妊娠中に歯の矯正はできる?矯正中に妊娠したら?そのリスクや注意点

妊娠中に歯の矯正はできる?矯正中に妊娠したら?そのリスクや注意点

この記事の監修医師一覧

鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業
杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。
妊娠中に歯の矯正を考える人は、案外たくさん居ます。
普段は仕事が多忙だったり、人と接する機会が多かったりする方も妊娠中は家に居ることが増えるため、「矯正するのに、ちょうどよいタイミング!」というわけです。
また、歯列矯正には、ある程度の時間がかかりますので、矯正中に妊娠することもあります。
妊娠していても歯の矯正はできるのか、おなかの赤ちゃんには影響はないのか、心配になることも多いことでしょう。
ここでは、妊娠と歯科矯正の関係や、妊娠中に避けるべき治療について、お伝えします。
最後まで読んでいただければ、矯正と妊娠の不安や疑問を解消できますよ。
この記事がおすすめな人
    • 妊娠中に仕事を休む機会を利用して、歯科矯正したいと考えている。
    • 歯科矯正中に赤ちゃんを授かった。矯正治療を続けても大丈夫?
    • 妊娠中の矯正治療における注意点やリスクがあれば、知りたい。
    • 妊娠中の矯正治療の際、おすすめのお口のケアの方法を知りたい。

矯正中に妊娠!矯正は続けられる…?

ネコさん

先生、矯正中に妊娠したら、どうなるんでしょうか?矯正を続けられますか?

鈴木先生

結論からいうと、妊娠中も矯正治療できます。注意点がいくつかあるので、お伝えしますね。

ネコさん

注意点!?今から知っておければ安心ですね。どんなこと…?

結論からいうと、妊娠中も歯列矯正はできますし、矯正装置をつけたままの出産もできます。これまでたくさんの妊婦さんが、矯正を続けながら出産しています。
歯列矯正は、ある程度まとまった期間がかかる治療です。部分矯正の場合は3カ月~1年、お口全体となると2~3年かかることもあります。
そのため、矯正中に妊娠することもありますし、逆にまとまった仕事の休みがとれるこの機会に、気になっていた歯列矯正を済ませたいと考える人も結構います。
鈴木先生

ただし、歯医者さんに、妊娠していることは必ず伝えるようにしてください。そうしておけば、念入りに懸念材料を回避した治療法を選択・提案してもらえるので安心ですよ。

ネコさん

わかりましたー!受付で母子手帳をバーンって出しちゃいますね!…あっ、やりすぎですか?

鈴木先生

ピンポン!正解です。ぜひ母子手帳を持って歯科医院へご来院ください。

ネコさん

は~い!母子手帳を忘れずに…っと(メモメモ)。

基本的に、妊娠していても矯正治療は受けることについては問題ないのですが、体調の変化によって一時的に治療をお休みにせざるを得ないこともあります。
特に妊娠初期や後期は、体調の変化が大きい時期です。妊婦さんの状態によっては、赤ちゃんへの影響もないとはいえませんので、やむを得ず矯正を中断することもあります。
母子手帳を提出すれば、検診の結果や妊娠の経過について明確に伝えられます。少しでもリスクのある治療は回避するよう配慮が受けられますので、通院の際には持参するようにしてください。

妊娠中に避けたい治療内容とは?

ネコさん

先生、妊娠中に避けたい治療というと、どんなことですか?

鈴木先生

レントゲン・麻酔・薬です。基本的には問題ないのですが、おなかの赤ちゃんの安全のために、できるだけ避けておきたい治療です。

ネコさん

それって歯医者さんにはつきものですよね?詳しく知りたいですー!

それでは、妊婦さんが念のために気を付けたい治療について紹介します。
矯正治療中に妊娠がわかった場合は、産婦人科のドクターと歯科医師が連携して、治療を進めることもできます。双方のお医者さんとよく相談して治療を受けるようにしましょう。

1.レントゲン・CT撮影

実のところ矯正治療に必要なレントゲンやCT撮影であれば、おなかの赤ちゃんに悪影響はないといえます。歯科治療の際のレントゲンで使われる放射線は、ほんのわずか。わたしたち人間は、日常生活を送る上で常に自然界から放射線を受けていますが、それよりも少量です。身体に特に影響はないといえます。
ですが、「レントゲンは怖い!」と妊婦さん自身が不安に思うなら、避けておいたほうがいいでしょう。心配すること自体がストレスとなって、おなかの赤ちゃんによくない影響を与えかねないからです。
妊娠中は心身ともにデリケートになっている時期ですから、例え問題ないとされている治療であっても、慎重に進めるようにしてください。
レントゲンを撮影するのは、以下のタイミングです。
    • 矯正を始める前…矯正の計画をたてるため。
    • 矯正治療中…経過がうまくいっているか様子を診るため。
    • 矯正治療の終了後…治療がきちんとできているか確認するため。
レントゲンやCT撮影は顎や歯について詳しく調べ、治療計画を立てるのに必要です。治療中や完了した後にも、計画通りに進んでいるか、経過や仕上がりを確認するために行います。
①の最初のレントゲン撮影を受けるのを避けたい場合は、妊娠・出産を終えてから矯正治療を始めることになります。矯正中に妊娠がわかったときは、急を要することではありませんので、②③の途中経過や仕上がりを確認するためのレントゲン撮影は避けておいたほうが良いでしょう。

