歯列矯正で歯が動くのは、なぜ?矯正の仕組みや治療の流れを徹底解説

歯列矯正で歯が動くのは、なぜ?矯正の仕組みや治療の流れを徹底解説

この記事の監修医師一覧

柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。
杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。
歯を手で動かそうとしてみても、簡単には動きません。それなのに、歯列矯正治療では、歯を正しい位置へ動かして歯並びをキレイに整えることができます。不思議ですね。
ここでは、「歯列矯正で歯が動く仕組みって、どうなっているの?」という疑問にお答えします。歯の動かし方の種類や矯正治療の流れも紹介していますのでチェックしてみてくださいね。
この記事がおすすめな人
    • 歯列矯正で、歯が動く仕組みってどうなっているのか気になる。
    • 歯列矯正で歯を正しい位置に動かす方法を知りたい。
    • 歯列矯正では、歯がどれくらいのスピードで動くのか知りたい。
    • 歯列矯正の具体的な治療の流れを知りたい。
INDEX
  1. 歯が動くってどういうこと?
    1. 矯正で歯が動く仕組みって、どうなっている?
    2. 矯正で歯が動くスピードって、どれくらい?
      1. 歯が1カ月に動く量は3~5mm
      2. 歯のデコボコは4mmくらい
    3. 歯列矯正では、どう歯を動かす?
      1. 水平移動
      2. 傾斜移動
      3. 回転
      4. ひっこめる
      5. 引っ張り出す
      6. 歯の根を移動させる
  2. 歯列矯正の流れとは?
    1. 初回の相談・カウンセリング
    2. 治療方針の説明
    3. 治療開始
    4. 治療期間
    5. 保定期間(矯正した歯並びを安定させる期間)
  3. 矯正治療をすると、たくさんのメリットがある!
  4. 矯正治療で、正しい歯並びと健康を手に入れよう!

歯が動くってどういうこと?

ネコさん

先生、どうして歯列矯正では歯が動くんですか?手で動かそうとしても絶対に無理なのに…不思議~!

柿木先生

いくら歯列矯正でも一気には動かせません。1年~3年くらい時間をかけて、少しずつ動かしていきます。

ネコさん

あー、なるほど!ゆっくり時間をかけるから、動くんですね。

矯正で歯が動く仕組みって、どうなっている?

柿木先生

実は、すべての歯は根っこで連動しているんです。1つずつ動かすわけではなくて、複数の歯を同時に動かすんですよ。

ネコさん

ええっ、そうなんですか!歯って、1本ずつ独立して見えるけど…

柿木先生

歯と、歯が埋まっているアゴの骨との間には、クッション的な役割を果たす「歯根膜」という組織があります。すべての歯の根っこは、その「歯根膜」で繋がっているわけなんです。

ネコさん

あぁ、クッションっていうくらいだから柔らかいんですね、「歯根膜」って。

柿木先生

そうなんです。簡単に言うと、「歯根膜」の中で歯が動いていくんです。

ネコさん

先生!それが”歯が動く秘密”なんですね!

「歯根膜」って?
歯の根っこのまわりは「歯根膜」という厚さ約0.2mmの組織に囲まれています。「歯根膜」が顎の骨との間でクッションのような役割を果たし、歯に衝撃が直接かからないように守っています。
矯正装置で歯の外から圧をかけることにより、「歯根膜」に変化が生じ、結果として歯が動くのです。
下のコラムで歯の矯正の仕組みについて解説します。
歯の矯正の仕組み
    • 歯の根と顎の骨の間にある「歯根膜」の伸縮を利用して歯を動かします。
    • 矯正装置で、歯に、動かしたい方向へ弱く圧力をかけます。
    • 歯が押されると、「歯根膜」が伸縮し始めます。
    • 圧がかかると、「歯根膜」伸縮し、歯が動き出します。
    • 新しく骨をつくる細胞」と、「骨を溶かす細胞」が活発に働き始めます。
    • 新しく骨をつくる細胞」は、「歯根膜」が伸びたところに骨を作ります。
    • 骨を溶かす細胞」は、「歯根膜」が縮まったところの骨を溶かします。
    • 「歯根膜」のバランスがよくなる時には、歯の移動が終わっています。
※①~⑧の「歯根膜」の伸縮→歯の移動をゆっくりと少しずつ繰り返すことで矯正できます。

矯正で歯が動くスピードって、どれくらい?

ネコさん

ゆっくり時間をかけて歯を動かしていくんですね。どれくらいのスピードで動くんですか?

柿木先生

そうですね、歯が1カ月に動く量は、0.3~0.5mmといわれています。

ネコさん

ひゃ~!2カ月でやっと1mm!矯正に時間がかかるのは仕方がないですね~!

歯が1カ月に動く量は0.3~0.5mm

矯正治療では、歯をゆっくり時間を掛けて少しずつ動かしていきます。歯が1カ月に動く量は、0.3~0.5mm程度。早い人でも最大1mm程度です。

歯のデコボコは4mmくらい

ところが、矯正治療で動かしたい大きさは、平均4mm程度です。つまり、理想の歯並びまで歯を動かすためには、数年かけて矯正を続けることになります。
長丁場になりますので、じっくりと取り組む姿勢が大切です。

歯列矯正では、どう歯を動かす?

