今日からできる歯ぐき下がりの予防習慣と下がってしまった時の治療法

鏡に映る自分の顔の印象が変わった気がする…それはもしかしたら「歯ぐき下がり」が原因かもしれません。歯ぐきが下がるとなんとなく老けた印象や若い時とは違った印象になってしまうのです。なにより、歯ぐきが下がるとお口に多大なダメージがある可能性があります。ここでは、歯ぐき下がりを予防する習慣や、下がってしまった場合の治療方法をお伝えします。
- 最近歯が大きくなった気がする。
- 歯ぐき下がりって自分で止められるの?と思っている。
- 歯ぐき下がりを止めたいと思っている。
- 歯ぐきが下がるとどんなことが起きるのか知りたい。
- そもそもどうして歯ぐきが下がるのだろうと疑問に思っている。
1.歯ぐき下がりを予防するたった2つの方法
歯ぐき下がりは日頃の習慣で予防することが可能です。まずは以下の2つを意識してやってみましょう。
歯周病予防のためのブラッシングをする

ブラッシングは歯の表面だけでなく、歯と歯の間、歯と歯ぐきの間の汚れを落とすことが重要です。歯ブラシは歯ぐきを傷つけない柔らかい物を使ってください。
- 歯ブラシは自分に合ったものを選び、軽い力で持つ
- 磨く際はゴシゴシと力を入れず、1本ずつ細かく揺するように磨く
- 歯と歯ぐきの境目は斜め45°にブラシを当てる
- 歯の表面にはブラシを垂直に当てる
- 磨いた後は水でゆすがない。ゆすいでも1回までに留める
- 歯間ブラシやデンタルフロスを併用する

歯磨きだけでは汚れは6割程度しか落ちないことが分かっています。
こんなにやっても6割ですか!さっそく歯間ブラシ買いにいかなきゃ。
唾液量を増やす

唾液を増やすと歯周病の予防になるのは、唾液の成分に殺菌・抗菌作用や免疫作用があるからです。唾液を増やすには、以下のような方法が有効です。
- 食事はよく噛んで食べる
- 集中している時ほどこまめに水分をとる
- キシリトール配合のガムを噛む
- 顎の下や頬を軽くマッサージする
- 常に口内が潤っている状態を保つ
唾液が減ると歯周病になりやすくなるってことですか?

その通りです。唾液って実はとても重要なんです。
すでに下がってしまった歯ぐきの治療法

歯科医院では歯ぐきを再生させる治療法があります。すでに歯ぐき下がりが始まっているという人でも、諦めることはありません。しっかりと治療して歯ぐきを再生させると、歯周組織を長期的に安定させることができます。
他の組織から移植する
他の組織からの移植には、結合組織移植(CTG)と、遊離歯肉移植(FGG)があります。2つの方法の違いは、歯肉内部の結合組織のみ(1層)を使うか、結合組織と上皮性組織(2層)を使うかです。
- 結合組織移植(CTG):歯肉内部の細胞が結合している組織のみ
- 遊離歯肉移植(FGG):歯肉内部の組織以外の外側の膜を含む部分
CTGは上顎から採取した組織(コラーゲン)を足りない歯肉部分に移植します。歯ぐきの厚みなどを補えるほか、虫歯や知覚過敏の予防にもなります。一方のFGGは結合組織だけでなく、上皮を含む角化歯肉も採取して移植します。インプラントの周辺組織を安定する際によく使われる方法です。
移植って歯ぐきもできるんだなぁ。
GTR法で歯ぐきを再生する
GTR法とは、スウェーデンで開発された歯肉再生法です。メンブレンという人口膜を歯ぐきに移植し、歯周組織を回復させます。
移植の方法にもいろいろあるんですね。

はい。お口の状況を考慮し患者さんと相談して選択します。
エムドゲイン療法で歯ぐきを再生する
エムドゲイン療法とは、下がって薄くなった歯ぐきにゲル状の薬を注入して再生を促進する方法です。自分の骨や血液、膜の細胞などを利用して再生させる方法と併用する場合が多いです。
注入ってことは手術しなくてすむんですか?

手術は必要ですがGTR法よりは比較的手術しやすいです。
歯ぐきが下がる原因とは?

歯ぐき下がりの原因は様々ですが、歯ぐき下がりによる弊害は以下のようなものがあります。
- 実年齢より老けて見える
- 歯が大きく見えて人相が変わる
- 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなる
- 歯ぐきが減退して歯がぐらつきやすくなる
- 知覚過敏になりやすい
- 細菌が侵食しやすくなるので歯周病のリスクが高まる
では、歯ぐき下がりが起きてしまう原因を詳しく説明していきます。
1.歯周病によるもの

歯周病とは、歯と歯ぐきの境目の歯周ポケットに細菌が入り込み、歯ぐき周辺に炎症を起こす病気のことです。歯磨き時に時々出血をするようなら、歯周病にかかっている可能性があります。
歯ぐきの炎症が進むと赤く腫れ上がり、膿んでぶよぶよになります。歯ぐきから膿が出れば悪臭がし、歯肉は衰えてしまいます。歯周病菌は歯肉だけでなく、歯を支えている顎の骨を溶かす、血液に乗って全身にまわり内臓疾患を誘発するなど様々な弊害があります。
思っていたより恐ろしいなぁ。

歯周病にかかるとまっさきに歯ぐきに変化が出るので、注意しておく必要があります。
2.加齢によるもの

人は歳を取ると足腰や内臓など、いたるところが衰えていきます。これは誰でも自然になることで、歯や歯ぐきも同じです。ただし、トレーニングやヨガなどで足腰を鍛えるように、歯ぐきもマッサージなどで鍛えることができます。
マッサージすると歯ぐきが引き締まるんですか?

その通りです。マッサージ法は以下で詳しく説明していますよ。
3.間違った歯磨き

歯ブラシを強く歯に当てると汚れがしっかり落ちるような気がしますが、これはかえって逆効果です。歯や歯ぐきに圧がかかりすぎてダメージを与えてしまうからです。間違ったブラッシングは歯ぐきを減退させる一因です。

ゴシゴシと大きく往復するより弱い力で何度もこすった方がよく落ちます。
4.歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりで歯や歯ぐきにかかる力は、100kg以上です。歯ぎしりや食いしばりの癖があると、その度に負担がかかり歯ぐきが衰える原因になります。

頬の内側に歯並びに沿うように線ができている人は食いしばりの可能性があります。
あっ!ある…
5.歯のかみ合わせの問題

歯のかみ合わせが合っていないと余計なところに力が入り、顎骨が歪んで歯ぐき下がりを招いてしまいます。また、歯と歯が重なっていたりすると歯ブラシが届きにくく磨き残しも発生します。
歯並びも歯周病に関係があるんだなぁ。
歯ぐき下がりは日頃のケアで阻止しよう!
歯ぐきが下がると人相が変わってしまったり歯周病になりやすくなったりと、様々な弊害が出てきます。日頃からきちんとケアして歯ぐきを引き締めましょう。
- 歯ぐき下がりを防ぐためには歯周病予防の歯磨き法と唾液を増やすこと
- すでに下がってしまった歯ぐきは移植や再生法で治療できる
- 歯ぐきが下がると老けて見えたり歯周病になりやすくなる
- 年を取ると誰でも歯ぐきが衰える
- 歯周病になると歯ぐきが下がる
- 間違った歯磨き法や歯ぎしり食いしばりは歯ぐき下がりを早める
- 歯のかみ合わせが悪くても歯ぐきは下がる