歯周病の予防&ケアを自宅で!?マウスピース治療の流れを徹底解説

歯周病にかかった歯を完全に元通りに治すことは難しいのですが、歯を良好な状態に改善したり、これ以上進行しないように食い止めたり、といった治療を行うことができます。
それには近頃、マウスピースを使った歯周病の予防・治療が効果的と注目を集めています。
基本的に自宅で行えるので、忙しくて歯科に頻繁に通えないという方にもおすすめです。
今回は、マウスピースを使って行う2タイプの歯周病の予防法を紹介します。
- 歯周病かもしれない。予防や治療をしたいが、多忙で歯科に通えない。
- 歯周病を治すのに、頻繁に通院しなくてもいい方法があれば知りたい。
- 歯を削ったり抜いたりせずに歯周病を治療する方法があれば知りたい。
- マウスピースをつけて行う歯周病の予防・治療法があると聞いたが本当?
- 歯ぎしりや食いしばり癖があると歯周病が悪化すると聞いたが本当?
そもそも、歯周病って治せるの?~歯周病の予防・対策法~

先生、歯周病は治らないって聞いたんですが本当ですかー?

そうですね、歯周病は一度かかってしまうと完全に元には戻せないので、治らないともいえますが、そういいきるのは少し乱暴かもしれません。
治らないともいえる?…といいますと…?

歯は一度失ってしまうと元には戻せませんが、歯ぐきや顎の骨の再生治療といった外科手術で治療することは可能です。
あーーなるほどー、手術ですかー。だいぶ大掛かりになりそうですなー。

そうですね。治療に時間も費用もかかりますので、一般的な歯の治療のイメージよりはかなり大掛かりになりますね。
うーん、そうなると簡単には治せそうにないですな…。

そうですね。中には手術が適応しない患者さんもいますので、安易に治療できると考えるのはリスクがありますね。
なるほどなー。やっぱり、歯周病の予防したほうがいいってことですなー。

その通りです。歯周病の予防は日常生活でできますので、ぜひ心がけてください。
口内の歯周病菌を減らす
歯周病は、原因となる細菌がプラーク(歯垢)の中で増殖して歯の周辺組織を溶かしていく病気です。
歯周病菌ゼロにすることは難しいですが、細菌を減らすことはできます。
できるだけ口内の歯周病菌のような悪玉菌の増殖を阻止し、乳酸菌のような善玉菌を増やして、口内環境を改善しましょう。
免疫力を高めて発症を回避する
歯周病は、細菌によって発症する感染症です。風邪やインフルエンザなどの感染症と同じで、身体を健康に保って免疫機能が正常に働くと、歯周病菌に感染したとしても発症を逃れることができます。
抵抗力が下がっていると、感染症にかかりやすくなってしまいます。抵抗力を上げるために、バランスのとれた食生活、十分な睡眠、適度な運動など、生活習慣を整えて、細菌に負けない免疫力が備わった身体づくりをすることが大切です。
歯ぎしりや食いしばりを止める
歯ぎしりや噛みしめの癖がある人は、気付かないうにち歯に圧が加わっている可能性があります。 昼間は食いしばらないように気を付けていても、寝ている時はコントロールできません。無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりの癖がでてしまい、朝起きたら歯が痛くなったり、歯がグラグラしたりすることがあります。
たとえ歯周病がほんの初期の軽い状態であったとしても、こうした歯ぎしりの癖が加わることで歯の周辺組織である歯槽骨が失われるスピードが速くなります。
歯周病の悪化に加速がついて歯がどんどん弱くなり、寝ている間に噛みしめてしまった拍子に、歯が砕けてしまうこともあるほどです。何らかの方法で、無意識に歯ぎしりや食いしばりの圧で歯を傷めないように、対策を練る必要があります。
歯周病の予防と治療を自宅でできる!「新マウスピース治療」

うーん、これは本格的に歯周病の治療をやらないといけませんなー。先生、仕事が忙しくても歯周病の治療ってできますかねえ?

では、何回か通院すれば基本は自宅でできるマウスピース治療を紹介します。
えぇー、自宅で!?そんな画期的な方法があるんですかー?ぜひ知りたいですなー!
歯周病菌を減らすマウスピース治療「3DS」

3DSは、歯周病の原因になる細菌を減らして歯周病を改善する治療法です。Dental Drug Delivery System(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム)の略で3DSといいます。
「3DS」とは、どんな治療?
ほーう、歯周病をマウスピースで治療するとは驚きですなー。どうやるんですか?

