歯肉退縮(歯ぐき下がり)はどんな体質の人がなりやすい?予防と対策
「高齢でもないのに歯茎が下がってきた」
「最近、歯の付け根がしみるようになった」
と悩んではいませんか?
歯肉退縮、いわゆる歯ぐき下がりは、年を取ると誰にでも起こる現象ですが、実は体質によってはなりやすい人がいます。
そこで、ここではどんな体質の人が歯肉退縮になりやすいのかを詳しく説明します。
予防と対策についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
- 最近、歯肉退縮が気になるようになった
- 歯肉退縮って体質が関係しているの?
- どんな人が歯肉退縮しやすいの?
- どうしたら歯肉退縮を防げるの?
- 退縮した歯肉は元通りにできる?
1. 歯肉退縮が起こりやすい体質
体質には生まれながらに持っているものと生活習慣によってつくられたものがありますが、ここでは”生まれながらにもっている体の性質”と定義して話をしていきます。
1-1. 生まれつき免疫力が低い

生まれつき免疫力が低いと、歯肉退縮が起こりやすいです。免疫力とは、体を常に監視し、外から侵入する細菌やウイルス、体内で発生したがん細胞などを撃退する自己防衛システムのことです。
しかし、免疫力が生まれながらにして弱いと、歯周病にかかりやすくなります。
歯周病は悪い細菌が歯茎に炎症を起こす病気です。歯周病にかかると炎症によって、歯を支える骨が溶けてしまいます。歯茎は骨を覆って守るものですが、守るべき骨が少なくなると歯茎も自然になくなってしまうのです。

免疫力が低い人は、歯周病になりやすい人と言えます。その結果、歯肉退縮が起こりやすくなってしまうのです。
免疫力って遺伝なんですか?

そうですね。抗体物質を作り出す量や免疫反応をするための遺伝子は、ある程度遺伝と言われています。
へぇ〜、そうなんですね!
1-2. 歯肉が生まれつき薄い

歯肉の厚みも歯肉退縮に関係があります。そもそも日本人は欧米人よりも歯茎が薄いのですが、中でも生まれつき歯肉が薄い人は歯肉が傷つくと削れて薄くなってしまうことがあります。
歯茎が傷つく一番の原因は、誤ったブラッシングです。歯みがきをするときにゴシゴシと強く磨くと、歯茎が薄くなって退縮してしまうのです。
歯茎って削れるんですね!

はい。しかも、一度に削れるわけではなく、長年の習慣で時間をかけて削られていくので、気づいたら歯茎が下がっているという状態です。
1-3. 白血病や糖尿病のある家系

家族や親族に白血病や糖尿病の人がいる家系の人は、歯肉退縮が起こりやすいです。
白血病や糖尿病の症状の一つとして、歯肉炎や歯周病があります。糖尿病と歯周病はお互いを悪化させるという相互関係にあり、白血病にかかると白血病細胞があごに広がって歯肉の腫れや出血が起こることがあるのです。
家族や親族に白血病や糖尿病の人がいて上記の症状がある場合は、歯肉退縮だけでなく白血病や糖尿病の恐れがあるので、早めに病院にかかりましょう。

歯肉の変化から糖尿病や白血病が分かることも多いんです。
歯医者さんにかかって全身の病気が発覚することもあるってことですか!

そのとおり。
2. 体質が原因の歯肉退縮の予防と対策

歯肉退縮が起こってしまった場合、自然治癒することはありません。手術によって歯肉を再生することは可能ですが、早い段階でなら日頃の生活を見直すことで、これ以上歯茎が下がるのを食い止めることができます。
体質が原因の歯肉退縮を予防する方法は、以下のものです。
- 規則正しい生活をおくる
- 適度な休養をとる
- バランスの良い食事をとる
- 身体を温める
- 正しいブラッシングをする
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
2-1. 規則正しい生活をおくる

