虫歯になりにくいおやつって?子どものおやつの選び方・食べ方で虫歯予防

「おやつを食べるから虫歯になる」というイメージを持っている人は少なくないようですが、子どもにとって、おやつは大事な栄養補給源です。
子どもは一度にたくさんの量を食べられないので、1日3回の食事では、栄養が不足するのです。子どもの健やかな成長のためには、「第4の食事」という位置づけになるおやつは必要不可欠といえます。
おやつは子どもにとって大事なエネルギー源ですが、甘いお菓子ばかりのおやつや、間違ったタイミングで食べるおやつは、虫歯をつくる原因になってしまいます。
そこで今回は、虫歯になりにくいおやつの選び方、食べ方をお伝えします。
- 子どもがすぐに虫歯になってしまうのは、おやつのせい?
- おやつのせいで虫歯になるなら、おやつをやめたほうがいい?
- おやつの選び方や食べ方を工夫すれば、虫歯予防できるもの?
- 虫歯になりにくいおやつって、何を選べばいいのかわからない。
- 虫歯予防になるおやつの食べ方や食べるタイミングを知りたい。
「虫歯になりにくいおやつ」って?

子どものおやつって、何が虫歯にならないんでしょうか…?

歯にくっつきにくいものや、歯ごたえが良いもの、砂糖があまり含まれていないものなどが、虫歯になりにくいですね。
へぇー、というと、例えばどんなものですか?

チーズなどの乳製品や野菜、フルーツですね。
へぇー、身体に良さそう~。
牛乳やチーズなどの乳製品

牛乳やチーズ、ヨーグルトといった乳製品は、カルシウムが豊富なのもあっておすすめです。
現代人はカルシウムが不足しがちなため、カルシウムを意識したおやつは歯の健康のためにも良いといえます。
乳製品には、口内環境を良好にする乳酸菌が含まれています。乳酸菌は、虫歯菌の対策にも役立ちます。
野菜やフルーツ

歯ごたえが良く、天然の甘みがある野菜やフルーツも虫歯になりにくい食べ物といえます。
野菜やフルーツには食物繊維が豊富です。「清掃性食品」とよばれ、歯の表面の汚れを除去する働きがあります。
甘くないおやつ

甘いお菓子に限らず、野菜のサンドイッチ、焼きいも、昆布や野沢菜などを入れたおむすび、具たっぷりのスープなどをおやつにするのもおすすめです。
ナッツ、せんべい、チーズ、プリン、ゼリーのような、砂糖が少なくて、すぐに食べ終わるもの、歯にくっつきにくいものもいいでしょう。
栄養補給になって、虫歯になりにくいものを選ぶのがコツです。
天然100%の黒砂糖やハチミツで甘さを感じさせるお菓子も、虫歯になりにくいといえます。ただしハチミツは1歳未満の赤ちゃんには与えないように、気を付けましょう。
「虫歯になりやすいおやつ」とは?
虫歯になりやすいおやつって、どんなものですか?

虫歯になりやすいのは、おやつが何かというよりも、食べ方に原因があることが多いですね。
食べ方ですか?え、どんな…?

甘いお菓子や飲物をダラダラと飲み食いし続けると、お口の中にずっと糖の成分が残っていることになりますね。これが最も虫歯菌にとって居心地の良い環境なんですよ。
あー、そういうことですね。

食べ終わるまで時間がかかるもの、歯にくっつきやすいものは、お口の中に長く滞在することになりますよね。それが虫歯になりやすいおやつといえます。
あー、ヤだ、聞いてると早く歯を磨きたくなってきました…!
ダラダラ飲み食いするもの

例えば、袋ごとスナック菓子を食べると、いつまでもダラダラ食べ続けてしまいます。
おやつの時間を決めないで、小腹が空いたときに適当に食べるようにしていると、いつも何か口に入れている癖がついてしまいます。
また、砂糖入りの紅茶やジュースといった甘い飲物をダラダラと飲み続けるのも虫歯の原因になります。
飲み物は、糖が入っていない水やお茶がおすすめ。無糖のペットボトル飲料などは、100mlあたり5kcalまででしたら表示義務がないので、カロリーゼロや無糖と表記できます。
本当にノンカロリーというわけではないことも多いので要注意です。
歯にくっつきやすいもの

ケーキ、クッキー、チョコレート、キャラメルなど歯と歯の隙間に挟まったり、くっついたりしやすいもの、キャンディ、グミ、ガムなど、砂糖たっぷりで口内に長く滞在するものは、虫歯になりやすいおやつです。
甘いお菓子・飲み物
虫歯になりやすい原因は、おやつそのものよりも食べ方にあるともいえます。
いちばん良くないのは、甘いお菓子や飲物をダラダラと食べ続けたり飲み続けたりすること。
お口の中がずっと甘いものがある環境になってしまうので、最も虫歯菌が喜ぶ状態です。
これは、子どもだけでなく大人も同様のことがいえます。
子どもが虫歯になりやすい理由