2.局所麻酔

抜歯を行う際に使われる局所麻酔は、おなかの赤ちゃんへの影響は特にないものです。
とはいえ、麻酔の中には血圧を上昇させる作用や、子宮の収縮させる作用があるものもあります。歯医者さんが安全対策をして治療計画を立てているとはいえ、どうしても緊急の治療以外であれば、麻酔を使う治療は避けるべきでしょう。ほぼ安全といわれるものでも、100%安全とはいえないからです。おなかの赤ちゃんに関わることですから、万全を期した選択をするに越したことはありません。

3.抗生剤・鎮痛剤

矯正治療では歯を動かすため、痛み止めや抗生物質のお薬を処方されることがあります。
妊娠中の薬は、できるだけ避けるほうがよいでしょう。もちろん歯科医院でもなるべく処方しない方向で治療を進めますが、服用しない方が妊婦さんの身体に悪影響を及ぼすこともあるので、絶対にないとはいえません。その場合は、妊婦さんが飲んではいけない薬は避けて安全性の高い薬が処方されますが、リスクの高い時期や体質などによっても影響が変わります。
そういった問題が発生する場合もありますので、妊娠期の矯正については、今このタイミングで行う必要があるのか、歯科や産婦人科のドクターと相談して進めるようにしてください。

妊娠中の歯列矯正で注意すべきこと

ネコさん

妊娠中の歯科矯正で注意することって、何でしょうか?

鈴木先生

お口の中が虫歯や歯肉炎になりやすい環境になるので、いつも以上に丁寧に歯磨きをしてください。

ネコさん

いつも以上に!?そんなに歯が悪くなりやすいんですか…?

鈴木先生

実は、女性ホルモンが多い環境で増えやすい細菌があるんですよ。だから、いつも以上にお口のケアを心がけることが大切です。

妊娠中の歯列矯正における注意点
    • ホルモンバランスの影響で、歯肉炎や虫歯になりやすい。
    • つわりの影響で、歯みがきしにくい。
    • 間食が増えて、お口の衛生状態が悪くなる。
妊娠中は、ホルモンバランスが崩れるため、非常に虫歯や歯周病になりやすいお口の状態に陥ります。
つわりの影響で歯のブラッシングがおっくうになり、お口のケアがおろそかになることもあるので、いつも以上に気をつける必要があります。
また、一度のたくさんの量を食べられなくなるため、間食が増えて、ダラダラとお口の中に食べ物や飲み物が入っている状態にもなりがちです。
口内環境を清潔に保つことが、妊娠中の矯正治療の課題です。
また、矯正器具をつけている状態がつらい場合は、我慢せずに歯医者さんに相談して一時的な中断を検討することも必要です。
つわりの時期が過ぎてから矯正治療を再開できますので、焦らずに無理のないペースで治療に取り組むようにしましょう。

妊娠中のお口おケア

ネコさん

妊娠中って、想像以上にお口のケアが大変そう…!

鈴木先生

そんなに不安にならなくても大丈夫ですよ。おすすめのお口のケア方法を紹介しますね。『ガムを嚙む方法』もありますよ。

ネコさん

えっ!ガムを食べてもいいんですか?ぜひ、知りたいです~!

1.ヘッドの小さい歯ブラシを使う

一般的なヘッドの大きい歯ブラシは、お口に入れるだけでもつらい場合があります。そんなときは「ワンタフトブラシ」というヘッドが小さな丸い束になった歯ブラシがおすすめです。
ワイヤーやブラケットなど矯正器具のすき間にも毛先が入りやすいので、歯磨きの効果がグンと上がります。

2.キシリトールガムを食べる

キシリトールは虫歯菌を減らす効果が得られる唯一の甘味料です。良質な唾液も増えますので、口内環境を良好に保つために役立ちます。歯科医院専売の、キシリトール100%のガムを選んで、用法を守った上で予防に摂り入れるようにしてください。

3.歯科医院でクリーニングを受ける

体調がよい時は、歯科医院でお口のクリーニングを受けるとよいでしょう。歯磨きが足りなくなりがちな時ですから、プロのサポートを上手く利用して、お口の衛生環境を維持していきましょう。

妊娠中でも歯医者さんと相談して無理なく矯正できる!

ネコさん

妊娠中でも、注意して進めれば矯正治療はできるんですね!

鈴木先生

そうですね。でも、体調やホルモンバランスの変化が激しい時期ですから、歯科と産婦人科の両方のドクターと相談して、無理なく進めるようにしてくださいね。

ネコさん

はい!無理をしないことが肝心ですね。調子に乗って突っ走らないように気をつけまーす!

歯科矯正は、妊娠中でも行えます。
ただし、おなかの赤ちゃんに影響がゼロとはいえないレントゲン・麻酔・投薬といった治療もあります。
緊急性がない限り、少しでもリスクがある治療は避けながら、無理のないペースで矯正治療を進めるのがおすすめです。
記事のポイントをチェック
    • 基本的に、妊娠中に矯正治療を行っても問題はない。
    • レントゲン、麻酔、薬については、胎児への影響がゼロではないので注意。
    • 妊娠中はホルモンバランスが崩れて口内環境が悪化しやすい。お口のケアが重要。
    • 歯科・産婦人科の両方と相談しながら、無理のないペースで治療すること。
writer
ナチュラル・ハーモニー
ナチュラル・ハーモニー
大手出版社出身、ディレクター・ライター歴15年以上。歯科ライティング実績は500件以上。都道府県主催テレワーク講座にも登壇。趣味は観劇と史跡巡り。柴犬好き。