矯正の「ゴムかけ」で正中のズレを治療できる!手術が要らないって本当?

「上下の歯並びの中心がズレている…?」鏡を見ていて、気になったことはありませんか?
歯の中心を正中といいますが、正中不一致は、歯列矯正で治療する難易度が高い症状です。外科手術で、骨格そのものを正しい位置に戻すことから始めなければならないケースも少なくないからです。
そんな、やっかいな歯並びの中心のズレですが、矯正のゴムかけを利用すれば治療できる可能性があります。
そこで今回は、正中不一致を改善するための矯正のゴムかけについてお伝えします。
- 上下の歯の中心がズレているのが気になっている。矯正で治せる?
- 上下の歯の噛み合わせの中心(正中)が、ズレてしまう原因は?
- 矯正のゴムかけで、上下の噛み合わせのズレを治せるって本当?
- ゴムかけをしているのに、正中不一致が治らない理由を知りたい。
- 正中不一致は矯正では治せず、手術を要することが多いって本当?
歯の中心のズレ「正中不一致(せいちゅうふいっち)」とは?

んん?正中…って何かなぁ?しょうちゅう??焼酎しか思いうかばない…

正中というのは、上下の歯の中心です。正中不一致というのは、上下の噛み合わせの中心がズレている歯並びを指します。
あぁ!そうなんですね~!上下の真ん中がぴったり合っている歯並びって、すごくキレイですもんね~!
「正中不一致」は矯正のゴムかけで治せる?
前歯をニッと見せたとき、上下の歯並びの中心が合っていますか?もしズレていたら、正中不一致です。
正中不一致になる原因は、先天的なものであることも多く、歯列矯正で治療するのが難しいケースも多いといえます。
そこで、ワイヤーなどの装置での矯正に加え、ゴムかけをしっかりすることで、正中不一致の改善を図ることができます。
※矯正の「ゴムかけ」が必要な理由については、下記の記事も参考になります。
「正中不一致」になる原因は?

わたしも少し中心がズレてるのよね~。八重歯のせいかなぁ…?
先生、正中不一致になる原因って、何が原因でなるんでしょうか?八重歯も関係ありますか~?

八重歯も影響する場合もありますね。では、正中不一致になる原因を紹介しますので、下記をごらんください。
八重歯に上の歯が寄っている
八重歯は、かつてはチャームポイントともいわれてきましたが、歯並びの乱れのひとつです。
生え方によっては片側に圧がかかってしまうため、上の歯がだんだんと八重歯の方へ寄っていくことがあります。
噛み合わせにズレや交差がある
歯が生える向きが乱れていたり、上下の噛み合わせが交差している部分があったりすると、そこが原因になって噛み合わせの中心がズレる正中不一致になることがあります。
乳歯1本だけ生え変わりが早かった
乳歯から永久歯に生え変わるタイミングで、1本だけ飛びぬけて早く乳歯が抜けてしまったとき、噛み合わせの中心がズレる正中不一致の原因になることがあります。
乳歯が抜けたスペースが空いたままになる期間が長いと、そこへ隣の歯が傾いてきて歯並びの乱れが起きるからです。
前歯に隙間ができている
前歯2本の真ん中に隙間ができている「すきっ歯」のことを正中離開といいますが、この状態も噛み合わせの中心にズレが起こる正中不一致の原因になります。
ただし、乳歯の時期の前歯のすきっ歯「正中離開」は、成長段階に起こる正常なものです。乳歯よりもあとから生えてくる永久歯の方が大きいので、生え変わると隙間がきれいに埋まることが多いのです。
もし永久歯になっても前歯に隙間があるようでしたら、矯正治療で改善を目指せます。
歯の中心のズレを治す「正中斜めゴム」とは?

じゃぁ先生、矯正のゴムかけで、正中のズレを治せるんですか~?

