甘〜いバナナは虫歯になりやすい果物?それとも虫歯を予防する果物?

バナナは酸味がなくて食べやすく、包丁で皮を剥く手間もないので手軽に食べられる果物のひとつです。栄養価も高いので、離乳食からアスリートの栄養補給まで様々に使われています。しかし、その糖度の高さゆえに「虫歯になるのではないか?」と心配する人もいるでしょう。一方で「バナナは虫歯になりにくいですよ」と言う歯医者さんもいます。そこで、この記事ではバナナを徹底的に調べ、歯科医監修の元に虫歯との関係をまとめました。
- バナナは手軽だけど虫歯にもなるなら控えようかと迷っている。
- 虫歯という点で考えると子どものおやつにバナナってどうなの?と思っている。
- 毎朝1本バナナを食べているけど、虫歯になりやすいのか知りたい。
- バナナの甘さは虫歯に関係があるかどうか知りたい。
バナナが虫歯になりやすいといわれる理由

バナナが虫歯になりやすいといわれる理由は、歯にくっつきやすいからです。「他の果物に比べて甘いからじゃないの?」という声が聞こえてきそうですね。バナナはたしかに他の果物に比べて糖度が高いです。しかし、糖度とは水分中の固形物の分量を算出したもの。バナナは水分が少ないので、糖分が際立つのです。
それよりも問題なのは、水分が少ないので歯にくっつきやすいことです。虫歯の原因菌は、ほんの少しでも糖分が歯に付着していると、酸に変えて歯を溶かしてしまうのです。

歯にくっつきやすい食べ物ほど虫歯になりやすいです。
僕、バナナ少し控えようかなぁ。

食べた後すぐに歯をみがけば大丈夫ですよ^^
バナナに含まれる糖分は虫歯になりにくい

糖分は、果糖・ブドウ糖・ショ糖という3つの種類があります。そして、バナナにはこの3つの糖分がバランスよく含まれています。
果糖は文字通り果物に多く含まれる糖分で、3種の糖分の中でもっとも甘みが強いですが虫歯になりにくい糖分です。また、血糖値を急激に上げません。ブドウ糖は点滴にも使われる糖分で、全身の細胞を活性化させます。脳の唯一のエネルギー源でもあります。
果糖とブドウ糖は、それ以上小さくならない単糖と呼ばれる最小単位の糖分で、虫歯になりにくい糖分です。ちなみに、はちみつは果糖とブドウ糖からできています。
一方ショ糖は、果糖とブドウ糖が結合してできたもので、砂糖の原料となります。砂糖には白い砂糖のほかにブラウンシュガーや三温糖など様々な種類がありますが、いずれも果糖とブドウ糖の割合が違うだけで、虫歯の原因となります。
- 果糖:果物に多く含まれる。砂糖と同等の甘さがあるが虫歯になりにくい
- ブドウ糖:細胞を活性化させる。脳の唯一のエネルギー源
- ショ糖:果糖とブドウ糖が結合したもの。虫歯の主な原因となる。

ほとんどの果物は、砂糖に比べると虫歯になりにくいんです。
ホッ。
バナナにはキシリトールが含まれている!

キシリトールは虫歯予防のガムなどで知られていますが、実は大気・水・土壌など自然界のあらゆるものに含まれていて、農作物にも含まれています。
キシリトールは天然の甘味料。砂糖と同等の甘さがあるにも関わらず、虫歯の原因菌はキシリトールからは虫歯を作れません。それどころか、細菌の働きを抑制する働きを持っています。
また、キシリトールは唾液の分泌をうながすことも分かっています。唾液は虫歯菌が溶かした歯の表面を修復する再石灰化の働きや、口の中のpH値を中和して虫歯になりにくい環境にする役割があります。
砂糖が虫歯の原因になるのに対して、キシリトールが含まれるバナナは虫歯になりにくいと言えるでしょう。
つまり、おやつにバナナ食べても虫歯になりにくいってことですか!

そういうことです^^
本当に虫歯になりやすい食べ物とは?

