歯周病を治療すれば糖尿病が改善する!?見逃せない歯周病と糖尿病の関係
歯周病と糖尿病の関係は、かなり密接です。
そうは言われても、歯周病といえば口内の病気ですし、糖尿病といえばメタボ(メタボリックシンドローム)に端を発する病気というメージです。
一見なんの関連もなさそうな2つの病気なのに、いったいどう関係しているのか、わかる方はそれほど多くないかもしれませんね。
そこで今回は、歯周病と糖尿病の関係についてわかりやすくお伝えします。
- 糖尿病は、歯周病にかかると悪化しやすいと聞いたが本当?
- 歯周病と糖尿病が関係あるとは思えないので詳しく知りたい。
- 歯周病から糖尿病を悪化リスクが高いタイプは?肥満型?
- 糖尿病を伴う歯周病の注意点、予防法があれば知りたい。
- 糖尿病を伴う歯周病は治せる?どんな治療方がある?
歯周病が進行すると糖尿病も悪化しやすい


歯周病と糖尿病って関係なさそうなのに、本当に関係あるんですか?全く違う原因の病気だと思うのですが。

関係は深いですよ。糖尿病だと歯周病になりやすいですし、歯周病が悪化すると糖尿病も悪化しやすいですね。

えぇ!?そんなに相互関係があるんですね。

はい。それでは、歯周病と糖尿病の相互関係について見ていきましょう。
歯周病は、口内の細菌による感染症です。
まず、糖尿病を発症していると高血糖が続くのですが、それによって免疫機能が下がるため、感染症にかかりやすくなります。歯周病に感染しやすくなるのも、そのためです。歯茎の血流が悪くなることも関係していると考えられています。
逆に、歯周病が悪化すると、歯茎に炎症を起こしますが、その際に発生した毒素が糖尿病に必要なインスリンの働きを鈍らせ、血糖値を上げることになります。それが原因で、糖尿病を悪化させることになります。
歯周病の毒素がインスリンの働きを妨げる
歯周病に感染すると、強力な毒素を発生します。
歯周病が進行して重症化すると、毒素が血管を通じて体内に入り込みます。すると、人間の身体に備わる免疫機能が働き、毒素から防御するために必要な物質が大量に作られます。
この物質が、糖尿病に欠かせない血糖値コントロールに必要なインスリンの働きを妨害する物質と同じものなのです。
つまり、重度の歯周病になると、糖尿病を悪化させてしまうことになります。
少しぽっちゃりタイプが発症しやすい
歯周病をきっかけに糖尿病につながりやすいのは、少しぽっちゃりのタイプです。
糖尿病を改善するために役立つインスリンですが、その働きを妨害する物質は、内臓脂肪組織でつくられることがわかっています。
つまり、歯周病が重症化していて、脂肪が多い体型の場合、この物質が多産されるのです。
最もリスクの高い体型は、ややぽっちゃりタイプです。
高度な肥満に至ると、歯周病による悪玉物質が多産されないのですが、今度は歯周病のあるなしに関わらず、糖尿病になりやすい状態に陥ります。
下記の計算式に、自分の体型があてはまるか、確認してみましょう。

おっと、計算したらちょうどぴったりの数字でした……!

それは要注意ですね。ややぽっちゃり型は、日本人に多い体型といえます。

うーん、やばいですね。このままだと歯周病と糖尿病になりやすいんですね。まだ症状に自覚はないんですが……。

初期はどちらもあまり自覚症状がないのが特徴です。では、ご一緒にセルフチェックしてみましょう。
糖尿病と歯周病を併発!どんな症状がおこる?

糖尿病も歯周病も、初期の段階では目に見える症状がなく、発見が遅れがちな病気です。
予兆もなく静かに忍び寄り、気付いた時には重症化している特徴から、糖尿病や高血圧のような生活習慣病は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれています。
歯周病を発症したら、どのような症状が起こるのでしょうか。思い当たる症状がないか、チェックしてみましょう。
- 歯ぐきがムズがゆい
- 歯ぐきが浮いている
- 歯茎が腫れている
- 歯磨きの時、血が出る
- 起床時、口内がネバネバしている
- 口臭が強くなった

いかがでしょうか?当てはまる症状はありましたか?

そうですね、3つ思い当たります。

それは既に歯周病を発症している可能性が高いですね。お早めに歯科を受診してください。糖尿病の検査もしておいた方がいいですね。糖尿病内科を受診してください。

ううーん、やっぱりそうなんですね~。わかりました……!
糖尿病を伴う歯周病の治療方法は?

