【歯科医監修】塩磨きで歯周病予防?本当に効果があるのはこの5つ

昔の人の知恵、「塩で歯磨きをすると歯にいい」という概念は多くの人が知っていることです。その根拠は江戸時代に医学者によって書かれた「養生訓」という書物が出どころのようです。ただしこの本がもてはやされたのは、薬用成分などが開発されるはるか300〜400年も前の話。この記事では現代から見た塩磨きの効果や本当に効果がある歯周病予防の方法をご紹介します。
- 昔から塩で歯ぐきを磨くといいと言われてるけど本当に効果があるかどうか知りたい
- 塩は歯を引き締めるというけど、それだけやっていれば大丈夫?と思っている
- 塩の粒々が歯をつるつるにしてくれるかどうか知りたい
- 塩入り歯磨きを使っているけど効果の程は?と思っている
- 本当に歯周病を予防できる方法を知りたい
歯医者さんが教える塩磨きの是非
昔の医学者が自ら実践していた「塩磨き」の是非を、歯医者さんに確認してみました。
引き締め効果はあるけれど使い方が肝心


歯周病予防の観点から見ると、塩はたしかに引き締め効果があります。ただし、使い方が肝心です。
使い方って具体的にはなんですか?
塩には収れん作用があるため、歯ぐきを引き締めてくれる効果が期待できます。ただし、塩入りの歯磨き粉など計算された分量と形で配合されている場合です。
食塩の粒子が歯と歯ぐきを傷つけることも

ここで取り上げた「塩磨き」とは、食塩を歯ぐきに直につけてこする方法のこと。食塩を直につけてゴシゴシこすると、大きすぎる粒子が歯ぐきを傷つける可能性があります。
薬用で配合されている塩と食塩は別物ってことですか!

その通りです。
食塩の脱水作用や塩分過多のリスクがある

薬用で歯磨き粉に配合されている塩と、粗塩などの食用の塩を歯ぐきに塗るのとでは、粒子の大きさも使用する分量もかなり違います。食塩を多量に使うと、歯ぐきから塩分が吸収されて脱水症状や塩分過多になるリスクがあります。
また、塩には引き締め効果と若干の殺菌作用がありますが、歯や歯ぐきを丈夫にするといった特殊な作用はありません(日本歯周病学会)。
たしかに歯磨き粉に含まれている塩と粗塩を直に塗るのとじゃ、分量にずいぶん差がありますね!

そうですね。
歯周病予防におすすめの5つ
では、歯医者さんが教える歯周病予防に役立つ方法をご紹介します。
1.フッ素入り歯磨き
フッ素は酸によって溶かされてしまった歯や歯ぐきの周辺組織を修復してくれる働きがあります。また、歯の表面をコーティングして菌から守ってくれるという作用もあります。高濃度フッ素の歯磨きは通常のフッ素入りよりもフッ素の力が強いためおすすめです。
ドラッグストアでも高濃度フッ素の歯磨き粉って500円くらいで売ってますよね!

そうですね。「高濃度」と書いてあればほぼ1450ppm配合です。
2.研磨剤フリーの歯磨き

パッケージに「歯周病用」と書いてあっても、研磨剤が入っている歯磨き粉もあります。健康な歯に対しての歯周病予防なら研磨剤も有効ですが、歯ぐきが腫れている、ブヨブヨしているなどすでに歯周病の症状が出ている人は、研磨剤の入っていない歯磨き粉がおすすめです。
ジェルタイプとか液体歯磨きですか?

そのとおりです。特にジェルタイプは垂れないので長くしっかりと磨けます。
3.薬用成分入り歯磨き

歯磨き粉の裏の成分表示を見ると、有効成分が記載されています。有効成分をしっかりと見極めて購入しましょう。歯周病予防に効果のある代表的な薬用成分は以下のとおりです。
- CPC:歯垢の表面に働きかけて殺菌する
- IPMP:歯垢の内部に働きかけ殺菌する
- ビタミンE:歯ぐきを引き締める
- 塩化ナトリウム:歯ぐきの血行を促進し腫れを防ぐ
- フッ素:組織を修復する・コーティングする
- イプシロン、トラネキサム酸:抗炎症作用
どれが一番いいんですか?

おすすめはCPCかIPMP配合ですが、ほとんどの歯磨き粉はいくつかの成分が組み合わさって配合されています。
4.歯間ブラシ・デンタルフロス

歯磨きだけでは、歯にこびりついた汚れは60%しか落ちないことが分かっています。しかも歯ぐきに炎症を引き起こす歯周病菌は空気に触れない場所が大好き。歯ブラシが届かない歯と歯の間などに溜まりやすいのです。そのため、歯磨き時には歯間ブラシやデンタルフロスを併用して、しっかりと汚れや歯垢を除去することが重要です。
歯垢って本当に厄介だなぁ。

そうなんです。でも、スッキリ落とせると気持ちいいですよね。
たしかに!
5.重曹うがい・水圧うがい

うがいで歯周病が予防できるのか?と思う人もいると思いますが、水圧を利用してうがいをすると、細菌や汚れを剥がして除去することができます。水だけでも一定の効果はありますが、さらに重曹で行うと、重曹の発泡作用がより剥がしやすくしてくれますし、薬品を使うことに抵抗がある人も安心して使えます。
重曹って掃除の時に使うアレですか!

いいえ、食用の方です。食品売り場で探してくださいね。
歯周病予防は塩より有効成分でしっかりケア
塩を直接歯や歯ぐきにつけて磨く「塩磨き」は、大きすぎる粒子が歯や歯茎を傷つける可能性があるのでおすすめできません。ただ、薬用成分として入っている塩化ナトリウムは同じ塩でも調整されているので問題ないと考えて良いでしょう。今回おすすめしたような有効成分入りの歯磨き粉を使って歯周病をしっかりと予防しましょう。
- 塩磨きは有効成分がなかった時代の話
- 食塩はかえって歯や歯ぐきを傷つける
- 食塩は歯ぐきの水分を減らし歯周病のリスクを上げる可能性がある
- 歯周病予防には殺菌成分や有効成分が入った歯磨き粉を使う
- 歯周病には研磨剤フリーの歯磨きがマスト
- 歯間ブラシやデンタルフロスを併用すると効果的
- 重曹を使った水圧うがいも効果あり