どうして歯列矯正で歯が動くの? 矯正の仕組みや種類をご紹介!

どうして歯列矯正で歯が動くの? 矯正の仕組みや種類をご紹介!

この記事の監修医師一覧

杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。

歯は硬く、手で動かそうとしても動くものではありませんよね。でも、歯医者さんの歯列矯正治療では、歯を動かして正しい位置にすることができます。そこで、「そもそも歯列矯正ってどういう仕組みになっているのだろう?」と素朴な疑問が浮上しますよね。

今回は歯列矯正で歯が動く仕組みや種類、歯列矯正の流れについてご紹介します。実際に歯を動かす種類や、矯正治療の流れなども知ることが出来ますよ。

1.歯が動くってどういうこと?

考える少女

歯は、長い時間をかけてゆっくりと動かします。すべての歯は連動しているため、1つずつ動かすのではなく、複数の歯を同時に動かしていきます。

では、実際にどのようにして歯が動くのかを、具体的に説明します。

1.1.矯正で歯が動く仕組み

歯には根っこがあり、根っこが埋まっている骨との間には、厚さ約0.2mmの「歯根膜」というものがあります。「歯根膜」は歯と骨とのクッションの役割を果たし、歯からの衝撃が骨に直接伝わるのを和らげる働きがあります。

歯列矯正により歯の外側から圧をかけると、「歯根膜」が圧迫されます。圧迫された「歯根膜」は骨にぶつからないように周りの骨を吸収し、厚さを保とうとします。

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歯を動かそうとすると、歯が動く方向の側の「歯根膜」が縮み、反対側の歯根膜は歯に引っ張られて伸びます。つまり、厚みに偏りが出来てしまうのです。
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「歯根膜」は一定の厚さを保って歯を保護しようとするので、骨を溶かす細胞が働いて、新しい歯根膜を作ります。一方、伸びた側は骨を作る細胞が働いて新しい骨を作り、「歯根膜」があった場所を埋めようとします。イメージとしては、「歯根膜」が伸びた側は新しい骨が埋め、縮んだ側は骨を溶かして空洞を作り、新たな空洞に歯根膜が入る感じです。
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矯正治療は、上記1〜2を繰り返させることによって、徐々に歯を動かしていきます。

1.2.矯正で歯を動かすスピード

「歯根膜」の働きを利用し、弱い圧をかけ続けながら歯を動かすので、そのスピードはとてもゆっくりです。

一般的に歯が動くスピードの目安としては、1ヶ月で0.5~1mm程度といわれています。

そのため、理想の歯並びにするには数ヶ月から年単位での治療が必要となるのです。

2.歯列矯正で行う歯の動かし方の種類

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一口に歯列矯正といっても、歯の動かし方には複数の種類があります。

水平移動
歯を水平に移動させ、歯と歯の隙間をなくします。
歯を起こす
傾いて斜めになっている歯をまっすぐに立てることが目的です。斜めになる原因は、隣の歯が抜けて傾くなどです。
回転させる
歯がねじれて生えているとき、向きを正しい位置に回転させます。犬歯などを正面に向かせるときなどに行われます。
引っ張り出す
埋まっている歯や、根っこしか残っていない歯を引っ張り出して、表面に出します。
引っ込める
外側に飛び出している歯を、表面を削らずに歯茎に埋め込みます。
歯の根っこを移動させる
目に見えている歯の部分は動かさずに、歯の根っこだけ動かします。

