えっ!子どもがまさか歯周病?子どもを歯周病にさせないための予防法

歯周病は30代になって意識する人が多いと思いますが、実は近年では子どもの歯周病が増えています。その理由はなんなのか、どんな生活をしていると歯周病になってしまうのか。また、子どもを歯周病にしないための予防法などを詳しくお伝えします。

- 子どもの口から悪臭がする。
- 子どもの歯ぐきが黒ずんでいる。
- 子どもも歯周病にかかると聞いたが本当?と思っている。
- 大人の歯周病は子どもにうつると聞いたが予防法を知りたい。
- 子どもの歯周病を防ぐ方法を知りたい。
増えている「若年性歯肉炎」

子どもがかかる歯周病を「若年性歯肉炎」と呼びます。主な症状は歯ぐきの腫れです。お子さんの歯ぐきが腫れて赤くなっていたら、若年性歯肉炎の疑いがあります。また、歯ぐきの黒ずみや強い口臭がしている場合も、若年性歯肉炎にかかり始めている可能性があります。
子どもも歯周病になるなんてショック!

そうなんです。だからこそ大人が気をつけてあげたいですね。
子供の歯周病を予防する6つの方法
子どもの歯周病は、以下のような日頃のケアをすることにより防ぐことができます。
1.歯磨きを習慣化させる

歯周病や虫歯を引き起こす細菌は、お口の中に残った食べカスが大好きです。食事やおやつの後のお口を放置しておくと、細菌が食べカスを歯垢に変えてしまいます。歯垢は細菌の巣。食後の歯磨きをしっかりとさせることで、歯周病の原因を取り除くことができます。
歯磨きは最低でも朝晩2回は行わせましょう。特に夜寝る前に磨くのが効果的です。夕食後、お風呂に入ったあとなどに歯磨きをするという流れをつくることをおすすめします。また、10歳以下のお子さんには、大人が仕上げ磨きをしましょう。
仕上げ磨きを嫌がる子にはどうやったらいいんですか?

椅子に座らせた状態だとすんなりやらせてくれる場合が多いですよ。
ふむふむ、早速やってみます。
2.生活習慣を見直す

塾や習い事などで忙しい子どもも多いですが、生活のリズムが乱れると自律神経の乱れにつながります。常に心と体をフル回転させている状態は、交感神経がずっと優位になってリラックスする間がないからです。唾液には口内細菌を抑える働きがあり、リラックスした状態の時に多く出ます。
また、適度な運動や質の良い睡眠や休息を心がけると、免疫力が高まり歯周病に感染しにくくなります。食事はできるだけ決まった時間に摂らせる、運動不足や睡眠不足にならないように気を配るなどしましょう。
大人なみに忙しい子もいますよね。

そうですね。特に子どもの睡眠不足は深刻です。
3.食生活を見直す

子どもの成長に必要な栄養のほとんどが食事から摂られます。バランス良く栄養を摂ることで、血や筋肉、骨をつくるからです。しかし、栄養が偏りがちになると体が十分に作られない他、免疫力も下がります。特に冷凍食品や加工食品、スナック菓子などは腎臓の働きを弱めて免疫力を低下させる一因です。
また、カレーやスパゲティ、ハンバーガーなどあまり噛まずに飲み込める食事は、顎を動かす回数が少なくなり唾液がたくさん分泌されません。たとえば野菜を茹でるときは少し固めにする、おやつにはりんごなど歯ごたえのあるものを出すなどで工夫できます。
他におすすめの食べ物はありますか?

生野菜のサラダや柿など食物繊維が豊富な食べ物がおすすめです。
4.虫歯を治療する

虫歯があると、お口の中に細菌が増殖して歯周病にもなりやすくなります。また、虫歯を放置しておくと痛みも強くなり集中力も下がります。虫歯があるならできるだけ早めに歯医者さんに連れていきましょう。

