歯茎にネジを刺すだけ?難症例も治療できるアンカースクリュー矯正とは

歯列矯正には、「長い期間がかかる」「抜歯は避けられない」というイメージがありませんか?
近年はじまった新しい矯正治療に、この問題を明るく照らす画期的な方法「アンカースクリュー矯正」があります。
それは、歯科矯正用アンカースクリューを使った方法で、まずは歯茎にネジを刺します。
そう聞くと、「痛いのでは?」「なんだか怖い」という思いを抱くかもしれませんが、まるでピアス感覚ともいえる簡単な処置で、大掛かりだったこれまでの矯正治療の負担を軽減することができるのです。
ここでは、歯科矯正用アンカースクリューを使った矯正治療について、メリット・デメリット、処置の流れなどをお伝えします。
- 歯列矯正は、長い期間がかかるので踏み出せないでいる。
- 歯並びが気になっているが、矯正のために抜歯したくない。
- ヘッドギアを使わずに難しい矯正治療ができるって本当?
- 外科手術なしで難易度の高い矯正治療できるって本当?
- 歯列矯正でかかる負担が軽くなる治療法があれば知りたい。
歯科矯正用アンカースクリューとは?

先生、歯茎にネジを刺す歯列矯正の方法があるって聞いたんですけど、本当ですか~?

アンカースクリュー矯正ですね。インプラント矯正という呼称のほうが知られているかもしれませんね。アンカースクリューというネジを歯茎に埋め込む矯正治療の方法です。
えぇ!?インプラント矯正~?歯を失った時に入れる義歯のインプラント…?

いえいえ、違います。身体に埋め込む医療用の器具の総称をインプラントと呼ぶんですよ。この場合は、歯科矯正用の器具の「アンカースクリュー」という小さなネジのことです。
へぇ~!そうなんですね~!
矯正用インプラント「アンカースクリュー」は、歯列矯正における海外の先進国を追うように、日本でも2012年に厚生労働省より薬事承認を受けました。
アンカースクリューは、生体との親和性が高いチタン合金でつくられています。骨に定着しやすく、金属アレルギーなどの心配も、ほぼありません。
アンカースクリューのメリットは?

インプラント矯正は、歯茎に小さいネジを埋め込んで、歯を動かす時の力の固定源にする矯正法です。
小さいボルトのことをアンカースクリューといいます。
アンカースクリューを使った矯正治療は、歯を大きく動かすことができるというメリットがあるため、難しい矯正に向いている治療法です。
※歯茎にネジを埋め込む「インプラント矯正」については、下記の記事も参考になります。
治療期間を短縮できる
歯茎にネジを埋め込んで動力の固定源にするため、強い力で歯を引っ張ることができます。
そのため、治療期間を短縮することが可能です。
これまでは何年もの期間を要していた難しい矯正でも、半年~1年と大幅に治療期間を短縮することができるのは、画期的といえるでしょう。
※矯正期間を短縮する方法については、下記の記事も参考になります。
非抜歯にも期待できる
歯を大きく動かさなくてはならない場合、一般的に抜歯をしてスペースをつくることが多くなります。
その点、アンカースクリューを使った矯正では、歯茎にネジを埋め込むことにより、歯を大きく効率よく動かすことができるので、非抜歯での矯正が可能になるケースも多いといえます。
※矯正での抜歯については、下記の記事も参考になります。
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ヘッドギアを使わずに済む
奥歯を後ろへ移動しなければならない矯正は、難易度が高い矯正です。
そのため、ヘッドギアという非常に大掛りな矯正器具を使わなければ治療が難しいケースも多いのですが、歯茎にネジを埋め込むアンカースクリューを用いた矯正では、それよりも比較的簡単に治療できる可能性があります。
※ヘッドギアを使った矯正について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
ガミースマイル・開咬など外科手術なしで治療できる
笑うと歯茎が見えるガミースマイルや、上下の歯の隙間が空いたままで食べ物を噛みきりにくい状態の開咬の矯正では、一般的に外科手術を伴う確率が高まります。
しかしながら、歯茎にネジを埋め込むアンカースクリューによる矯正では、外科手術をしなくて済む可能性が高いのも注目ポイントです。
アンカースクリューの埋入処置とは?

歯茎にネジを埋め込むって大変そう…。どんな手術になるのかな~?

