出っ歯は自分で治せる?お口周りの筋力トレーニングで歯並びをセルフ矯正

「出っ歯って、自分で矯正できないのかなぁ」と鏡を見ながら、つい歯を指で押してしまった…なんて覚えはありませんか?
一見、なんでもないようなことに思えますが、実は大変なリスクをはらんでいる行為です。
インターネットを見ていると、「アイスの棒を使って自分で矯正できました!」とか「割り箸1本で自分で矯正できるよ!」なんて民間療法を紹介している記事や動画がありますから、つい信じたくなってしまう気持ちはわかります。
歯列矯正の治療を受けようと思うと、まとまった費用が必要ですからね。
ですが、その「ちょっとだけ、やってみた」という些細な行動が、大きな後悔につながるかもしれないのです。
そこで今回は、歯科医に「出っ歯の矯正は本当に自分でできないのか」「何か自分でできることはないのか」など、セルフ矯正の是非についてお話しを伺いました。
- 出っ歯を自分で治す、セルフ矯正に興味がある。自分で治せるって本当?
- 出っ歯を自分で矯正できるとインターネットで見た。詳しく知りたい。
- 出っ歯の矯正を自分でできるらしいけれど、危険ではないのか心配。
- 子どものころ出っ歯でも、大人になると治るかもしれないって本当?
- 出っ歯の矯正のために、自宅でも自分でできることがあれば知りたい。
出っ歯のセルフ矯正は危険!

アイスの棒を噛んでいたら歯並びがキレイになったとか、割り箸で出っ歯を治せるとか聞くけど、本当かなぁ~?
先生、歯列矯正って費用が結構かかりますよね~?

ネコさん、もしかすると自分で矯正できないかと考えていませんか?
ギクッ…!先生にはお見通しなのね~(汗)

ご自身で歯を押して矯正しようとすると、歯根が折れてしまったり、歯が曲がってしまったり。余計に歯並びが悪化する恐れがありますよ。
えぇっ!怖い!!実はちょっと考えましたけど~、自分で矯正するのは諦めます~!
出っ歯は自分で矯正できません
出っ歯は、歯だけに原因があるわけではありません。歯そのものよりも、骨格に要因があって出っ歯になっているケースも多いのです。
難しい症例が多い出っ歯の治療は、歯列矯正だけでも治せないことも多く、そうなると外科手術を行う必要があります。
アイスキャンディーの棒を噛んでいたら歯並びがよくなったというような民間療法は、中には本当に効果があったと感じている人がいるのかもしれません。ですがそれは、ごく一部の奇跡的にうまくいったケースでしかありません。
出っ歯は歯列矯正の中でも難しい治療です
歯並びの乱れは、自分で鏡で見て「歯が出ている」とすぐに分かるところだけに原因があるとは限りません。根本的な噛み合わせや顎の骨に原因があっても、目では確認できないことが多いのです。
そんなときに力任せに歯を押したり引っ張ったりすると、歯根を傷めてしまい、抜歯を免れなくなる可能性もでてきます。
むやみに自分で矯正してみるというチャレンジを行うのは、非常にハイリスクといえます。
子どもの出っ歯は成長すると自然に治る?

じゃぁ、子どものころ出っ歯でも、成長したら治るかも…と期待して様子を見るのは、どうなんでしょうか~?

出っ歯や歯並びが自然に治る可能性は、ほぼ無いといえるでしょう。乳歯が永久歯に生え変わっても、歯並びが治ることはほとんどありません。
そうなんですね~!

それどころか、お子さんの頃に出っ歯や歯並びの乱れが気になりだしたら、大人になって歳を重ねるにつれて、どんどん悪化していく傾向にあります。
えぇ~…!怖い…!
出っ歯は自然に治らない
出っ歯や悪い歯並びが自然に治ることはありませんし、自分で治せることも、まずありません。
お子さんが大人になれば成長とともにキレイな歯並びになるのではと期待していても、逆に成長とともに顎が思いもよらぬ成長を遂げて、さらに重度の出っ歯や受け口になることも少なくありません。
自力で治す方法はハイリスク
アイスキャンディーの棒や割り箸で治したというインターネットに散見する情報は、あくまでその人がうまくいったという極わずかの奇跡的な例に過ぎません。
その方の出っ歯が、少し歯が前に傾いていただけの軽度のものであった可能性もあります。
出っ歯の中には、長年、舌でずっと歯の裏を押し続ける癖があったため、徐々に前に歯が突き出してしまったという例もあります。
逆に、歯を押し続けることで奇跡的にうまく矯正できたという例があったとしても、マネをしたところで同じ症状ではないわけですから、ほとんど上手くいきません。
出っ歯は、歯が前に出ているだけでなく、歯がねじれてしまっていたり、顎の骨が前方へ飛び出していることがあります。
出っ歯の改善は、精密な検査をした上で綿密な治療計画を立て、シミュレーションを重ねて行う矯正治療でも難しい症例が多いのです。自力で治すなどと無謀なことをすれば、歯を傷めて失ってしまうことになりかねません。
口周りの筋力トレーニングが有効

