歯周病は感染病!キスしても歯周病にならないための予防法

歯周病は感染病!キスしても歯周病にならないための予防法

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鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業

日本人の約7割以上がかかっているという歯周病ですが、キスをしただけで感染るとなると、パートナーに拒否されてしまう日が来るかもしれません。

また、生まれたばかりのかわいい赤ちゃんには、ついチュッとしたくなってしまいますが、歯周病菌が感染ってしまったら大変なことです。

今回は、歯周病に関する感染についてと、歯周病の予防法について説明します。

歯周病が感染するのは親子やカップル

結論から言うと、歯周病は唾液で感染する感染病です。歯周病は歯や骨を溶かしてしまうほか、肺炎や糖尿病、心筋梗塞などを引き起こす一因にもなる、恐ろしい病気です。

しかし、歯周病菌は唾液を介して簡単に感染してしまうため、キスした相手に感染ってしまう可能性があります。そのため、歯周病が伝染する可能性が高いのは、親子・配偶者・カップルです。

歯周病は中年以降にかかる病気というイメージがありますが、若年性歯周病という子どもがかかる歯周病もあります。

歯周病の感染を説明するには、歯周病菌について少しだけ説明する必要があります。歯周病菌は1つの菌ではなく、以下の4つの菌からなりたっています。

    • A.a菌:若年層の歯周病患者から検出される
    • P.g菌:主に成人の重度歯周病患者の進行が早い部位から検出される
    • P.i菌:症状が進行した歯周病患者から、P.g菌とともに検出される
    • B.f菌:主に歯周組織が激しい部位で検出される

垂直感染

親子間で感染することを垂直感染と言います。垂直感染するのは、A.a菌です。A.a菌は、“侵襲性歯周炎“の原因と考えられており、侵襲性歯周炎は10〜20代で発症します。

赤ちゃんが生まれる時、保健所などで「食べ物を口移しで与えないように」と指導されるのは、歯周病や虫歯が大人から赤ちゃんに感染るのを防ぐためです。細菌は、スプーンやコップの共用などでも感染します。親だけでなく祖父母の歯周病が感染るケースも多いため、赤ちゃんに関わる人全員が注意する必要があります。

水平感染

夫婦やパートナー間で感染することを、水平感染と言います。水平感染するのはP.g菌で、夫婦・パートナーのどちらかが歯周病であれば、その相手も感染している可能性が高くなります。

感染するからキスはしないほうがいい?

キスは愛情表現で、大事なスキンシップの方法の一つです。歯周病が伝染するのを恐れるあまり、スキンシップが減ってしまうのは悲しいことです。しかし、すでに歯周病になっている人が、口内をケアして細菌の量を減らせば、感染の確率も低くなります。

歯周病菌は先述した4種類ですが、それぞれ単体では歯周病にはなりません。口内には歯周病菌を含めた500種類以上の常在菌が存在していますが、菌同士が集まって塊になり(歯垢)、増殖してはじめて歯周病に発展するからです。そのため、歯周病菌を増殖させないことが、歯周病を防いでキスした相手にも感染さないことにつながります。

また、歯周病にかかっている人とキスや食器を共有したからといって、必ず歯周病になるとは限りません。歯周病が発症するのは、口内の清潔の状態や全身の状態など、様々な要因が絡み合っているからです。

そのため、体の免疫力を高めておくのも重要です。歯周病菌は免疫力に大きな影響を受けることが分かっており、免疫力が低下すると増殖するからです。免疫力を低下させるのは、ストレス、疲労、栄養不足、喫煙などです。これらは歯周病と一見関係ないように思うかもしれませんが、生活習慣を改善するのは歯周病の予防にとても効果があります。

歯周病に感染しない予防法

では、歯周病に感染しないようにするための、具体的な予防法をご紹介します。大切な人に歯周病を感染さないためにも、しっかりと予防しましょう。

しっかりとオーラルケアをする

歯周病予防は、なんといっても細菌を増殖させないことです。そのためには、日頃から歯磨きを習慣づけて、口内の清潔を保つことが重要です。

歯周病菌が増殖するきっかけは、歯垢です。歯垢は、食べカスなどを糧として増殖します。歯周病にかかると、初期状態では歯茎に違和感を感じたり、歯磨きした時にたまに出血したりしますが、歯周病菌は血液も大好物なので、ケアを怠るとどんどん進行してしまいます。

