喫煙は歯周病予防の大敵!受動喫煙でも高い歯周病リスク

喫煙は歯周病予防の大敵!受動喫煙でも高い歯周病リスク

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杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。
タバコを吸う人は吸わない人より、圧倒的に高い歯周病リスクに晒されています。喫煙が、肺ガンや心筋梗塞といった重篤な病気と深いつながりがあることは広く知られていますが、歯周組織においても同様です。
喫煙によって細菌感染に対する抵抗力が下がること、傷が治癒するスピードを遅らせること、歯周外科手術の経過にも悪影響が出ることがわかっています。

また、喫煙者本人だけでなく、受動喫煙といって他人のタバコの煙を吸わされている人の方が問題は深刻です。タバコを吸っている当事者よりも、受動喫煙をさせられた人の方が、何倍もの健康被害を及ぼされることについては、まだまだ知られていません。

ここでは、喫煙している本人と、受動喫煙させられている人の歯周病リスクについてお伝えします。
INDEX
  1. 喫煙が歯周病を悪化させる理由
    1. 唾液の分泌を抑制する
    2. ニコチンが血流を悪くする
    3. タールが歯垢をつきやすくする
    4. 免疫力が下がって炎症が起こりやすくなる
    5. 歯ぐきが黒くなって炎症に気づきにくくなる
  2. 受動喫煙で歯周病リスクが高まるって本当?
    1. 受動喫煙での歯周病リスクについて
    2. 三次喫煙もリスクあり
    3. 子どもの歯肉炎リスクが高まっている
  3. 喫煙をやめると歯周病予防できる?
    1. 禁煙で歯周病リスクが下がる
    2. 体内環境が改善される
  4. 喫煙をやめるとみるみる歯周病予防できる

喫煙が歯周病を悪化させる理由

喫煙者は歯ぐきの色が悪くなりやすく、歯ぐきの血管が細く詰まりがちなことが多いため、歯周病の初期症状である歯ぐきの腫れに気づきにくいという特徴があります。炎症が起こっていても出血しない場合が多いので、自覚症状がないまま歯周病が進行してしまいます。

また喫煙の影響で治療を始めても効果が出づらく、歯周病の症状が改善しにくい状態が続きます。
それは、タバコに含まれるニコチンが免疫機能のバランスを乱れさせ、病気に対する抵抗力や治癒力を低下させるためです。有害物質の影響で傷が治りにくく、身体の組織が老化しやすい状態になっているのです。

唾液の分泌を抑制する

ニコチンには、唾液の分泌量を抑える作用もあります。
唾液はお口の中を殺菌・洗浄し、清潔に保つ働きをします。唾液が減ると、お口の中を健康な状態に保つことが難しくなります。

ニコチンが血流を悪くする

ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用もあります。血栓ができることも少なくありません。
そのため、歯周病の代表的な症状である「歯ぐきからの出血」が確認できないことも多く、なかなか自分が歯周病を発症していることに気づけません。

タールが歯垢をつきやすくする

いわゆるタバコのヤニが歯に付着しているため、ざらざらした状態になり、歯垢や細菌などが付きやすくなります。お口の環境を清潔に保つことが難しくなるのです。

免疫力が下がって炎症が起こりやすくなる

喫煙は、免疫機能を狂わせます。身体が持っている防御システムが根源から崩されるため、歯周病菌の攻撃を受けるとイチコロです。すぐに歯ぐきに炎症が起こり、歯周病がどんどん進行します。
それでも初期症状には気づきにくいお口の環境ができあがっているため、気付いた時にはとりかえしがつかないところまで歯周病が悪化していたということが少なくありません。しかも、喫煙者が歯周病の治療を始めても、さまざまな有害物質を摂取している影響で、なかなか治療の効果がでない傾向にあります。

歯ぐきが黒くなって炎症に気づきにくくなる

喫煙していると歯ぐきが黒ずんでくることがあります。そのため、歯周病の症状が出ていても、歯ぐきの色を見てチェックすることができません。
炎症が起こって赤くなっている時も、歯ぐきの色を確認しづらい状態なので、なかなか気づくことができません。

受動喫煙で歯周病リスクが高まるって本当?

