矯正の結紮(けっさつ)とは?結紮の3つのタイプとメリット・デメリットを解説

一言でいうと、ワイヤーをブラケットに固定することです。
そう聞いても、矯正装置に関する基礎知識がなければなかなか理解しにくいことだと思います。
このように、歯科医師から矯正の説明を受けていると、わかりやすい言葉を選んで話してくれてはいるものの、時々、専門用語が出てくることがあります。
結紮(けっさつ)も、そのひとつ。事前に、そんな専門用語の意味や矯正装置の特徴を知っておけば、スムーズに説明を理解できますし、診療時間も短縮できます。
また、一歩踏み込んだ質問をすることもできますので、診療時間を有意義に過ごせますよ。
ここでは、矯正治療を考えているなら役に立つ、矯正の結紮(けっさつ)についての基礎知識を解説します。
- 矯正の結紮(けっさつ)という言葉を初めて聞いた。意味を知りたい。
- 結紮の種類や、それぞれのメリット・デメリットを知りたい。
- ブラケットの種類や、それぞれのメリット・デメリットを知りたい。
- 結紮やブラケットの違いで矯正の仕上がりに差がでるのか、知りたい。
「結紮(けっさつ)」とは?

先生、矯正の結紮(けっさつ)って、どういう意味ですか?矯正って、難しい専門用語が多くて、ついていけるか心配です~!

専門用語については歯科医が説明医しますので、覚えなくても大丈夫ですよ。ただ、事前に知識をつけておくと、説明がスムーズに理解できますし、治療法の検討もしやすいので、役立つことはあると思います。
なるほど、必ず覚えないといけないわけじゃなくて、知っておくとお得っていうことなんですね~!気が楽になりました~!

リラックスしていきましょう。わからないことがあれば、診療中でも、いつでも質問して大丈夫ですよ。それでは、結紮(けっさつ)について、説明していきますね。
矯正ブラケットにワイヤーを固定すること
結紮(けっさつ)とは、ワイヤーをブラケットに固定することです。一般的にイメージする矯正装置は、歯の表面に歯科用の接着剤でブラケットという留め具を装着しています。
そこに、金属などでできたワイヤーを通して固定します。
このワイヤーを固定することを結紮(けっさつ)というのです。
歯を動かすための圧力をコントロールする
なぜ、結紮(けっさつ)するのかというと、ワイヤーが外れないように留めることだけが目的ではありません。大事な目的は、歯を動かすための圧力のコントロールです。
矯正の結紮方法3タイプのメリット・デメリット

先生、結紮の意味がわかりました!ワイヤーをブラケットに留めることですね!でも、何を使って留めるの…?

いい質問ですね。結紮のタイプには、大きくわけて3つあります。「針金のようなタイプ」「輪ゴムのようなタイプ」「結紮が不要なタイプ」です。詳しくは、下記をご覧ください。
針金のようなもの(結紮線)を巻きつける

まず1つが、結紮戦を使って巻き付ける方法です。
針金みたいなタイプですね。
治療の進行に合わせて巻き付け方を比較的簡単に変えられるので、経過に合わせて歯にかける圧力を細かく調整しやすいというメリットがあります。サイズが小さいブラケットでも大丈夫な方法ですので、お口の中で矯正装置の違和感が少なくなります。
結紮線のメリット
- 細やかな調整ができる。
- 薄くて小さいブラケットを使える。
結紮線のデメリット
- 装置をつけるのに、やや時間がかかる。
- 硬いものを噛むと外れることがある。
輪ゴムのようなもの(モジュール)を引っ掛ける

小さな輪ゴムのようなパーツで固定する方法もあります。
わぁ!赤・青・黄とか、カラフルですね!ミッキーやネコちゃん、クマさんまである!

