20代で入れ歯ってどうなの?若いうちに入れ歯にすると将来どうなる?

「事故で歯がなくなったけど、20代で入れ歯は正直恥ずかしい」
「試合で前歯を失った。歯医者には入れ歯を進められたけど、20代で入れ歯ってどうなの?」
入れ歯は高齢者のものというイメージが強いため、20代で歯を失って医師から入れ歯を勧められると正直困惑しますね。
平成28年の厚生労働省の調べによると、年齢別に見た部分入れ歯や総入れ歯をしている人の割合は、以下のようになります。

平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要を元に作成
20代で入れ歯にしている人はグラフでは0ですが、この統計は全国民を調べたものではないし、事故などで歯を失ってしまい、やむなく入れ歯にするという人もいますね。
ここでは、20代で入れ歯をすると将来どのようになるか、医師が最もおすすめする治療法とその理由についてご紹介します。
- 虫歯が多いので思い切って総入れ歯にしようかと悩んでいる
- 歯をなくしたところを差し歯にしているけど、入れ歯にしようかと思っている
- 歯をなくしたら差し歯と入れ歯しかないの?
- 若いうちに入れ歯にすると将来どうなるか気になる
1. 20代で入れ歯にしている人の理由

20代で入れ歯にしている人で歯を失った理由として考えられるのは以下のようなものです。
- 武道や格闘技
- 事故
- 病気
意外に多いのが、スポーツによる欠損です。格闘技など激しい運動で顔を打ち、を損傷してしまうことがあります。また、交通事故や全身疾患、虫歯の悪化などで歯を失ってしまうケースもあります。

スポーツで歯が折れたり欠けたりするのは時々聞きますよね。

そうですね。それだけ頑張った証拠とも言えますね。
2. 部分入れ歯にした時の他の歯への影響

部分入れ歯は両サイドの歯にバネをかけて支えるため、バネをかけている歯に負担がかかります。また、若いうちに部分入れ歯にすると、長年のうちには以下のような影響があります。
- 噛むたびにバネをかけている歯に余分な力がかかる
- バネが見えるので見た目が良くない
- 歯とバネの隙間に汚れが溜まりやすくなる
- →汚れが溜まると虫歯や歯周病になりやすくなる
- →歯の根の先端に膿がたまる可能性がある
- →虫歯は歯を溶かし、歯周病は歯や骨を溶かす
- →歯や骨が溶けるとバネをかけられなくなる
- →結果として、バネをかけている歯も治療が必要になる
- →結果として、部分入れ歯の範囲が広くなる

歯が弱くなるし、汚れも溜まりやすくなるから他の歯もダメになるってことですね!

その可能性が高いですね。部分入れ歯の範囲が広がるとバネをかける歯がなくなって、ゆくゆくは総入れ歯になることも考えられます。

えー!
3. 総入れ歯にした時の歯茎への影響

20代でも歯の質が弱く、虫歯がたくさんあって総入れ歯を検討する人もいます。若くして総入れ歯にした場合は、将来どのようになるのか気になりますね。
- 入れ歯は噛む力が自分の歯の1/3程度になる
- 年々歯茎が退縮してくるので入れ歯が合わなくなってくる
- →数年ごとに作り変えが必要になる
- →入れ歯が合わないと痛みが生じる
入れ歯は自分で着脱できるのがメリットですが、ふとした拍子に外れてしまうというリスクもあります。人前でポロッと取れてしまう可能性があるので、いつも注意していなければならず気を抜けません。
また、入れ歯の噛む力は自分の歯より1/3程度と弱いので、お肉や硬いものなどは食べられなくなります。20代はまだまだ身体を作り続けなければなりません。栄養面でもバランスの取れた食事は重要ですし、なにより食べる楽しみが半減してしまいますね。
歯茎は加齢によって、誰でも下がってきます。10年に2ミリほどは下がるので、歯茎が下がれば入れ歯が合わなくなります。そもそも入れ歯の寿命は4〜5年程度ですので、そのたびに作り変えなければなりません。

うーん、入れ歯って保険がきくから安くていいと思ってましたけど、こんなにリスクがあるんですね!