ネコさん

先生、歯が動く仕組みはわかったんですが、矯正治療って狙ったところに歯を動かす必要がありますよね?

柿木先生

矯正治療では計画的に歯を動かしますが、いろいろな動かし方があるんですよ。

水平移動

歯の根っこを平行に移動させます。平行できれいな歯並びをつくる目的です。

傾斜移動

歯の根っこの先を軸にして回転するように動かし、傾斜させながら移動します。この方法で、倒れていた歯を真っすぐに起こすこともあります。

回転

歯並びに対して真っすぐ生えず、ねじれて生えている歯を回転させて正面を向けることで歯並びをきれいに揃えます。

ひっこめる

歯並びから上へ飛び出した歯を骨の中へ引っ込ませます。難易度の高い矯正です。

引っ張り出す

歯の根っこが埋りすぎていて周りより背が低い時、引っ張り出して隣の歯に揃えます。

歯の根を移動させる

歯の上部は動かさず、歯の根の部分だけ動かします。

歯列矯正の流れとは?

ネコさん

先生、歯列矯正ってどんな風に進めるんでしょうか?歯の動かし方がわかったので、さっそく歯列矯正を始めたくなりました。初めてだから気になります~!

柿木先生

それでは、歯列矯正治療の一般的な流れを説明しますね。

初回の相談・カウンセリング

    • 相談(カウンセリング)…30~40分
    • 検査(レントゲン、口腔内写真撮影、唾液検査、お口の型取り、歯周検査など)…1時間前後
    • 相談料は、無料サービスの場合もあるので、歯科医院のホームページ等をチェックしよう。

治療方針の説明

    • 初診の1週間~10日後。
    • 治療に使う装置の提案・説明、治療にかかる期間・費用の説明など。

治療開始

    • 矯正装置の装着…1時間30分程度。
    • 歯磨きの方法、歯周病・虫歯予防のレクチャー。

治療期間

    • 1カ月に1~2回通院してワイヤーの調整などを行う。
    • 抜歯なしの場合…治療期間は1年~1年半程度
    • 抜歯をした場合…治療期間は2年~2年半程度

保定期間(矯正した歯並びを安定させる期間)

    • 後戻り防止用のリテーナーを装着(固定式と取り外し式がある)
    • 通院…数カ月に1度程度
※注意点
途中で止めると後戻りするので、自己判断で通院をやめないこと。
リテーナーに異常が起きたり、歯に痛みが生じりしたら、我慢しないで歯医者さんにすぐに相談を。

矯正治療をすると、たくさんのメリットがある!

ネコさん

歯の矯正って、時間がかかるしやっぱり大変そう!続けられるかな~?

柿木先生

そうですね、でも歯並びを改善すると、たくさんの『良いこと』がありますよ。

歯並びを改善して期待できる『良いこと』
    • 見た目がよくなってコンプレックスが改善される。
    • 虫歯や歯周病を予防できる。
    • 口臭を予防できる。
    • 発音や会話がしやすくなる。
    • よく噛めて食事がおいしくなる。
    • 身体のパフォーマンスが向上する。
    • 肩こりが改善する。

矯正治療で、正しい歯並びと健康を手に入れよう!

ネコさん

歯列矯正って見た目が良くなるだけじゃないんですね~!がんばる価値がものすごくありますよね!

柿木先生

歯列矯正は、いつまでも健康で幸せに暮らしていただくために、おすすめですよ。

ネコさん

がんばって最後まで続けて、歯並びがキレイな健康美人になりまーす!

歯並びを改善すると見た目の印象が良くなるだけでなく、歯ブラシで清掃しやすくなるため、虫歯・歯周病・口臭の予防になります。噛み合わせが改善されて、食事がおいしくなって、消化吸収もよくなるので栄養が身体に行き渡り、健康増進にもつながります。また、歯は身体全体の骨格の要ともいえるため、全身の骨格のバランスが整い、頭痛や肩こりが改善したという人も大勢います。なかには、顔のゆがみが改善され、小顔になったという人も…。アスリートの場合は、噛み合わせが整うことでグッと食いしばれるので、身体のパフォーマンスが向上し、能力を発揮しやすくなるのは言うまでもありません。歯列矯正は、単に歯並びがきれいに整うだけでなく、身体の健康面・機能面にも大きな良い影響を及ぼすのです。
記事のポイントをチェック
    • 歯列矯正で歯が動くのは、歯の根にクッション的な組織「歯根膜」があるから。
    • 歯が動くスピードは1カ月に0.3mm~早い人でも1mm程度と、ゆっくり。
    • 長く時間をかけて動かすので時間はかかるが、歯列矯正のメリットは多い。
    • 歯列矯正は、審美的な効果はもちろん、健康、身体能力の向上にも期待できる。