【歯科医監修】歯周病予防に効果的なガムの選び方と噛むときのコツ

歯周病にはガムを噛むと良いという話を、どこかで聞いたことがある人も多いでしょう。ただ、どんなガムでも良いというわけではありません。選び方を間違えるとかえって虫歯を招き、ひいては歯周病にもなりやすくなってしまう可能性があります。この記事では、歯周病予防に効果的なガムの選び方や噛み方のコツをお伝えしていきます。
- 手軽に歯周病を予防できる方法はないかと考えている。
- ガムは歯周病予防にいいと聞いたことがあるが本当かどうか知りたい。
- どんなガムだと歯周病を予防できるのかだろうと思っている。
- ガムで歯周病予防したいけど、いつ噛むといいのか知りたい。
歯周病予防に効果のあるガムの選び方
まずは歯周病予防に効果的なガムの選び方からご紹介します。
キシリトール50%以上のガムがおすすめ

歯に良いガムといえばキシリトールガムですが、歯周病予防におすすめなのはキシリトールが50%以上配合されているガムです。ただ、キシリトール配合と銘打っていても、水飴や砂糖などの糖分が入っていたりほんのわずかしか入っていないものがあります。
歯周病予防に良いキシリトールガムの見分け方は、以下のような表記がある製品です。
- 日本歯科医師会推薦
- フィンランド歯科医師会推薦
- (公財)日本学校保健会推薦
- (一社)日本学校歯科医会推薦
特にフィンランド歯科医師会では、推薦条件として「製品にキシリトールが50%以上配合されていることを満たすもの」と定めています。
うーん、キシリトールならなんでもいいのかと思ってたなぁ。
キシリトールが歯周病にいいワケ

キシリトールが歯に良いのは、歯の再石灰化を促進することと、細菌のエサにならないからです。飲食をすると口内は酸性に傾いて、歯の表面のエナメル質が溶け出します。これは細菌が侵食し始めた状態ですが、通常は唾液の成分によって溶けた部分が修復されて、細菌から守られています。キシリトールはこの再石灰化を助ける作用があるのです。
また、糖分は口内細菌のエサになりますが、キシリトールの甘みは糖分ではないので細菌のエサにはなりません。歯周病は細菌が炎症を起こす病気ですが、細菌が増殖しなければ炎症も起きないので、キシリトール配合のガムは歯周病になりにくいというわけです。

歯に有効に働くうえに自然な甘みは糖分でないというのがポイントです。
うーん、そういうことですね。
ところでキシリトールって何者?

キシリトールとは、白樺や樫の木などの樹木や植物から作られる糖アルコールの一種です。最初は北欧にて樺の木(カバノキ)から発見されました。工場では樹木の茎などから抽出したキシロースを加工して作られています。私達の食べる野菜や果物にも微量に含まれていますが、一度に歯周病予防の効果をもたらすほどの量を摂取するのは難しいでしょう。

キシリトールは自然界に多く含まれていて、人体でも作られるんですよ。
ほーう、知りませんでした。意外と知らずに摂っているもんなんですねぇ。
キシリトールは世界的に効果が認められている

キシリトールは以下の世界的な公的機関から、その効果を認められている安全性の高い成分です。
- WHO(世界保健機関)
- FAO(世界食料農業機関)
- 合同食品添加物専門家委員会(JECFA)

歯科でもキシリトール製品を取り扱っています。
具体的にはどんなものですか?

