歯科矯正中は虫歯になりやすいって本当?虫歯予防はどうする?

歯科矯正中は虫歯になりやすいって本当?虫歯予防はどうする?

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鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業
歯科矯正中は、矯正装置がついたままになる矯正方法の場合、虫歯になりやすいと聞きます。
本当だとしたら、歯をきれいにするために矯正を行うのに、そんなリスクがついてくるとは驚きですね。
確かに、矯正装置を外せない時、虫歯予防はどのようにすればよいのか疑問です。できるなら矯正を始める前に、詳しく知っておきたいものです。

ここでは、矯正中の虫歯リスクと、効果的な虫歯予防の方法についてお伝えします。

歯科矯正中は虫歯になりやすい!?

歯科矯正中のお口の中は、とても虫歯になりやすい環境になっています。
特に、装置を常時つけたままにするタイプの矯正の場合、装置の周辺に食べカスなどの汚れが溜まりやすくなってしまいます。例えばワイヤー矯正や舌側矯正といった歯科矯正です。
そのため、日頃よりもいっそう丁寧な歯磨きを行う必要があります。

虫歯を治療してから矯正を始めよう

矯正で得られる2つの大きなメリットは、「歯並びがきれいになる」「嚙む機能が向上する」ということですが、他にも多くのメリットがあります。
その中のひとつが、清掃性が向上するということ。これまで歯並びが出っ張っていたりガタガタしていたりした人は、歯列がきれいになると、とても歯磨きしやすいと実感することでしょう。
つまり、歯を長持ちさせるためにも歯科矯正は効果的なのです。
そんな歯科矯正を始めるのですから、歯の寿命を縮める原因となる虫歯をそのままにしていては意味がありません。矯正装置を取り外したら虫歯でボロボロになっていた、ということがないように、虫歯の治療をしてから矯正を始めましょう。

虫歯がひどい場合は、治療を優先しよう

歯科矯正に取り掛かる前には、必ず歯科医師がお口の中を診断し、虫歯や歯周病などがないか確認します。
歯科矯正を受ける人は歯並びが良くないケースが多いので、これまで歯の清掃が行き届きにくかった可能性が高いといえます。自覚症状がないまま虫歯に侵されていることも少なくありません。
虫歯などがあった場合は、虫歯治療を優先します。そのままにしておくと矯正中に虫歯菌がどんどん広がって、まわりの健康な歯も虫歯に侵されてしまう恐れがあるからです。
ただし、初期段階の小さな虫歯の場合は矯正装置を着けたままでも治療できるため、歯科医師の判断で矯正を始めることもあります。矯正に使用する器具によっても歯科医師の判断が異なります。現状、自分の口の中がどのようになっているのか、この先、どのように矯正を進めていくプランなのか、診断結果治療計画についての説明をしっかりと聞いて、治療を受けるようにしてください。

歯科矯正中の虫歯を予防する8つの方法

歯科矯正中に虫歯をつくらない方法といえば、歯磨きを徹底することです。矯正をしていない普段の時よりも、格段に丁寧なセルフケアを行う必要があります。
多忙なため、いつもは1日1回だけ、時間をかけて念入りに歯を磨いているという人もたくさんいると思います。矯正をしていない通常時でしたら1日1回だけでも丁寧に時間をかけて歯磨きを行えば、大方のケアはできるのですが、矯正中は少なくても1日3回以上に歯磨きの頻度を増やして、しっかり磨くほうがよいでしょう。
矯正装置に食べ物が絡みついて、お口に中に食べカスが残りやすいリスクを考えると、口臭ケアの面からも、食べた後は必ず歯磨きをする習慣をつけることをおすすめします。

①歯磨き指導を受ける

矯正装置によって汚れが溜まりやすい場所が異なります。装置をつけた歯科医院で、適切な歯磨きの方法の指導があると思います。歯科医師や歯科衛生士のアドバイスに従って、歯磨きを行うようにしましょう。

これから矯正を始めるのなら、歯磨き指導やプロフェッショナルクリーニングなどのプロケアを手厚く受けられるかどうかも視野に入れて、矯正治療を受ける歯科医院を選ぶようにすると良いでしょう。

基本的には、矯正装置をつけてできた周辺のデコボコした部分に汚れが溜まりやすいと考えてください。
窪みがある部分を磨く時は、歯ブラシを歯の表面に対し、斜め45度で当てるようにします。そうすると歯ブラシの毛先が少し窪みに入りますので、汚れを掻き出しやすくなります。
ブラシは力を入れて握らず、えんぴつをつまんで持つくらいの感覚で軽く支え、小刻みに振動させるようにします。

