子どもの歯周病が増えている!若年性歯肉炎の6つの原因と予防法

子どもの歯周病が増えている!若年性歯肉炎の6つの原因と予防法

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杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。

歯周病は中高年の病気だという印象が強いですが、最近では小学生や中学生など、若い人の歯周病が増えています。中高年の人が歯周病にかかりやすい理由は加齢などによるものが多いため、子どもの歯周病というと「その理由は?」と疑問が浮上しますよね。

今回は、子どもに増える歯周病の原因と、歯周病にならないようにするための方法をご紹介します。

子どもの歯周病とは

口に手をやる子ども

子どもがかかる歯周病のことを、「若年性歯肉炎」と呼びます。子どもの歯周病は、大人のように歯茎が下がって膿が出たり骨が痩せたりするのではなく、その前段階の歯茎の腫れなどが主な症状です。

子どもの歯茎が赤く腫れて、保護者が歯医者さんに連れて行くと「歯周病」だと診断されてびっくりする人もいるのではないでしょうか。

子どもの歯周病は、様々な原因が絡み合っていることが考えられます。以前のように「歯磨きさえきちんとしていれば大丈夫」とは言えなくなっているのが現状です。

若年性歯肉炎になる5つの原因

昔は、離乳食の頃に、親が食べ物を口の中で噛み砕いて食べやすくしてから子どもに与えるというのが一般的でした。しかし、口内細菌が感染するという理由から、現在では口移しやスプーンの共有などをしないようにする指導が徹底されています。

指導をしっかりと守っているにもかかわらず、子どもが歯周病になってしまう原因とは一体何なのでしょうか?

1.口内ケアの不足

歯周病は一般的に、菌が口の中に残った食べカスをエサにして繁殖する病気です。口の中にはたくさんの常在菌が存在していて、通常は歯磨きで食べカスが取り除かれたり、唾液の自浄作用によって口内の善玉菌と悪玉菌のバランスが上手く保たれています。

悪玉菌の中には歯周病菌もいますが、口内バランスが整っていれば悪さはできません。しかし、歯磨きが上手に行われていないと、口の中に残った食べカスから菌が歯垢を作り出し、虫歯や歯周病にかかってしまうのです。

2.生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは、一見歯とは無関係のように感じるかもしれません。しかし、体が持つ免疫力が、歯の健康に大きく関わっています。

歯周病は、歯垢に潜む菌が歯周ポケットに入り込み、歯茎に炎症を起こす病気です。歯と歯茎の境目は、健康な人でも、0.5〜2mm程度のごく浅い隙間が空いていますが、菌が増えそうになると口の中の免疫力が働いて菌に抵抗するため、菌が歯周ポケットに入るのを未然に防げます。

しかし、体の免疫力が低下すると口の中の免疫力も落ち、口の中で菌が増殖しやすくなります。菌は歯と歯茎の境目にも増えて、歯茎も炎症しやすくなってしまうというわけです。

免疫力が低下する大きな原因は、生活習慣の乱れにあります。睡眠不足不規則な食事や栄養が偏った食事、運動不足、ストレスなどです。昨今では子どもの生活習慣病も問題になっているように、子どもも生活習慣の乱れから、歯周病になりやすくなっています。

3.虫歯の放置

虫歯を放置すると、歯周病もできやすくなります。口の中の複数の悪玉菌は、食べカスを発酵させて、白くてネバネバした歯垢を作り出します。そのとき酸も一緒に作りされますが、酸は歯の表面に穴を開けるので、そこに菌が侵食して虫歯になります。

虫歯をそのままにしておくと、歯垢や虫歯になった患部に潜むたくさんの悪玉菌が増殖し、やがて歯と歯茎の間にも移行してしまいます。すると、空気が苦手な歯周病の原因菌は空気がない歯周ポケットに侵入し、その中で炎症を起こしながら増殖していくのです。

4.歯並びの悪さ

歯並びが悪いと、歯と歯が重なったりして歯ブラシが届きにくい場所ができます。すると、磨き残しから歯垢が溜まりやすくなります。歯垢を放置しておくと、上記で説明したように虫歯になり、さらには歯周病にもなりやすくなります。

歯並びの悪さは見た目だけでなく、虫歯や歯周病になりやすくなります。

5.口呼吸

口呼吸が癖になっていると、空気中に浮遊しているウイルスや菌などを酸素と一緒に吸って、体内に取り込みやすくなります。また、口を開けているため口の中が乾き、唾液の成分が隅々まで行き渡らなくなる原因にもなります。唾液には殺菌物質が含まれているため、唾液量が減ると殺菌作用も少なくなってしまうのです。

口呼吸の原因は、慢性的な鼻詰まりや、口の周りの筋肉の弱さなどが挙げられます。

6.ホルモンの急激な変化

思春期

人間は心身が成長する際に、ホルモンが急激に変化する時期があります。それが思春期です。思春期は、8歳頃から19歳頃までと言われています。

この頃になると、ニキビや初潮などの体の変化が見え始めますが、それにはホルモンの分泌が深く関わっています。口の中は口内フローラと呼ばれる善玉菌と悪玉菌のバランスを取るシステムがあるのですが、ホルモンの分泌が乱れると、口内フローラも乱れて歯周病菌を含む悪玉菌が多くなるのです。

