ひどい口臭は唾液不足が原因だった!?唾液の殺菌パワーで口臭予防

「唾液がクサイ!唾液のせいで口臭がひどいんじゃない?」と思っていませんか?だとしたら、それは大きな勘違いです。
実は、唾液は、口臭の改善にも役立つすごいパワーを秘めているのです。現役歯科医が唾液が持つ健康効果について解説します。
- 唾液がクサい、唾液を減らしたいと思っている方。
- 口臭の原因は唾液じゃないかと思っている方。
- 唾液が口臭の原因だと思っていたが、もしかして誤解?
- 唾液を増やせば口臭予防できるって、本当?
- 唾液を増やすセルフケア法が知りたい方。
口臭の原因は唾液ではない!唾液不足だから


口臭が気になるんですけれど、唾液がクサイからじゃないんですか?

唾液がクサイのではないですよ。唾液は本来無臭ですから。

あら?そうなんですか?でも唾液のにおいを嗅いでみたらツンとした匂いがしません?

それは、口内細菌が出すガスのにおいですね。

まぁ!?口の中にガスを出す細菌がいるのですか?
腸内フローラという言葉を聞いたことがありませんか?私たち人間の身体には、身体に良い働きをする細菌と悪い影響を及ぼす細菌が良好なバランスを保って存在しています。
その細菌の層がお花畑のように見えることからフローラと呼ばれているのですが、お口の中にも同様のフローラが存在します。
その数は、約1000臆個~1兆個ともいわれれていて、虫歯や歯周病の原因になる細菌も、フローラを形成する細菌に含まれています。
ひとたび身体の抵抗力が落ち、口内細菌のバランスが崩れ、歯周病菌などガスを出す細菌が繁殖すると、口臭がひどいと感じるようになるのです。
歯周病菌が原因の場合、メチルメルカプタンや硫化水素といった鼻にツンとくるにおいであることが特徴です。
唾液はくさくない!無臭!
唾液はもともと血液から作られており、殺菌作用をもっています。常時わたしたち人間の口の中を潤し、さまざまな細菌やウイルスを洗い流して感染から防御してくれています。
分泌されたばかりのフレッシュな唾液は、無臭です。においの原因は、口内に棲む細菌のひとつである歯周病菌などの嫌気性菌が出すガスです。それが唾液に溶け込むせいで、唾液がくさくなったと感じるのです。
唾液には殺菌作用があるため、こうした強いにおいの元になる細菌を除去するパワーがあります。
唾液は口臭予防のために働いてくれる強い味方なのです。
唾液不足の時に出る「ネバネバ唾液」
唾液には、ネバネバした唾液とサラサラした唾液があります。
口がクサイと感じるのはネバネバした唾液が出ている時で、緊張している時やストレスを感じている時などに口の中がネバつくのは、この唾液の影響です。
ネバネバしている身体によくなさそうなイメージがあるかもしれませんが、その逆で、ネバネバ唾液には細菌が口内へ侵入してくるのを防ぐ力があります。
口内の粘膜と同じ成分ムチンを含んでいて、口の中の粘膜が傷つかないよう保護する働きがあるのです。
ネバネバした唾液は、主に外的から身を守る大切な唾液です。
お口を潤す質の良い「サラサラ唾液」
リラックスしている時や食事をしている時に分泌されるのが、サラサラした唾液です。サラサラした唾液は口内を潤し、口内を清潔に保ちます。
また、消化酵素である唾液アミラーゼ含んでいるため食べ物の分解をサポートします。

ふむふむ。口臭の原因でしかないと思ってたけど、ネバネバした唾液も細菌の侵入から身体を防御する大切な働きがあるんですね。

そうですね。ただし口の中を潤すのはサラサラした唾液ですから、ネバネバ唾液が増えてサラサラ唾液が減ると口の中が乾燥して口臭悪化のリスクがあります。

まぁ。それはたいへん。

サラサラ唾液が増えて口内が潤い、必要に応じてネバネバ唾液が働いて身体を守ってくれるような良好なバランスを保てるのがベストですね。
口臭の原因、ネバネバ唾液を減らす方法


ネバネバ唾液を減らすためには、どうすればいいのかしら?先生、教えてください。

ネバネバ唾液は、ストレスが多い時や歯周病菌などの身体に悪い影響を及ぼす細菌が増えた時などに分泌されます。

ふむふむ。リラックスして、歯周病を治して口の中が健康な状態になったら、サラサラ唾液が増えるってことですね?