矯正用ネジのアンカースクリューを歯茎に埋め込む処置は、簡単なものです。歯科医によっては「抜歯より負担が少ない」と患者さんに説明することもありますよ。
そうなんですね~!そう聞くと気が楽ですね~!インプラント矯正っていうから、ちょっと不安になってました~!

アンカースクリューの埋入は、1本あたり5分~15分くらいで終わります。
アンカースクリュー埋入処置の流れ
それでは、矯正用インプラント「アンカースクリュー」の埋入処置の流れを見ていきましょう。
レントゲンを撮影
まずは、歯や顎の状態のレントゲン撮影をします。
こうして集めた画像を元にシミュレーションを行い、アンカースクリューの埋入位置を決定します。
消毒、少量の麻酔を施す
埋入位置が決まったら、最小限の麻酔を施して埋入処置を行います。メスは使わず、アンカースクリュー専用のドライバーで埋め込みができます。
アンカースクリューは、生体との親和性が高いチタン合金でつくられています。
埋め込みは、1本あたり5~15分
埋め込みは、アンカースクリュー1本あたり、5~15分の処置で完了します。
直径2mm以下の極小さなネジを歯茎に埋め込むだけなので、抜歯処置よりも負担が少ないのが一般的です。痛みなどもほぼない、といわれています。
埋め込みが終わったら消毒し、レントゲン撮影などを行って確認します。
アンカースクリューを埋める時の痛みは?

歯茎にネジを埋め込むのに、本当に痛くないんですか~?

アンカースクリューを入れた患者さんの中には、「ピアスをつけるくらいの感覚だった」という方もいますね。
あぁ~!そうなんですね~!それだったら大丈夫そう~!なんだかホッとしました~!
処置後の出血や腫れはほとんどない
インプラント矯正という名前なので、義歯のインプラントと混同してしまい大仰なイメージがついてしまいがちですが、全く関係ありません。
矯正用アンカースクリューは、歯茎に小さなネジを埋め込むだけ。メスを使わないので、処置後の出血や腫れがほとんどないのも特徴です。
麻酔が切れても痛みがそれほどない
アンカースクリューの埋め込み処置の後は、鎮痛薬が処方されます。麻酔が切れてもそれほど痛みが出るということもありません。
歯の移動が終わったらアンカースクリューを除去するのですが、麻酔なしでも処置できるほど、痛みに関しては心配がないといえます。
アンカースクリューのデメリットは?

スクリューのグラつき、抜け落ち
ごくまれに、埋め込んだアンカースクリューが骨に定着せず、食事中などに噛む力が加わった拍子にグラついたり、抜け落ちたりしてしまうことがあります。
喫煙者など、歯肉の状態がよくないケースに起こりやすいトラブルといえます。
周囲粘膜の感染・炎症による腫れや痛み
アンカースクリューを埋め込んだ歯肉や周囲粘膜が感染し、腫れ・炎症を引きおこすことがあります。
ネジや矯正装置のまわりに細菌が溜まらないように、しっかりとブラッシングしましょう。
もしトラブルが起きても、症状が治まれば少し場所をずらして、改めてネジを埋め込むこともできます。
もし違和感があれば、早めに歯科に相談しましょう。早期であるほど、何らかの対策をしやすくなります。
インプラント矯正なら、難しい矯正も非抜歯でできる可能性大!

歯茎に刺すネジ「アンカースクリュー」を使ったインプラント矯正なら、難易度が高かったり、大掛かりな装置を使ったりしていた従来のケースでも、圧倒的に治療しやすくなる可能性があります。
じゃあ、歯を抜かなくてもいいかもしれないですね~?

そうですね。必ずしも非抜歯での矯正がベストとは限らないですが、これまで抜歯が必要だったケースでも非抜歯でできる可能性が広がりましたね。
アンカースクリュー矯正、気になるなぁ~!わたしのケースにも適しているか、今度かかりつけの先生に聞いてみようっと!
- 歯茎に小さいネジを刺す、矯正期間を短縮できる治療法がある。
- 歯科矯正用アンカースクリューを使う「インプラント矯正」という。
- ヘッドギアを使うような難しい矯正でも治療できる可能性あり。
- ピアスをつけるくらいの感覚で歯茎に矯正用ネジをつけられる。
- 抜歯しなくても難易度の高い矯正治療ができる可能性がある。