歯周病の初期段階の症状とは?早期に対応すれば治すこともできる?

歯周病は国民病の一つとも言われ、「40代以上の大人の3人に1人は歯周病」というデータもあるほどです。重症化すると歯が抜けてしまい、顔貌が変わったり全身疾患にも影響を及ぼしたりする恐ろしい病気です。歯周病は完治しない病気でもあり、一度かかると元に戻すことはできません。
しかし、初期段階で対応すれば元の健康な状態に戻すことも可能です。つまり、歯周病の初期段階でのケアが、その後の健康を左右するといえます。
ここでは、歯周病の初期段階の症状についてご紹介します。自分でできるケアや注意点もお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
- 歯周病の初期段階は治ると聞いた
- 歯周病のような気がする。自分はどの段階か知りたい
- 歯周病の初期段階の症状ってどんなもの?
- 初期段階にはどんな治療をするの?
1.歯周病の初期症状チェック!
歯周病の初期症状をチェックするには、歯茎、歯、それ以外の症状に分けて見る必要があります。それぞれの症状を、詳しく説明しますね。
1-1.歯茎の症状

初期の歯周病では、歯茎には以下のような症状が出てきます。1つでも当てはまる場合には、歯周病の初期段階である可能性が高いでしょう。
- 歯茎に赤いところがある
- 歯茎がむず痒い感じがすることがある
- 歯磨きをすると出血することがある

歯茎からの出血は、毎回ではなく時々出るだけでも当てはまります。
えー、どうしよう!時々歯茎から血が出ることがあるんですけどー。

それは歯周病の可能性が高いですね。でも、後から紹介するケア方法で治すことができますよ。
ホッ。それじゃ、安心して他の場所の症状も見てみます。
1-2.歯の症状

次は歯の状態です。当てはまるものはありますか?
- 歯と歯の間に隙間があり、物がよく詰まる
- 歯が浮いたような感じがすることがある
- 歯が大きく(長く)なったような気がする
- 歯並びが変わったような気がする
歯が大きくとか、歯並びが変わるとかって、どういうことですか?

歯周病になると歯茎が退縮して露出部分が増えるんです。それで、歯の面積が大きくように見えたり、歯並びが変わったように見えます。
いわゆる歯茎下がりですね!

そのとおり。
1-3.それ以外の症状

歯や歯茎以外でも、以下のような症状があれば要注意です。
- 口臭が気になる
- 起床時に口の中がネバつく
- 最近口が乾いている気がする
唾液の分泌量が少なくなると、口内の細菌が増えて歯周病になりやすくなります。口呼吸が習慣化している人やドライマウスの人は改善するのがおすすめです。
唾液が減って細菌が増えても歯周病になるとは限らないのでは?

細菌が増えるということは、歯垢や歯石が増えるということです。歯垢や歯石は歯周病に直結しますよ。
そうなんですかー。
2.早期に対応すれば治る可能性もある

歯周病を細かく言うと、最初は歯肉炎で、症状がひどくなると歯周炎と呼びます。早期に対応すれば治るのは、歯肉炎の段階です。
歯周病ができてからひどくなるまでを見てみましょう。
- 歯と歯の間や歯と歯茎の境目に、食べカスなどの汚れがたまる
- 口内細菌が、酸性の物質を汚れに加えて歯垢を作り出す
- 歯垢の中に住む細菌が歯茎を溶かし始める(この時免疫力によって炎症が起きる)
- 細菌がさらに深部に侵入し、歯を支える骨を溶かし始める
- 歯が抜ける
3番と4番が歯肉炎と歯周炎の境目です。つまり、細菌が歯茎を深く溶かし始める前に対処すれば、元の健康な歯茎に戻すことができるというわけです。
先生、早くケアの方法を教えて下さい!