はい、その通りです。口内を潤すサラサラ唾液の分泌が増えると、殺菌作用が働いて口臭予防できます。
サラサラ唾液の分泌量を増やして、口臭を予防しましょう。
そのための方法について、解説します。
歯周病を治療する
口臭が気になる場合、原因のほとんどは歯周病といわれています。
軽度な段階を含めると、成人の約8割が歯周病にかかっているというデータがあるほど。国民病といわれるのも納得ですね。
歯周病を治療すると、嫌なニオイのガスを出す細菌が減るため口臭が改善されます。
水分補給をする
口臭の原因になる細菌を減らすためには、水分補給をして口内を潤しましょう。
口の中が乾燥していると、細菌が繁殖しやすくなります。1日の中で最も虫歯菌や歯周病菌などの口内細菌が増えやすいのは睡眠中です。それは口内が乾燥しているからです。
口臭予防のためには、口内細菌を増やさないこと。細菌の繁殖に快適な乾燥した環境をつくりださないため、こまめに水分補給しましょう。
よく噛んで食べる
水分補給も大切ですが、いちばん大切なのは殺菌作用をもつ唾液をたっぷり分泌させること。唾液は天然のデンタルリンスともいわれていますから、唾液を出すことで口臭を予防できます。
そのためには、よく噛んで食べましょう。咀嚼が増えると、それだけ唾液の分泌が増加します。
十分な睡眠をとる
睡眠不足等で疲労が蓄積すると、唾液の分泌量が減ります。唾液の殺菌作用を正常に働かせるためにも、しっかりと睡眠をとりましょう。
ストレスをためない
ストレスが溜まると自律神経のバランスが崩れ、眠りやリラックスを司る副交感神経が鈍り、常に交感神経が上位の状態になります。
そうなるとサラサラ唾液でなくネバネバ唾液が出やすい状態になり、口の中が乾燥します。
薬やサプリメントを見直す
服用している薬やサプリメントの種類によっては、唾液の分泌量を減らすものがあります。
治療のために服用している薬についてはどうしようもない面がありますが、口の中が乾いて口臭が改善されない、という場合は歯科医や薬剤師に相談してみましょう。
セルフケアで唾液を増やす方法


ふむふむ。唾液を増やすのが、口臭予防に効くのですねー。水分補給の他に、唾液を増やすいい方法はないかしら。

ご自身で、唾液腺マッサージをしてみるといいかもしれませんね。

唾液腺?ふむふむ…それって、どこにあるのですか?

主な唾液腺は、耳の下、顎の下、舌の下にあります。そこを指でマッサージしてみてくださいね。
唾液腺マッサージ
お風呂上りやベッドの中など、リラックスしながら唾液腺マッサージを行いましょう。
体調が悪い時は無理をせず、できるだけ毎日続けるようにしてください。
耳下腺、顎下腺が、サラサラ唾液が分泌しやすいツボです。
- 【耳下腺】耳と頬の間に指先を当ててクルクルとマッサージします。
- 【顎下腺】顎のラインに沿って、耳から顎先まで指先で押します。
- 【舌下腺】顎の下から親指で舌を押し上げるようにプッシュします。
舌の運動
唾液を増やすために、舌の運動をしましょう。リラックスした状態で行うのがポイントです。
それぞれ5回ずつくらい行い、無理のない範囲で、朝と夜、毎日続けるようにしましょう。
- 舌を思いっきりベーっと出します。
- 舌を鼻先に向かって伸ばします。
- 舌を唇の外に出して、左右に動かします。
水分補給&リラックス!唾液パワーで口臭を予防


舌の運動や唾液腺マッサージをすると、ジワーッと唾液が出てくるような気がしますね。

無理のない範囲で、毎日続けるようにしてください。口臭の改善が期待できますよ。

ふむふむ。朝と夜、時間を決めておけば続けられそうですね。やってみます。

それから、丁寧な歯磨きをして細菌量を減らすことも大事です。こまめな水分補給も忘れずにしてくださいね。
- 唾液は無臭。口臭が強いのは、唾液のせいではない。
- 唾液がクサく感じるのは、口内細菌が出すガスのせい。
- 口臭の原因になる細菌は、歯周病菌であることが多い。
- 唾液腺マッサージや舌の体操で唾液の増加を目指せる。
- 口臭予防には、歯磨き、水分補給、リラックスが大切。