矯正治療したら歯茎が下がった、隙間ができた!原因と3つの改善方法

せっかく矯正をしたのに、歯茎が下がってしまった、前歯の根本に隙間ができてしまったという人がいます。歯並びがきれいになるはずが、予想の仕上がりと違うなんてがっかりしますね。健康面では問題ありませんが、見た目が気になってしまう人も多いでしょう。ここでは、矯正後の歯茎下がりや隙間ができる理由と、改善方法についてご紹介します。
- 矯正で歯並びがよくなったら歯と歯の間に隙間ができた!
- 矯正治療したらなぜか歯茎が下がってしまった…
- 矯正後にできた歯と歯の間の三角形の隙間が気になる…
- 歯茎下がりを改善する方法はないの?
- 歯と歯の間の隙間を埋めたい!
矯正後に歯茎下がりや隙間ができる理由
歯茎が下がって歯の根本に三角形の隙間ができることを、ブラックトライアングルといいます。矯正治療をするとブラックトライアングルができてしまう理由は2つあります。
1.元が叢生(乱ぐい歯)だった

元の歯並びがけっこうガタガタだった場合、重なり合っている歯と歯の間はとても狭くなっています。ところが、矯正によって歯が正しい向きや位置に並ぶと、重なりがなくなった分、歯茎に余裕ができます。これが、ブラックトライアングルができる1つ目の理由です。

元々10人がけの電車に11人無理に座っていたのが10人になって、余裕ができたイメージです。
隣の人とギュウギュウになってたのが楽になった感じですね。
2.矯正でかかる圧によるもの

矯正治療は、歯に圧をかけて少しずつ動かすという方法です。矯正による力が強い場合、歯茎退縮が起こることもあります。また、歯ぎしりや食いしばりのクセがあると、矯正に加えてさらに圧がかかるため、歯茎退縮が起こります。

歯ぎしりや食いしばりが就寝中だけにある人は、自覚がないこともあります。
あ〜、自分で気づくのって難しいですよね〜。

同居している家族や旅行で同室になった人に指摘されて気がつく場合もあります。
なるほど〜。
2.歯肉炎があった

歯が重なっていると、ブラシが届きにくいのでプラークができやすく、歯肉炎が起こって歯茎が腫れて盛り上がっていることもあります。しかし、実際には炎症によって骨が溶け、高さが低下しています。歯並びが矯正されると歯ブラシが届くようになるので歯肉炎が改善されて腫れが引き、低くなってしまった骨の高さと相まって歯茎が急に下がったように感じるのです。

歯ブラシがしっかり届くようになって、歯茎が引き締まるからというのもあります。
へぇ〜。炎症を起こして腫れてた歯茎がキュッと引き締まるんですね。
矯正後の歯茎下がりや隙間を改善する治療法
矯正によって下がってしまった歯茎やブラックトライアングルは、主に3つの治療法によって改善することが可能です。
- 歯の接触面を削って隙間をなくす
- 歯茎を移植する
- ヒアルロン酸で歯茎を膨らます
ひとつずつ詳しくご説明していきましょう。
1.歯の接触面を削って隙間をなくす

歯と歯の間の隙間が気になる場合は、お互いの歯の接触面を削って寄せることで、隙間を少なくすることができます。これをディスキング、ストリッピング、またはIPRなどといいます。
削ったところから虫歯になっちゃうってことはないんですか?

削るのは0.2〜0.3mmとごくわずかだし、削った面は密着するので汚れもたまりませんよ。
へぇ〜、じゃあ虫歯の心配もないですね〜。
2.歯茎を移植する

もうひとつの方法は、上顎の裏などから粘膜を採って歯茎に移植するというものです。ただし、骨が下がってしまっている場合には、歯茎を移植して増やしても、また下がってしまう可能性があるので注意が必要です。ただ、自分の歯茎から移植するので、コンポジットレジンなどの人工物で埋めるよりは自然に見えるでしょう。

コンポジットレジンは経年変色するので、時間が経つと元の歯と色が合わなくなることがあります。
へぇ〜、根本だけ茶色くなっちゃう感じですかね〜。

そうですね。プラスチックなので着色汚れが落ちないんです。
あ〜、そういうことか!
3.ヒアルロン酸で歯茎を膨らます

ヒアルロン酸を注射して、歯茎を膨らます方法です。これは審美歯科や美容クリニックなどで行うことができます。ただし、3週間おきに3回以上続けてやらなければならず、自然吸収されてしまうので繰り返し行う必要があります。

歯肉炎や歯周病があるとできないので、もしやるとしても事前に治療してからになります。
へぇ〜、そうなんですね〜。
矯正後に歯茎下がりや隙間ができるのを防ぐ方法
矯正後に歯茎下がりや隙間ができないようにするには、以下の方法がおすすめです。
1.歯周病ケアを徹底する

矯正中は通常にもまして歯周病になりやすくなっています。矯正器具などで歯ブラシが届かない場所があったら、歯科医院でブラッシング指導を受けましょう。歯科衛生士がお口の状態に合わせたブラッシング指導を行ってくれます。

歯間ブラシや、今までの歯磨きでは使ったことがない特殊な歯ブラシの使い方も教えてくれますよ。
特殊な歯ブラシ…?

タフトブラシといって、細かい部分専用の歯ブラシです。ドラッグストアでも買えますよ。
2.セルフライゲーションで矯正する

セルフライゲーションとは、比較的新しいワイヤー矯正の種類です。セルフライゲーションはブラケットとワイヤーの間に遊びをもたせる構造により、摩擦を減らして従来の1/10という弱い力で歯を動かすシステムです。
従来では強い力で引っ張るのが良いとされていたため、昔からのワイヤー矯正は、歯に固定したブラケットをワイヤーで強く引っ張って歯を動かします。しかし、近年では弱い力のほうが早くスムーズに歯が移動することが分かっています。

今まではブラケットの上からワイヤーで強めに締め付けるようなイメージでしたが、セルフライゲーションはワイヤーがブラケット内を自由に動ける感じです。
へぇ〜。何となく分かるような分からないような…。

要するに、歯に必要以上に負担がかからないので、歯茎下がりを最小限に留められるということなんです。
なるほど〜。痛みも少なそうですね。

そのとおり。
歯茎下がりや隙間を改善してくれる歯科医院を選ぼう
元々の歯並びがガタガタや凸凹の人は、矯正治療によって歯茎に隙間が出てしまう確率は高いです。それは想定内のことなので、矯正後にどうなるかという説明や、その後のフォローも提案してくれる歯科医院だと安心ですね。
- 矯正後に歯茎が下がったり隙間ができたりするのは、元々の歯並びがガタガタだったため
- 歯ぎしりや食いしばりがあると矯正による圧にプラスして圧がかかってしまう
- 歯茎に炎症が起こっていた場合、骨の位置が低くなって歯茎も一緒に下がってしまう
- 歯と歯の接触面を削ってお互いの歯を寄せて隙間を少なくする方法がある
- 別の部分から歯茎を移植する方法もある
- 矯正後の歯茎下がりを防ぐには、歯周病に気をつけることが重要
- ヒアルロン酸注射で歯茎を膨らますこともできるが、持続性はない
- セルフライゲーションを希望するという選択肢もある