②歯間ブラシを使う

歯ブラシだけでは、なかなか矯正装置の周辺のデコボコを磨けません。
矯正用の歯ブラシを利用するのも手ですが、歯間ブラシを使えば細かいところまで磨けます。手鏡を使って確認しながら、しっかりと汚れを取り除いてください。

③ワンタフトブラシを使う

先が細く丸い毛束になったワンタフトブラシは、細かい部分まで磨きやすい歯ブラシです。
圧倒的な予防効果を実現している歯科予防の先進国スウェーデンでは、子供から高齢者まで幅広い世代の国民にワンタフトブラシを使った歯磨きが浸透しています。
矯正装置を着けていると、装置の周辺の清掃に気をとられがちですが、歯と歯のすき間や、歯の根元といった基本的に虫歯になりやすいところのケアも重点的に行うことを忘れないでください。
ワンタフトブラシなら、磨き残しがでやすい細かい部分までしっかり磨くことができます。

④フッ素の導入

フッ素の虫歯予防効果は、専門機関であるWHO(世界保健機関)やFDI(国際歯科連盟)などにも認められ、利用を推奨されています。現在では、世界120カ国でフッ素による虫歯予防が実施されています。

日本で市販されている歯磨き剤には、ほとんどフッ素が配合されています。
フッ素の効果を最大限に引き出すためには、仕上げ磨きでフッ素入りの歯磨き剤フッ素ペーストなどを使った後は、しばらくお口の中に含み、歯列全体にフッ素の成分が行き渡るようにします。歯磨きが終わったら軽く泡を吐きだして、口はあまりゆすがないようにするとよいでしょう。軽く1回くらいで十分です。
フッ素の効果を浸透させるため、歯磨き後は少なくても30分くらいは飲食を避けるようにしましょう。

⑤歯科医院でクリーニングをする

セルフケアを頑張っても、落としきれない汚れが蓄積していきます。歯科矯正中でなくても、すべての汚れを落とすのは難しいでしょう。例えば歯と歯ぐきの間にたまった汚れなどは、専門的な器具でなければ取り除くことができません。

歯科医院では、PMTCという歯の専門家によるクリーニングを行っています。歯垢や歯石をスケーラーで取り除き、専用機器とフッ素入りの研磨剤で磨きますので、仕上がりは歯の表面がつるつるになります。虫歯予防効果も得られます。

歯科医院によっては、矯正治療のプランにプロフェッショナルクリーニングを含んでいるところもあります。
矯正治療のプランを比較検討する時は、矯正中のケア面についても万全な対策が練られているかどうか、といった視点でもチェックしてみるとよいでしょう。

⑥定期検診に通う

矯正治療中は、矯正が治療計画に沿って行われているか確認しながら進めていきますので、定期検診は欠かせません。
虫歯になっていないか、お口の状態に異常がないかも診断しますので、虫歯が見つかればその都度、治療などの処置を行います。
虫歯の状態があまりにもひどければ、矯正の継続が難しくなるケースも出てきます。やり直しになれば費用もかさんでしまいますので、もったいない話です。そんなことにならないよう、しっかりと虫歯予防のためのこまめな歯磨きを心がけましょう。

定期検診では、その時のお口の状態に合わせた歯磨きの方法をアドバイスしてもらえます。参考にして、歯磨きの精度を上げていきましょう。

⑦ストレスを溜めず免疫力アップ

ストレスは万病の元といいますが、虫歯を悪化させる原因にもなります。
ストレスが過剰になると、身体機能を司る自律神経のバランスが乱れます。そうなると、唾液の分泌が減って口が乾燥し、口内環境を清潔に保つことが難しくなります。必然的に虫歯菌が増殖し、虫歯の発症につながります。
ストレスは、身体を守る免疫機能を低下させるため、虫歯菌に負けて感染しやすくなります。
ストレスや疲労を溜め込まず、リフレッシュするのも大事な虫歯予防のひとつです。気分転換の方法を見付けて、ストレスを解消できるよう心がけましょう

⑧生活習慣や食習慣を改善する

運動不足や睡眠不足も、自律神経の乱れ免疫機能の低下につながります。
夜更かしをせず、規則正しい生活を送るようにしてください。
そして、ダラダラと飲食を続けるような悪い習慣がある場合はすぐに断ち切って、食べたら歯を磨くという食習慣・生活習慣を身につけましょう。
砂糖の入った飴やガムなどをいつまでも口に中に入れているようなクセがついていると、すぐに虫歯になってしまいます。
甘いペットボトル飲料を常に携帯してデスクワークや家事をしているという人は、飲物をお茶かお水に切り替えましょう。特にポリフェノールが豊富な緑茶は虫歯菌の殺菌作用があるため、おすすめです。
日頃のちょっとした生活習慣の改善が、虫歯予防につながります。