薬剤をマウスピース型のトレイに入れて、それを歯に装着して就寝します。
ほほーう、歯周病に効く薬剤をキープしておけるようになっているんですな。

3DSは除菌のためのケアですので、注意点が2つあります。下記をご確認くださいね。
2.糖分を摂取すると歯周病菌が活発化するので、3DSケア実施中は、糖分摂取はできるだけ控えること。
「3DS」治療の流れは?
歯周病をマウスピースで治療する「3DS」ケアの流れは、下記の通りです。
- 細菌検査を行い、3DSケアを行うかどうかを診断する
- 歯型を採取し、3DSケア用のマウスピースを作成する
- PMTC(専用機器で歯のクリーニング)を行い、歯をキレイに清掃する
- 3DSケアの薬剤をマウスピースに入れて装着。除菌スタート
- 自宅で3DSケア(1週間程度)
- 歯科で細菌検査、PMTC(クリーニング)、3DSケアを行う
- 2カ月くらい経過して、歯科医院で細菌検査
- 歯周病菌が一定量より減少していれば、3DSケアは終了
- 細菌量が減少していなければ、減るまで3~7を繰り返す
- 3DSケア終了。引き続き定期的にクリーニングを実施
いつ、どれくらい装着する?
自宅での3DSケアは、1週間程度、続けます。
寝る前に歯を磨いた後、10分間くらいマウスピースを装着する方法がおすすめです。
歯科で細菌検査を行い、歯周病の原因菌が減ったと確認できれば終了です。それまで、3DSケアを繰り返します。
歯ぎしり・食いしばり癖から歯を守るマウスピース「ナイトガード」

ほーう、ナイトガードということは、こちらは夜用ですかな?

その通りです。睡眠中、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりの癖が出て歯周病が悪化しないよう防ぐんですよ。
ほほーう、寝ている間に歯に圧がかからないように予防するんですな。

そうそう、その通りです。
睡眠中に歯ぎしりや食いしばりが起こると、歯に圧がかかります。寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは60kg~100kgにも及ぶ強い力のため、表面のエナメル質を傷めます。
エナメル質が欠けたり割れたりして下層にある神経が通った象牙質が表面にでてくると、知覚過敏が起こりやすくなり、ますます歯周病が悪化しやすい環境になってしまうのです。
歯がグラグラになって安定しない状態になると、歯の周辺組織である歯槽骨が揺らされてどんどん失われていき、歯周病の進行とともに歯が倒壊するトラブルが起こりやすくなります。
ナイトガードってどんなマウスピース?
ナイトガードは、就寝の際に装着するマウスピースです。
歯ぎしりや食いしばりで歯にかかる圧力を和らげるために装着します。ナイトガードを着けると、噛みしめにくくなります。もし噛みしめたとしても、削られるのはマウスピースなので、歯は擦り減りから守られます。
セラミッククラウンやレジンの詰め物や被せ物など、噛みしめた圧力による破損・脱離の防止にも効果的です。
そして、歯周病の予防にはナイトガードで歯槽骨の揺れを防止できることが役立ちます。歯と、歯を支える顎の骨との間にあるやわらかい骨の組織である歯槽骨は、揺さぶられるとどんどん失われていき、歯のグラつきや抜けやすさに拍車をかけてしまうのです。
ナイトガード治療の流れとは?
歯周病を悪化させないために、就寝中の歯ぎしり・食いしばりから歯を守るマウスピース治療「ナイトガード」の流れは下記の通りです。
- ナイトガード治療を行うべき症状であるかを検査する
- 歯型を採取してナイトガード・マウスピースを作成
- 1~2週間でマウスピースが完成する
- 就寝時にナイトガード・マウスピース装着をスタート
いつ、どれくらい装着する?
ナイトガードは、寝ている間に無意識にしてしまう歯ぎしり・食いしばりから歯を守るためにつけるマウスピースですので、就寝中ずっと装着します。
寝ている間に限らず、日中の歯ぎしり・食いしばり癖から歯を守りたい場合は、1日中つけていても大丈夫です。
特に何時間以上はつけてはいけない、という決まりはありませんので、自分自身で無理のない範囲を考えて使用するようにしてください。
マウスピースなら歯周病予防が自宅でできる!

ほーう、マウスピースでの歯周病の予防は自宅でできるから、忙しいおいらみたいなタイプでも簡単にできそうですな。

そうですね。細菌を減らすタイプ、歯を守るタイプと、治療の目的は違いますが、どちらも歯科で検査と歯型をとってマウスピースを作れば、基本的にホームケアが中心となる予防法ですからね。
ほほーう、さっそくこの方法で歯周病の予防、やってみたいですな!
- 歯周病は完全に治すのは難しいが、状態を改善、進行を止めることは可能。
- 歯医者が苦手、多忙で通院できないという人も歯周病の治療を行える。
- マウスピースを使った歯周病の予防・治療なら、頻繁に通院しなくてもいい。
- 食いしばり・噛みしめ癖があると、歯周病の悪化が早くなるので対策が必要。
- 就寝用のマウスピースをつければ、食いしばり・歯ぎしりから歯を守れる。