矯正中の歯茎の痛みは次の通院日まで待つべき?すぐに受診すべき?

矯正を始めると、ほとんどの人が痛みを感じます。ただ、はじめてのことなので「この痛みはいつまで続くんだろう?」「痛いのは正常なの?」と不安や疑問が浮かびますよね。今回は、矯正中の歯茎の痛みについて詳しくご紹介します。痛みが出る原因や対処法についてお伝えしますので、今痛みで困っている人は読んでみてください。
- 矯正中で歯茎に痛みがあるけど、3日後の通院まで待つので大丈夫?
- 矯正中の歯茎の痛みの原因は?
- 歯茎の痛みは歯みがきで治ると聞いたことがあるけど本当?
- 矯正しているところの歯茎から血が出ている
矯正中に歯茎が痛む4つの原因
矯正中に歯茎が痛みのには、いくつかの原因があります。
- 歯が動いている痛み
- 歯茎が炎症を起こしている
- 炎症が進み歯周病になっている
- 矯正装置がずれている・外れかけている
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
1. 歯が動いている痛み

矯正装置をつけ始めた当初は、歯が動き始めるため痛みを感じます。その痛みは、順調に矯正されている証拠です。
歯の根と顎骨の間には、クッションとなる歯根膜という組織があります。矯正装置によって歯の片側に圧がかかると、歯の根に圧迫された歯根膜が薄くなって骨が吸収されます。反対側には隙間ができ、新しい骨ができます。これを繰り返して歯を整えていくのが矯正治療のしくみなのですが、矯正を始めると、この動作がお口の中で始まるために痛みや圧迫感を感じるのです。
しかし、早い人なら1日、ほとんどの人が2〜3日には痛みに慣れて感じなくなってきます。マウスピース矯正の場合は、交換時にも同じような痛みを感じます。
痛みってどんな痛みなんですか?

締め付けられるような痛みを感じる人が多いですね。
へぇ〜。それが2〜3日で慣れてくるんですね。

感じ方は人によって違うので、中には1週間くらい感じ続ける人もいます。
2. 歯茎が炎症を起こしている

問題はここからです。歯茎の痛みに伴って、出血がある場合は、歯茎が炎症を起こしている可能性が高いです。
矯正装置をつけると、どうしても歯ブラシが届きにくい場所ができて磨き残しができてしまいます。すると、そこに汚れがたまってプラーク(歯垢)ができてしまうのです。
プラークによる炎症が起こっている状態を「歯肉炎」といいます。歯肉炎は歯周病の前段階。放っておくと症状が進んでしまいますので、早めの対応が必要です。
歯肉炎って歯周病の前段階だったんですね〜。

そうなんです。でもこの段階に対処すれば、すぐにもとに戻りますよ。
へぇ〜。じゃあ早く気付けばまだ大丈夫ってことですね。
3. 炎症が進み歯周病になっている

歯肉炎を放置しておくと、歯茎が腫れて歯周病になってしまいます。歯周病は歯と歯茎の間の歯周ポケットに菌が入り込んでプラークができてしまう現象です。歯周ポケットにプラークができると、いくら普通の歯磨きをしても歯ブラシは届きません。

歯周病になると矯正を中断して先に治療しなければならなくなります。
え〜!それじゃ矯正がそれだけ遅れれちゃうんじゃないですか〜?

そうです。そのために矯正治療に入る前に歯周病がないかどうかチェックもします。
それでも矯正中に歯周病になっちゃうこともあるんですか?

そうなんです。だから手遅れになる前に、出血があった段階ですぐに担当医に伝えてくださいね。
4. 矯正装置がずれている・外れかけている

まれに、矯正装置がずれていたり外れかけていたりして痛みが生じる場合もあります。ずれているのではないかと思ったら、すぐに歯科医院に連絡して調整してもらいましょう。痛みを我慢するのはよくありませんし、ずれや変形が生じた矯正装置をつけ続けると、歯が計画とは違うほうに動いてしまうし口内を傷つける危険もあります。

強い圧が瞬間的にかかってしまった場合などにみられます。
へぇ〜。レアケースですね…。
矯正中に歯茎が痛い時の対処法
矯正中に歯茎が痛い場合は、原因がなんであるかを見極めて対応するのが基本です。
歯を正しい方法で磨く

歯から出血があった場合は、正しくブラッシングすることで出血と痛みがなくなってきます。歯肉炎の痛みはプラークを除去すればなくなるからです。矯正装置をつけているときは、通常の磨き方ではブラシが届かないことがあります。歯科医院で相談すると正しい磨き方や磨き残しが出やすい場所を教えてくれるので、ぜひブラッシング指導を受けましょう。
矯正装置をつけたままで磨くのって大変そう…。

歯科衛生士がその人のその時の状態に合ったブラッシング指導をしてくれますよ。
ワックスを利用する
ブラケットやワイヤーが頬の裏や歯茎などに当たって痛いときは、歯科医院でワックスをもらえます。ワックスを少量丸めて当たる場所とワイヤーやブラケットとの間に入れるとクッションになって痛みを緩和することができます。
へぇ〜、そういうものがあるんですね〜。

歯科用のワックスですので、必ず歯科医院でもらってくださいね。
担当医に相談する

痛みの原因は自分では分からないことが多いものです。痛みが収まらない場合や長引くときは、担当医に相談しましょう。矯正力が強すぎる場合には矯正装置を調整してくれます。
また、ワイヤー矯正でどうしても磨き残しが出てしまう場合や、ブラケットが当たって痛い場合は、マウスピース矯正に変更することもあります。
通院日まで間があるときは、まずは電話で状況を説明して医師の指示に従ってください。

緊急の場合には予約日でなくても対応してくれます。
通院日まで我慢しないほうがいいですか?

痛みの原因は歯医者さんも診ないとなんとも言えません。まずは診察すると思います。
なるほど〜。直接診てもらえば安心ですね。
我慢できないときは鎮痛剤を飲んでもいい

もしも歯科医院がお休みですぐに連絡や受診ができない場合は、市販の鎮痛剤などで対応しましょう。口内炎の場合は口内炎用の市販薬を使うのもおすすめです。
マウスピースの場合は外してちゃダメですか?

できれば外さないほうがいいですが、生活に支障が出るほど痛みがひどい場合には、受診まで一時的に外すのもやむを得ないでしょう。
痛みは無理せずに担当医に相談しよう
矯正治療中の歯茎の痛みには、色々な原因が考えられます。自分で判断せずにまずは担当医に連絡しましょう。もしトラブルが起こっていることを知らずに無理に我慢してしまうと、トラブルをより深刻なものにしてしまう可能性があります。
「痛みに弱いと思われるのが恥ずかしい」「大げさだと思われるかも…」とためらう人もいると思いますが、医師は治療が計画通りかどうかチェックする必要があり、患者さんの不安を取り除きたいとも思っています。様々なリスクを避けるためにも痛みがあれば無理せずに担当医に相談しましょう。
- 矯正のし始めや装置交換のときには歯が動いている痛みがある
- 出血を伴う痛みはブラッシングで改善できる
- 出血が改善しないと歯周病になり、矯正を中断して先に治す必要がある
- 担当医に相談し、矯正装置の調整してもらう
- 矯正装置が当たる痛みはワックスで対応できる
- すぐに受診できないときは鎮痛剤を利用する