子供の出っ歯の矯正治療は早い方がいい?歯科医が早期スタートを推す理由

「子供が出っ歯になってきた」「矯正治療をうけさせたいけど、いくつから始めればいいの?」
そんなお悩みを抱える親御さんにおすすめしたいのは、早期のスタートです。
ここでは、何歳から矯正を始めるべきなのか、どうして早く始めると良いのか、また、どんな治療法があるのかなど、子供の出っ歯の矯正治療の基本についてお伝えします。
「出っ歯は遺伝するのか心配」という方にも、ぜひご覧いただけたらと思います。
- 子供の出っ歯が気になる。矯正は何歳から始めるべき?
- 子供の出っ歯の矯正は早期開始が良いというのは本当?
- 親が出っ歯なので、子供に遺伝するのではと心配している。
- 子供の乳歯が出っ歯ぎみ。永久歯になったら自然に治る?
- 子供の出っ歯の治療法は大人と違う?どんな方法がある?
子供の出っ歯の矯正は、いつから始める?

子供の矯正、早く始める方がいいって聞くけど、何歳頃から始めるべき…?
多いのは8~12歳からのスタート
子供の出っ歯の矯正を考えているなら、早期治療をする方がたくさんのメリットがあります。
一般的に多いのは8~12歳のスタートです。この時期は、どんどん歯が生え変わるため、乳歯と永久歯が混在しています。
混合歯列期、もしくは側方歯群交換期と呼ばれる時期です。
幼少期から定期検診に通うのがおすすめ
もっと小さな子供の頃から小児歯科に通い、定期検診を受けるようにしていれば、虫歯の予防ができます。そして、一人ひとりのお口の状態に合った矯正治療を始めるべきタイミングを教えてもらえます。
歯医者に通うのに早すぎるということはありません。歯を健やかに保つために、できるだけ早めに歯科へ通う習慣をつけておきましょう。
子供の出っ歯の矯正は早い方が良い理由

先生、どうして子供の出っ歯の治療は早く始める方がいいんでしょうか?

早期に始めると、大掛かりな治療を避けられる可能性が高くなります。つまり、お子さんの身体への負担が少なくなるということです。
へぇーそうなんですね。大掛かりな治療というと、どんな…?

抜歯や外科手術などですね。
わぁ…!それは子供にはちょっとたいへん。そのメリットは見逃せませんね。
抜歯しなくて済む可能性が高い
出っ歯の治療は、前方へ飛び出してしまっている歯を後ろへ引っ込めるために、歯を大きく移動させなければならないケースが多くなります。
歯を動かすスペースを確保するために、抜歯を必要とする大掛かりな治療になることが多いのも特徴です。
また、出っ歯には、歯そのものに原因があるタイプと、骨格に原因があるタイプがあります。
もし、骨格要因の出っ歯なら、レベルによっては顎の骨を一部切除する外科手術が必要になります。
ところが、子供の頃から早期治療を始めると、顎の成長を活かした治療ができます。
顎が正しい成長を遂げるよう、促す治療を行うことができるので、抜歯や外科手術を回避することも可能なのです。
出っ歯は早期治療が重要!その理由

うちの子、少し出っ歯なんですけれど、まだどれくらいの出っ歯になるかわからないんですよね。成長したら治るんじゃないかなと期待してるんですけど…。

うーん、そうですね。一概には言えませんが、成長と共に「自然に出っ歯が治る」ということは、ほとんど考えられないですね。
そうなんですか?出っ歯だった子役が思春期になったらキレイな歯並びになっていたりしません…?

テレビに出ているお子さんですから、密かに矯正治療をしている可能性はないですかね?
あぁー…確かに…。言われてみればそうですね。
成長とともに悪化する
出っ歯になるのは、遺伝的な要因が主な原因といわれています。
両親のどちらかが出っ歯や歯並びでお悩みの場合は、子供に引き継ぐ可能性が高くなります。今後、子供が成長すると共に、さらにそのお悩みが色濃く表れてくる可能性は否めません。
「成長したら治るのでは?」という淡い期待を抱いていても、成長とともに悪化する可能性のほうが高いといえるでしょう。
唇が閉じにくくなる
出っ歯が原因で、成長と共に口を閉じにくくなってしまうことがあります。努力すれば閉じられるのですが、閉じるために強い力が必要になるのです。
そうなると、子供の場合は無理に口を閉じようとしなくなるので、常にポカンと口を開けた状態になってしまいます。
そして、鼻呼吸から口呼吸へと変わってしまいます。
口呼吸になると、口内が乾燥して唾液の殺菌作用が働かなくなり、細菌が繁殖しやすい環境をつくりだしてしまいます。そして、さまざまな感染症にかかりやすくなります。
風邪やインフルエンザはもちろんですが、虫歯や歯周病も感染症です。口臭も強くなります。
ただ口を開けているというだけで、こんなにもたくさんの健康リスクにさらされるようになるのです。
転んで前歯が折れやすい
出っ歯の子供に多いのが、転んだりぶつけたりして、前歯が欠けたり折れたりしてしまう事故です。出っ歯ではない人の2倍以上の発生リスクがあるといわれています。
少し欠けるくらいなら修復できることも多いのですが、もし歯根から折れてしまって神経まで達してしまうようなことになれば、抜歯を免れません。小さいうちから前歯を差し歯やインプラントにしなければならない事態に陥ることもあるのです。
早期矯正で対策しておく方がいいといえるでしょう。
子どもの出っ歯の治療法

