受け口を治したい!下の歯を後ろへ下げる矯正で歯科医が推奨する治療とは

下の歯が上の歯より前に出ている状態を「受け口」といいます。食べ物を噛みにくい、発音しにくいといった機能的な問題もありますが、見た目のコンプレックスになってしまうことも多いようです。
そこで今回は、どうして受け口になってしまうのか、その原因と、下の歯を後ろに下げる矯正治療法についてお伝えします。
特に子供の受け口の場合は気を付けた方がいいことがありますので、この記事を読んで、お子さんの受け口の改善に役立ててくださいね。
- 受け口がコンプレックスになっていて、矯正治療を考えている。
- 受け口なので、下の歯を後ろに下げる矯正治療の方法を知りたい。
- 子供の頃は受け口ではなかったのに、どんどん下顎が目立ってきた。
- 受け口の矯正は、小さい子供の頃から始める方がいいって本当?
- 受け口は外科手術をしなければ治せないと聞いたが、本当?
下の歯が前に出る「受け口」になる原因は?

先生、受け口になる原因も遺伝ですか~?

遺伝もありますが、下顎に関しては後天的であることも多いですね。
えっ?意外かも!遺伝だけが原因じゃないんですね~!
両親からの遺伝である場合
受け口(反対咬合)の原因の多くは、骨格の遺伝です。両親や親族に受け口・しゃくれの人が入れば、子供がそうなる可能性は高いといえます。
また、子供時代に受け口の兆候があれば、大人になって自然に治るということは、ほぼありません。
上顎よりも下顎の方が後で成長するため、小さい頃に受け口になっていたのであれば、成長と共にさらに下顎が大きく育っていく可能性があります。

子供の受け口は、早くから治療を開始する方がいいですね。
早めの対応がいいんですね~!
上顎の成長が不十分な場合
顎の成長は、先に上顎が成長し、それに合わせて下顎が成長します。何らかの理由で上顎が十分に成長できず、下顎の成長が追い越してしまった場合、下顎が前に出た受け口やしゃくれと言われる状態になります。
原因は骨格の遺伝のほか、頬づえや寝る姿勢といった毎日の生活習慣であることも少なくありません。
前歯の生え方に問題があった場合
骨格に問題がなくても、上の前歯の生える方向が内側に向いてしまっているせいで、下の歯が上の歯にかぶさるように生えてしまい、受け口に見えるというケースがあります。
前歯の生え方が原因で、噛み合わせが上下逆の反対咬合になってしまった場合は、早めに小児矯正歯科で診てもらってください。

初期の段階で反対咬合を改善しておけば、その後の顎の成長にも良い影響が出て、上顎と下顎のバランスが良い成長に期待できます。
やっぱり早く歯医者さんへ行ったほうがいいですね~!
舌が短い場合
子供の舌の形が原因で、受け口になることがあります。
舌の裏側には、前歯の裏側に繋がっている舌小帯といわれる筋があるのですが、それが短い場合、舌が十分に上がりません。
舌が上がらないと発音にも影響がでるので、タ行やラ行が発音しにくい、いわゆる舌足らずのような状態になります。
そして、舌が上顎に当たる正しいポジションに納まらないため上顎が小さくなり、歯並びや噛み合わせが悪化し、受け口になりやすいのです。
口呼吸など、生活習慣の影響
口呼吸がクセになると、舌の位置が下がってしまうため受け口の原因になります。こうした間違った生活習慣が原因で歯並びや噛み合わせが悪化することもあります。
受け口・しゃくれなど下顎のトラブルは、遺伝だけでなく後天的な要因によっても起こりやすいのが特徴です。
下の歯を後ろへ下げる矯正治療法は?

じゃぁ先生、受け口を治すのには、どんな矯正治療をしたらいいですか~?

重度の受け口であれば外科手術が必要です。矯正装置を使った治療だけでは、口元が出っ張った状態が改善できないためです。どの程度の受け口であるかにもよって、矯正の方法が異なります。
そうなんですね~!じゃあ基本的に抜歯は免れない感じですか~?

