歯列矯正後のリテーナーを1日つけ忘れた!歯並びが元に戻るリスクは?

歯列矯正が終わった後、歯並びが固まるまで保定装置であるリテーナーをつけますが、「うっかりリテーナーをつけ忘れてしまう」という人がいます。
治療後は歯並びがキレイになったように見えるため、「もう外してもいいんじゃない?」と誤った自己判断をしてしまい、気の緩みができてしまうせいかもしれません。
もちろん歯並びはまだ固まっていないので、リテーナーをつけずにいたら矯正前の状態に戻っていきます。
気付いた時にはリテーナーをつけると痛みが生じたり、ひどいときにはリテーナーが入らないほど後戻りしてしまっているのです。
リテーナーの「つけ忘れ」は、どれくらい忘れると後戻りするのでしょうか?うっかり1日忘れた時は?一週間なら?
そこで今回は、矯正後のリテーナーのつけ忘れに関する疑問について、矯正治療に詳しい歯科医師にお話を聞いてみました。
- 歯列矯正のリテーナーを、頻繁につけ忘れてしまう。
- 矯正後のリテーナーをつけ忘れたら、どれくらいで後戻りする?
- 矯正後のリテーナーを1週間つけ忘れたら、どうなる?
- 矯正後にリテーナーをつけないと後戻りしてしまう理由を知りたい。
- 矯正後のリテーナーに関するトラブルについて知りたい。
リテーナーをつけ忘れると、すぐ後戻りする?

リテーナーを昼間ずっとつけているんですが、晩ご飯の前に外すじゃないですか?眠くなってそのまま寝ちゃう時があるんです~。

うーん、リテーナーのつけ忘れ以前に、寝る前に歯磨きをしてくださいね。むし歯や歯周病のリスクがありますから。
あぁーん、そうなんですよ~!それも悩みなんです~!
矯正治療が終わって保定期間に入ると、しばらくはリテーナーを1日24時間つける生活が続きます。
日中しっかりとリテーナーをつけていて、違和感なくリテーナーが入る状態なら、今のところ大きく後戻りはしていないと考えられます。
しかしながら、つけ忘れを頻繁に繰り返していると、後戻りのリスクが高まります。
週単位でつけ忘れると後戻りする
歯の状態にもよりますし個人差はありますが、1週間くらいリテーナーをつけずに放置していると、後戻りは止められないでしょう。
後戻りが心配な時は、早めにかかりつけの歯科医に相談してください。早期に対応すれば、リテーナーの調整で何とかできる場合があります。
もし、何らかの理由でしばらく取り外し式のリテーナーをつけられない場合は、一時的に、歯の裏側の犬歯間に固定式のリテーナーを取りつけて後戻りを防止する方法もあります。
1日くらい忘れてもすぐには戻らない
うっかり、つけ忘れて寝てしまったとか、つけ忘れて出掛けてしまったとしても、1日くらいであれば、すぐには戻りません。
しかし、その1日くらいを週に2~3回繰り返してしまうようであれば、後戻りのリスクが高まります。
中には、少し近所に出掛けた2時間くらいの間でもリテーナーをつけ忘れると、次につけたときに圧迫感が強くなっているという人がいます。後戻りのしやすさにも個人差があります。
うっかりが度重ならないよう、十分気を付けましょう。
頻繁に付け忘れると保定期間が終わらない
何度も何度もつけ忘れてしまうと歯並びがなかなか安定せず、保定期間が長引いてしまいます。
歯科医から伝えられた決まった装着時間を守らなければ、微妙な後戻りを繰り返してしまうことになり、いつまでたっても連日のリテーナー装着から卒業できません。
リテーナーをつけないと後戻りする理由

保定期間にリテーナーをつけないと、なぜ後戻りするのでしょうか?
リテーナーが必要な理由と、リテーナーの装着不足のほかに考えられる歯列矯正が後戻りする原因を説明します。
歯は常に動いているから
歯列矯正が終わって歯並びがキレイに並んだように見えても、その段階ではま新しく移動した場所で歯が安定しているわけではありません。
矯正装置が外れても骨が固まっていないので、そのまま放置していると、歯は元あった場所へ戻ろうとします。
その後戻りを食い止めるために保定装置リテーナーが必要です。

どうして後戻りするのかというと、それは歯はいつでも動いていくからです。矯正治療も、その特性を利用して行われています。
後戻りしないといいのにって思うけど、歯が動かないと歯列矯正もできないってことですね~。
親知らずがある影響

親知らずが歯並びの乱れの原因になるかならないかについては、さまざまな説がありますが、生え方によっては後戻りに影響するケースもあるでしょう。
そうなんですね~。親知らず、抜いたほうがいいですか~?

