歯の痛みに波がある歯原性歯痛の7つの原因とその症状とは?

「歯の痛みがあったりなくなったりするけど、痛すぎてどの歯が痛いかよく分からない。でも、歯に問題があるのは確かだ」
急に歯に激痛が走り、かと思えばケロッと痛くなくなる状態を繰り返す…そんなお悩みを抱えていませんか? 痛みに波があり、しかもその痛みがかなり激しい場合には、どの歯が痛むのか正確に分からないことがあります。そのため、歯医者に行くにもどう説明すればいいのかとためらってしまいますね。
ここでは、歯原性歯痛の中でも歯の痛みに波があるタイプについて、詳しく説明していきます。痛みの原因が分かれば、今自分の歯がどんな状態なのか見当がつき、歯医者にかかる際にも説明しやすくなるでしょう。
- 激しい痛みが波のように繰り返して起こる
- 痛みの波が引くとケロッと痛くなくなる
- 横向きに寝ると歯が痛むことがある
- 冷たいものを飲んだり食べたりすると痛む
- 疲労が溜まっている時になりやすい
1. 歯の痛みに波がある理由

歯が原因の痛みには、歯原性歯痛と非歯原性歯痛があります。歯原性歯痛は歯が原因の痛み、非歯原性歯痛は歯以外のことが原因で起こる歯の痛みです。
歯の痛みに波がある場合は歯原性歯痛の可能性が高いのですが、その理由を詳しく説明していきますね。
1-1. 歯原性歯痛と非歯原性歯痛
歯の痛みに波がある場合は、歯原性歯痛と考えられます。歯原性歯痛の中でも歯の周辺が傷ついたことによって起きる痛みを「侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)」と呼びます。波がある痛みの場合は、この「侵害受容性疼痛」です。
私達が身体のどこかを怪我をした時に感じる痛みは、「受容器」という部分への刺激によって引き起こされます。受容器は内臓や皮膚などに存在するのですが、これが傷つくと刺激となり、脳に伝達されて痛みを感じるというしくみになっているのです。
内蔵や皮膚というと心臓や手足の皮膚などをイメージしますね。しかし、歯や歯茎は唯一むき出しになっている臓器で、歯の周辺組織にも受容器があります。
侵害受容性疼痛は臓器の深いところで起こる痙攣するような痛みで、痛みの正確な場所を特定するのは難しいです。症状は以下のような痛みです。
- ズキズキする痛み
- 鋭い痛み
- うずくような痛み
- 鈍い痛み
痛みが起こるきっかけはほんの些細なことで、深呼吸やせき、体を動かした拍子に起こることもあります。

歯が原因の痛みで、その中でも歯の奥深くで何かが起きている状態だと痛みに波が起こるんですね!

そのとおり。非歯原性歯痛と違うのは、歯自体が原因になるということです。
一方の非歯原性歯痛とは、顎の筋肉や関節が原因で肩こりや頭痛などが生じる痛みのことです。虫歯や歯周病など歯自体が原因というよりも、顎周辺の問題で関連痛が起こるもので、歯が痛いと感じることもあります。
2. 歯原性歯痛の原因
歯に問題があって痛みに波がある場合には、7つの原因が考えられます。
- 象牙質のう蝕
- 歯髄炎
- 歯髄壊死
- 歯根膜炎
- 根尖性歯周炎
- 智歯周囲炎
- ヒビなどの外傷
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
2-1. 虫歯や歯周病による「象牙質のう蝕」

歯のエナメル質の内側には象牙質というところがあります。象牙質は神経に近いので、虫歯や歯周病などでう蝕(歯が溶かされる)が進んで象牙質に達すると、冷たいものや甘いものが刺激となり痛みを感じます。
時々起こる、うずくような痛みです。う蝕が進行すると痛みの度合いが激しくなります。

健康な歯がものを噛んでも痛みを感じないのは、エナメル質が守っているからなんですよ。

じゃあ、エナメル質が溶かされたら、痛みを感じちゃうってことなんですね!

そのとおり。エナメル質はいわば痛みの防波堤で、エナメル質の下の構造は、どの部分でも痛みを感じます。

うわあ、大変だ!
2-2. 歯髄に炎症が起こる「歯髄炎」

歯髄炎とは、歯の一番奥深くにある歯髄に炎症が起こる病気です。虫歯や歯周病によるう蝕が進み、細菌が歯髄に感染して炎症が起こります。
歯髄炎の痛みは、熱いものが沁みる、何もしていないのに急にズキズキするといったものです。さらにひどくなると痛みは顔全体にまで及び、顔の片側全体の痛みや偏頭痛、心拍に合わせてズキズキした痛みが起こるなどの関連痛もみられます。

さっきから出てくる関連痛ってなんですか?

