矯正の「ゴムかけ」とは? やるとやらないとでは矯正効果に雲泥の差!

矯正の「ゴムかけ」とは? やるとやらないとでは矯正効果に雲泥の差!

この記事の監修医師一覧

杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。

矯正治療中に、歯医者さんから「ゴム(輪ゴム)を使います」と指示されることがあります。最新の検査を行って緻密な設計のもとに進められる矯正治療なのに、「なぜここでアナログな輪ゴム?」と意外に思うかもしれませんが、実はとても重要な役目があります。

自分で行うのでついやり忘れてしまいがちですが、これを忘れると、のちの矯正効果に大きく響くことになります。

今回は、そんな矯正中の「ゴムかけ」について詳しく説明します。

「ゴムかけ」とは

矯正中の「ゴムかけ」は「エラスティック」や「顎間ゴム」と呼ばれ、ほとんどの矯正治療の途中で行われます。目的は、矯正器具によって大まかな歯の移動が終わった後、細かな噛み合わせの調整を行うことです。

使用するゴムは医療用の天然ゴムで出来ていて、直径約5〜10mmです。ゴムの種類はいくつかあり、動かしたい強さに応じて直径や太さが異なります。そのため、市販の輪ゴムでは代用不可能です。

使い方は、矯正器具についているフックにゴムをかけて使用し、ブラケット治療のほかマウスピース治療でも使用されます。

なお、ブラケット治療の詳細はこちらに記載しています。

目立たない矯正も可能!ワイヤー矯正3つの種類や価格

目立たない矯正も可能!ワイヤー矯正3つの種類や価格

自分で取付け・取り外しを行い、1日に最低でも3回は取り替えが必要です。また、長時間話したり食べたりする必要がない就寝時は、歯を動かすに絶好の時間。就寝時には必ず行います(医師の指示に従ってください)。

使い捨てなので1回の通院で次回までの分量が渡されますが、大体1袋の小袋に100本程度入っています。

「ゴムかけ」の種類

ゴムかけには、4種類のかけ方があります。かけ方は歯医者さんで教わりますが、はじめのうちは慣れないので、鏡を見ながらかけるのがおすすめです。

また、奥歯の場合にはゴムをかけるための専用ホルダーがあります。

2級ゴム

主に、出っ歯や上の歯が前に出ている上顎前突の場合に使用します。かける位置は上の歯は犬歯付近、下の歯は奥歯(第一大臼歯)付近です。この位置にかけることにより、上の歯は後ろに引っ張られ、下の歯は前に引っ張られる効果があります。

3級ゴム

主に、下の歯が上の歯より出ているしゃくれ(反対咬合)や受け口に使用します。かける位置は2級ゴムとは逆になり、上の歯は奥歯(第一大臼歯)付近、下の歯は犬歯付近です。引っ張られる力も2級ゴムとは反対に、上の歯は前に引っ張られ、前に倒れ気味になっている下の歯を起こす効果があります。

クロスゴム

上の歯と下の歯が、左右にずれてうまく噛み合っていない場合に使用します。表側と裏側のフックにクロスするようにゴムをかけることにより、左右のずれを調整する効果があります。

垂直ゴム

歯をすべて噛み合せた状態でも上下の前歯がくっつかず、隙間ができてしまう噛み合わせの場合に使用します。上下の移動したい歯の表側のフックに縦にゴムをかけて縦に引っ張ります。

「ゴムかけ」をすべき理由

おすすめする女性

矯正器具によってほぼ歯並びが整うと、かなりの手応えを感じると思いますが、実は、この時点ではまだ、歯のかみ合わせは完成とは言えません。上下の歯にはわずかな隙間が空いており、見た目以上にはまだしっかりと噛めていない場合が多いのです。

矯正治療の後半で導入される「ゴムかけ」は、ゴムの引っ張り合う力を利用して、上下の歯の隙間や歯の角度や並びの微調整を行い、噛み合わせや歯並びを整える重要な働きがあります。

もし「ゴムかけ」を怠ってしまうと、歯のかみ合わせが充分に調整されず、矯正の仕上がりだけでなく、様々なところにも影響が及ぼされます。

噛み合わせの悪さが及ぼす影響
    • 話し方に影響が出る
    • 虫歯や歯周病になりやすくなる
    • 体全体が歪みやすくなる
    • 姿勢や肩こり・腰痛などになりやすくなる
    • 充分に咀嚼できず消化しにくくなる

「ゴムかけ」で生じる問題点

問題点を考える女性

「ゴムかけ」の重要性をお伝えしてきましたが、ゴムかけで生じる問題も事前に知っておくことで、心構えを持ちやすくなります。

自分で装着する必要がある

ゴムは、自分で取り外ししなければなりません。ついやり忘れてしまうことがあるため、意識してつける習慣を身につける必要があります。

食事時は外さなければならない

食事時に装着したままでは食べられないので、食事のたびに外し、食事後に再び装着しなければならないのが少々面倒だと感じる人もいます。

口を開きにくい

ゴムの力で引っ張られるため、装着すると口が開きにくくなり、疲れやすくなります。

長期で使用すると痛みを感じることがある

長期間前歯にゴムをかける場合、冷たいものが歯にしみることがあります。また、奥歯の場合には顎に痛みを感じることがあります。

このように痛みを感じるときは、ゴムの強さが合っていない場合考えられるため、歯医者さんに相談することが必要です。

やらないと矯正の効果が充分に発揮されない

矯正器具ではおおまかな歯の移動をしますが、正確な噛み合わせにまで歯並びを仕上げるためには「ゴムかけ」は重要です。面倒だからと使用しないでいると、目標の歯並びにまで到達しないこともあり得るのです。

具体的には、ゴムは使用する時間の2乗に比例します。例えば、歯医者さんからの指定時間の半分しか使用しなかった場合には、1/4程度しか効果が現れません

最後の仕上げは自分の意識次第。忘れずに装着したいものです。

「ゴムかけ」をきちんとするかどうかで矯正の完成度合いが決まる!

「ゴムかけ」とは、矯正の後半部分に行う歯並びの微調整に用いられる、医療用の天然ゴムです。誰でも必ず行うことではなく、歯医者さんから指示された場合に行いますが、ほぼどんな矯正治療でも使用されます。

「ゴムかけ」の種類は、2級ゴム、3級ゴム、クロスゴム、垂直ゴムの4通りのかけ方があり、歯の噛み合わせの状態によって太さや強度も異なるため市販の輪ゴムでは代用できません。

噛み合わせを調整するという重要な役割がありますが、自分で取り外しして行うため、矯正への影響は自分にかかってきます。

「ゴムかけ」は少々面倒な面もありますが、それを差し引いてもなお、矯正への効果は絶大です。もし、歯医者さんから「ゴムかけ」の指示があった場合は、ちょっと頑張ってやり続けましょう。