ケースによっては、抜歯処置を行うことがありますね。
親知らずはすべての歯が生えそろった後、大人になってから生えてくる歯列のもっとも奥にある臼歯です。後から生えてくるので、その時にはもう萌え出るスペースが残されていないことが多く、異常な生え方をするケースが大半です。
横向き、斜め、半分埋まっているといった生え方が原因で、痛みや炎症などのトラブルを起こすことも少なくありません。
すぐ前の歯に倒れかかるように生えてくることもあって、前の歯に余計な力を掛け続けることになります。その力が歯並びの乱れや後戻りにつながるリスクがあります。
そんなときは親知らずを抜歯して、後戻りのリスクを回避します。
歯ぎしりや食いしばり癖がある
就寝中、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしてしまう癖のあるは歯並びが悪くなりやすいですし、矯正後に後戻りしやすいといえます。
歯を守るために、ナイトガードというマウスピースをつけて寝るようにしている人もいるくらいです。
矯正後のリテーナーは、キレイな歯並びを、歯ぎしりや食いしばりからも守ります。

歯ぎしりや食いしばりの圧力は、時には1トンにも及ぶといわれるほど強いんですよ。
え~!?とんでもない力ですね~!
矯正後のリテーナーに関するトラブル

歯列矯正の後、リテーナーをつける保定期間に起こりがちなトラブルと、その回避法についてお伝えします。
いつまでも歯並びが安定しない
歯並びの安定しやすさは、歯を支える骨の健康状態も影響します。歯科医から伝えられた装着時間を守ってリテーナーをつけていても、骨が弱くてなかなか歯並びが安定しにくい人がいます。
歯列矯正は、身体の生理現象をうまく活かして行う治療です。身体に備わっている機能が正常に働いてこそ、矯正治療が成功に導かれるのです。

リテーナーをきちんとつけるのは大前提ですが、まずは健康であるための生活習慣を整えることが大切です。
へぇ~!健康と矯正が関係あるなんて、あんまり考えたことがなかったです~!

キレイな歯並びのためには健康第一ですよ。十分な睡眠、栄養バランスのよい食生活、適度な運動を習慣づけるようにしてくださいね。
せっかく矯正したのに元に戻ってしまう
矯正期間も保定期間も長いですから、だんだん面倒になって「そろそろいいだろう」などと自己判断してリテーナーをつけなくなってしまう人がいます。
そうなると、気付いた時には後戻りしてしまっていて手遅れになっていた、というトラブルが起こります。

リテーナーをサボった自己責任なので、矯正のやり直しになる場合は追加の治療費は患者さんの負担になってしまいます。気を付けてくださいね。
わぁ~!自己判断で止めちゃダメですね~!

その通りです。もし、リテーナーがつらいときは歯科で相談してくださいね。リテーナーの種類を変えることもできますし、いろいろなアドバイスを受けられます。
リテーナーが入らなくなってしまう
リテーナーを頻繁につけずにいると、後戻りが進んでリテーナーが入らないというトラブルに発展します。そうなると、リテーナーの調整では間に合わず、別のリテーナーに変える必要がでてきます。
ひどい時は、矯正治療のやり直しになるケースもあります。
ある程度まで固まってくると装着時間が短くなる

リテーナーも矯正治療もムダにしたくないから、がんばって続けなくちゃ…!

1日24時間つけなければいけないのは最初の頃だけで、しだいに夜寝るときだけとか、2日おきとか、週末だけとか、つける頻度を減らしていけますよ。
そうなんですね~!ホッとしました~!

リテーナーの装着時間を守って、順調に卒業に向かって進んでくださいね。
基本的な矯正のしくみについては、下記の記事もご参照ください。
- 歯列矯正が終わっても、歯並びが固まっていないのでリテーナーが必須。
- 矯正後のリテーナーは、1日くらいつけ忘れても後戻りしない(個人差あり)。
- 一週間つけ忘れると、後戻りしているリスクが高い。早めに歯科医に相談を。
- 頻繁につけ忘れると、痛みが生じたりリテーナーが入らなくなる恐れがある。
- ある程度、歯並びが固まってくると、リテーナーの装着時間を短くできる。