歯磨きは、歯垢を作らせない手段であるとともに、歯茎のマッサージ効果もあります。日頃から歯茎をマッサージして引き締め、歯周病を歯周ポケットに入らせないようにしておくことも重要です。

食べ物がよく歯に挟まるという人は、歯磨きの他にデンタルフロス歯間ブラシなども併用すると、歯と歯の間までしっかりと清潔にできます。

唾液量を増やす

唾液には、水分によって口内の食べカスを流して清潔にする他に、殺菌・抗菌する働きがあります。唾液にはリゾチームやラクトフェリンなどの殺菌・抗菌作用を持つ物質が含まれているからです。また、免疫グロブリンという免疫物質も含まれています。

このように、唾液には自然に口内を清潔に保つ重要な役割があるため、量を増やすことによって歯周病菌を抑制することができるのです。唾液を増やすには、こまめに水分補給をして口内を潤す、唾液腺をマッサージするなどの方法があります。

口臭の原因は唾液にあり!口臭予防と唾液の関係について解説します

免疫力を強化する

バランス

体全体の免疫力を強化することは、歯周病の予防につながります。全身の免疫力が落ちると、口内の免疫力も低下してしまうからです。

免疫力を高めるには、以下の方法があります。

    • 適度な睡眠
    • バランスの取れた食事
    • ストレスを解消する
    • 適度な運動をする
    • よく笑う
    • 体を冷やさない
    • 緑茶を飲む

睡眠や食事、ストレス解消などは免疫力を高める方法として知られていますが、適度な運動は血流や筋肉を活性化させ、代謝を上げることで免疫力を強化します。また、日頃からよく笑う人は、笑わない人に比べて免疫グロブリンIgAの濃度が高いことが分かっています。

体を冷やさない方がいいのは、免疫細胞の活動が低下するからで、お腹や手足の末端を温めると、リンパ球が増加します。また、緑茶に含まれる茶カテキンは、殺菌効果があるだけでなく、免疫力もアップさせる成分です。

歯周病予防に効果的なアイテムを使う

デンタルフロス

歯周病予防に効果的なアイテムを使うのも有効です。殺菌効果の高いマウスウォッシュデンタルリンス、歯磨き粉などは、歯周病菌を抑制し、歯茎を引き締め腫れや出血を食い止めてくれます。

以下の2つの記事では、歯医者さんがおすすめする歯磨き粉やうがい薬を紹介しています。購入する際には参考にしてみてください。

歯周病(歯槽膿漏)を予防できる市販の歯みがき粉おすすめ5選

歯周病(歯槽膿漏)に効果があるうがい薬の選び方とおすすめ5選

ロイテリ菌ヨーグルトを食べる

ヨーグルト

近年では、ヨーグルトの乳酸菌が虫歯予防に効果があると話題ですが、最近の研究で、ロイテリ菌が歯周病菌に良いということが分かりました。

ロイテリ菌は、ヨーグルトやタブレット、サプリメントなどの製品として市販されています。サプリメントなどは高価なものが多いですが、ロイテリ菌ヨーグルトはスーパーなどでも気軽に買えるので、習慣的に食べるならヨーグルトがおすすめです。

歯周病を予防して歯もスキンシップも大切に

歯周病は、唾液を介して伝染する病気ですが、口内を清潔にして細菌を増殖させないようにすれば、キスをしても歯周病を発症するのを抑えられます。歯周病を日頃から予防するには、以下の方法が効果的です。

    • しっかりとオーラルケアをする
    • 唾液量を増やす
    • 免疫力を強化する
    • 歯周病ケアアイテムを使う
    • ロイテリ菌ヨーグルトを食べる

キスで大切な人が歯周病にかかってしまわないように、日頃から口内ケアを心がけ、歯周病を予防したいものです。