受動喫煙は、自分自身でタバコを吸っているよりも何倍もの健康被害があります。なかなか知られていないことですが、身の回りでタバコを吸っている人の煙を吸わされる方が、タバコの毒性が強くなります
タバコの副流煙には、喫煙者が自分で吸い込む主流煙よりも、ニコチン2.8倍タール3.4倍一酸化炭素4.7倍、さらには発ガン性のある化学物質ベンゾピレン、ニトロソアミンも含まれていることが、厚生労働省から報告されています。

受動喫煙での歯周病リスクについて

受動喫煙によって、さまざまな健康リスクが高まりますが、歯周病についても同様です。
受動喫煙によって、歯肉にメラニン色素が沈着しやすくなる傾向にあることがわかっています。歯周組織にも明らかな影響を及ぼします。

受動喫煙によって歯ぐきにメラニン色素の沈着が起こるのは、タールやニコチンなどの有害物質から歯肉を守るためと考えられています。つまり、明らかに有害物質が歯周組織に迫っていることがわかります。
歯ぐきが黒ずんでいると、歯周病の初期症状に気づきにくくなりますので、歯周病の進行を速めることにもなりかねません。

三次喫煙もリスクあり

タバコを近くで吸っていなくても、タバコを吸った後には有害物質が残留しています。
ソファやカーペット、カーテンなどに残された残留物質から間接的に影響を受けること三次喫煙といいます。
三次喫煙に関する研究は、まだまだこれからですが、免疫力が低い小さなお子さんやお年寄りの健康リスクが高まっていることには違いありません。
喫煙者がいるご家庭で、小さなお子さんやお年寄りを三次喫煙の被害から守るためには、禁煙が守られた空間を確保しましょう。できるだけお子さんとは、そこで過ごすように心がけてください。

子どもの歯肉炎リスクが高まっている

親がタバコを吸っている子どもの歯ぐきに、黒ずみが多く見られます。
厚生労働省が提供する健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、親が喫煙者である10歳の子どもが歯ぐきの黒ずみ・歯の着色汚れ・口臭を発症した症例で、歯周外科手術で改善を図ったことが報告されています。
親が近くで喫煙していると、子どもの歯ぐきの黒ずみが5倍以上になることがわかっています。

喫煙をやめると歯周病予防できる?

禁煙すると、少しずつお口の環境が少しずつ改善されます。
血中のニコチンの濃度が下がっていくので、血流が改善され歯ぐきなどの末端まで血液が運ばれるようになって、徐々に黒ずみが解消されます。そのため歯周病の初期症状である炎症が起こるといった症状がでれば、すぐに気づいて適切な処置を行うことができます。

禁煙で歯周病リスクが下がる

禁煙すると少しずつリスクは下がるのは確かですが、喫煙の習慣がなかった人と同じレベルまで改善されるまでには、5~10年の禁煙期間が必要と考えられます。
時間はかかるものの、確実にリスクは下がっていきます。まだ禁煙できていない人は、少しでも早めに禁煙することが大切です。

体内環境が改善される

禁煙が健康に与える影響については、さまざまな機関で数多くの研究が行われています。
喫煙していて糖尿病の傾向まであった人が禁煙しはじめると、お口の環境が改善されるのと同時に、糖尿病の症状にまで良い影響が出たという報告もあります。

喫煙をやめるとみるみる歯周病予防できる

歯がぐらつくほど重度の歯周病を患っていた人も、歯周病の治療と同時に禁煙をはじめとする生活習慣の改善を実施したところ、治療の効果が表れやすくなり、長期間かかったものの前向きに治療を行えたことが報告されています。

これまで歯周病の治療が思うように進まなかった人は、思い切って禁煙しませんか?

歯は全身の健康の要です。歯が健康であれば、高齢になっても末永く幸せを感じながら暮らせるといいます。

禁煙は、自分のためだけではなく、周りで暮らすご家族、子ども、職場の同僚など、周囲の人々の健康を守るためでもあるのです。