いまさら聞けない虫歯ができるメカニズム!菌や再発の謎と予防法

子どもの頃から「虫歯になるから歯をみがきなさい」「甘いものを食べると虫歯になる」と言われますが、そもそも虫歯になるメカニズムを知っている人はあまりいないかもしれません。虫歯になるメカニズムや菌についての知識があれば、虫歯の再発防止や自分に合った予防法も知ることができます。ここでは、虫歯ができるメカニズムや、虫歯菌についてお話します。
- 虫歯ができるメカニズムを知りたい。
- 虫歯菌はどうやって発生するのか?と思っている。
- 虫歯ができやすい場所はあるのだろうかと思っている。
- 子どもを虫歯から守る方法を知りたい。
- 治療しても虫歯が再発するのはなぜなのかと思っている。
- 虫歯に有効な成分や予防法を知りたい。
虫歯ができるメカニズムとは?

虫歯の原因菌は、食べ物に含まれる糖分をみつけると、粘着質な成分を出して糖分を分解して酸にします。これが歯垢(プラーク)です。歯に付着した歯垢は、歯の表面のエナメル質を溶かします。
ただ、この状態ではまだ虫歯にはなりません。通常は、唾液の再石灰化の働きによって、溶かされた部分が修復されるからです。しかし、何らかの原因で再石灰化ができないと、虫歯の原因菌は歯の内部にある象牙質まで侵入し、組織を破壊していきます。
それじゃ、食べた後に歯をみがくといいのは、汚れを取り除いて菌を活動させないためですか!

そのとおりです。
虫歯ができやすい場所

虫歯ができやすい場所ってあるんですか!

はい。じつはあります。
虫歯ができやすいのは、歯と歯のすき間、咬み合わせのくぼんだ部分です。咬み合わせ部分は歯ブラシが比較的届きやすいですが、歯と歯のすき間はブラシが届かないので、歯間ブラシやデンタルフロスを使って落とす必要があります。
虫歯菌が発生する原因

実は、「虫歯菌」という名前の菌は存在しません。お口の中には良い菌と悪い菌が混在していて、それらをまとめて常在菌と呼んでいます。常在菌のうち複数の悪い菌が、虫歯を引き起こすのです。
唾液には口内環境を中性に保つ働きがあり、お口の中のpH値が中性に保たれている状態では悪い菌は活動できません。しかし、唾液量の減少や唾液の質が変化すると、虫歯ができやすくなります。
また、母乳やミルクだけ飲んでいる赤ちゃんのお口の中は、良い菌が圧倒的に多いです。しかし、成長するに従っていろいろなものを食べ、お口の中が酸性になる頻度が多くなると虫歯になりやすくなります。また、乳幼児の虫歯は大人から感染する場合があります。
唾液の「質」ってどういうことですか?

ストレスを感じると粘っこい唾液になるでしょう?
あ〜、ネバネバ唾液ってやつですね!
ネバネバ唾液=ストレス時に分泌され外からの異物に備える
歯みがきしても虫歯になるのはなぜ?

歯みがきをしても虫歯になるのは、以下のような原因が考えられます。
- 歯みがきをおろそかにする
- 歯みがき法が間違っている
- 歯間ケアをしていない

歯みがきを丁寧にしている人でも、汚れは60%しか落ちないことが分かっています。
それじゃ、適当にやってると全然落ちてないってことですね!

その可能性もあります。
治療しても再発するのはなぜ?

虫歯の治療をしても再発してしまうのは、歯の管理の問題もありますが、昔の詰め物や被せものが劣化して菌が侵入しているという場合もあります。また、歯並びが悪いとブラシが届かない場所が出きるため、磨き残しが生じて虫歯になりやすくなります。

特に銀歯の治療跡がある人は要注意です。
銀歯の下で虫歯になってるなんて、ゾッとしますね!
虫歯を予防するなら知っておくべきこと
虫歯を予防するなら、以下のことを知っておくと対策しやすくなります。
1.虫歯体質になるかどうかは乳幼児期で決まる!

虫歯になりやすくなるかどうかは、乳幼児の食生活と深い関係があります。バランスのとれた食事は丈夫な歯や骨をつくり、体全体の免疫力を上げるので虫歯にもなりにくくなります。
また、口内環境は3歳までに決まるといわれています。しかも、一度作られた口内バランスは、容易には崩れません。食物繊維が豊富な野菜や発酵食品などをまんべんなくとらせることで、良い口内環境をつくることができ、将来も虫歯になりにくい人になるのです。

3歳までに虫歯の菌に感染しなければ、善玉菌が定着するといわれています。
へぇー、それは知らなかったです!
子どもにはフッ素塗布やシーラントを
歯が柔らかく虫歯になりやすい子どもには、歯科でのフッ素塗布やシーラントを施すのがおすすめです。
2.寝る前の念入りな歯みがきは必要最低限

毎食後に歯みがきをする人は多いと思いますが、もっとも行うとよいのが就寝前です。就寝中は唾液の分泌量が少なくなるので、口内細菌がもっとも増殖し、虫歯ができやすくなるからです。寝る前は念入りに歯みがきをし、歯垢などをよく落として細菌が繁殖するのを防ぎましょう。

歯間ケアも忘れずに行いましょう。
みがきと歯間ケアをすれば最強ですね!
3.フッ素を残す「スウェーデン式歯みがき法」

虫歯予防の先進国スウェーデンでは、歯みがきをしたあと水でゆすがない方法が主流で、ゆすいでも軽く1回程度です。これは歯みがき剤に含まれるフッ素を口の中に浸透させるためです。また、歯磨きしたら30分くらいは飲食も控えますが、これもフッ素を浸透させる効果を期待するからです。
水を飲んだらフッ素が流れちゃうってことですか!

そのとおりです。
4.歯科で定期的にクリーニングする「プロケア」

歯科医院では定期的にクリーニングすることを推奨しています。クリーニングは専門器具や薬剤で行うため、セルフケアでは落としきれない汚れ・歯垢・歯石までスッキリと落とすことが可能です。

プロケアは医院によってプランが違うので、調べて比べてみるといいですよ。
虫歯は多角的に予防しよう!
虫歯予防は甘いものを控えたり、歯みがきだけを一生懸命やることも大切ですが、今回ご紹介したように多角的に考えることが重要です。家族みんなで意識し、虫歯のない楽しい人生を送りましょう。
- 虫歯ができるのは酸で糖を分解するから
- 虫歯ができやすい場所は歯間と咬み合わせ部分
- 子どもの虫歯菌は大人から感染る
- 唾液が少なくなり口内フローラが乱れると虫歯ができる
- 歯ブラシだけでは不十分、歯間ケアが必要
- 虫歯が再発するのは治療跡の劣化や歯並びが原因の場合も
- 乳幼児期のうちからケアすることが将来を決める
- 就寝前の歯みがき、フッ素を残す歯みがきが重要
- 歯医者さんで定期的なクリーニングをするのがおすすめ