では次の項で説明しましょう。
歯科専売のキシリトール100%ガムを入手する

歯科で取り扱っているガムは、キシリトール100%のものです。スーパーやドラッグストアでは見かけませんが、インターネットでは販売されているので入手することができます。

ガムが苦手な方やお子さんにはタブレットもあります。
ほーう、それはいいですね。
ガムを噛むと歯周病が予防できる2つの理由
ここまでキシリトールの有用性についてご紹介してきましたが、ここではなぜ「ガム」が良いのかを説明します。
1.唾液量が増すから

ガムを噛むと、自然に唾液が出てきます。唾液が出る唾液腺はいくつかありますが、大きな唾液腺は顎のつけ根あたりにあり、ガムを噛むと顎がよく動くので、唾液腺が刺激されて唾液量が増すのです。
唾液には口内細菌の働きを抑制する抗菌・殺菌物質が含まれています。また、歯を溶かすために作り出した酸を中和する働きもあります。唾液量の豊かな人が虫歯や歯周病、口臭などになりにくいのはそのためです。
キシリトール以外の人工甘味料はどうですか?

砂糖よりは細菌が増殖しにくいです。
2.歯ぐきの血行が良くなるから

ガムを噛むと、歯ぐきが刺激されて血行が良くなります。歯ぐきの血行は歯周病と深く関係しています。血行が良くなると免疫細胞が活発になり、歯周病の感染・発症しにくくなるのです。

例えばタバコは歯ぐきの血行が悪くなるので歯周病の大敵です。
ほーう、それで歯周病になると禁煙を勧められるのですね。
ガムで歯周病予防するための有効な噛み方
ガムで歯周病を予防するためには、噛むのに効果的なタイミングがあります。
食後30分以内に噛む

食事後30分以内にガムを噛むと、唾液の分泌を助けます。食後は細菌が食べカスを歯垢に変えようと動き出すので、このタイミングで噛めば、唾液の水分で食べカスを押し流すことや唾液中の抗菌物質を十分に働かせるのに有効です。また、出てきた唾液はすぐに飲み込まず、口の中に少しためておくのがおすすめです。唾液中のキシリトールが口内に行き渡り、歯周病の予防効果が高まるからです。
だいたい何分くらい噛んでいるのがいいんですか?

20分くらいです。味がなくなってもしばらくはかみ続けるくらいがいいですよ。
歯磨きの前に噛む

歯磨き前にキシリトールガムを噛むと、歯周病の原因であるバイオフィルムが剥がれやすくなります。ただし、ガムは歯磨きの代わりにはなりません。バイオフィルムはブラッシングでしっかりとこそげ落とすことが重要です。

ガムを噛むとスッキリしますが、バイオフィルムまでは落とせません。
やっぱり歯磨きはしないとだめかぁ。

(笑)習慣にしてしまえばなんてことありません。頑張りましょう。
1日に噛む量や頻度の目安

1日に噛むガムの量は、キシリトールの配合率によって多少異なります。
市販のガム(配合率50%) | 歯科専売のガム(配合率100%) | |
---|---|---|
1回の摂取量 | 1回2~4粒 | 1回1~2粒 |
1日の摂取量 | 1日14粒 | 1日4粒 |

含有量が多いほうが効き目も持続します。
うーん、値段が高い代わりに噛む量は少なくて済むわけですね。
キシリトールガムの食べすぎに要注意!

キシリトールは大量に摂取するとお腹がゆるくなることがあります。あまりにも年中噛んでいると、人によってはお腹の調子が悪くなるので注意しましょう。

パッケージに書いてある用法用量を守ってくださいね。
うーん、あまり気にしたことがありませんでした。
キシリトールガムを噛んで歯周病を予防しよう
キシリトールガムは歯ぐきの血行を良くし、歯の再石灰化を助けて歯周病になりにくくします。ガムを噛めば自浄作用のある唾液も増えるので一石二鳥です。キシリトールの含有量が50%以上のキシリトールガムを選んで、歯周病を日常生活の中で予防しましょう。
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はい。特性を活かして効果的に利用しましょう。
- ガムを噛むと唾液量が増え血行も良くなる
- キシリトール50%以上配合のガムが効果的
- キシリトールは歯の再石灰化を促す
- 歯科専売の100%キシリトールガムは通販でも買える
- 食後30分以内や歯磨き前が効果的
- 1日に噛む目安は配合率によって異なる
- 噛みすぎるとお腹を壊すので注意