入れ歯が外れる、落ちる……合わない入れ歯で困ったときの5つの対処法
入れ歯のお悩みに多い「外れる」「噛めない」「痛い」という問題。食事中には入れ歯は外れるものと諦めている人もいるようです。
しかしながら、その入れ歯、ずいぶん前に作ってからそのまま使い続けていませんか?
あまり知られていないかもしれませんが、実は入れ歯にもメンテナンスが必要なのです。
こまめに歯科に通って調整すれば、今お使いの入れ歯でも外れることなく快適な使い心地に変身するかもしれません。
- 入れ歯が外れる、噛みにくい、などで悩んでいる。
- もはや入れ歯は外れるものと諦めてしまっている。
- 会話中に入れ歯が外れてくることがあって恥ずかしい。
- 入れ歯を作ってから、何年も調整していない。
- 家族の入れ歯が使いにくそうで何とかしてあげたい。
入れ歯が外れる!その原因は?

ぼくの祖母が「すぐ入れ歯が外れる」って困っているんですよね!どうしてですか?入れ歯って、そんなに外れやすいんですか?

そうですね。入れ歯が外れやすいのは、お口に合っていないからでしょうね。
えぇ!?だって、入れ歯を作る時、型をとるじゃないですか!?どうして合ってないんですか?

では、その原因をご一緒に見ていきましょう。
部分入れ歯が外れる原因

入れ歯には、失った数本の歯を補う「部分入れ歯」と、歯列全体を補う「総入れ歯」があります。
まずは、部分入れ歯が外れる原因を見ていきましょう。
金属のバネ(留め金)が合っていない
一般的な部分入れ歯は、隣接している歯に、金属のクラスプというバネ(留め金)を引っ掛けて固定させる方式です。
金属のバネを、開いたり閉じたりして着脱を繰り返しているうちに緩くなって、固定させる力が弱くなることがあります。
また、噛む時などに強い力が掛かり、部分入れ歯がわずかに損傷・変形している場合も外れやすくなってしまいます。
バネ(留め金)を掛けた歯がグラついている
部分入れ歯は隣の歯にバネ(留め金)で引っ掛けて固定しますが、固定源にした歯が弱くなってグラついていると、入れ歯が固定されません。
不安定な状態になって、外れてしまうことがあります。
歯周病が進行して歯の周辺組織が弱くなっていると、起こりやすいケースです。
総入れ歯が外れる原因

歯列全体を補う総入れ歯の場合、一般的に口内の粘膜とぴったりと吸着させて固定します。
そのため、入れ歯の設計不足で外れやすいケースのほか、経年による口内環境の変化で入れ歯が合わなくなっているケースが多く見られます。
それでは、総入れ歯が外れやすい原因を見ていきましょう。
上顎が入れ歯で覆われていない
総入れ歯は、粘膜としっかり吸着していなければ安定しません。上顎との間に空気が入ってしまうと、入れ歯が外れやすくなります。
そのため、上顎が入れ歯でしっかりと覆われている必要があります。
入れ歯の歯茎の部分が短い
入れ歯の歯茎の部分が短すぎると、吸着せずに空気が入ってしまいます。
口を動かさずにいると吸着しているように感じますが、口をぷうっと膨らますような動きをすると入れ歯が浮いて外れるといった現象が起こります。
白い歯の部分が長すぎる
入れ歯の白い人工歯の部分が、長すぎたり大きすぎたりするのも問題です。
食事中など口を動かしたときに舌で押してしまい、入れ歯が外れることがあります。
噛み合わせに問題がある
噛み合わせが悪いと、最初は、噛んだときにどこか部分的に先に当たる歯があるなどの違和感から始まり、時間の経過とともに全体のバランスが崩れていきます。そして、徐々に入れ歯が外れやすくなっていきます。
歯茎が痩せてしまった
年齢を重ねると輪郭が変わり、シワが増え、顔つきが変わるように、口内環境も変化します。歯茎の場合は、歯がない時期が長く続くと、骨が吸収されて痩せていくという特徴があります。
そのため、入れ歯を作った当初はぴったりフィットしていても、年月の経過とともに合わなくなり、外れやすくなることがあるのです。
唾液の分泌量が減っている
総入れ歯は粘膜に吸着させて固定しますので、唾液の力が欠かせません。唾液は、加齢やストレスで減少します。
唾液の量が減ると、入れ歯のフィット感にも影響があります。
入れ歯が外れるのを防ぐ方法