3. 歯列矯正の流れ

相談

実際に矯正治療をするとき、どんな流れになるのか不安ですよね。そこで、一般的な歯列矯正の治療の流れをご紹介します。

1.予約
まずは電話やインターネットで都合の良い日時を予約します。初回は相談(カウンセリング)の他に検査などもあるので、余裕を持ってスケジュールを組むことをおすすめします。
2.初診・相談・精密検査
初診の内容は、以下のような流れになります。
  • 相談(カウンセリング)
  • 精密検査で歯や骨の状態などを調べる
  • 大まかな治療方法や見積もり
精密検査は、レントゲン撮影のほか、口腔内写真撮影・唾液検査・模型採取・歯周病検査などがあります。これは、その人に合ったオーダーメイドの治療装置を作るためです。初診の所要時間は、おおよそ相談で30〜40分、検査で1時間前後です。また、費用は相談料が5,000円程度、精密検査は約5万円ほどです。ホームページを見たと伝えると初回の相談料が無料になる歯医者さんもあるので、事前に調べてみるのもおすすめです。
3.検査結果を元にした治療方針の説明
初診で行った検査の結果から、正式な治療設計が立てられます。治療設計は綿密に行う必要があるため、1週間〜10日ほどかかる場合があります。初診の次の回で、治療設計を元に詳細な治療方針を説明されます。治療方針とは治療装置・治療期間・治療にかかる費用などです。矯正治療は長い期間をかけて行い、費用もかかります。治療方針や内容に関しては、納得できるまでよく相談することが重要です。もし少しでも不安がある場合には分かるまで詳しく聞き、場合によっては別の医療機関を検討してみるのもひとつの方法です。
4.治療開始〜治療期間
いよいよ矯正装置をつけて、歯を動かす治療が開始されます。はじめて装着する際は1時間30分程度かかるので、予約を取る際には注意しましょう。装着開始と同時に、装着している間の歯のセルフケア方法(歯磨きの仕方)や歯周病・虫歯のレクチャーなどがあります。その後は1ヶ月に1〜2度程度通院し、ワイヤーを調整します。抜歯なしですぐに矯正治療に取り掛かった場合には1年〜1年半程度、抜歯をした場合は2年〜2年半程度という期間が多いようです。
5.保定期間
保定期間とは、治療した歯並びを安定させる期間のことです。治療装置を外すと歯は元に戻ろうとするため、後戻りを防ぐ期間が必要なのです。ちなみに、保定期間にはリテーナーという保定装置を使います。リテーナーは自分で外せるものや固定するものなど、数種類のタイプがあります。保定期間は数ヶ月に1度程度になり、費用は1回5,000円程度ですが、すべての治療費用を一括または分割で支払う場合は、保定期間やリテーナー費用も含まれることが多いです。治療方針説明の際に、保定期間の費用についても確認しておくことをおすすめします。保定期間は途中でやめてしまうと、せっかくの矯正治療が元に戻ってしまうことがあります。くれぐれも、自己判断で通院をやめないようにしたいものです。また、保定期間でよく起こる問題は、リテーナーがぐらつく・壊れる・歯が痛い・治療直後と歯並びが違うなどです。もし異常を感じたら、すぐに歯医者さんに連絡してください。

4.矯正治療をした方がいい理由

子どもの矯正

矯正治療は、歯を動かして歯並びを治す治療です。歯並びが悪いと、以下のような悪影響があります。

    • 見た目がよくない
    • 虫歯や歯周病の原因になる
    • よく噛めない
    • 口臭の原因になる
    • 頭痛や肩こり・めまい・腰痛などの原因になる
    • 歯が食いしばれず運動能力が発揮できない
    • 発音が悪くなる

歯並びが良くないと、見た目の印象を左右するのはもちろんですが、体への健康への悪影響もたくさんあります。

たとえば、歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくくなり、虫歯や歯周病の原因となる歯垢がたまります。また、食べ物がよく噛めないので唾液の分泌量が減り、虫歯や歯周病になりやすくなる他、口臭も発生しやすくなるのです。食べ物がよく噛めないということは、消化もしにくくなり胃腸に負担がかかります。

また、歯は首から下の体全体の骨とも続いているため、噛み合わせが悪いと骨が歪み、頭痛や肩こりなどの原因となります。また、思い切り食いしばれないので運動時のパフォーマンスが落ちることも分かっています。特に、運動する人やアスリートにとっては切実な問題ですよね。

このように、かみ合わせの悪さを放っておくと様々な影響が出るため、歯列矯正はした方が良いのです。

5.矯正治療で正しい歯列にしていつまでも健康に!

歯列矯正とは、歯を長い時間かけてゆっくりと動かし、正しい歯並びにする治療法です。矯正装置をつけて歯の外側から圧をかけることで、1ヶ月で最大1mm程度動かします。

歯を動かすといっても、水平に移動するほか、歯を起こす・回転させる・引っ張り出す・引っ込める・歯の根っこを移動させるなど様々な種類があります。

治療を行うには精密検査をし、その人に合わせたオーダーメイドの矯正装置を作ります。治療期間は1年〜2年程度かかりますが、かみ合わせの悪さをそのままにしておくと健康や生活に様々な悪影響があるため、いつまでも健康でいるためには矯正治療を行うことがおすすめです。