうにお茶を入れるだけでお湯の中に茶葉の成分とともに溶け出します。何か特別なことをしなくても緑茶を飲むだけで自然とフッ素の恩恵を受けているのです。

烏龍茶の虫歯予防効果

次は烏龍茶についてです。烏龍茶も緑茶と同じお茶の木から採取されます。しかし、緑茶が発酵させない製造工程なのに対し、烏龍茶は発酵させるという点が異なります。

茶葉を発酵させると、カテキンは酸化してテアフラビン類やテアルビジン類といったいわゆる「烏龍茶ポリフェノール」に変化します。烏龍茶ポリフェノールは烏龍茶特有の成分です。

ちなみに、カテキンはポリフェノールの一種です。緑茶に含まれるカテキンは緑茶ポリフェノールとも呼ばれます。

烏龍茶ポリフェノールがプラークを抑制する

烏龍茶ポリフェノールは、虫歯菌が分泌する酵素であるグルコシルトランスフェラーゼの活性を阻害して、虫歯が作られるのを抑制する働きがあります。また、サントリーと大阪大学・岡山大学が行った共同研究では、プラークの沈着を抑制するという結果が2012年に発表されました。

さらに、烏龍茶にもフッ素が含まれていますが、烏龍茶はお湯で出すより水出しのほうが、フッ素濃度が高くなることが分かっています。様々なお茶で試した場合、高温のお湯と水出しとを比べると、以下の順番とのデータがあります。

高温のお湯水出し
紅茶:1.82ppmほうじ茶:3.69ppm
ほうじ茶:1.02ppm烏龍茶:2.18ppm
緑茶:0.80PPm緑茶:1.39PPm
烏龍茶:0.48PPm紅茶:1.58PPm

緑茶・烏龍茶を飲む時の注意

緑茶と烏龍茶には、それぞれ成分は異なるものの虫歯予防に良い働きがあることが分かりました。ただし、飲み方をちょっと工夫すると、それぞれのお茶の効果がより引き出せます

お茶を淹れる温度と飲む量

緑茶に含まれるカテキンの虫歯抑制の力は先述したとおりです。カテキンは水よりは熱いお湯で淹れたほうがよく出ます。ただし、「緑茶は温めのお湯で淹れたほうが美味しいのでは?」と思う人もいるでしょう。たしかに熱いお湯を注ぐと茶葉が瞬時に開いてしまい、苦くなってしまいます。苦味の正体はカテキンだからです。

おすすめの淹れ方は、急須に90度くらいのお湯を注ぎ、お湯の色が緑色に変化したらすぐに湯呑に注ぐことです。長く置かずにすぐに注げば、苦くならずにカテキンを摂ることができます。また、急須には残さずに最後の一滴まで注ぎきりましょう。そうすると、二煎目を淹れる際にも苦味が出にくくなります。

また、烏龍茶に含まれるフッ素はお湯よりで出したほうが、濃度が高まります。ただし、水出しした冷たいお茶はごくごく飲めるため、つい大量に飲んでしまいがちです。お茶には利尿作用があるので、大量に飲むとかえって体内の水分が奪われてしまいかねません。

緑茶も烏龍茶も、一度に飲むのではなく少量ずつ小分けにして飲むのがおすすめです。

着色汚れになりやすい

“茶渋“でご存知のように、お茶のカテキンは歯にも着色します。そのため何年にもわたりお茶を飲んでいると、自然に歯が黄色や薄茶色に変化していきます。

着色汚れは歯磨きでは落とすことができません。着色汚れは虫歯との関連はありませんが、審美的に気になる人は、歯医者さんでクリーニングしてもらうことをおすすめします。

カフェインが含まれている

緑茶や烏龍茶には、カフェインが含まれています。カフェインはリラックス効果や頭がスッキリするなどの効果がある反面、妊婦さんが摂ると流産や低体重児出産の恐れがあり、乳幼児は発育不良の原因となります。

緑茶・烏龍茶に含まれるカフェインは100ml中20mgで、コーヒーに比べると1/3程度と少量です。WHO(世界保健機構)では、1日のカフェイン摂取量が300mgを超えると上記のようなリスクがあるとしています。

少量のカフェインは妊婦さんや乳幼児に影響は与えないとう報告もありますが、可能性はゼロではないため、心配な人は控えたほうが無難でしょう。

水の虫歯予防に効果がある?

今までお茶に焦点を当ててきましたが、では虫歯予防ができないのかという疑問を持っている人もいると思います。水は虫歯に対して以下のような効果があります。

口を潤す

ペットボトルの天然水や飲料用の水道水には、微量のフッ素やカルシウムなどのミネラルが含まれています。ただし、緑茶や烏龍茶のような虫歯菌を抑制するような働きはありません。虫歯予防に関することはと言うと、糖分が含まれていないので虫歯の原因となる要素がないことです。

また、水を含んで口の中を潤すと、唾液の分泌を促したり唾液を口内に行き渡らせたりすることができます。唾液には抗菌・殺菌作用がある他、口内を中性にする作用があるため、虫歯を作りにくくします。

水は糖分やカフェインを含んでいないため、誰にでも安心でもっとも安全な万人向けの飲み物と言えるでしょう。

歯磨き前の水うがい効果

食事の後には歯磨きをすると思いますが、歯磨きの前に水うがいで口内の食べカスを取り除くと、歯磨きの効果がより一層高まります。うがいをする際には水を少量含んだら口を閉じたまま、水を歯にぶつけるようにして水圧を利用するうがい法がおすすめです。

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お茶と虫歯予防のまとめ

結論として、緑茶も烏龍茶も、成分や働きが異なりますがそれぞれ虫歯予防に良い飲み物であることは間違いありません。特に共通しているのは、虫歯の原因であるプラークを抑制する働きです。

利尿作用があるので一度に大量に飲みすぎないことに注意すれば、日常の水分補給にはピッタリの飲み物です。日頃から緑茶や烏龍茶を飲み、さらに歯磨きをすれば最強の虫歯予防になります。