妊娠中に歯の矯正はできる? 矯正中に妊娠した場合は?

妊娠中に歯の矯正はできる? 矯正中に妊娠した場合は?

この記事の監修医師一覧

杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。

妊娠中は仕事を休んだり出歩く機会が少なくなったりすることから、妊娠中に歯の矯正をしたいと考える人は結構います。また、矯正している途中に妊娠した場合、矯正は続けられるのかと思い、どのタイミングで矯正すればよいかと悩んでいる人もいるでしょう。

歯の矯正治療は、1年〜3年くらいかけてじっくりと行うため、治療途中に妊娠・出産が挟まると、胎児への影響はないのだろうかと心配になりますよね。

この記事では、矯正と妊娠の関係や、妊娠中に避けるべきことなどについてお伝えします。これから妊娠の予定がある方や、すでに妊娠していて矯正しようと考えている方は、ぜひ読んでみてください。

1.妊娠中に矯正はできるの?

考える妊婦

結論から言うと、妊娠中の矯正は可能です。ただし、妊娠初期や妊娠後期には、胎児への影響が高いことから、避けなければならない治療内容があります。

また、矯正中に妊娠した場合も、胎児への影響があると判断される場合には、治療を一時中断することがあります。ですが、矯正中に妊娠したからといって、ただちに矯正をやめなければならないということはありません。

では、どんな治療内容が胎児に影響があるのかを説明していきます。

2.妊娠中に避けたい歯列矯正での治療内容

妊娠中に避けたい歯列矯正の治療は、レントゲン・麻酔・薬です。妊娠期間によって影響の度合いが異なるものもあるので、歯医者さん・産婦人科のお医者さんとよく相談することが重要です。

2.1.レントゲン撮影

レントゲン写真

矯正治療では、歯や骨の状態を調べるため、レントゲン撮影やCT検査を行います。レントゲン撮影やCT検査は、放射線を使って体の内部を撮影し、把握する検査です。

「妊娠時は放射線はダメなのでは?」と思うかもしれません。しかし、歯医者さんで行う放射線は、歯の小さな面積に使われるためごく少量です。また、歯医者さんでレントゲン撮影をするときは、防護エプロンをつけるなどし、放射線の影響を最小限にします。

ただし、どんなに予防しても、放射線の影響はまったくのゼロになるというわけではありません。

妊娠中は精神的にナイーブになっているため、不要なストレスはできるだけ取り除きたいもの。どんな些細なことが、母体や胎児への影響につながるかわかりません。そのため、妊娠中のレントゲン撮影やCT撮影はできるだけ避けた方が好ましいでしょう。

レントゲン撮影をするタイミングは、以下の3つです。

    • 矯正治療開始前
    • 矯正治療中の確認
    • 矯正治療終了後の確認

矯正治療開始前の撮影は治療方針を決めるために必ずそのタイミングで行う必要がありますが、その他はタイミングがずれても支障ありません。もし、妊娠の予定があるなら、妊娠前にレントゲン撮影を済ませておくと安心です。

また、やむを得ず妊娠中のレントゲン撮影が必要な場合は、歯科医師だけでなく産婦人科にも相談することをおすすめします。

2.2.抜歯に伴う局部麻酔

麻酔注射

歯列矯正の際、抜歯を行う場合がありますが、抜歯をする際には局部麻酔を使います。歯科で使う局部麻酔は、胎児にはほとんど影響がない安全な麻酔を使うのが一般的です。

ただ、麻酔薬の中には血管を収縮させる作用や血圧を上昇させる作用があり、100%安全というわけではありません

妊娠中の矯正治療では、緊急性を要するような場合を除いては、局部麻酔を使う抜歯は避けたほうが良いでしょう。また、どうしても局部麻酔を使用する場合は、事前にどんな麻酔薬を使うのかを確認し、産婦人科に相談するのがおすすめです。

2.3.抗生剤や鎮痛剤

鎮痛剤

矯正治療は歯を動かす治療のため、場合によっては鎮痛剤や抗生剤が必要になることがあります。ですが、薬は胎児への影響が気になりますよね。

鎮痛剤や抗生剤が胎児へ影響を与えるのは、妊娠初期と妊娠後期です。安定期の数週間は飲んでも良いとされていますが、「この日から絶対安全」と割り切れるものではないため、薬はできるだけ控えるのが無難です。

また、抗生剤によっては妊娠中に飲んではいけないものもあるため、どうしても必要な場合は、歯医者さんおよび産婦人科の先生に相談しましょう。

3.妊娠中の歯列矯正で注意すべきこと

注意

妊娠中はホルモンのバランスが崩れるため、口内にも影響が出やすくなります。たとえば、歯茎の腫れや歯周病が進行しやすいなどです。また、妊娠中は食事回数の増減や、つわりなどもありますよね。食事の回数が増えたり嘔吐したりすれば、口内を清潔に保つのも難しくなります

妊娠中の歯列矯正では、以下のことに気をつける必要があります。

3.1.矯正器具によるつわりへの影響

妊娠中は神経が過敏になることがあります。とくにつわりは味や匂いにも敏感です。人によっては、矯正器具をつけると通常より異物感を覚え、つわりがひどくなる可能性があります。

つわりはただでさえ辛いもの。矯正器具をつけることでつわりがひどくなって食事も摂れなくなるようでは、胎児の成長にもかかわります。

もし、矯正器具をつけるのが辛いなら、我慢せずに歯医者さんに相談して一時中断し、つわりの時期が収まってから再開するのがおすすめです。

3.2.虫歯や歯周病

歯ブラシ

妊娠中はホルモンバランスの変化で、虫歯や歯周病になりやすくなります。矯正器具をつけることで歯ブラシが届きにくくなると、さらに十分に汚れを落とせなくなってしまいます。

妊娠中は、いつも以上にセルフケアを丁寧に行うほか、歯医者さんで定期的に歯をクリーニングするのがおすすめです。

また、つわりがひどいと歯磨きするたびに嘔吐感を伴うという人もいます。このような場合には、歯医者さんに相談し、矯正器具の装着を一時中断するのも一つの方法です。

3.3.精神的なストレス

憂鬱

妊娠中は、思っている以上に精神的にデリケートになります。矯正治療中に辛いことがあったら、我慢せずにすぐに歯医者さんに相談しましょう。

また、歯医者さん自体が苦手な人もいると思います。通院が苦痛なようであれば、矯正治療は一時中断して、気持ちが落ち着いてから再開するという方法もあります。

歯医者さんとよく相談し、体と心に負担のないように進めましょう。

4.妊娠中はお医者さんとよく相談し無理のない矯正をしよう!

妊娠中の矯正治療は可能ですが、妊娠期間によっては胎児に影響があるものもあります。特に、以下の3つは必要や緊急性がない限り、避けたいものです。

    • レントゲン撮影
    • 局部麻酔
    • 鎮痛剤や抗生剤

また、妊娠中はホルモンバランスの変化により、虫歯や歯周病になりやすくなる他、矯正器具によるつわりへの影響なども考えられます。

妊娠中は精神的にも不安定になるため、妊娠中の矯正治療は、歯医者さんと産婦人科の両方に相談し、無理のない範囲で行うことがおすすめです。