入れ歯が外れる原因って、いろいろあるんですね!じゃあ入れ歯が外れるのを防ぐためには、どうすればいいですか!?

入れ歯はこまめに調整すれば外れにくくなる可能性はありますが、劣化している場合などは作り直す必要が出てきます。
そうなんですね!調整できるんですね!

はい。入れ歯は作ったら終わりではなく、調整しながら使うものです。では、入れ歯が外れるのを防ぐ方法についてお伝えしますね。
金属のバネ(留め金)を作り直す
部分入れ歯が外れる場合、バネ(留め金)が劣化して閉じる力が弱くなっている可能性があります。
バネ(留め金)を新しく作り直せば、再びフィット感を取り戻して外れにくくなるかもしれません。歯科医に確認しましょう。
支えにする歯を変える
隣の歯に金属のバネ(留め金)で引っ掛ける部分入れ歯の場合、支えにしている歯がグラついていると入れ歯の安定感に大きく影響します。
支えにする歯を違う歯に変えるだけで、安定感を取り戻す可能性があります。
歯科素材を足して調整する
総入れ歯の場合は、小さすぎる場合は歯科素材を足して大きくする、大きすぎる場合は不要な部分を削る、といった調整をすることで、ぴったりフィットして外れるのを防げる場合があります。
少し面倒に感じるかもしれませんが、たびたび通院してこまめに調整すれば、フィット感を取り戻せる可能性があります。
修理不可能なほど劣化していれば作り直す
口内は過酷な環境のため、入れ歯が劣化している場合があります。また、何らかの強い力がかかり、ビビ割れなどの破損が起きていることもあります。
修理が難しい場合は、型を取り直し、現在の口内にぴったりフィットする入れ歯を作り直せば快適に過ごせます。
インプラントの支えを入れる
入れ歯を固定するために、片顎につき2~4本程度のインプラントを埋め込んで支えにする方法があります。
インプラントは顎の骨に埋め込まれていますので、それと連結させることで、これまで粘膜に吸着させていた固定の仕方とは圧倒的に異なる優れた安定感が得られます。
また、全ての歯をインプラントにすると莫大な費用がかかりますが、埋め込みの本数を2~4本に抑えられますので治療費を節約することができます。
入れ歯の吸着に唾液は不可欠!唾液腺マッサージで改善を

入れ歯って調整すると外れにくくなるものなんですね!

そうですね。少し面倒に思うかもしれませんが、入れ歯を作ったら通院を終わりにするのではなく、こまめに通院して調整してください。外れやすくならないようメンテナンスすれば、入れ歯を長持ちさせることもできますよ。
へぇー!そうなんですね!入れ歯にもメンテナンスが有効ってことですねー!

そうですね。そして入れ歯が安定するように、唾液腺マッサージなどで唾液の量を増やしてください。
唾液腺マッサージですねー!おばあちゃんに教えてあげようー!

唾液腺マッサージのやり方については、下記のページを参照してください。虫歯予防・口臭予防にもおすすめですので、おばあさまとご一緒にサルくんもやってみてくださいね。
- 入れ歯は作ったら終わりではなく、こまめに調整するもの。
- 外れる入れ歯の原因がわかれば、修理・調整で改善することも。
- 加齢とともに歯茎が痩せて、入れ歯が合わなくなることがある。
- 快適に噛むために、インプラントで入れ歯を固定する方法もある。
- 唾液を増やして吸着力を高めれば、入れ歯が外れる防止になる。