関連痛は、原因から離れた場所が痛むことですよ。

なるほどー。
2-3. 虫歯や歯周病による「歯髄壊死」

虫歯や歯周病が進むと歯髄炎になりますが、さらに進行して重度になると、最終的には壊死してしまいます。歯髄感染や歯髄炎の状態では冷たいものや熱いものが歯に沁みますが、歯髄が壊死すると神経が死んでしまうので急に痛みを感じなくなります。

歯髄壊死が起こると歯の色が黒っぽく変色します。

あ!そういうの見たことあります!
2-4. 細菌が原因の「歯根膜炎」

歯根膜炎とは、虫歯や歯周病の原因となる細菌が歯の根元を覆っている歯根膜に炎症を起こす病気です。歯根膜は神経に近く、力が加わったり化膿した膿などが漏れたりすると強烈な痛みを感じます。

歯根膜は、歯に力がかかった時の衝撃を和らげるクッションみたいなものです。

それが炎症するなんて、考えただけで痛そうですね!
2-5. 歯の根に炎症が起こる「根尖性歯周炎」

根尖性歯周炎とは、歯の根の先端(根尖)から歯の土台となる骨の内部にまで炎症が起こる病気です。
根尖性歯周炎が起こると、歯の根の先に袋ができて膿が溜まります。この膿が漏れ出ると噛んだ時の激痛やズキズキする痛みが起こります。

まれに、頭痛や首の痛みなどの関連痛も生じます。

歯の痛みが頭とか首にまで…!
2-6. 親知らずの病気「智歯周囲炎」

親知らずのトラブルが原因で、歯に波のある痛みが出ることもあります。親知らずは永久歯の最後に生えてくる歯で、多くの場合生えるスペースが足りずに斜めに倒れたり半分埋もれた状態になりがちです。
倒れた部分と隣の歯との間に隙間ができると、そこに歯垢がたまって歯周病になります。このような親知らず特有の歯周病を智歯周囲炎と呼びます。
症状が軽い場合は噛むと痛みが生じる程度ですが、ひどくなると疲労や風邪による体調不良などで激痛や頬の腫れなどの急性の症状が生じることがあります。

口が開かなくなることもありますよ。

まさか親知らずでそんなことになるなんて思わないですよね!
2-7. 歯にヒビなどの外傷がある

冒頭で、侵害受容性疼痛は歯の周辺の傷が刺激となって痛みが起こると話しましたが、単に歯に傷があることでも刺激になります。
歯にヒビが入っている、欠けているなどの外傷も、波のある痛みの原因です。

奥の方の歯だとヒビがあっても気づかないかもしれませんね!

そうですね。歯をぶつけたりしたら歯医者さんで診てもらうといいですよ。
3. 侵害受容性疼痛の治療法

侵害受容性疼痛の治療は、歯医者でしか行うことができません。上記に挙げた7つのいずれかの問題を解決しなければ、痛みは消えないからです。
治療法は、それぞれの原因毎に異なりますが、根管治療は難しい治療なので、根管治療が得意なクリニックを受診するのがおすすめです。インターネットで「根尖性歯周炎 歯科医院」「根管治療 歯科医院」というワードで検索すると見つけやすいですよ。

ドクターブックにも歯科医一覧があるので参考にしてみてくださいね。
4. 歯の痛みに波がある時は早めに受診して!
歯に波がある痛みは、そのほとんどが歯の問題が悪化している時に起きるものです。問題が重症化すると激痛の頻度が増すか、歯髄壊死が起こって痛みがピタリと止むかのどちらかです。
しかし、痛みが止んだからと放置すると、骨が溶けはじめて歯の治療ができなくなり、骨や歯茎を再生する手術が必要になるなど、大ごとの事態に発展してしまいます。
激痛も我慢できなくなり生活に支障をきたすので、いずれにしても大変ですね。痛みが続いていないから平気だと思わずに、できるだけ早く治療しましょう。
- 歯の痛みに波があるのは歯周辺の傷が刺激になるから
- 虫歯や歯周病で象牙質のう蝕が進むと、歯が溶かされる
- う蝕が進むと歯髄にまで細菌感染し、歯髄炎になる
- 歯髄炎が更に進むと歯髄壊死になる
- 歯根膜炎は歯の根を覆う歯根膜に起こる炎症
- 根尖性歯周炎は膿が漏れると痛む
- 親知らずが歯周病になると痛みが出る
- 歯にヒビなどの外傷があれば波のある痛みが出る
- 歯が原因で痛みに波がある場合の治療は歯科医院へ