フッ素が効く?子どもの虫歯予防に有効な「フッ素塗布」とは?

歯の表面にフッ素を塗る「フッ素塗布」は、世界各国の歯科医師会などで推奨されている虫歯の予防法です。
特にお子さんは、歯科検診の際、フッ素塗布を受ける機会が多いのではないでしょうか?
市販の歯磨き粉にも、フッ素が配合されています。
とはいえフッ素とは、どんな成分なのか、詳しく知っているという人は、あまり多くはないでしょう。
中には、「本当に安全なの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事では、フッ素についての疑問点を、一つひとつ解説します。
- 小さい子どもでも簡単にできる虫歯予防の方法があれば知りたい。
- フッ素塗布が虫歯予防に効くと聞いたけれど、フッ素ってそもそも何?
- フッ素は口に入れても安全なのか、子どもでも使えるのか知りたい。
- フッ素塗布が子どもの虫歯予防に有効な理由や、実例を知りたい。
- フッ素が虫歯予防に効くなら、フッ素ケアのやり方を知りたい。
フッ素が虫歯予防に効果あり?

テレビCMなんかでも見るので、フッ素って虫歯予防に効きそうなイメージがありますね。でも、どうして効くんですかー?

歯を強化して、虫歯の原因菌の活動を抑制する働きがあるんですよ。
フッ素が虫歯予防に役立つイメージは、テレビCMなどの影響もあって広く知られていますね。
では、なぜフッ素で虫歯予防できるのか、その仕組みと働きについて紹介します。
歯を強くする
フッ素は歯の再石灰化を助け、歯の表面組織であるエナメル質を強化します。
歯には、食事をするたび、エナメル質に含まれるカルシウム・リンといったミネラル成分が溶け出す「脱灰」が起こり、すぐに唾液に含まれるミネラル成分を取り込んで「再石灰化」して修復されるというサイクルを繰り返します。
脱灰と再石灰化のサイクルがバランスよく行われていると虫歯にならないのですが、脱灰が進むと歯が溶けて虫歯が進行します。
フッ素は、再石灰化の際に歯の表面のエナメル質の成分と結びつき、歯の表面を硬質の構造に進化させます。そうするとミネラルが溶け出しにくくなりますので、虫歯に負けない丈夫で強い歯に育てることができます。
虫歯菌を抑制する
フッ素のもうひとつの働きは、虫歯菌の活動を抑制することです。
虫歯菌は、口内にある食べ物の残滓に含まれた糖を分解して栄養源にし、酸を作り出します。その酸が歯を溶かして虫歯を進行させます。
フッ素には、こうした虫歯菌の活発化を抑制するためにも役立ちます。
フッ素とは、どんな成分?

すごいですねー。フッ素って、歯を強くしたり、虫歯菌を鎮めたりするんですね。

そうなんですよ。世界各国の歯科医師会でも、虫歯予防のためにフッ素を活かすことが推奨されているんですよ。
じゃあ、子どもが使っても安全なんですね?

そうですね。過剰に摂取しない限りは特に心配ないですね。
フッ素は安全?
日本では国の方針として、虫歯予防のためにフッ素の利用を推奨すること、それと同時に、フッ素の適正摂取量についての研究を引き続き推進することが発表されています。
子どもの歯科検診でも、フッ素塗布が行われています。過剰に摂取しないかぎり、安全面では心配ないといえるでしょう。
世界でも、フッ素塗布による虫歯予防は、WHO(世界保健機関)やFDI(世界歯科連盟)、国際栄養学会、英国王立医学協会といった世界中の数多くの専門機関や歯科医師会に「積極的な利用」を推奨されています。
自然界に存在するフッ素
フッ素は、自然界にある元素のひとつです。他の元素と結合して、岩石・海中・地表などに存在しています。
そのためフッ素は、農作物や魚介類にも豊富に含まれています。
ただしフッ素は、食品から摂取しても、あまり虫歯予防には役立ちません。フッ素の効果を得るためには、歯の表面に直接ゆきわたる方法をとる必要があります。
人体への影響は?
フッ素にはたしかに毒性はありますが、ほんのわずかです。日頃から口にする食品にも、微量のフッ素が含まれています。
例えばフッ素が配合された洗口剤で口をゆすいで吐きだしたあと、口内に残るフッ素の量は、コップ1杯のお茶に含まれているフッ素の量と同程度です。
つまり、用法を守って虫歯予防に使用するくらいなら、中毒症状がでることは考えられないといえます。
フッ素配合の歯磨き粉を何本も食べるような、用法と異なる過度な使い方をすればリスクはありますが、きちんと使用法を守っていれば心配ありません。
子どもの虫歯予防に「フッ素塗布」は有効?

