矯正治療中に転院する際の費用はどうなる?転院トラブルを回避する3つのポイント

矯正治療中に転院する際の費用はどうなる?転院トラブルを回避する3つのポイント

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鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業

治療していない分の返金は可能?

矯正治療中に転勤や進学などで引っ越しすることになり、距離的に今までの歯医者さんに通えなくなる場合があります。そんなとき、転院したらこれまでの歯医者さんでまとめて支払った治療費は返金されるのだろうか、また一から検査して新たな費用が発生するのだろうかと不安になると思います。

そこで、矯正治療中に転院する際の費用や問題についてと、トラブルにならないようにするためのポイントをご紹介します。矯正治療中で転居する予定のある人は、ぜひチェックしてみてください。

お金

矯正の治療費は数十万円かかるため、最初にまとめて一括で支払ったり、分割にして支払ったりする人がほとんどです。そのため、転院して歯医者さんが変わるなら、これまで治療していた歯医者さんに対して「治療していない分は返金して欲しい」と思うのは当然のことと思います。

そこで、治療していない分の返金が可能かどうかについて説明します。

治療方針は医師によって異なる場合が多い

相談

まず知っておきたいのが、歯の矯正は複雑なうえ、マニュアルのような統一した治療方針というものが存在しないということです。それゆえ矯正治療はそれぞれの医師によって見解や治療方針が異なります。医師の考え方によって何を優先して何をゴールとするかも変わってくるほか、それぞれの医師には得意な治療方法やパターンがあります。また、矯正装置も複数あり、医師によって使用しているメーカーも異なります。

また、転院元と転院先の歯医者さん同士のつながりがある場合は以前の治療方針や内容を引き継げる可能性もありますが、そうでない場合は、現状の口内の症状や状態を知るために最初から検査するケースがほとんどです。現状をスタートとした治療計画を立てる必要があるからです。そのため、検査の結果に基づいて治療をすることになり、場合によっては治療方針が以前と大きく異なることもあります。

治療方針が変わるとなると、また治療をはじめからやり直すので治療費を二重に払うことになり、費用も時間も大幅に負担がかかることになります。このようなトラブルは、極力避けたいものです。

返金制度がある歯医者さんもある

OKサインをつくる歯科医師

日本矯正歯科学会では“基本料を治療進度に従って返金することが望ましい”と推奨しています。また、日本臨床矯正歯科医会では、“最良の医療を提供するため返金の目安”を提示しており、歯医者さんによってはこれらに従って返金制度を設けているところもあります。まずは、転医する先の歯医者さんに、ぜひ相談してみるのがおすすめです。

ちなみに、日本臨床矯正歯科医会での目安例として、大人のマルチブラケット装置による矯正治療で、すでに全額入金となっている場合は、以下のように設定されています。

治療のステップ返金額判断の目安
全歯の整列60~70%程度
犬歯の移動40~60%程度
前歯の空隙閉鎖 30~40%程度
仕上げ20~30%程度
保定0~5%程度

返金できないケースもある

注意!

矯正治療は装置によって治療を進めますが、矯正装置は個人に合わせて作られるため、基本的に矯正装置の代金は返金が難しいと考えられます。

また、治療費の大半は矯正装置の代金が占めており、矯正治療の場合は最初の3ヶ月ほどでほとんどの装置を作ってしまう場合が多く、治療方法によっては最初に全ての装置を作ってしまう場合もあるので高額にならざるを得ません。

また、子どもの矯正治療の場合には治療が乳歯と永久歯が混合している「1期」と永久歯に全て生え揃った「2期」に分かれており、ほとんどの矯正は1期の後に2期へと進む方針が採られています。そのため、子どもの矯正治療は成長の予測がつかず、転院して治療方針を引き継ぐのが難しいので、転院すると新規で治療契約をする場合がほとんどです。

転院でのトラブルを回避するため3つのポイント

3本指

やむなく転院することになった際に、トラブルを避け、できるだけ費用を抑えるためのポイントは以下の3つです。

1.転移元に転移先を紹介してもらう

歯医者さんによって治療方針が異なり、経済的な負担もかかることを考えると、転移先の歯医者さんは慎重に選びたいものです。ただ、自分で探すのではなく元の担当医から転院先の歯医者さんを紹介してもらえれば、転院が比較的スムーズに行なえます。

転居が決まった時点で早めに相談して知り合いのお医者さんを紹介してもらえれば、治療内容の引き継ぎが可能になったり、費用についても相談しやすくなります。もし、同じ治療方針を続行する場合には、費用と時間の負担を大幅に軽減することができます。

何より、お医者さん同士が連携しているので、離れた場所に転居することになっても精神的にも安心です。

2.転院システムがある医院を探す

歯医者さんの中には転院システムを設けている医院もあります。ホームページなどに返金額の算出方法などを提示している医院もあるため、納得した上で費用を精算することができます。ただし、算出方法は医院によって異なります。

また、歯医者さんの中にはグループ経営をしているところがあり、主要都市への転居なら比較的同じグループの歯医者さんへ転院できる可能性も高いです。もし、矯正治療を受ける前から転居する可能性があるなら、グループ経営の歯科医院を選ぶのもおすすめです。

注意
不信感や疑問などから転院する際には、転院元から資料を得られないこともあるため、新規での契約となる場合もあります。

3.日本臨床矯正歯科医会の加盟医院に転院する

日本臨床矯正歯科医会では、転院する際には元の医師から転院先の医師に必要資料を送付することが義務付けられています。上記で述べたように、返金制度も詳細になっているため、日本臨床矯正歯科医会に加盟している医院に転院すれば、治療内容が引き継がれ、費用や時間の負担を最小限にすることができます。

矯正治療中に転院する際の費用のまとめ

矯正治療中に転院することになると、費用や治療方針などのトラブルが起こりやすいですが、以下のポイントを押さえればトラブルを回避できる可能性が高くなり、費用や時間の負担を軽減することができます。

    • 元の担当医に転院先を紹介してもらう
    • 転院システムがある医院を探す
    • 日本臨床矯正歯科医会の加盟医院に転院する

ただでさえ、矯正治療にはストレスがかかります。できるだけ負担を軽減し、ストレスなく治療を受けてください。