また、女性ホルモン歯周病菌の大好物でもあります。女性ホルモンは男女ともに持っていますが、口内フローラが乱れると一時的に女性ホルモンが多くなることがあります。特に女性は毎月の月経や妊娠・出産・更年期など、何度もホルモンの急激な変化があり、これが一般的に男性より女性の方が歯周病にかかりやすいと言われる理由でもあります。

子どもの歯周病を予防する方法

歯周病は、上記のような様々な要因が重なり合ってかかってしまう病気ですが、日頃のケアや心がけによって予防することができます。

1.正しい歯磨きを習慣化する

歯磨きする子ども

歯磨きは、歯周病の元になる歯垢を作らせない手段としてもっとも有効です。ただし、歯磨きは正しい方法で行わないと、磨き残しが出てしまいます。

歯ブラシは軽く持って歯に当て、ゴシゴシとこすらずに細かく震わすようにするのがコツです。1本ずつ、丁寧に移動しながら磨きます。また、歯ブラシを当てる角度は、歯の表面を磨く時は歯に対して90度、歯と歯茎の境目は45度がベストです。水で口をゆすぐ時は、歯磨き粉に含まれるフッ素を流しきってしまわないように、1回だけゆすぎます。

10歳以下の子どもは、自分で磨いたあと保護者が仕上げ磨きをしてあげることも重要です。また、歯磨きは最低でも朝晩2回は行いましょう。

2.食生活を見直す

成長段階にある子どもは、食べる物がとても重要です。食べ物は筋肉や骨、血液などを作るからです。現代人は忙しいので、どうしても冷凍食品やおやつにスナック菓子などの加工食品を使うことが多くなります。しかし、加工食品などの摂りすぎは、腎臓の働きを弱め、免疫力を低下させる一因です。

冷凍食品や添加物の多いスナック菓子などの加工食品は、ビタミンやミネラル、酵素などの栄養素が不足しがちだからです。そのため、食事ではできるだけ加工食品を減らし、栄養バランスの摂れた食事にするのがおすすめです。凝った料理を作らなくても、旬の食材はそれ自体が美味しいので、シンプルな調理をするだけで美味しく栄養が摂れますよ。

また、柔らかい食べ物も歯周病の原因のひとつです。柔らかいものはあまり噛まなくても飲み込めるため、顎を使いません。唾液腺は顎付近にあるのですが、よく噛んで顎を動かさなければ唾液も分泌されないからです。

歯周病予防に効果的なのは、歯ごたえのある食べ物です。硬めに茹でた野菜や、ゴボウや蓮根の煮物、おやつにはリンゴなどがおすすめです。

3.生活習慣を見直す

生活習慣とは、大きく食事・睡眠・運動などを指しますが、それに加えて休息も重要です。常に体と頭をフル回転していては、交感神経が働き続けることになり、リラックスできません。交感神経が優位になると、緊張・興奮状態が続いて口の中が乾き、唾液の水分量が少なくなります。すると、唾液の持つ自浄作用が働きづらくなります。

体をリラックスさせて自律神経のバランスを保つには、栄養バランスの取れた食事・適度な運動・質の良い睡眠・適度な休息が必要です。特にスマホのやりすぎは交感神経を高めてしまうため、子どもとよく話し合い、寝る前30分前には見ないようにルールなどを作るのがおすすめです。

4.虫歯を治す

虫歯を治すことは、歯周病の予防につながります。虫歯を放置しておくと、虫歯になっている歯から菌が増殖してしまうからです。

虫歯を放置しておくと痛みも強くなって生活に支障をきたし、治療期間も長引きます。できるだけ早めに歯医者さんに連れていき、治療するのがおすすめです。

5.口呼吸を治す

口呼吸は、歯並びが原因であれば歯医者さん、鼻炎などの鼻詰まりが原因であれば耳鼻科などで治療します。

また、口呼吸を改善する医療用テープを使うのも方法です。寝ている間に口に縦に貼るテープで、無意識に口呼吸をしてしまう場合に対して一定の効果があります。口を開けようとすれば簡単に剥がれるため、呼吸ができなくなることはありません。

6.定期検診を受ける

口内の状態を調べるためには、歯医者さんで定期検診を受けるのがおすすめです。以前は虫歯などのトラブルが発生してから治療するのが基本でしたが、現在では「予防歯科」という考え方が広く浸透し、予防に力を入れている歯医者さんが多くいます。

定期検診を受けていれば、磨き残しや歯茎のちょっとした腫れなども、早期に発見することが可能です。

子どもの歯周病は予防が大切!

子どもの歯周病は、様々な要因が絡み合って発生します。子どもを歯周病にならせないためには、以下の方法がおすすめです。

    • 正しい歯磨きを習慣づける
    • 食生活を見直す
    • 生活習慣を見直す
    • 虫歯を治す
    • 口呼吸を治す
    • 定期検診を受ける

歯周病は一度かかると元の状態には治せません。子どものうちからきちんとした予防法を身に付けさせることが肝心です。