歯周病を発症した場合、既に糖尿病を併発している可能性がありますし、まだ発症していなくても、今後、糖尿病を引き起こすリスクが極めて高い状態といえます。
どのように治療を進めていけばいいのでしょうか?確認してみましょう。
口腔ケアで噛む機能を維持
相互関係にある歯周病と糖尿病。歯周病をしっかり治療することで、糖尿病が改善する可能性は高い「生体の仕組み」が明らかになっています。
歯周病の毒素が発生しなければ、インスリンの働きを阻害することもなく、血糖値のコントロールが上手くいくからです。

じゃあ、歯周病を治せば、糖尿病もよくなるんですか?

そういうことですね。それぞれの病気によって発生する物質が、お互いの症状を悪化させることがわかっています。歯周病の治療を進めれば、そんな悪循環を食い止められます。

なるほど、悪循環を断ち切れるわけですね。
歯周病の進行レベルによって治療法は異なりますが、初期であれば、歯科でのクリーニングやフッ素ケア、歯磨き指導によって改善を図れます。
進行した歯周病の場合は、薬剤の投与や外科手術による歯石除去などを行ないます。
かつて、歯周病は治らない病気といわれていましたが、歯科医療の進歩により外科的・内科的、双方の治療技術が登場しています。
歯周病治療に詳しい歯科医と相談しながら、自分の症状に合った治療法を見つけましょう。
オーラルフレイルの予防
オーラルフレイルは加齢による身体機能の衰えのひとつで、口腔機能の低下が原因ですが、歯周病から始まることがあります。
歯周病で歯がグラグラしたり出血を伴ったりすると、食べ物を噛めなくなり、偏食となって栄養が偏るからです。
そうなると糖尿病が進行するリスクが高まります。そして、口腔機能が低下すると口腔ケアがゆきとどきにくくなり、歯周病が重症化しやすくなります。
口腔機能が低下し、抵抗力が下がるオーラルフレイルによって、糖尿病も歯周病も悪化するリスクが高まるのです。

噛む機能が弱くなると、糖尿病も歯周病も悪化しやすいというわけですか?

そういうことですね。オーラルフレイルを予防することで、肥満、認知症、歯周病、がん、胃腸の病気をはじめとする全身の病気を防ぎ、健康寿命を延ばす効果が期待できます

ほーう、噛む機能の維持って、健康のために重要なことなんですね!
口から食べられる(経口摂取)環境づくり
栄養を体内に摂り入れるには、点滴による静脈摂取という方法もあります。
しかしながら栄養を口から摂ることで、多くの健康効果が得られます。糖尿病に関しても、口から食べ物を摂ることで、インスリンの分泌が促進されて改善を図れることが判明しています。
インスリンの働きを活発にし、糖尿病を悪化させないためにも、噛む機能を衰えさせない取組みが大切です。
そのためには、歯周病の予防は欠かせません。

つまり、病気や老衰で噛めなくなると、糖尿病も歯周病も悪化しやすくなると?

その通りです。

でも噛む力を維持できれば、糖尿病の悪化は免れるし、そのためには歯周病の治療が必要だと?

その通りです。噛んで食べて口から栄養を摂れる口腔環境にしていくことが大切です。

なるほどー!そのためにはどうすればよいですか?

まずは歯科で歯周病の治療を受けることですね。もし通院が難しい場合は、訪問歯科を利用できますよ。
歯周病を治療すると、糖尿病も改善する!


歯周病と糖尿病が深い関係にあることがわかりました。お互いに影響し合うんですね。

歯周病を治療すると、糖尿病が改善することがわかっています。すぐに顕著な効果がでないと諦めずに、医師の指示に従って治療を続けるようにしてくださいね。

はい。さきほどのセルフチェックがギリギリで危なかったので、かかりつけの歯医者さんに相談して歯周病の検査を受けたいと思います。
- 糖尿病と歯周病は相互的に影響。歯周病を治療すれば糖尿病も改善。
- 糖尿病になると、免疫機能が低下するため歯周病になりやすい。
- 歯周病の毒素が、糖尿病を改善するインスリンの働きを阻害する。
- 口腔機能の低下や口腔ケアの不足が、双方の発生リスクを高める。
- 糖尿病と歯周病は互いに悪影響を与えるが、治療により好影響が期待できる。