歯医者さんに聞いた「歯を抜かない矯正治療」!リップバンパーとは?

矯正というと抜歯するイメージを持たれている方も多いと思いますが、子どもの矯正の多くは歯を抜かなくてもできる場合が多いことをご存知ですか?ここでは非抜歯の際に使う矯正の一つ、リップバンパーという矯正器具について、スマイルオン矯正歯科の篠原範行先生に伺った話をもとにまとめました。
- 子どもの歯列矯正で歯を抜かない方法があると聞いた
- 矯正で使う「リップバンパー」ってどんな装置なの?
- 下の歯の矯正で「リップバンパー」を使うと聞いたけどどんなものか不安
- リップバンパーの費用相場はどれくらいか知りたい
「歯を抜かない矯正治療」について歯科医師に聞きました

歯を抜かない矯正治療は、どんな場合でもできるというわけではありません。歯がきちんと並ぶだけの隙間があるかどうかを、しっかりと計測する必要があります。
歯を抜かなくても治療はできる?
篠原先生は、歯並びを「家」に例えて、こう説明しています。
「家の屋根が歪んでいる、あるいはドアがきちんと開かないといった問題があった時に、よくよく調べてみると家の基礎そのものが歪んでいたりする場合があります。
基礎部分を放ったまま屋根だけを修理したりドアを取り替えたりしても、土台の問題が解決しなければまた同じことが繰り返されてしまいますよね。
歯も同じで、奥歯に問題があれば奥歯をきちんと治して、抜歯か非抜歯かということを決めます」。
歯並びってだいたい土台の方に問題があるんですか?

一概にそうとは言えませんが、子どもの場合は土台を広げることで抜歯せずに矯正できることがほとんどです。
そうなんですね。

これからご紹介するリップバンパーは、歯の土台を広げる装置ですよ。
早く知りたいです!
「リップバンパー」とは?
リップバンパーとは、唇の圧力によって歯並びが悪くなっている時に使う矯正装置の一種です。
下顎の歯列矯正で使う

リップバンパーは、下顎を広げたい場合に使う矯正装置です。
U字型で下顎に装着します。U字のワイヤーそれぞれの先端は輪っかになっていて、片方の奥歯から下の歯列の外側にまわして、反対の奥歯にかけます。下の歯列にあたる部分は柔らかいゴムのチューブでくるまれているので、金属が直接当たることはありません。
どうして下顎だけに取り付けるんですか?

では、次の項で説明しましょう。
下唇の圧力をバンパーで抑える

リップバンパーは、下唇に圧力がかかって前歯が内側に向いてしまっているようなケースに使われます。
バンパーで下唇の圧を抑えて、歯並びに影響を及ぼさないようにします。

つまり、唇による圧力が強くて歯並びが悪くなってしまった症例に効果があるんです。
唇の圧で歯並びが悪くなることなんてあるんですね!

はい。リップバンパーのメリットは他にもあります。
ねじれた歯をまっすぐにする

リップバンパーで唇の圧力を制限すると、奥歯を奥に移動させることができるので、土台に隙間ができてねじれた歯をまっすぐにすることができます。隙間がないと歯がギュウギュウになってねじれて生えてしまうのです。
どうして奥歯を後ろに移動させると隙間ができるんですか?

奥歯が前に傾斜している場合はワイヤーの力で直立させることができ、それに伴ってほかの歯もまっすぐになるので隙間ができるというわけです。
そういうことでしたか〜。前かがみになってた奥歯が姿勢を正すと、ほかの歯も姿勢がよくなるイメージですね。

そうですね^^
リップバンパーを使った矯正の適齢期は?

リップバンパーが使える年齢は、だいたい永久歯に生え変わってくる小学校中学年くらいからです。治療期間は症例にもよりますが、1〜2年程度が平均となります。

完全に顎の成長が止まる前くらいまでです。
なるほど、子ども向けの矯正なんですね。
リップバンパーを使わないとどうなる?

唇の圧がそのままかかり続けてしまうため、前歯の内側への傾斜がますますひどくなってしまいます。前歯が内側に向くと歯が並ぶスペースがさらになくなり、かみ合わせが悪くなり顔の歪みや体全体の骨の歪みにまで発展してしまうことがあります。

かみ合わせは体全体の健康に影響するので、子どものうちに治しておくのがおすすめです。
将来を考えたら子どものうちにするほうがいいですね。

子どもだと成長に合わせて無理なく矯正できますが、大人だとそれが難しくなります。
大人になってからの矯正は大変そうですね…。
自分の歯をできるだけ残して子どもの矯正をしよう!
子どもの頃に矯正をして土台をしっかりとしておけば、後の顎骨や歯も正しく成長することができます。お子さんの将来の健康のためにも、矯正は早めに行うのがおすすめです。
今回ご紹介したような、前歯が奥に向かって傾斜しているような場合はリップバンパーでの治療が可能です。かかりつけの歯医者さんに相談してみましょう。
- 歯の状態によっては非抜歯で矯正が可能
- 下唇の圧が強いときにはリップバンパーを使う
- リップバンパーは下唇の圧を抑える
- リップバンパーは奥歯を奥に移動させねじれた歯をまっすぐにする
- リップバンパーの適齢期は小学校中学年から
- リップバンパーを使わないと下の前歯が内側に倒れる