フッ素塗布って子どもの虫歯予防に効くんですか?

お子さんの歯は、大人の歯に比べると弱く、虫歯になりやすいものです。あらかじめフッ素塗布をして予防すると、虫歯になるリスクを下げることができますよ。
そうなんですねー。

世界各国で推奨されている虫歯予防法ですし、実際に効果を出しているんですよ。
世界各国で虫歯予防に推奨
フッ素を活用した虫歯予防は、世界各国で推奨されています。日本よりも歯科予防の先進国である欧米各国の方が、より熱心に利用しています。
虫歯が半減「水道水フロリデーション」

海外では、水道水に虫歯予防に有効な濃度のフッ素をあらかじめ入れておく「水道水フロリデーション」という虫歯予防法が採用されています。
アメリカをはじめ、オーストラリア・ブラジル・香港・アイルランド・マレーシア・ニュージーランド・シンガポール・英国などの世界の国々に、この取組みが広がっています。
厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネット(2020年1月16日更新の記事)によると、現状では、この取組みを行う前よりも虫歯が半減したという効果について報告されています。
予防の先進国スウェーデンでの取組み

スウェーデンは、1970年代から予防歯科に力を入れている歯科予防の先進国です。
虫歯予防のため、定期的に予防歯科を受診している人は、日本では約2%にすぎませんが、予防歯科の先進国スウェーデンでは90%にものぼります。
フッ素ケアによる虫歯予防が国民の生活習慣に浸透しているのです。
その結果、1970年代当時は、虫歯がある子どもは日本より多かったのですが、1981年頃には日本の約半分まで虫歯を減らすことに成功しました。
現在では、「80歳代で歯が何本残っているか?」という調査に対し、日本では平均13本のところ、スウェーデンでは21.1本。予防歯科の意識の高さが、約8本もの残存歯の差として現れています。
自宅でできる「フッ素」での虫歯予防

フッ素ケアって虫歯予防に良さそうですねー。家でもできますか?

もちろんできますよ。自宅でのフッ素ケアにおすすめのアイテムを紹介しますね。
「コンクール ジェルコートF ワンタフトブラシ1本付き」 ウエルテック
歯科医が勧めるフッ素コート歯磨きジェルです。
高い殺菌力があり、フッ素が歯をコートします。研磨剤が配合されていないので、ブラッシングで歯を傷めにくく、お口に優しいのも特徴です。
歯磨き後、フッ素コートのための二度磨きにもおすすめです。
フッ素コートの力を最大限に活かしたい場合は、ブラッシング後のうがいは1回だけで軽く済ませるといいでしょう。
「エフコート メディカル」 バトラー
フッ素洗口液を使えば、子どもも簡単に虫歯予防ができます。
食後や寝る前に歯磨きをして、その後でフッ素洗口液を口に含んでブクブクとゆすぎます。
約30秒間くらいで良いでしょう。
フッ素の効果を活かすためには、ブクブクした後、水で口をゆすがないのがポイントです。口に残った余分な液体を吐きだすだけに留めましょう。
歯科で定期的な「フッ素塗布」がおすすめ


歯科で行うフッ素塗布は、子どもだけでなく、大人にも虫歯予防に有効な場合があります。親子で一緒にフッ素塗布をしてもいいですね。
そうなんですねー。じゃあ子どもと一緒にやってみようかな。わたしも一緒に受けたら、うちの小さい子ども達も安心して処置を受けてくれそう。

いいですね。親子で虫歯予防の意識が高まりますね。将来歯の健康のために、ぜひ、歯科検診とフッ素塗布を習慣化してくださいね。
はーい、フッ素ケアって簡単にできそうだし、これなら子どもたちも続けられそうかなって思いますー。
- フッ素は歯の強化と虫歯菌の抑制に役立つ有効成分。虫歯予防の強い味方。
- フッ素は自然界にも存在する成分。用法を守れば安全面で問題はない。
- フッ素の虫歯予防の効果を得るため、多くの国が水道水に添加している。
- フッ素ケアを国民に浸透させたスウェーデンでは虫歯が約半数に減った。
- フッ素の成分を歯にゆきわたらせるため、口のゆすぎは軽く1回でOK。