虫歯になりやすい食べ物は、下記のように砂糖がたくさん入っていて歯にくっつきやすい食べ物です。
- キャラメル
- クッキー
- ケーキ
- ドーナツ
- チョコレート
- キャンディー、飴
- ポテトチップス
虫歯になる原因は口内の食べカス

虫歯になりやすい食べ物は、いずれも歯に残りやすい食べ物です。虫歯菌は歯に付着している食べカスを分解して発酵させ、プラークを作り出します。プラークとは白くてネバネバした歯垢のこと。虫歯菌がプラークを作るのは、その中で繁殖するためです。そこで「唾液」です。唾液は口内を中性に保つ働きがあり、食事の後の酸性に傾いたお口を虫歯から守っています。また、食べカスを水分で流してくれる役割もあります。
お口の中はそのように、食事をすると虫歯菌が歯の表面のミネラルを溶かし、唾液によって再石灰化をするということを繰り返しています。しかし、食べカスが歯にこびりついていたり唾液の量が少ないと、いつまでも口内が酸性に傾いたままになり、虫歯になりやすい条件が揃ってしまうのです。唾液腺は顎のすぐ近くにありますが、咀嚼の回数が少ないと唾液があまり出ません。そのため、あまり噛まないで飲み込める食事も要注意です。
バナナというより歯にこびりつきやすい食べ物が虫歯になりやすいんですね!

そのとおりです。
こんなに豊富!バナナに秘められたパワー

せっかくなので、バナナの良い面もご紹介しましょう。特にカリウムの含有量は他の食品に比べるとピカイチで、高血圧やむくみなどを防ぎます。また、精神を安定させるトリプトファンは他の果物にはほとんど含まれていません。
追熟バナナは免疫力アップの効果あり

バナナは追熟すると茶色い斑点ができますが、追熟したバナナには免疫力を高める効果があります。主に、ガンを抑制するNK(ナチュラルキラー)細胞やTH(ヘルパーT)細胞などを刺激し、誘導する作用があります。免疫力がアップすれば唾液や歯ぐきの免疫力も上がるので、虫歯や歯周病にもなりにくくなると考えられます。
やるなあ、バナナ!
食物繊維が腸内環境を良くする

バナナに含まれる豊富な食物繊維は、腸内で水分を吸収してかさ増しし、便通をよくします。バナナの食物繊維は水溶性と不溶性がバランスよく含まれているため、腸内を整えて健康を保ってくれるのです。

便秘気味の人にはバナナがおすすめです。
へえ〜、知りませんでした!
抗酸化作用で老化防止効果も

バナナにはポリフェノールやビタミン類も豊富に含まれているため、抗酸化作用があります。抗酸化作用は血管をきれいに保つため、歯ぐきの健康にも役立ちます。
ってことはエイジングケアにもいいってことですか!

そのとおりです。
ダイエットに最適!低カロリー高エネルギー

バナナのカロリーは、1本(100g)で86kcal。同じ量のごはんは食パンに比べると断然低いので、ダイエット中には最適です。
- バナナ1本100g…86kcal
- ごはん1杯150g…252kcal
- 食パン1枚80g…211kcal

朝食代わりにおすすめです。
僕は毎食バナナ派ですよ!
優秀な脳へのエネルギー源

バナナに含まれる果糖・ブドウ糖・ショ糖は、それぞれ体が吸収する速度が異なります。そのため朝に食べればブドウ糖が脳のスイッチを入れ、時間差で徐々に他の糖分が体全体のエネルギーへと変化していきます。
この他バナナに含まれるトリプトファンとビタミンB6は、セロトニンを作る原料です。セロトニンは睡眠の促進やリラックス効果をもたらしてくれます。

ナイアシン、葉酸なんかも含まれていますよ。
葉酸は妊婦さんにいいんですよね!

そのとおり。必要な栄養素です。
バナナを食べた後は歯みがきを
バナナは虫歯になりにくく、お子さんのおやつや離乳食などにも安心して使えます。脳から体全体へとエネルギーの配分も良いため、朝食や運動をする人にもおすすめです。とはいえ、まったく虫歯にならないとは限りません。歯に食べカスが付着していると虫歯になりやすくなるため、食べた後は必ず歯みがきをするよう心がけましょう。
- 虫歯になりやすいと言われるのは歯にくっつきやすいから
- バナナに含まれる糖分は虫歯になりにくい果糖
- バナナにはキシリトールが含まれている
- 本当に虫歯になりやすいのは砂糖を含む加工品
- 虫歯の原因は食べカスを放置すること
- バナナには豊富な栄養素が含まれている
- バナナは免疫力アップや腸内環境を改善するなどの働きがある
- 老化防止、脳へのエネルギー補給、リラックス効果もある