歯並びの矯正例|あなたはどのタイプ?症状タイプ別の矯正方法を紹介

八重歯、出っ歯、受け口など、歯並びの乱れの症状、お悩みタイプはさまざまです。
矯正の治療法には多彩な方法がありますから、自分はどんな治療を行うべきなのか、知識がない状態では見当もつかないことでしょう。
担当する歯科医師によって、治療方針が異なるケースもあります。自分の症状にはどんな治療法が向いているのか、あらかじめ目安を知っておければ、不安が軽減されますね。
ここでは、「お悩みのタイプ別おすすめの治療法」を紹介します。
- 矯正方法には色々な種類があるけれど、どれが自分のタイプに合っているのか知りたい。
- 治したい歯並びのタイプによって、どんな矯正方法がおすすめなのか知りたい。
- 矯正治療を受ける時、気を付けることがあれば知っておきたい。
タイプ別!矯正方法の選び方

先生、ちょっと気になっていることがあるんですが。

はい、ネコさん、なんでしょう?
治したい歯並びによって治療法って違うんですか?ワタシは八重歯を治したいんですけど…。

そうですね、症状のタイプ別に適した矯正治療の方法があります。
やっぱり~。じゃぁ、あの治療法をやってみたいというのがあっても、希望と合わないこともあるんですね~。

よくわかりましたね。その通りです。希望の治療法があっても、お口の状態によっては適応しないことがあります。とはいえ、工夫次第で可能になる場合もありますので、希望があれば、歯科医師に気軽に相談してくださいね。
はーい!わかりました~!
八重歯

先生、ワタシの場合は八重歯を治したいんです~。どんな治療法が合いますか?

八重歯とは、叢生(そうせい)と呼ばれる、デコボコと重なり合った歯並びのことです。乱杭歯(らんぐい歯)ともいいます。犬歯がよく八重歯になっていることがあるので、犬歯が飛び出していることを八重歯と勘違いされていることが多いんですよ。
えっ!犬歯の別名が八重歯なのかと思ってました…!違うんですね~。
八重歯は、歯がキレイに並ぶスペースが足りないせいで重なり合っているケースが多いといえます。そのため小臼歯を抜歯してスペースをつくり、そこへ歯を動かしていって理想の歯並びに近づけていきます。
最近は非抜歯で八重歯を治す歯医者さんもいますが、歯が元の位置に戻りやすいというリスクがあることと、保定期間が長くなる可能性があります。
- ブラケット矯正
- リンガルブラケット矯正
- マウスピース矯正
- 部分矯正
※詳しい治療法は記事の下部をご確認ください(以下同)。
すきっ歯

すきっ歯ってどんな状態でしたっけ?

代表的なのは、前歯の中央が広く開いているタイプです。指しゃぶりや前歯を舌で押す癖、歯周病などが原因でなりやすい症状ですね。
わっ、指しゃぶり!?子どもの頃、無意識にやってしまいますよね。早く気づいて止めた方がいいですね…!
すきっ歯は、歯と歯の間が大きく開いている症状です。
すきっ歯の原因は、生まれつき歯が小さい、指しゃぶり癖、前歯を舌で押す癖、噛み合わせが深い、歯周病など。
成長期の子どもは、まだ顎が成長する可能性があるので、歯のすき間を人工歯で埋めてしまうような治療(ダイレクトボンディング法、ラミネートベニア法)をしません。
- ブラケット矯正
- リンガルブラケット矯正
- マウスピース矯正
- ダイレクトボンディング法
- ラミネートベニア法
- 被せもの
出っ歯や口元が突出している場合

出っ歯は前歯が大きく飛び出している状態ですよね?

そうですね、上の歯が下の歯より突き出している状態です。口元が前に突き出している症状も同様の治療を行います。
これはけっこう治すのが大変そうな気がします…!
出っ歯と、口元が突出している状態「上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)」、この2つの症状の治療は、同じ方法で治療していきます。
抜歯してスペースを作り、歯を動かしていく方法が一般的です。
大きく歯を後ろへ引っ張る必要がありますので、ヘッドギアといった大掛りな矯正装置を使用する場合もあります。
子どもの場合は、指しゃぶりや口呼吸などの癖を止める、出っ歯を予防できます。
- ブラケット矯正
- リンガルブラケット矯正
- ヘッドギア
- 子どもは指しゃぶり口呼吸など癖の改善も有効
受け口・下の歯が上の歯より出ている場合

受け口っていうと、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態ですよね?治すのが大変そう…!

そうですね。骨格が原因のケースもあるので、外科手術が必要になることもありますね。
ひゃぁ、手術ですか!
受け口は、下顎・下の歯が、上の歯よりも前へ出ていることを指します。
本来の形は、上の歯が、下の歯に2mmくらい覆いかぶさっている状態です。それが上下反対になっているので、「反対咬合」とも呼ばれます。
噛み合わせの悪化、滑舌の悪さ、顎関節症などを引き起こす誘因にもなるので、矯正で改善しておくのがおすすめです。
- ブラケット矯正が一般的
- 反対咬合専門のマウスピース
- 口周りの筋肉トレーニング
- ヘッドギア
- 子どもは指しゃぶり口呼吸など癖の改善も有効
上下の歯がずれている場合

上下の歯がズレて噛み合わない状態ですね。食事に苦労しそう…!