若い内の歯の治療は、将来のことも考えて慎重に選んだ方がいいですよ。
4. 歯をなくした時の4つの治療法
歯をなくした時の治療法は差し歯、入れ歯、ブリッジ、インプラントの4つです。ただ、歯の根が残っている場合と残っていない場合とでは治療法が異なります。
- 歯の根が残っている場合:差し歯
- 歯の根が残っていない場合:入れ歯、ブリッジ、インプラント
それぞれの治療法の特徴を詳しく見てみましょう。
4-1. 差し歯

差し歯は、歯の根が残っているところに補助的な歯の根の土台を入れて義歯をくっつける方法です。昔からある方法ですが、神経を抜くので歯への栄養が行き届かなくなり、
- 歯の耐久性が弱くなり、歯の根が折れてしまうことがある
- 虫歯になっても気づきにくく、虫歯になると悪化してしまう
などのデメリットがあります。虫歯は感染病なので、隣の歯も危険にさらされます。

もちろん、しっかりケアをすれば虫歯は防げますが、歯自体は神経を抜いてもろくなるのでいずれは義歯を入れることになるでしょう。
この先何十年も差し歯でもたせるのは難しいってことですね。
4-2. 入れ歯

入れ歯は保険がきくので、治療費を抑えることができます。先に述べたように、少ない本数なら部分入れ歯、ほとんどの歯がない場合は総入れ歯になります。入れ歯は歯の根がない状態でしか装着することができません。

治療費が安いのはいいけど、何でも食べられないならちょっと考えちゃうかな…。

長い目で見ると、あまりおすすめはできませんね。
4-3. ブリッジ

ブリッジは、両隣の歯と連結した被せものを作って被せる義歯です。隣の歯は被せものを被せるために、大きく削る必要があります。部分入れ歯と同様、隣の歯がもろくなるため、虫歯や歯周病などでダメになるとブリッジができなくなり、ゆくゆくは入れ歯やインプラントなど別の治療法にする人が多いです。

健康な歯を削るって、かなり抵抗があります。

ブリッジは安価で見た目もいいので選択する人が多いんですが、この先何十年の人生を考えるとやはり一時しのぎといえるでしょう。
4-4. インプラント

インプラントは、歯の土台となる骨に直接人工の歯の根を埋め込んで、人工歯を被せる治療法です。
- 骨が義歯を支えるため、他の歯への影響がない
- 骨が衝撃を吸収するため、強い力で噛める
- 見た目が自分の歯と変わらないので人には分からない
インプラントは保険がきかないので初期費用はかかりますが、分割払いなどで支払えます。日頃のケアと定期検診さえしっかり行っていれば、半永久的にもつ治療法です。
また、根管治療、部分入れ歯、ブリッジなどは将来的に健康な歯が減ってしまう可能性が高いです。それならいっそのこと、思い切って抜歯をしてインプラントを入れるほうが、他の歯の健康を守れるという考え方もあります。

義歯といってもいろんな治療法があるんですね!

そのとおり。なので、歯医者さんにじっくり話を聞いて決めるといいですよ。
結論!20代におすすめなのはインプラント
20代で歯を失った場合は高齢で歯を失ったのと違い、この先60年70年と使い続けなければなりません。そのため他の健康な歯を残すことも考慮に入れて選ぶことが重要です。他の健康な歯への影響がないインプラントは、そういった意味でおすすめです。
ただ、経済的な理由や通院など、様々な事情もあるでしょう。担当の歯科医師とよく相談して、自分に一番合う治療法を見つけてくださいね。
- 部分入れ歯は両サイドの歯に負担をかけ、将来的にダメになる可能性が高い
- 総入れ歯は歯茎下がりと寿命の短さで何度も作り変えが必要になる
- 差し歯は保険内で治療できるが、歯の耐久性が弱くなる
- 入れ歯は噛む力が弱く、食べるものが限られる
- ブリッジは健康な歯を最低2本大きく削る必要がある
- インプラントは保険がきかないが半永久的に使え、他の歯にも影響がない