【歯科医監修】歯周病を予防するならタバコを辞めたほうがいい理由

歯周病になりやすい人でタバコを吸っている人は、歯医者さんから「タバコは辞めてくださいね」と言われます。しかし、治療している・または治療が終わったのだから、タバコをやめる必要はないのではないかと思う人もいるかもしれません。この記事ではタバコと歯周病の関係を詳しく紐解いていきます。疑問を持っている人や納得できかねている人は、ぜひ読んでみてください。
- 歯医者さんにタバコを止められたけどなぜ悪いのか知りたい。
- タバコはどんなふうに歯周病によくないのか知りたい。
- 受動喫煙でも歯周病になると聞いたことがけど本当か?と思っている。
- 仮に禁煙した場合、どれほど良い効果があるのだろうかと思っている。
- 受動喫煙で子どもも歯周病になるのか心配だ。
タバコが歯周病に良くない理由
タバコが歯周病予防に良くない理由は、大きく4つあります。
1.ニコチンが血流を悪くする

タバコに代表される成分ニコチン。ニコチンを摂取すると血管はすぐに収縮を始め、血流が悪くなって心拍数も上がります。また、体内でニコチンが分解される際、発ガン性物質が作られます。
ニコチンの作用は、歯の土台である歯ぐきにも直接ダメージを与えます。歯ぐきにはたくさんの血管が通っており、血流が滞ると歯周病菌に感染しやすくなったり自然治癒力が下がったりするのです。タバコを吸っている人は口腔がんのリスクも高まります。

ニコチンはタバコの草が虫などの外敵から身を守るために作り出す毒物なんです。
おいら吸ってなくてよかった〜。
2.タールは歯垢を作りやすく口臭の原因にもなる

タバコに含まれるタールはいわゆる「ヤニ」です。タールには60種類以上の体に悪い成分が含まれていますが、粘着質で独特の悪臭を持つことが特徴です。歯の表面に付着したタールはなかなか取れず、細菌の絶好の棲家となります。たとえ低タールの軽いタバコでも、歯や体への影響は同じです。

軽いタバコでも本数が多ければ同じです。
うーん、少なくても毎日吸えば蓄積されるということですね。
3.免疫力が下がり炎症を引き起こしやすい

タバコに含まれる有害物質は200種類以上。有害物質は口内の免疫力を下げ、歯周病による炎症などが起こりやすくなります。歯ぐきの血流が悪いと傷を治そうとする力も弱めるため、出血もしやすくなります。歯周病の治療としてインプラントを選択する場合も多いですが、インプラントは外科手術が必要なため、出血の問題は解決しておかなければなりません。

インプラントを埋入する人は、禁煙はマストです。
タバコ吸う人は色々大変だなぁ。
4.歯ぐきが黒くなり炎症に気づきにくい

ニコチンによって血行が悪くなると歯ぐきが黒ずみ、もし歯周病による炎症が起きていたとしても発見しづらくなります。発見が遅れれば歯周病は進行し、治療にも時間がかかります。また、ニコチンは無色透明ですが、空気に触れると茶色に変化するので、ヤニとの相乗効果で増々歯や歯ぐきが変色してしまいます。

歯や舌についたヤニは口臭の原因にもなります。
聞けば聞くほどすごいですね(苦笑)。
受動喫煙でも歯周病になるか
自分がタバコを吸わなくても、副流煙を吸い込むだけでタバコを吸ったのと同じになるという受動喫煙。体に害を及ぼすと言われていますが、歯周病にも以下のような影響があります。
受動喫煙でも歯周病のリスクは高まる

タバコの煙には、本人が吸い込む「主流煙」と火が着いたタバコから流れる「副流煙」があります。副流煙には主流煙以上にニコチンやタールが含まれており、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍です。自分が吸っていなくてもタバコに火がついた環境にいるだけで、歯周病のリスクが高まります。

発ガン性物質も副流煙のほうが多いんです。
うーん、これは思ったより深刻ですね。
家庭内で起こりやすい「三次喫煙」

三次喫煙とは、タバコの残留物質を吸い込んで間接的にタバコの影響を受けることです。タバコは吸ったあとも布製品などに有害物質を残します。吸っていた人の着ている洋服、ソファー、カーテン、カーペットなどは三次喫煙を引き起こす対象と考えられます。換気扇の下やベランダで吸っていても、残留物質が免疫力の低い小さなお子さんやお年寄りの健康リスクを高めるのです。
ベランダで吸っても服が吸い込んじゃえば…ってことか。
子どもの歯周病リスクが高まっている!

親や身近な大人が喫煙をしている子どもは、歯ぐきの黒ずみが通常の5倍にもなることが分かっています。受動喫煙によって歯ぐきのメラニン色素が沈着しやすくなるというデータもあり、タバコを吸うはずのない10歳児の歯ぐきが黒ずみ、着色汚れや口臭を改善する治療をしたという事例もあります。

最近子どもの歯周病予備軍は増えています。
子どもは悪くないだけに切ないですね。
タバコをやめると歯周病リスクが下がる理由
タバコを辞めると、歯周病予防には以下のようなメリットがあります。
血流が改善される

タバコによるニコチンやタールが体内に入ってこないので、徐々に血流が改善されて歯ぐきに健康が戻ります。歯ぐきが健康になれば炎症も起こりにくくなり、万が一歯ぐきに腫れや出血が見つかったとしても軽症のうちに対応できるでしょう。
ただし、タバコを吸わない人同程度にまで改善されるには、5〜10年の禁煙期間が必要です。時間はかかりますがリスクは確実に下がるので、早めに禁煙をして歯周病を予防しましょう。

軽症の場合はマッサージなどで鎮まるケースが多いです。
ほーう、それは知りませんでした。
体内環境が改善される

タバコを辞めると体全体の免疫力が回復するので、歯周病になりにくくなるのはもちろんのこと、風邪などもひきにくくなります。糖尿病の傾向があった人が禁煙したら、お口の環境が改善されて糖尿病の症状にも良い影響があったという報告もあります。
歯周病をコントロールすると糖尿病も改善するんですね。

歯周病は糖尿病の合併症のひとつと言われています。
喫煙をやめれば歯周病を予防できます
歯周病は歯周組織に慢性的に炎症を起こす感染症です。タバコを吸うと歯茎の健康を害し、炎症を助長してしまいます。歯周病を予防するならタバコとの関係をもう一度見直しましょう。

専門外来など専門家に協力してもらうと辞めやすいです。
- ニコチンは血流を悪くして歯周病を引き起こす
- タールの粘着性が歯垢を作りやすくする
- タバコは免疫力を下げて炎症になりやすい
- 歯ぐきが黒くなって歯周病になっても気づきにくい
- 受動喫煙でも歯周病になりやすくなる
- 周囲の大人が喫煙していると子どもは歯周病になりやすい