矯正装置をカラフルでオシャレなアクセサリー感覚に変えることができるアイテムなんですよ。
こんなかわいい矯正器具もあるんですね!楽しく矯正できそう~!
バリエーションが豊富で、「矯正装置を遊び心たっぷりに楽しんでしまおう」というアイデアです。お子さんが自分から進んで矯正するきっかけにもなります。
モジュールのメリット
- 色やデザインのバリエーションが豊富で、矯正器具でオシャレを楽しめる。
- 結紮戦より調整や装着にかかる時間を短縮できる。
モジュールのデメリット
- ワイヤーにかかる摩擦仕方が高まるため、適応しない症例がある。
- 劣化しやすいため、定期的に交換する必要がある。
結紮が不要(セルフライゲーションブラケット)

結紮つまり固定しなくてもいいタイプの矯正装置もあるんですよ。「セルフライゲーションブラケット」といいます。
へぇ~、固定しないんですか?じゃあどうやって留めるの…?

いい質問ですね。ブラケットの作りが開閉式の扉になっていて、そこにワイヤーを挟んでおく形になっています。ゆとりがあるので、歯が動きやすいというメリットがあるんですよ。
それ、すごくいいじゃないですか!どうして皆さん、それにしないの?

デメリットもいくつかあるので、下記をご覧くださいね。デメリットとはいえ健康上の問題はないので、ライフスタイルや利便性などを考えて検討してみてください。
セルフライゲーションブラケットのメリット
- 歯が従来より約10倍、動きやすいといわれています。
- 摩擦を少なくしているので痛みが出にくいです。
- 結紮にかかる時間が短いので、診療時間が短縮されます。
セルフライゲーションブラケットのデメリット
- 開閉式ブラケットのためサイズがやや大きめ。慣れるまで口内で違和感があることも。
- 費用が他の装置よりも割高になります。
- 審美ブラケット・ワイヤーは使えません。金属製のみです。
矯正ブラケットの4タイプのメリット・デメリット
先生、結紮について理解できました~。ワイヤーを結紮するブラケットって色々な種類がありますよね?何が違うんですか?それも気になります~!

大きく分けて、4種類のブラケットがあります。それぞれのメリット・デメリットを解説しますので、下記をご覧ください。
メタルブラケット


矯正装置といえば、皆さんがイメージするのが金属製の「メタルブラケット」です。
あぁ、口元でギラギラと目立つ矯正装置ですよね…。少し抵抗があるなぁ…。

確かに目立ちますが、メタルブラケットには、難しい症例にも対応する優れた点があります。抜歯せずに済むこともあるんですよ。
えっ、目立つから安いのだけが魅力の矯正方法なのかと思ってました…!そんなすごいメリットもあるんですね!?

そうなんですよ。詳しく説明していますので、下記をご覧ください。
目立つ矯正装置に抵抗があるという方が多い一方で、機能面でのメリットを優先して、敢えてこのタイプの矯正装置を選ぶ方も少なくありません。
メタルブラケットのメリット
- 他の矯正装置より、安価。
- 幅広い症例に対応する。難しい矯正が可能になるケースも多い。
- 金属製なので、丈夫で壊れにくい。
メタルブラケットのデメリット
- 金属製なのでギラギラと目立ちやすい。
プラスチックブラケット

目立ちにくい矯正装置がお好きな方には、透明のブラケットがあります。
透明!?それだと歯につけていても、わかりにくいですね!

ただ、プラスチック製なので、摩耗しやすいなどデメリットもあります。
あぁ…目立たない矯正方法を選びたいから、多少のデメリットには目をつぶってもいいかな~?とも思うけど、実際どうなのか、詳しく知りたいです!
プラスチックブラケットのメリット
- 透明なので目立ちにくい。
プラスチックブラケットのデメリット
- プラスチック製のため、摩耗しやすい。経年劣化のリスクが高い。
- 色の濃い食品を摂ると、着色汚れがつきやすい。
- 交換しなければならないケースが多く、追加料金が発生する。
セラミックブラケット
先生、目立たないブラケットがいいんですよ~。でも迷っちゃいますね~…。

では、白いセラミックのブラケットはいかがですか?こちらは目立たない上に、削れたり着色したりもしにくいです。
えっ!そんな素晴らしい矯正装置があるなんて!早く言ってくださいよ~!