上下の歯がずれて噛み合わない症状で、歯だけでなく顔も歪んで見えることがあります。よく噛めないので、胃腸にもトラブルが及ぶこともあります。
それは、早く矯正した方がいいですね…!
上下の歯がずれて噛み合わない状態を「交叉咬合(こうさこうごう)」といいます。
長く続くと、重症化して顔の骨が歪むこともあります。噛み合わせがよくないため、消化不良や顎関節症を起こすことも。
原因としては、生まれながらの骨格、指しゃぶりや頬杖などの癖のほか、事故などの外傷による場合もあります。
- ブラケット矯正
- リンガルブラケット矯正
- マウスピース矯正
- ネジの力を利用する拡大装置
- ヘッドギア
- クワッドヘリックス
- 拡大プレート(拡大床)
- 重症の場合は外科手術が必要
下の歯が上の歯に隠れている場合

上の歯が、下の歯にすっかり被ってしまっているんですね~。これも矯正大変そうですね。

そうですね、外科手術が必要になることもありますね。たいていは、ブラケット・リンガルブラケット・マウスピースで矯正が可能です。
下の歯が、すっかり上の歯に隠れてしまっている症状を「過蓋咬合(かがいこうごう)」といいます。骨格が原因であれば、外科手術が必要になることもあります。
ほとんどは、ブラケット・リンガルブラケット・マウスピースで矯正できます。
下の歯が隠れてしまっているため、虫歯や歯周病、顎関節症、歯茎の炎症などにかかりやすくなりますので、早期の治療がおすすめです。
- ブラケット矯正
- リンガルブラケット矯正
- マウスピース矯正
- 子どもは、筋肉トレーニングなど
歯茎が出すぎている場合

ガミースマイルですよね、聞いたことありますね。

笑うと歯茎が見える症状のことです。これも、矯正治療で治せる場合があります。治療できるかどうかは、原因によります。
笑うと歯茎が目立つガミースマイルは、一般の歯医者さんで治療できる場合があります。原因が、出っ歯によって歯茎が前に出てしまっている場合などです。
治療では、健康な歯を抜いたり削ったりして人工歯にする方法もありますが、健康な歯を傷つけてしまいますので、あまりおすすめではありません。
- 一般歯科での矯正治療(症例に合わせて提案)
- マウスピース型トレーナーでの筋肉療法
- ボツリヌス菌の注射
- 口腔外科での外科手術(粘膜や歯茎・骨の切除)
厚生労働大臣が定める疾患なら保険が適用

先生、さっきから口腔外科での外科手術という治療法が出てくるんですが、手術をしたら莫大な治療費がかかるんじゃないですか…?

そうですね、審美目的であれば自費診療になりますね。ただし先天的な顎変形症など、「厚生労働大臣が定める疾患」で外科手術を要する場合などは健康保険の対象になります。
えー、保険が使えるケースもあるんですね。

そのほかにも、最近は「口腔機能発達不全症」も保険適応になりました。
「口腔機能発達不全症」とは、うまく噛んだり飲み込んだりすることができない、発声に異常がある、口呼吸するなどの症状です。子どもの場合は、お口周りの筋力トレーニングでの改善が理想です。
矯正歯科治療が保険診療の対象になるケースについては、下記のページを参照してください。
矯正方法の種類を解説!

先生、今まで聞いてきた矯正方法を詳しく知りたいです~。

わかりました。下記に簡単にまとめましたので、ご覧ください。
ブラケット矯正

歯にブラケットという装置を取り付け、ワイヤーを通して歯に圧力をかけて、歯を移動させていく矯正法です。
リンガルブラケット(裏側)矯正

歯の裏側に矯正装置をとりつけるので、正面から見るとほぼ見えません。周りに気づかれずに矯正できる方法です。
マウスピース矯正

透明の目立ちにくいマウスピースを使います。いくつかのマウスピースを取り替えていくことで、どんどん歯を動かし、理想の歯並びに近づけていく矯正法です。
部分矯正
気になるところを部分的に矯正する治療法です。上記のどの治療法にも対応しています。
外科手術
骨格に問題がある場合は、口腔外科での外科手術を伴う矯正治療が必要になることもあります。
筋肉トレーニングなど
時に子どもの場合は成長途中ですので、お口まわりの筋力トレーニングなどで問題を改善することも可能です。
矯正治療を受ける際の注意点

先生、矯正治療を受ける時に気を付けることってありますか~?

矯正治療後の保定期間も、指示を守ることです。歯は元に戻る習性がありますので、しっかりと保定装置をつけないと、矯正の仕上がりに大きな影響がありますよ。
わかりました~!
- 矯正は症状・タイプによって、向いている治療法が異なる。
- 一般歯科でできる治療と、専門的な口腔外科に行く必要のある治療がある。
- 自分のタイプとライフスタイルに合った無理のない矯正方法を選ぶこと。