はいはい、それでは紹介していきますね。
3.初期の歯周病のケア
初期の歯周病を治すためのアプローチの仕方は、
- プラークコントロール
- 口内環境の改善
- 生活習慣の改善
の3つです。それぞれ詳しく説明していきます。
3-1.プラークコントロール

プラークコントロールとは、歯垢を作らせないようにコントロールするという意味です。歯垢を作らせないためには、毎食後と就寝前の丁寧な歯磨きが大事です。また、歯間の汚れはブラシでは落とせないため、歯間ブラシを併用しましょう。

細菌が一番増えるのは寝ている間なので、寝る前の歯磨きは特に入念にしてくださいね。
それに毎食後の歯磨きが加われば、歯垢が作られるスキがなくなるってことですねー。

そのとおり。
3-2.口内環境の改善

口内が不潔になるとpH値が酸性に傾き、歯垢が作られやすくなってしまいます。いくら毎食後に歯磨きをしていても、正しいやり方で磨いていなければ汚れは残ったままです。口内の清潔を保つためにも、正しい歯磨き方法をマスターしましょう。
また、歯並びが悪いと歯と歯が重なりに影ができたり、歯と歯の間に隙間ができていたりしてケアが行き届かなくなります。歯並びが悪い場合は矯正で歯並びを整えることも重要です。
口内をいつも清潔にってことは、マウスウォッシュなんかも効果がありますか?

はい。その場合は薬用のものを使ってくださいね。
2-3.生活習慣の改善

歯や歯茎の健康を保つには、栄養バランスの取れた食事も大切です。歯茎には無数の毛細血管が通っており、そこから栄養分が歯茎や歯にめぐるからです。
また、砂糖は歯周病菌のエサです。間食の習慣がある人やダラダラ食べ、甘い飲み物を頻繁に摂る人も、歯垢が作られやすくなるので注意しましょう。
タバコを吸う人は、本数を控えるか禁煙するのがおすすめです。タバコのヤニは歯茎の血行を悪くし、歯周病を助長してしまいます。

甘みのついたコーヒーを1日に何杯も飲む人は、お茶やお水に変えて水分補給をするのがおすすめです。
お茶ってたしかカテキンが入ってるんですよね。

そのとおり。カテキンには殺菌作用がありますよ。
4.歯周病が進んでしまった場合の段階別症状と治療法
「自分は歯周病が進んでしまっているのでは?」と考えている人もいるでしょう。ここでは、歯周病が進んだ場合の症状と治療法について、簡単にご紹介します。
4-1. 中程度の歯周病の症状と治療法

中程度まで進んだ歯周病は、以下のような症状があります。
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎が痛む
- 歯茎から血や膿が出ることがある
- しつこい口臭がある
- 冷たいものが歯にしみる
この段階になると、自分では対処できません。歯科医院で殺菌・消毒、薬剤塗布をするなどの治療を行い、必要であれば抜歯して義歯の治療をします。
4-2. 重度の歯周病の症状と治療法

重度にまで進んだ歯周病は、以下のような症状があります。
- 歯茎がブヨブヨする
- 歯茎から血や膿が出る
- 口臭がひどい
- 歯がグラグラする
- 強い痛みがある
重度の場合は歯を支える骨が溶け始めている可能性が高いです。骨や歯茎を再生する治療を施し、義歯を入れます。
義歯って入れ歯のことですか?

入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの種類がありますよ。
歯周病は初期段階でケアして治しましょう
歯周病の初期症状チェック、当てはまるものはありましたか?歯周病は初期の段階で手を打てば、ひどくならずに健康な歯と歯茎に戻すことができます。早期に治療をして、ぜひ健康な歯を守ってくださいね。
- 歯周病の初期段階の症状は、歯磨き時の出血やむず痒さ
- 歯と歯に隙間がある人も要注意
- 歯周病は歯肉炎の段階で対処すれば元の健康な状態に戻せる
- 初期段階のケアは、プラークコントロール、口内環境の改善、生活習慣の改善の3つ
- 重症になると歯科での治療が必要
- 場合によっては抜歯して義歯にしなければならない
- 場合によっては歯茎や骨を再生する治療をしなければならない