食事で虫歯予防?歯に良い5つの栄養素と食品の見分け方・食べ方

食べ物で虫歯を予防するというのはあまりない発想かもしれませんね。しかし、私たちが毎日食べている食事のなかには、歯に良い栄養素が含まれる食品がいくつかあります。それらを積極的に食べるようにすれば、虫歯がつくられにくくなるのは間違いありません。
といっても、特別なものではありません。意識して摂ることが重要なのです。今回は歯科医監修の元、虫歯を予防できる栄養素と含まれる食品、お口の中を掃除してくれる食品、歯に良い食べ方などをご紹介します。
- 子どもを虫歯にさせないための食事や調理法を知りたい。
- 食事で虫歯が予防できるならどんなにいいだろうと思っている。
- 虫歯になりにくい食品があれば知りたい。
- 歯を強くする食品や栄養素を食事に取り入れたい。
- 食べるもので虫歯が予防できるならうれしいと思う。
歯を強くする5つの栄養素
歯を強くして虫歯になりにくくする栄養素は5つあります。
- カルシウム:歯や歯の土台となる骨を丈夫にする
- ビタミンA:歯のエナメル質を強化する
- ビタミンC:歯の象牙質を強化する
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
- フッ素:虫歯菌の働きを弱め、歯の再石灰化をうながす
食品に含まれる栄養素は、個別にとってもあまり意味がありません。栄養素はそれぞれを補って働く性質があるからです。基本的にはバランスの良い食事を心がけ、その中で歯に良い栄養素を意識して摂ることが大切です。
1.カルシウム

カルシウムは歯と歯の土台となる骨を丈夫にするのに重要ですが、日本人は全世代で不足していると言われています。1日の摂取量の目安は650〜750mg(12〜14歳の男性は1000mg)です。
一番効率よくカルシウムがとれるのは乳製品で、牛乳200mlで220mg、プレーンヨーグルト100gで120mgが含まれています。乳製品を中心に複数の食品を毎日組み合わせて食べることが大切です。
カルシウムを多く含む食品は、以下のとおりです。
■野菜類
小松菜、モロヘイヤ、いりごま、菜の花
■魚介類
わかさぎ、干しエビ、オイルサーディン、イワシの丸干し、鮎、ししゃも、うなぎの蒲焼、鮭や鯖の水煮缶、ひじき
■大豆製品
焼き豆腐、厚揚げ、がんもどき、木綿豆腐、高野豆腐
■乳製品
牛乳、スキムミルク、アイスクリーム、チーズ、ヨーグルト
意外とたくさんあるなぁ。

ただし、どれも少量しか含まれていないので、複数の食品を毎日食べるのが大事ですね。
2.ビタミンA

ビタミンAは、歯のエナメル質を強くしてくれます。ビタミンAはレチノールやレチノイン酸と呼ばれるビタミンで、油に溶けやすいのが特徴です。また、緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンは、体内に入るとビタミンAに変化するため、ここではそれらの野菜もご紹介します。
■魚介類
焼き海苔、岩のり、海苔の佃煮、あんこうの肝、うなぎ、鮎
■肉類、卵
豚レバー、鶏レバー、鶏卵
■乳製品
牛乳、バター、チーズ
■野菜
にんじん、しそ、かぼちゃ、とうがらし、パセリ
焼き海苔って意外ですね!

特別なことをしなくても、おにぎりを食べると摂れますね。
3.ビタミンC

ビタミンCは美容のイメージが強い人もいると思いますが、歯の象牙質を強化するのに役立ちます。野菜や果物に多く含まれますが、水溶性で酸化しやすいため、加熱するよりはできるだけ生で食べるのがおすすめです。
■野菜
赤ピーマン、パプリカ(黄色)、パセリ、芽キャベツ、ケール、からし菜、ピーマン、ゴーヤ
■果物
ゆず(果皮)、アセロラ、グアバ、レモン、柿、キウイ、イチゴ
■魚介類
焼き海苔、味付け海苔、めんたいこ
■加工食品
煎茶、ロースハム、ベーコン、フライドポテト

市販のペットボトルの緑茶にも含まれています。
へえー、すごい!じゃあ毎日お茶を飲めばいいですね!
4.ビタミンD

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、主に魚に多く含まれます。特に鮭は様々な料理に使いやすいのでおすすめです。虫歯予防はもちろん、骨粗鬆症の人も積極的に食べると良いでしょう。
■魚介類
あんこうの肝、しらす、イワシの丸干、身欠きにしん、すじこ、いくら、カワハギ、鮭、スモークサーモン、いかなご
■野菜類
マッシュルーム、舞茸、きくらげ、干し椎茸
骨ごと食べられる魚を食べれば、カルシウムもビタミンDもいっぺんに摂れますね!

その通り。
5.フッ素

フッ素って、食べ物に含まれてるんですか?