子どもは歯医者さんに行くときは緊張するので、かかりつけの歯医者さんを作っておくと行きやすいです。
5.口呼吸を治す

口で呼吸すると空気中の雑菌やウィルスも吸ってしまうリスクが高く、口が乾いて唾液量も少なくなるため歯周病になりやすくなります。口呼吸は歯並びが原因でなる場合が意外と多いです。もし慢性鼻炎などがあれば耳鼻科に、鼻炎などがなければ歯医者さんに診てもらいましょう。
寝ている時の口呼吸の改善には専用テープを口に貼る方法がありますが、小さいお子さんは誤飲の可能性もあるので気をつけましょう。

歯並びが悪いと姿勢が悪くなり、結果として口呼吸になる場合が多いんです。
そういうこともあるんですねぇ。考えたこともありませんでした。
6.定期検診を受ける

小中学校では年に1回歯科検診があると思いますが、あくまでも簡易的なものです。家庭でもかかりつけの歯医者さんで定期検診を受けることで、お口の中のちょっとした変化や歯ぐきの腫れなどに気づくことができます。
どのくらいのペースで受けさせればいいんですか?

3ヶ月〜半年に1回程度がおすすめです。
子どもが歯周病になる理由
次は歯周病になる原因についてお伝えします。意外な理由に驚くこともあるかもしれません。
回し飲みやスプーンなどの共有

元々子どもの口には歯周病の菌は存在していません。しかし、大人が飲んだ同じコップやペットボトルで飲み物を飲ませたり、大人が食べたスプーンでそのまま食べ物を食べさせたりすると、そこから感染します。
「あーん」するときは子どものスプーンで、ですね。

その通り。子ども専用の食器で食べさせてくださいね。
お口のケアが不十分

お口のケアは、子どもだけではどうしても不十分になります。小学校を卒業するくらいまでは大人が気にかけてチェックしましょう。
えっ!小学校を卒業するまで?

実はそうなんです。本当は仕上げ磨きもそのくらいまでするのが理想です。
意外と大きくなるまで必要なんですね。
また、歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい場所が出て歯周病の原因になることがあります。乳歯の歯並びは永久歯にも影響するため、矯正治療を早めにするのがおすすめです。
生活習慣の乱れによる免疫力の低下

免疫力の低下は歯周病だけでなく、風邪をひきやすくなったりインフルエンザにかかりやすくなるなど、様々な病気になりやすくなります。唾液の中の免疫力も落ちるので、生活リズムは親や周りの大人が気にかけて整えましょう。
そういえば歯周病も感染症なんですよね。

はい。免疫力が下がると感染しやすくなります。
ホルモンの急激な変化

子どもの成長はとても早いですが、心身の成長に伴って成長ホルモンや性ホルモンなどが急激に変化します。ホルモンバランスは口内フローラにも大きく影響し、歯周病菌を含む悪玉菌も多くなりがちです。特に女性は初潮が始まると月に1度はホルモンバランスが崩れるため、口内環境も不安定になります。
じゃあ女の子のほうが歯周病になりやすいのかしら。

その可能性が高いですが、男の子も歯磨きを忘れたりしがちなので注意しましょう。
周りに喫煙者がいる

家族など子どもの近くでタバコを吸う人がいると、子どもの歯周病リスクも高まります。近くでタバコからの煙を吸ってしまう受動喫煙や、タバコの有害物質が移ったカーテンやじゅうたんなどから影響を受ける三次喫煙などです。受動喫煙で子どもの歯ぐきが黒ずんだという例もあります。

タバコを吸った洋服で子どもを抱き上げないなどの注意が必要です。
えー!おじいちゃんにも言っとかなきゃ!
子どもを歯周病から守ろう!
子どもは歯周病とは無縁と思いがちですが、子どもも歯周病の危険にさらされていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。子どものセルフケアは大人のように十分ではありません。周りの大人が気をかけて、歯周病から守ってあげたいものです。
- 正しい歯磨きを習慣化することが大事
- 生活習慣の乱れは免疫力を低下させ歯周病の原因に
- 柔らかいものばかりの食生活は唾液量を減らす
- 虫歯を放置すると歯周病に発展する恐れがある
- 歯並びが悪いと口呼吸になりやすく外の雑菌を吸ってしまう
- 定期検診を受けると予防や早期発見につながる
- 回し飲みやスプーンの共有はNG
- 受動喫煙や三次喫煙でも歯周病になる可能性がある