規則正しい生活は、健康の基本ですね。健康な体は免疫力が十分に働くことができます。特に、適正な起床時間と就寝時間、適度な運動は大切です。
2018年に発表された京都大学・大阪大学・九州大学・ドイツがん研究センターの共同研究によると、ステロイドホルモンのひとつグルココルチコイドは、不規則な生活によって分泌が乱れ、免疫力を低下させる可能性があるとしています。
また、適度な運動は免疫力を高めますが、過度な運動は免疫力を低下させることも分かっています。
適度な運動は免疫能を高め,感染症や癌の予防に有効とされる一方,激しい運動やトレーニングは免疫能を弱め,炎症やアレルギーを助長するとされる.「」より引用
これは、激しすぎる運動はがんなどを抑制するNK細胞やT細胞をの数や機能が一時的に低下させてしまうからです。
何事もオーバーワークはダメってことですね!

そのとおり。「ほどほど」は重要なんですよね。
2-2. 適度な休養をとる

精神的なストレスは、免疫力を大きく下げてしまいます。仕事や勉強も、適度な休養を取ることで免疫力を保つことができます。
唾液の中には免疫グロブリンA(s-lgA)という免疫物質があるのですが、この物質と精神的ストレスを調べた研究によると、ストレス時にはs-lgAが減少するということがわかりました(唾液中のIgAに関する研究より)。疲れたと思ったら無理せず休養を取り、リフレッシュしましょう。
煮詰まった時にも一息入れるとアイデアが浮かんだりしますよね。

そうですね。それが、科学的にも証明されているということですね。
2-3. バランスの良い食事をとる

食事はひとつのものだけ食べてもその栄養を吸収できるわけではなく、バランスよく摂ることで相互作用が働いて様々な栄養を吸収することができます。
特に、肉や魚、卵、大豆製品などの良質なタンパク質は、免疫細胞や免疫物質の主な成分になります。
また、ビタミンA、C、Eは、抗酸化作用があります。ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品は、腸内環境を整えます。
いろいろな食品をまんべんなく食べることで、自然と免疫力が保たれるのです。

といっても、添加物の多いものばかりはあまりよく、素材から調理したものが理想です。
インスタントとか加工食品ばっかりだとダメってことですね!

そうですね。
2-4. 身体を温める

体温が1度下がると免疫力は30%落ちると言われています。逆に言えば、体温が1度上がると免疫力もアップするということ。
免疫細胞が正常に働く体温は、36.5度です。日頃から体温が低い人は、軽い運動などで代謝を上げて平均体温を上げましょう。
冷え性の人は身体を温める食べ物などを積極的に摂ると良いでしょう。

身体を温めるものは、生姜、根菜類、紅茶、はちみつ、甘酒などですよ。
冷たいものを控えるっていうのも大事ですよね!

そのとおり。さすがサルくん!
2-5. 正しいブラッシングをする

最後にブラッシングですが、歯茎が下がらない正しいブラッシング法を覚えて今日から実践しましょう。
- 歯ブラシは柔らかめ〜ふつうを使用する
- 歯ブラシは弱い力で持つ(ペンを持つ要領)
- 歯ブラシを歯と歯茎の境目に45度に当てる
- 震わすように小刻みに動かしながら、1本ずつブラッシングする

歯ぐきマッサージと言うと歯茎を直接こすると思う人もいますが、歯と歯ぐきの境目をマッサージします。
それで歯茎の血行がよくなるんですねー!
3. 免疫力を高めて歯肉退縮を予防しよう
歯肉退縮には、生まれつきの体質が関係していますが、そのまま何もしないでいるとますます歯茎が下がってしまいます。
歯肉退縮を進めないようにするのは、免疫力が鍵。今回ご紹介した方法で免疫力を高め、歯肉退縮をストップさせましょう。
- 歯肉退縮しやすいのは生まれつき免疫力が低い人、歯茎が薄い人、白血病や糖尿病の家系の人
- 規則的な生活は免疫力を司るグルココルチコイドの分泌を安定させる
- 適度な運動は免疫力を上げる
- 精神的ストレスを排除すると唾液中の免疫物質が減らない
- バランスの良い食事は十分な免疫細胞や物質を作る
- 身体を温めると免疫力がアップする
- 正しいブラッシングで歯茎をマッサージする