子供の出っ歯の矯正は、早い方がいいのですね。大人の矯正とはやり方が違うっていうことですか…?

そうなんです。子供の矯正には、永久歯がキレイな歯並びになれるように、顎の骨が正しい大きさや位置に成長するように促すという役割がありますね。
??…顎の骨の成長を促す…?どうやるのかしら…?
「ヘッドギア」で上顎の成長を抑制
骨格要因の出っ歯の場合は、骨の成長をコントロールするためにヘッドギアを使用します。
歯並びに要因がある出っ歯の場合にも、奥歯を大きく後ろへ移動させる治療としてヘッドギアが有効です。ヘッドギアで矯正効果を得られると、抜歯や外科手術を回避できます。
ヘッドギアを装着するためには、まずは奥歯に固定式の装置をとりつける必要があります。そこへ、太いワイヤー製のフェイスボーを接続し、ヘッドキャップに装着して歯を後ろへ引っ張ります。
たくさんの部品がついている装置なので、装着している時は激しい運動は避けてください。
屋内に居ても、つい兄弟げんかがエスカレートして器具で身体を傷つけてしまうことがないように、気を付けてあげてください。
ヘッドギアを装着するときの注意点
- 1日17時間以上使用すること。
- 静かに過ごすこと。
- 装置の取り扱いに注意すること。
※ヘッドギアについては、下記の記事も参考になります。
「バイオネーター(機能的矯正装置)」で下顎の成長を促進
バイオネーターは、成長期の子供だけが使用できる矯正装置です。ヨーロッパで多く使用されています。
ワイヤーとプラスチック床でできている装置で、下顎の成長をコントロールして、出っ歯の治療を行います。噛む力や筋肉の動きを矯正力として利用し、顎の成長促進や改善を行います。
取り外しが可能です。1日10時間以上という規定時間を守れば、通学や食事の際は外すことができます。
バイオネーターを装着するときの注意点
- 1日に10時間以上使用すること。
- 決められた使用方法を守ること。
- 取り外しできるが、夜はつけたまま寝ること。
「マウスピース矯正」で顎の成長バランスを調整
子供の出っ歯は、マウスピース矯正での治療も可能です。最近では、子供専用の矯正用マウスピースもあります。
一般的に、上下の顎の成長バランスが悪いことから、出っ歯になってしまうケースが多いといえます。マウスピースを装着して顎の成長をコントロールし、適正なバランスに戻します。
また、マウスピース矯正の大きなメリットは、透明なので目立たないという点です。
これまでのような目立つ金属製の矯正装置のように、「人に見られるのが恥ずかしい」という気持ちになったり、矯正装置をつけている姿をコンプレックスに思ってしまったりといった子供の心を傷つけるような影響を回避できます。
歯磨きの時には取り外しできるので、虫歯になりにくいのも嬉しいポイントです。
マウスピースを装着するときの注意点
- 1日に20時間以上使用すること。
- 取り外し可能だが、外したら着けるのを忘れないこと。
- 永久歯の萌出数などの適用条件があるので、歯科医に確認を。
子どもの出っ歯の治療は早期スタートがおすすめ!

抜歯や手術をせずに済むかもしれないのは、子供のためにも見逃せないです。子供の出っ歯の矯正は、早めに始める方がいいですね。

その通りです。お子さんのお口の状態によって最適な治療法が異なりますので、まずは小児歯科で相談するといいですね。早期にスタートすると選択肢が増えるのでお得ですよ。
たしかにそうですね。早めに歯医者さんに相談に行きたいと思います。
- 子供の出っ歯の早期スタートは、8歳~12歳からが多い。
- 幼少期から定期的に歯科検診の習慣をつけるのがおすすめ。
- 出っ歯は遺伝要素が強い。成長したら自然に治ることはない。
- 子供の出っ歯の治療は、顎の成長バランスを整える目的がメイン。
- 出っ歯の矯正を早期開始すると、抜歯や手術を免れる可能性。