受け口の程度にもよりますが、抜歯が必要になるケースは多いでしょうね。
やっぱり、そうなりますかー。

ただし、小さい子供の頃から矯正治療を始めると、抜歯せずに済む可能性が高くなりますよ。
ああっ、そうなんですね~!だから早くから治療するのがおすすめなんですね~!
子供の矯正治療

子供の受け口の矯正治療は、上下の顎がバランスよく成長するように促す方法が基本です。だからこそ、成長が進む前に、少しでも早く治療を始める方が効果的です。
子供のころからの早期の治療が上手くいくと、抜歯や外科手術をせずに済むことがあります。
3歳くらいになると、説明すれば子供自身の協力が得られるようになります。3歳~5歳の小さな子供には、寝ている間に装着するマウスピースタイプの「ムーシールド」という装置で治療を進めます。
6歳以上になると、上顎が前方へ成長するように誘導する装置や、下顎の成長を抑制する装置を使って治療を進めます。
※子供の受け口の矯正には、下記の記事も参考になります。
ワイヤー+ブラケットによる表側矯正
受け口の矯正は、矯正力が強くて幅広い症例に適用するワイヤー+ブラケットによる装置による治療が向いています。
下の歯を大きく後ろへ下げる治療になりますので、抜歯が必要になるケースがあります。
インプラント矯正
歯を大きく移動させたい場合は、ワイヤー+ブラケットでの矯正力をアップする秘策としてインプラント矯正があります。
歯科矯正用アンカースクリューというごく小さなネジを、奥歯の歯茎の部分に埋め込み、そこ歯を動かすための固定源にする方法です。
通常のワイヤー矯正は、歯同士が引っ張り合う力を利用するのに対し、インプラント矯正にはしっかりとした固定源があります。これまでよりグンと強い力で引っ張ることができるため、矯正効果が上がります。

ネジは直径2mm以下・長さ10mm以下と極小さいため、埋め込み処置に掛かる時間はほんの10分くらいです。インプラント矯正の導入によって、矯正治療の幅が格段に広がりました
わー、スゴイ~!そんな画期的な治療があるんですね~!
歯の後ろに装置をつける「裏側矯正」
裏側矯正は、歯の後ろ側に装置をつけるため、正面にいる人からはほぼ見えません。周りに気付かれずに矯正したい人に人気の治療法です。
裏側矯正は、前歯を引っ込めやすい治療法です。受け口の治療は、下の歯を後ろへ下げる必要がありますので、適した治療法といえます。
マウスピース矯正
マウスピース治療は、受け口のような歯の移動距離が大きい症例には、基本的に歯向いていません。ですが、顎のバランスが正常で、上下の前歯の噛み合わせだけが逆になっている反対咬合などあれば、マウスピースで矯正できる場合があります。
透明で目立たないマウスピースでの矯正は人気ですが、受け口の程度によっては適用しない場合がありますので、歯科で確認が必要です。
外科的矯正(下顎骨切り手術)
骨格に原因がある受け口の矯正治療は、外科手術で骨の一部を切除する必要があります。
手術を伴うということで大掛かりな治療にはなりますが、顔の印象やフェイスラインの劇的な変化が期待できます。

外科的矯正なら、美しい横顔の基準である「E-ライン」が整ったお顔を目指せます。
わー!横顔美人になれちゃいますね~!
骨格から整える外科的矯正なら顔や輪郭が変わる!


受け口の場合は、上下の顎のバランスが悪いなど、骨格そのものの問題を解消する必要があるケースが多いですね。その場合は、外科的矯正がもっとも近道といえます。
骨格からキレイになれるなら、いいですよね~!手術はちょっと怖いけど…!

受け口のレベルによっては、抜歯+ワイヤー矯正などでキレイに整えられるケースもありますよ。お子さんの場合は、早めに歯科へ連れていってあげてください。抜歯せずに済むかもしれません。
はーい!わかりました~!
- 下の歯が前に出ている受け口は、骨格の遺伝が原因であることが多い。
- 小さい子供が受け口なら、大人になって自然に治ることは、ほぼない。
- 3歳頃から受け口の矯正をすれば、抜歯や手術を回避できる可能性が高い。
- 手術で下顎の骨の一部を切除すれば、効果的に受け口を改善できる。
- インプラント矯正なら、手術せず大きく歯を後ろへ下げることも可能。