じゃぁ、出っ歯を自分で治すのって絶対無理なんですね~。危ないからやらない方がいいみたいですし…

そうですね。知識がないのに無理なことをするのは危険です。ただ、口周りの筋肉トレーニングをして改善を目指す方法がありますので、ぜひやってみてください。
えっ!出っ歯の矯正のために、自分でできることがあるんですね~!
口周りの筋力バランスを整える
お口の周りには、唇や頬、舌などを動かす筋肉があります。これを口腔周囲筋といいます。
唇を持ち上げる筋力が強すぎると、笑った時に歯茎が見えるガミースマイルの原因になることもあります。
お口周りの筋肉は、歯や歯茎の見え方にも深い関わりがあるのです。
そのため、口腔周囲筋のトレーニングをすることで、お口周りの筋肉バランスが整い、歯が正しい位置に戻ることがあります。
口呼吸から鼻呼吸へ戻す
人間の正しい呼吸は本来、鼻呼吸ですが、何らか原因があって口呼吸になってしまっている場合があります。
特にお子さんが、いつもポカンと口を開けたままになっているようなら、口呼吸が癖になってしまっている可能性があります。
口呼吸を長く続けると、お口周りの筋肉バランスが崩れて歯並びの乱れが悪化する原因になります。
口呼吸が癖になっている場合は、その原因を突き止めて改善しましょう。
もしアレルギー性鼻炎で鼻が詰まって呼吸できない場合は、早めに耳鼻科を受診してください。
あいうべ体操のやり方
口呼吸を改善するトレーニング「あいうべ体操」は、食後に10回×3セットと決めて、1日30回・約3分間を毎日続けていくと、次第に舌の力が回復し、鼻呼吸に戻していくことができます。
アレルギー性疾患で口呼吸になっていた人も、改善することがあるといいます。
あいうべ体操のやり方は、下記の通りです。
- 「あー」と大きな口を開いて1秒間キープ
- 「いー」と横に大きく口を開いて1秒間キープ
- 「うー」と唇を大きく前に突き出して1秒間キープ
- 「ベー」と舌を下に向かって思いきり伸ばして1秒間キープ
- 1~4を毎食後に10回ずつ行う(1日合計30回・3分間が目安)
MFTトレーニングで出っ歯を自力で矯正できる?
舌の筋力トレーニングって、なんだか効きそう~!でも、正しいやり方が分からないなぁ…
正しいやり方なら効果が期待できる
舌の筋力トレーニングMFT(口腔周囲筋機能療法)は、歯科で扱われている治療法です。
ただし、指導できる歯科が限られていますので、こうしたトレーニングの方法を知りたい時は、対応している歯科医院を探しましょう。
公式ホームページなどで情報を確認できるはずです。
小顔効果があったという人も
舌の筋力トレーニングMFT(口腔周囲筋機能療法)を正しいやり方で継続している人の中には、若々しい見た目になった」「小顔効果があった」という人もいます。毎日継続することが大切です。
飲み込む力(嚥下機能)が回復する
舌の筋力トレーニングMFT(口腔周囲筋機能療法)は、お口周りの筋力バランスが整うため、飲み込む力の回復を目指すためにもおすすめです。
特に高齢者は、飲み込む力が低下していることによる誤嚥(ごえん)がきっかけで、誤嚥性肺炎で亡くなる人が毎年大勢います。高齢者の死因の上位に常に入っている疾患です。
誤嚥性肺炎を予防するためにも、舌の筋力トレーニングMFTは役立ちます。
出っ歯の矯正は自力ですると危険!歯科医に相談を

出っ歯が気になるからといって、自分で押しちゃダメってことが、よくわかりました~!そんな無茶はもうしません~!

そうですね。お口周りの筋力トレーニングや体操などで、歯並びの改善を目指す方法がありますので、ぜひそちらを続けてみてくださいね。
は~い!美容にも良さそうだし、さっそく「あいうべ体操」やってみます~!
- 出っ歯を自分で治すセルフ矯正は危険。歯を失うこともある。
- 自分で指で歯を押しても、出っ歯を矯正できることはない。
- 子どもの出っ歯が自然に改善するようなことは、ほぼない。
- お口周りの筋力トレーニングで、歯並びの改善を目指せる。
- 自分でできる筋力トレーニングや口の体操の継続は効果あり。