子どもってすぐ虫歯になっちゃうんですよね。悪化するのも早いし…。

小さいお子さんは、肌や骨もそうですが、歯はやわらかくて傷つきやすくできています。乳歯や生え変わったばかりの永久歯は、大人に比べて虫歯になりやすいといえますね。
やっぱりそうですよねー。虫歯って、どうしてできるんですか?ほんとに困っちゃう。

困りますよね。では、虫歯ができる仕組みを説明しましょう。
虫歯ができてしまう理由
虫歯ができてしまうのは、口内にある悪玉菌が原因です。
口内に、ほんのわずかでも食べカスが残されていると、悪玉菌である虫歯の原因菌が食べカスに含まれている糖をエサとして取り込み、酸を出して腐食させてプラーク(歯垢)を作り出します。
プラーク(歯垢)は、歯と歯の隙間や前歯の裏、奥歯の溝などに溜まり、虫歯菌の温床となります。
虫歯菌はプラークの中で酸を作り続けて歯の表面の成分を溶かし、穴を開けます。これが虫歯ができる仕組みです。
じゃあ、おやつって、あまり食べさせない方がいいのかなぁ…先生、どうすればいいですか?

おやつは、子どもにとって「第4の食事」ともいわれるほど重要な栄養補給の機会なので、成長のためには必要なんですよ。
虫歯になりにくい工夫をしながら、栄養価の高いものを食べさせてあげてくださいね。
そうですよねー。よかった、楽しみなおやつをやめるなんて、かわいそうですもん。
おやつを工夫して虫歯予防!
でも…じゃあ、糖が虫歯の原因になるなら、炭水化物は避けた方がいいんですか?

たしかに糖は虫歯になりますが、だからといって炭水化物を避けるのはリスクの高い考え方です。ごはんやパンなどの炭水化物から、脳の唯一のエネルギー源になるブドウ糖という糖分を得られるんですよ。
へぇー、炭水化物って身体にとって大事なんですね。虫歯やダイエットの敵かと思ってましたー。
炭水化物は3大栄養素のひとつで、「糖質」にあたり、タンパク質や脂質とともに、心身の健やかな成長のためにバランスよく摂りたい栄養素です。
「虫歯になるから」と過剰に心配して炭水化物を控えると、かえって健康リスクを高めてしまうことになります。
おやつを食べても虫歯にならないようにするには、以下にような工夫をすると効果的です。
おやつの時間を決める

おやつの時間は午前10時と午後3時の1日2回など、あらかじめ決めておきましょう。
虫歯の原因になるのは、口内にいつまでも食べ物が入っている状態になるからです。
飲食すると唾液が出て、唾液に含まれる殺菌・抗菌作用で口内がキレイに清掃されます。
唾液の自浄作用は虫歯予防に効果的ですので、食事とおやつの時間以外は、口の中に食べ物がない状態を保ちましょう。
おやつの後は水やお茶を飲む

おやつを食べたら、水やお茶を飲む習慣をつけるようにしましょう。
水分は口内の汚れをキレイにし、唾液の自浄作用を口内全体に行き渡らせる効果があります。
ただし、砂糖が入った飲料は虫歯の原因になるためNGです。
水分補給は、水またはお茶にしましょう。お茶にはカフェインが含まれている種類もありますので、小さな子どもにはカフェインが入っていない麦茶などがおすすめです。
虫歯を予防するにはやっぱり「歯磨き」

虫歯になりにくいおやつ選びや、水分補給が大事だってわかりましたー。

そうですね。それから歯磨きも忘れずにしてくださいね。歯磨きは汚れの除去だけではなく、歯磨き粉に含まれるフッ素が歯を強くして、虫歯になりにくくい状態にしますので大事ですよ。
え、歯を強くするんですね、歯磨きって。食後に磨くのがいいんですよね?

はい。毎食後はもちろんですが、実は寝る前の歯磨きが大事ですね。寝ている間がいちばん虫歯が進行しやすい時間帯なんですよ。
へぇー、そうなんですねー。考えたことなかったです。これからは食後だけじゃなくて寝る前にも磨くようにしますー。

お子さんだけじゃなく、ご家族も一緒に磨いてくださいね。
- おやつは子どもにとって「第4の食事」。成長のために欠かせない。
- おやつの選び方や食べ方を工夫すれば、虫歯を予防できる。
- 口内に残った食べカスが虫歯菌を活性化させて、虫歯の原因になる。
- 口内に残りにくいおやつを選び、ダラダラ食べないことが大事。
- 虫歯予防には歯磨きが重要。食後と寝る前の歯磨きを続けよう。