意外でしょう?でも含まれているんですよ。
フッ素は土、水、大気など、地球上のあらゆるものに含まれています。そのため、私たちが食べるあらゆる食品にも含まれています。
ずば抜けて多く含むのが緑茶の茶葉です。通常の食品が0.1から多くても45ppmなのに対し、緑茶の茶葉には200〜400ppmものフッ素が含まれています。ただし、お茶として飲む場合は数値が下がりますが、それでも水よりも5〜10倍のフッ素濃度があります。
その他の食品で、フッ素が多く含まれるのは以下のものです。
■フッ素が豊富に含まれる食品
天然食塩
メザシ、煮干し
味噌
干し椎茸
スキムミルク
お口の中を掃除してくれる「清掃性食品」

虫歯予防ができるのは、特定の栄養素を含む食品だけではありません。食べ物の中にはお口の中を掃除してくれる「清掃性食品」というものがあるのです。
- 繊維質を多く含む食品…レタス、セロリ、ごぼう、リンゴなど
- 酸っぱい食品…梅干し、レモン、酢の物、グレープフルーツなど
繊維質を多く含む食品には2つの効果があります。1つ目は、食べ物の繊維質が歯の表面や口内の汚れを削ぎ落としてくれるという効果です。もうひとつは、よく噛まないと飲み込めないので顎をよく使い、唾液の分泌をうながすという効果です。
また、酸っぱい食品は口に入れると自然に唾液の分泌量が多くなります。唾液には歯の再石灰化や殺菌・抗菌作用があるため、唾液が多いほど虫歯予防に効果的なのです。

顎の近くには大きな唾液腺があるので、顎を動かすと唾液がたくさん出ます。
なるほど、そういう理由なんですね!
虫歯が予防できる食べ方
虫歯予防には口内の汚れを落とすことと、唾液の分泌量を増やすことが重要です。虫歯を予防するには以下の調理法を心がけると良いでしょう。
唾液の分泌をうながす調理法

歯ごたえのある食べ物は、よく噛むため唾液の分泌をうながします。例えば野菜なら生で食べられるものは生野菜サラダに、茹で野菜は少し固めに仕上げるのがコツです。また、リンゴなど皮ごと食べられるものは皮つきで、魚なら骨ごと食べられる甘露煮や缶詰などが良いでしょう。
メインがカレーやオムライスなどの柔らかい食べ物なら、生野菜や温野菜のサラダをつけるなどの工夫ができます。

ブロッコリーは固茹ででも美味しいし、芯も美味しいですよ。
あ〜、マヨネーズで食べたい!
ホールフードという考え方

ホールフードとは、食材をまるごと食べるという考え方です。ほとんどの野菜や果物は皮を剥いて食べますが、実は皮のほうに栄養が豊富に含まれていることが多いため、まるごと食べたほうが良いという発想です。虫歯予防という観点から考えても、皮を剥かないほうが歯ごたえがあるので、より唾液が分泌されます。
■皮をむかないで食べられる食材
ごぼう、にんじん、大根、カブ、リンゴ、梨など
梨もまるかじりできるんですね!

梨農家やキウイ農家では皮ごと食べるのが当たり前と聞いたことがあります。
注意!こんな食べ物は虫歯になりやすい
虫歯になりやすい食品の代表は砂糖ですが、食事でも虫歯になりやすいものがあります。
柔らかい食事

よく噛まずに飲み込める食事は、唾液の分泌量が減少する可能性があります。
■柔らかい食事
カレー、シチュー、オムライス、スパゲティ、うどん、蕎麦、グラタン、雑炊など
カレーは飲み物って人もいるくらいだからなぁ。
歯に残りやすい食品

歯に残りやすい食べ物はいわゆる「粉もの」に多いです。食べ物が歯にくっついている時間が長いと、細菌が食べカスに酸を混ぜて歯垢に変えてしまいます。
■歯に残りやすい食品
スパゲティ、お好み焼き、パン類

歯に残りやすい食品を停滞性食品といいます。
読んで字のごとくですね!
食べ物を意識して虫歯を予防しよう!
歯は、食べ物を細かくすりつぶして体内に取り入れるための大切な器官です。虫歯になると歯だけでなく、消化不良や内臓疾患など様々な弊害が起こります。今回ご紹介した栄養素や食品、食べ方などを取り入れて、いつまでも健やかな歯を保ちましょう。
- 歯を強くするのはカルシウム、ビタミンA・C・D、フッ素
- 清掃性食品とは食物繊維と酸っぱい食べ物
- 歯ごたえのある食べ物は唾液腺を刺激する
- 野菜や果物は実よりも皮に栄養素がある場合が多い
- よく噛まないで食べられる食事ばかりだと虫歯になりやすい
- 歯にくっつく食べ物は虫歯になりやすい