歯に馴染みのよい白色なので、見た目の印象は自然です。ただし、セラミック製なので費用が高額になります。
あぁ~なるほど~!ご予算と相談ですね…!でも、やっぱり目立たなくて見た目がキレイな方法に惹かれちゃう~!
歯に馴染みのよい白色なのも、嬉しいポイントです。ホワイトワイヤーを組み合わせれば、目立たない矯正装置の完成です。
セラミックブラケットのメリット
- 白いセラミック製なので、見た目がキレイで審美性が高い。
- プラスチック製ブラケットのように摩耗する、着色するという心配がない。
セラミックブラケットのデメリット
- 価格が高額。
- あまりにも硬いものを噛むと割れることがある。
リンガルブラケット
先生、周りにバレない矯正方法があったと思うのですが、まだ出てきていませんよね…?

裏側矯正のことですね。リンガルブラケットがそうです。舌側に矯正装置を取り付けるので、正面からだ見えません。
そうそう!リンガルブラケット!これです~!モデルさんなんかも、この方法で密かに矯正してるんですよね~!矯正中もキレイなままで居られるっていうのがいいですよね!

そうですね、モデルや接客業の方など、人前に出られる職業の方に選ばれる矯正法ですね。
先生~、ワタシもきれいなままで居たいから、この方法がいいなと思います!

いいと思いますよ(笑)
ただし高価なので、下の歯は表側矯正にして、目立つ上の歯だけ裏側矯正にするハーフリンガルブラケットという方法を選ぶケースも多いです。構造は同じで、セルフライゲーションタイプの裏側矯正もあります。
リンガルブラケットのメリット
- 前から見ると、矯正装置をつけていることがわからない。
- 周囲にバレずに、密かに歯列矯正を進めることができる。
リンガルブラケットのデメリット
- 費用が高額。
- 舌側に矯正装置があるので、器具が当たって痛いことがある。
- 舌側に矯正装置があるので、発音しにくい場合がある。
結紮不要!マウスピース矯正なら自分で取り外しできる


目立たない矯正は、ほかにもありますよ。しかも結紮が要らない矯正法です。
目立たない矯正?ぜひ知りたいです~!

透明のマウスピース使う矯正です。食事と歯磨きの時には取り外しできるので、利便性も高くて、人気が高まっていますよ。
取り外しできるのは、いいですね~!
装置が壊れにくくトラブルが少ないことでも人気を集めています。
矯正中の注意事項

先生、結紮って外れてしまうことはないんですか?ちょっと心配…。

もし結紮が外れるなどのトラブルがあれば、担当の歯科医院に連絡して指示をうけてください。どうすればいいか教えてくれますよ。
矯正装置の結紮が外れてしまったら?

通院できるようなら、たいていは応急処置をしてくれますので、相談してみましょう。
歯科医院に行く前に、どうしても気になるようなら、自分で応急処置をしてもよいでしょう。
結紮戦が飛び出て口の中に当たるようなら、つまようじなどでワイヤーの下に押し込みます。口の中を傷つけないように注意してください。歯科医院で取り扱っている矯正用ワックスでカバーすることもできます。
矯正中は硬いものやくっつきやすい食べ物は避けよう

特に矯正の初期は、ワイヤーが細くて壊れやすいので要注意です。
矯正の結紮方法やブラケットの種類による治療の仕上がりに差はほとんどない!

先生~、結紮の方法やブラケットの種類について、選び方がわかりました~!

どれを選んでも、矯正の仕上がりにほぼ影響はありません。ライフスタイルや利便性、ご予算などで選ぶのがおすすめです。
希望は、周りにバレない裏側矯正ですけど、目立たない透明ブラケットでもいいかなぁ…予算と相談です!

矯正歯科では、デンタルローンやクレジットカードの分割払いを扱っているところも多いので、受付で尋ねてみるといいですよ。
えっ、歯医者さんでも分割払いができるんですか?それなら裏側矯正も夢じゃないかも~!
- 矯正の結紮(けっさつ)とは、ブラケットにワイヤーを固定すること。
- 矯正の結紮も、ブラケットの種類も、ライフスタイルや利便性・予算に合わせて選べる。
- どの結紮・ブラケットを使用しても矯正効果の差はほとんどない。歯科医師と相談して検討しよう。