正中のズレを合わせるのは、矯正治療の中でも難易度が高い治療なんですよ。ですが、「正中斜めゴム」というゴムかけ法で改善を目指せる可能性があります。
そうなんですね~!でもがんばれる治療法があってよかった~!
正中斜めゴムのつけ方
上下の歯の噛み合わせの中心である「正中」を合わせるためのゴムかけを、「正中斜めゴム」といいます。
上顎の犬歯あたりにゴムの端を引っ掛け、下側の犬歯あたりに留める、斜めにゴムかけをする方法です。
ゴムかけの中で、もっとも目立ちます。
正面から見ると、口を開いた時にゴムをかけているのが見えるので、「これは矯正のゴムかけです。ガムを噛んでいるんじゃないんですよ」と、誤解されないよう、あらかじめ周りに公言しておくという人もいるほどです。
とても目立つゴムかけ法ではありますが、このゴムかけをやらないと上下の中心を合わせるのが無理、というケースは珍しくありません。
上下の噛み合わせの中心「正中」を合わせるためには、非常に効果的な治療法です。
1日15時間~24時間つける
「正中斜めゴム」に限らず、どのゴムかけも一般的に1日15時間~24時間つけるように決められています。
食事中や、学校での授業中、商談中などの大事な局面ではゴムかけを外してもいいですが、外したらつけるのを忘れないようにしてください。
1日の装着時間を守らなければ、矯正治療が進まないので気を付けましょう。
「ゴムかけって面倒だなあ」と思うかもしれませんが、ゴムかけは、矯正治療中ずっとやるわけではありません。
しっかりとゴムかけを行えば、数カ月でゴムかけの期間は終了しますのでご安心ください。
※矯正のゴムかけ期間については、下記の記事も参考になります。
歯の中心のズレが治らない!?正中のゴムかけの間違い例


ゴムかけをがんばっても、やり方が間違っていると、いつまでたっても治りません。間違い例を紹介しますので、十分気を付けてくださいね。
ゴムかけの方向が逆になっている(ゴムかけミス)
滅多にあることではないですが、ゴムかけの方向が逆になっている「ゴムかけミス」が起こることもあります。
上の犬歯から下の犬歯へ、斜めにかけるゴムかけの方向が違うと、動かしたい方とは逆方向に動いてしまいます。歯科のミスなら何らかの保障を受けることはできても、こんなミスで矯正期間の努力をムダにするのはもったいないことです。
歯科ではスタッフに任せきりにするのではなく、歯科医師の説明をきちんと聞いて、自分でも「何のために、どんな治療をしているのか」把握しておくことが大切です。
噛み合わせが悪くなってしまった(オープンバイト)
顎の骨と歯の生え方の関係で、矯正治療で上下の歯の中心を合わせても噛み合わせが正しくならないことがあります。
正中は合っているのに、上下の歯が噛み合わず開いているオープンバイトの状態もこのケースに当たります。
正しい噛み合わせ・歯並びにするためには、矯正治療やゴムかけでは難しく、外科手術を必要とする症例です。
キレイになっていた歯並びが乱れてきた(オーバコレクション)
矯正のゴムかけを続けていて、「上下の歯の中心が合ってきた」と感じていたのに、しだいに中心点を通り越して逆方向にずれていくのを感じ、不安になることがあります。
それは、歯科医が治療方針として敢えて行っている「オーバコレクション」という方法です。日本語で行き過ぎの治療といい、矯正治療後に元に戻ろうとする歯の後戻りの習性を見越して、多めに歯を動かしておく方法です。
もしご自身で、この後で保定期間に入ったら「リテーナーを規定通りつけて後戻りさせないように十分注意する」と思う場合は、歯科医に相談しましょう。
そもそもゴムかけの装着時間を守っていない
食事の時にゴムかけを外して、そのままつけずに寝てしまうことはありませんか?時々ならいいですが、あまりひんぱんに続くと、装着時間を守れていないことになります。
外出の時の、うっかりつけわすれも同じです。忘れても後でつけられるように、予備のゴムを必ず持っておきましょう。
矯正のゴムかけは、1日最低でも12時間、一般的には15時間~24時間、つけることが決められています。
お口の状態によって適切な時間が異なりますので、決められた通りの装着時間を守らなければ、計画していたように治療が進みません。
非抜歯では歯の中心(正中)のズレを治せない可能性も

そもそも骨格的な問題で上下の歯の中心がズレているケースも多いので、そうなるとワイヤーやインプラントを使った矯正だけでは治せません。
抜歯して歯を動かすスペースをつくったり、外科手術で骨格を正しい位置に戻したりする必要が出てきます。
まずは手術で準備を整えた上で、ワイヤー矯正やゴムかけを始めることになります。
ゴムかけの時間を守って歯の中心(正中)のズレを治そう!
すごく目立つゴムかけだけど、がんばれば上下の噛み合わせの中心が合ったキレイな歯並びになるんですよね~?がんばる甲斐がありますよね~!

その通りです。仕上がりが違ってきますので、ぜひがんばってくださいね。
- 正中不一致とは、上下の噛み合わせの中心がズレていること。
- 正中不一致の矯正は難しいが、ゴムかけで治せる可能性あり。
- 正中不一致は、正中斜めゴムというゴムかけで治療を目指せる。
- 骨格に問題がある正中不一致の場合は、外科手術が必要になる。
- 歯の中心のズレを治すために、ゴムかけの装着時間を守ろう。